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京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 院試

私は京都大学工学部電気電子工学科に所属しており、2023年度修士課程入学試験にて京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻の第一希望の研究室に無事合格したので、その経験談について執筆したいと思います。

試験科目・英語の配点

知能情報学コースの合格者決定における配点は、
情報学基礎100点、専門科目100点、英語スコア50点でした(口頭試問対象者については口頭試問200点)。
情報学基礎
・線形代数、微分積分
・アルゴリズムとデータ構造

専門科目
下記6分野より2題選択し回答します。
・認知神経科学、知覚・認知心理学
・統計学
・パターン認識と機械学習
・情報理論
・信号処理
・形式言語処理、計算理論、離散数学

英語スコア
・英語スコア=0.056×TOEICスコア-13.377
・英語スコア=0.417×TOEFLスコア
・英語スコア=7.361×IELTSスコア-9.826(最大は50)

口頭試問は受けていないので分かりませんが、呼ばれた時点でそのほとんどが落ちるという噂だったのであまり対策はしていませんでした。

受験生の多くは専門科目のうち3科目を準備し、当日解けそうな問題を解くとのことだったので、私は統計学、情報理論、信号処理を勉強しました。英語については(満点が42点くらいなので)そこまで高得点は狙えませんがTOEICを受けました。

初期状態

私は電気電子工学科に所属していましたが成績は全くよくありませんでした。3回後期までの累積GPAは2.79でした(笑)
線形代数もほとんど忘れている状態でした。
知能情報を受けようと思ったきっかけは3回後期の機械学習の講義が非常に面白いと感じたからです。ですが4回生の研究室配属ではGPAがよい人から研究室が決まるため、私は知能情報学専攻の研究室に入ることができませんでした。そのため内部ですが他専攻からの受験となり主に一人で勉強していました。
また前年の倍率が3.3倍であり受かる保証はなかったので、併願校として大阪大学情報科学研究科情報システム工学専攻を受験しました。
結局私の年の京大知能情報専攻は定員35人に対して157人の出願がありました(笑)

対策

5月
院試対策を本格的に始めたのは5月からです。可能ならもっと早く取り掛かるべきです。3月やそれ以上前から始めてる人も多い印象です。始めるのが遅かったことに加え、それまでの3年間あまり勉強してこなかったのでかなり大変でした。
5月はひたすらTOEICの勉強に取り組んでいました。4月の終盤に初めてTOEICを受験し、その時は685点でした。問題慣れが大事だと聞いていたのでとにかく問題集を解いていました。肌感覚ではシャドーウィングの練習がリスニング力を伸ばすうえでとても効果的でした。5月23日に2回目の受験をし結果は780点でした。受験者の多くは900点ほどとってくると聞いていたので、正直満足していませんでしたが、この点数で提出することにしました。
(結局受けませんでしたが、一応6月後半のTOEICも申し込んでいました。私は6月中旬の出願時に提出しましたが、受験当日(8月)に提出することもできます!)

6月
TOIECが終わってからは情報学基礎、専門科目の勉強を始めました。まず最初に1年分の過去問を解き問題の系統を確認しました。過去問をベースに勉強する人が多いと思いますが、知能情報は倍率が高いため幅広く勉強し得点することが必要だと考え、私は各科目2,3周参考書を解いた後試験の傾向に合わせて対策するという戦略をとることにしました。大体6月から1日10時間くらい勉強しており特に質を意識しながら取り組んでいました。使用した参考書についてはこのnoteの後半に載せています。
6月の4週目までに全教科参考書の内容を1周網羅し、7月の2週目までに2周目を終えるという計画を立て実行していました。
また、6月の出願ではミスのないよう気を付けながら書類をまとめました。私は志望動機書を書くのに苦戦したので、なぜその研究室に行きたいのか言語化できるようにしておくとよいと思います。

