JIS配列が最強のUS配列
自作キーボードにハマって初年度です。最初はJIS配列を使っており、その後にUS配列にはまりました。そして自作キーボードになって1u(普通のキーボードのキー1個分。キーボード見たときに一番小さいやつと思って)のUS配列に入門し、Keyballなどを経てmoNaという1uのキーボードに落ち着いています。しかし最近になってUS配列に思うところはこれです。
「US配列のスペースキー長すぎだろ〜〜〜〜〜〜!!!!!もっと分割した方が色々設定しやすくていいんじゃないか〜〜〜〜〜!!!??!?!?!?」
JIS配列最強
今回言いたいのはJIS配列が最強のUS配列になれるのではないかということ。何を言ってるかわからねーかもしれないか十分正気だ。
このあとにおまけで書いたキーボードの変遷なんて長い文章を読んでくれたならわかると思うが、記号や数字入力でもホームポジションから動かないためには確実にレイヤー機能を使わなくてはいけない。そしてレイヤー移動をするのは親指で行いたい。そうするとmac標準のような普通のUSキーボードでも親指のキーが欲しくなる。親指でスペースを押すとしても、最低でも右と左で1個ずつのキーは必須だ。では物理的にUS配列でこれを達成できるか?これは不可能だ。なぜなら無駄にバカデカく、ふてぶてしくてスタビライザーのコストが高い長大なスペースキーが親指の押し分けができる範囲を不当にもすべて占拠しているのだ。このような不当な占拠を許すことはできない。ではどうするべきか?
この答えはJIS配列にある。その理由に行く前に少し整理しよう。なぜここまでUS配列自体を激推しするのか。それは次の2つだ
記号の入力がしやすい
エンターキーが近くて押しやすい
いずれも本質的にはホームポジションからずれない&入力が速いことがメリット
怜悧な読者諸君であればすでにお気づきだろうが、この特徴は物理的な配列についての制限をしないのである。1uを正確にタイプするということができるという前提に立った上でこれらのメリットは物理的US配列依存ではない。つまり別にどんなキーボードでもあれレイヤーキーで記号を押しやすいところに置けば解決可能なのである。
レイヤー機能を使うことを考えるのであれば、シンプルにホームポジションから押せるボタンが多ければ多いほど入力のしやすさは向上する。当然覚えるコストはかかるが、自作キーボードを始めた人間にとっては論理配列を入れ替えるよりは数倍簡単だ。
ホームポジションで押せるキーが多く、なおかつ親指の押せるキーが多いとなお良い。私たちはこのキーボードを知っている。それは物理JIS配列である。英数や無変換などUS配列を使っている人間なら「使わないだろ...」と感じるキーの部分、ここが天恵なのだ。
この視点に立ってHHKBのUS配列とJIS配列を見比べてみよう。JISではCとMの下にキーが増えている。ホームポジションに手を置いてもらえばわかるがここは親指が押せる範囲にギリギリある(zの行がUSとJISで0.25uずれてるので少し事情は異なる)。つまり実質レイヤーキーが追加さた状態なのだ。
そのうえで私の考える最強物理JIS配列論理US配列を書き込んでみよう。こうすれば親指クラスタの増えたUS配列のHHKBの出来上がりである。(ある種のHHKB原理主義者はHHKBのJISをHHKBと認めないものもいるので、広義におけるHHKBをここで指す)
さらに言えばこのずんぐりむっくりとしたJISのエンターキーだが、ここを無理やりUS配列にすることができれば文句など出ようはずもない。そして幸い我が家には偶然3Dプリンターがある。つまりはどういうことか?
こういうキーキャップを作ればいい。バカのソリューションなのだが、HHKBを格子配列にするキーキャップがすでにあるのだからこのソリューションも全然可能だ。
物理JIS配列で論理US配列が最強!
