ロボカップジュニア レスキューロボットの駆動力計算(簡易版)
はじめに
レスキューロボットは車両型ですので、車両設計の計算式に従えば駆動力の計算が行えます。
今回は、レスキューロボットの性質を考慮して、できるだけ計算要素を切り捨てるアプローチです。
計算式
サッカーではキックオフでボールに到達する時間や、急激な左右への動きが要求されるので、加速力の想定が必要ですが、レスキューでは概ね "一定速度を保って走行" する競技と考えて良いでしょう。
一定速度で走行中の車両の駆動力計算式は以下の通りです。
転がり抵抗、空気抵抗、勾配抵抗の3つの抵抗に抗う力が駆動力です。
(この式はwebで色々解説されていますので詳細な説明は省きます。)
計算式を簡略化(省く)
”高速道路では窓を閉めてエアコンを使用した方が燃費が良い”と言う話を聞いたことがあると思います。
これは速度の2乗で空気抵抗が大きくなるから、窓を開けた車の空気抵抗が必要な駆動力を引き上げてしまってエアコンの燃費を超えてしまうと言うお話です。
ここで空気抵抗が問題になる速度を時速100kmとし、レスキューロボットの速度を時速1km(1秒間に30cmぐらい)とすると、(1/100)^2=1/10000
となります。
さらに空気が当たる面積も、とても小さいので空気抵抗はゼロとみなして ”空気抵抗”の項を省きます。
レスキュー競技は障害物競走ですから、滑らかな面を走行した場合のタイヤの転がり抵抗より、障害物踏破や傾斜路の登坂の方が遥かに必要駆動力は大きいです。
モーター・ギヤ比を選定する為の駆動力計算としては勾配抵抗を計算しておけば良い事になります。
駆動力(N)=g(重力加速度)×Wt(ロボットの重量)×sinΘ(Θは勾配の角度)
とシンプルになります。
具体的計算例
ロボットの重量2kg、勾配角度を30°とした場合の駆動力は?
モーターの4パラメータと必要トルク計算については、別途記事にしたいと思っていますが、今回は既存のエクセルシートで2種類のモーターを計算します(タイヤ直径60mmを想定)。傾斜路登坂時は後輪に荷重移動するので駆動モーター数を2個としています。
お勧めの200:1 Plastic Gearmotor, 90° Outputの計算結果
222mAは最大効率より低負荷側と良好。
秋月電子で扱っている連続回転サーボFEETECH STS3032の計算結果
500mAは最大効率を少し超えた程度で良好な設計と言えます。
ただし、外形寸法から想像してモーターのサイズは直径10mm×長さ20mm位ですので、走行時間8分では相当加熱すると思われます。
焼損のリスクを考慮して予備を持っておくことをお勧めします。
DCモーター性能線図↓について書きました。
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