7月
7月の上旬に出願状況が発表され、倍率が5倍近くになっているのを見て絶望したのを鮮明に覚えています(笑)
進捗については7月の2週目の時点で参考書の内容が大体は理解できてるかなという感じだったので、中旬から本格的に過去問を解き始めました。京大の過去問を1年分解いて間違い直しをして阪大の対策を少しすると1日が終わるというような生活を10日くらい続けていました。
7月下旬に阪大の試験があったので阪大の勉強もしつつ京大の試験対策をしていたので京大だけに集中しているほかの受験生に比べ学習時間が足りていない感じがしてすごく不安でした。
7月30日に阪大の筆記試験、31日に面接がありました。私の年は、複数の科目で過去ほとんど見たことのないような問題が出題され驚きました。
やはり試験本番は予期しない問題が必ずと言ってよいほど出るので、諦めずに少しでも点数を稼ぎに行くのがとても重要です。

8月
過去問も解き終わっていたので、何をするかすごく悩みました。結局直近5年分の過去問の解き直しを行いました。近年の傾向として情報学基礎の分量の増加が見られたので、情報学基礎を集中して素早く解くことを意識するなど本番を想定した練習ができたのはよかったと思います。

院試当日

情報学基礎
近年の傾向通り、やはり問題数が多かったです。全体的に例年より特殊な問題が多く難しい印象を受けました。F1-1では設問1は解けましたが、設問2は小問1つしか解けませんでした。序盤から解けない問題がありましたがとにかく先に進みました。F1-2については設問1は例年通り普通の問題でしたが設問2は小問1から分からず級数展開しただけで全滅という感じでした。設問3はラグランジュの未定乗数法を用いて答えを導出しました。
F2-1はヒープソートの問題で、確実に取りたい大問でしたが実行時間の計算で数問間違えた気がします。F2-2は編集距離についての問題でした。(出題ミスがあったみたいです。)設問2は傾向にない木についての問題でした。
高得点は全然取れてない感じでしたが、周りもできていないだろうと信じて最後まで諦めずに頑張りました。

受験後得点開示に申し込むのを忘れてしまいました、、、
結果を知りたい方は8月中に申請する必要があるのでお気をつけください。

専門科目
試験当日までは統計学と信号処理を解こうと思っていたのですが、信号処理で2次元フーリエ変換の問題が出たため間違うリスクを考えた結果、統計学と情報理論を解くことにしました。
統計学は基本的な問題が多く(計算ミスをしていると思いますが)比較的解きやすかったです。情報理論は方針は分かりましたが、計算が複雑で上手くできず数問落としてしまいました。
基礎科目に比べれば例年通りという感覚でした。

使った参考書

線形代数
まず線形代数は基礎から勉強する必要があったのでマセマの教科書で勉強しました。とても理解しやすく説明されています。

その後、演習量を増やすために黄色本に取り組みました。ただ量が多かったので飛ばし飛ばし解いていました。


微分積分
微分積分は黄色本でしっかり演習すれば対策できました。ここから全く同じ問題が出たこともあるので出題傾向は似ている気がします。


データ構造とアルゴリズム
データ構造とアルゴリズムの対策には以下の参考書を解いていました。私はプログラミング経験が浅くあまり知識はなかったのですが、解説分かりやすく理解しやすかったです。また演習問題の答えもネット上に載せてくださっていたので勉強しやすかったです。

また授業資料と以下の学校指定の教科書にも一応目を通しました。

統計学
統計学については学校指定の教科書「統計学入門」で勉強していました。演習問題が豊富でとても力になりました。またネット上でこの教科書の解説をしてくださっていたのでそれにも非常に助けられました。

問題解説してくださっているサイトです。

また統計学は終盤演習問題がなくて困りました。私はやりませんでしたが、統計学検定2級の問題が似ているそうです。

情報理論
序盤は指定の教科書である「情報理論」を使っていましたが、勉強にはなりましたが自分にはあまり合っていなかったので、西田豊明先生の授業資料をベースに勉強していました。

信号処理
信号処理は京都大学の授業資料をベースに勉強していました。また詰まった時は「やる夫で学ぶディジタル信号処理」とテキストも参考にしていました。阪大の試験科目にも信号処理があったのでその過去問も解いていました。

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