ここまでの駄文を読んでくれたことに感謝します。この記事で何を言うために書いたのか?それはHHKB STUDIOめちゃくちゃ欲しいけどUS配列は親指クラスタが貧弱すぎるからどうにかしてJIS配列でUS配列を実現し、最強のHHKB STUDIOを手に入れたいという願望からです。
「いや自作キーボードであるやろ!」わかる。痛いほどそのツッコミはわかる。でもHHKBへの憧れも捨てられない自分がいるのだ。憧れは止められない。
そしてこれは自分へのキーボードを購入する言い訳のために書いています。多分年明けくらいにおかしなテンションで自宅にHHKB STUDIOが家に届いていることでしょう。
おまけ: キーボード変遷
TL;DR US配列のスペースキーってせっかくのスペースをあれだけで潰してるのもったいないよね
macbook Pro 2016 touch bar JIS配列
高校生にして、自分の人生で最初に買ってもらった自分用のパソコンです。この時にはキーボードの配列に何も思っていませんでした。「これが普通だからこのキーボードを使う」。そう、それくらいです。
ほぼ断言できますがUS配列がどうとかUK配列がどうとかを配列についてのこだわりを宣うのは100%プログラマとかいう記号を日常で高頻度で使う職種の人間だけです。一般の人間は「日本人で日本語ばかり入力するのに日本語配列じゃないのは何?そもそも配列ってこれ以外あるの?」みたいな認識です。全くもってその通りで、日本語入力くらいしかしないのであれば記号の打ちやすさなど全く意味がないのです。
ここでマイコン部というプログラミングをする部活に入ってしまい、人生の歯車がズレはじめます。そう、プログラミングという趣味を得てしまうのです。
US配列への気持ち「そもそもUS配列とか知らんし別にJISでよくね?」
初めてのUS配列
2020年、ここで初めてUS配列に手を出します。自宅で先程のmacbookをクラムシェルで利用し、それに接続する形で利用していました。ちょうどこの頃はPythonなどを書いたり、Arduino言語やC++などを書いていました。記号の諸々を打つときにUS配列の方が使いやすいということに気がつきました。
ここですでにキーボード沼の一端に触れ始めます。ここで購入したRK61はゲーミングキーボードとしてはまあ安い割にはそこそこいい感じでした。しかし持ち運ぶには明らかに向いていません。家でUS配列を使うようになったら外でもUS配列を使いたいと思うようになるのが常です。
そこで軽くて薄い携帯に向くコスパのいいキーボードというのが欲しくなります。そこで最初に購入したのがAnkerの2000円で買えるバカ安Bluetoothキーボードです。たしかに薄くて軽いのがいいのですが、打鍵感は正直クソでした。鉄板が入っていないので押すとたわむし、安物特有のなんとも言えない打鍵感でした。ここで初めてメカニカルキーボードなどキーボードの種類を知ったことを覚えています。
さて、Ankerのキーボードがダメなので次に目をつけたのがlogicoolのキーボードです。logicoolのこのキーボードは安い割には安定して接続ができ、複数のペアリングにも対応、そしてmacの配列をそうていされているといいところばかりでした。JIS配列が売っていないという点を除けば。
まあ厳密に言うと国内でUS配列が売っていなかったのです。logitech(海外でのlogicoolブランド)では販売していましたが、当時はUS配列が国内にはありませんでした。このJIS配列の方はラズパイ用で使っていたので打鍵感を知っており、これがUS配列だったらよかったのにと何度思ったことでしょう。最終的に怪しい感じの業者からUS配列の並行輸入品を購入しました。結論としてはだいぶ満足していて、打鍵感はまあそこまで悪くなく、ペアリングなど諸々は十分でした。ただ途中でjキーの接触が悪くなり、接点復活剤などで騙し騙し使っていましたが、最終的にはめんどくさくなって捨てました。接触不良について業者とやり取りしてましたが、結構面倒くさくてその後は公式から購入することにしています。
この頃にInstagramの広告でかっこいいmac向けのキーボードに出会います。それが今ではキーボード好きで知らない人はいないKeychronです。このときにKeychronのK2を購入しました。あの打鍵感といい、コンパクトさも相まって自分には最高のキーボードでした。macとWIndowsに接続できて両方にとグルで切り替えができるということが自分のユースケースにバッチリはまりました。
US配列への気持ち「US配列いいじゃん!プログラミングの記号とか打ちやすいし!スペースキーも長くて押しやすいな〜」
Keychron Q11 分割キーボードデビュー
コロナで大学がリモートになり、家にいる時間が増加し、キーボードを打つ時間が増えます。そしてここで自分の肩こりに気づきます。理由は確実にキーボードです。タイピングの時間が長くなり、肩こりがひどくなります。ここで分割キーボードという存在を知ります。すると現在使ってるKeychronから分割キーボードが出るというじゃありませんか。そしてKeychron Q11に移ります。
US配列への気持ち「分割されたスペースバーの方が使い勝手いいじゃん。でもやっぱり結局長いスペースバーは正義だよな〜〜」
そしてここから数年のキーボード安定期を迎えます。そして2024年。
Keyball61 1uのUS配列
時は2024年、転機が訪れます。iPhone向けのソフトウェアキーボードを作っていたことからmacOS向けのIMEで未踏ITというIPAの事業に採択されます。ここでIMEを諸々いじっていると世の中には自分の知らない日本語入力の世界があることを学びます。
一つは世の中には様々な入力方式があるということです。例えばIMEとSKKや漢直などの方法などが存在します。そして入力方法が変わればキーマップというものも最適なものが変わります。漢直などは最たるもので漢字直説入力という、キーマップをガン無視してキー同士の組み合わせだけで漢字すら入力します。このキーとこのキーを打ったらこの漢字が出るという組み合わせをひらすら覚えて使うという、まさに研鑽の賜物なのです。このような学びを得ていると配列自体にも疑念を持ちはじめます。
「US配列いいとか言ってるのはただ自分が無知で、知ってる範囲で最高だと宣っているだけなのではないか。この最強って世界を知らないガキ大将なだけではないのか」
そしてこのような思考は先人によっていくつも重ねられており、Dvorak配列などのメジャーどころをはじめとして配列自体をより効率的にしようという取り組みを見つけます。そしてその中で大西配列というものにも出会い、そこのサイトで「おさかなキーボード」の存在も知ります。
大西配列とおさかなキーボードは密接な関係にあり、大西配列という効率的入力にフォーカスした配列をより効率的に入力するためのデバイスを考案者の大西さん自身が設計開発するというものです。つまり入力に関するほぼ全てを一気通貫で改善しようということです。ここで初めて自作キーボードという文化に触れます。今年の6月ごろです。
そしてモナカキーボードを作ります。1uで42キーのオーソ配列です。シンプルですね。ここで初めてロースタッガードじゃないキーボードに触れることになります。まあ触れるというよりわざわざ作ったのですが。このキーボードで外でもタイピングするようになりました。そして少ないキーでも入力するようになるとこうも思います。
「親指ってレイヤー移動のためにあるような配置しているよな...。スペースキーしか押さないってもったいなくないか...??」
この頃には自分はトラックボールを使っており、トラックボールとキーボードの手の往復に少し辟易していました。Vimmerにもなりきれず、GUIを捨てきれない自分に光明を与えるプロダクトに出会います。それがKeyballです。分割キーボードでホームポジションでトラックボール操作が可能という代物です。初めてのKeyballはひよってKeyball61という数字キーのあるものを購入して少し後悔しました。数字キーというのは普通の人にとっては指がホームポジションから動かないと届かないのです。これはホームポジションから動かないためにKeyballを購入したのに半ば本末転倒であると感じました。何事にも半端な覚悟というものが一番痛い目を見るものですね。
Keyballを使うと1uのキーボードに慣れてきます。別にスペースキーが長い必要はなく、エンターキーも長い必要がないのです。どんなに長くとも、ホームポジションから動かないのであれば押す範囲はたったの1uしかないのです。つまり手にフィットする形のキーボードにしたらキーの形状などは1u以上は不要なのです。むしろスペースの無駄です。ホームポジションから動かないと押せないところにキーを作るというのは無駄な動きを要求することになるのでここら辺で思想的に相容れなくなってきます。そうすると数字キーがあるキーボードでは満足できなくなってきます。
US配列への気持ち 「スペースキー長くしてどうするんだ...?そこの押せる範囲にキーをいっぱい配置する方が入力効率的に良いに決まってないか?別にスペースキーも1uか2uあれば十分だろ」
そしてここでroBaというキーボードを知ります。コンパクトで無線接続のKeyballみたいなやつ。もちろん数字キーの行はありません。無線で持ち運びにも良くて最高じゃないか!しかしここでさらに新しいキーボード、moNaが登場します。moNaはroBaを狭ピッチにして改造したものです。狭いピッチは当然よりコンパクトです。そして手を動かす範囲はより狭くなり効率的になります。しかし「慣れるかなあ」みたいな不安も当然よぎりますが、Keyballの失敗をした自分はここで正しい選択をします。何事にも半端なのはダメで、せっかくなら練習コストを払ってでも挑戦してみるべきなのです。結果的にこれは正解でした。moNaは手を動かさないで全てのキーをタイプすることができる完璧な構造であり、エルゴノミクスで肩こりを改善する完璧なプロダクトでした。
「もはや1uもいらないだろ。指のサイズ的に0.8uくらいのキーでいいじゃん。」
とこのような感じでUS配列のスペースキーに対して思うようになってきたのです。