空を飛ぶ夢、それは・・・
思い出したことがあるので、書いておくことにする。
私は、小さい頃から、眠ると夢を見る確率が多い。白黒の夢を見る人もいるそうだが、私の夢はカラーで、大概「あ、これ、夢だ」と夢の中で気が付く。
すごーく広いエレベーターに一人で乗っていて、各階ごとに、小学生、中学生、高校生の時の同級生が、ドバーっと押し寄せるように乗ってきたり、またある時は、実家が竪穴式住居で、30人くらいの家族で住んでいることもあった。その家族は自分の家族だけではなく、まわり近所の人たちも家族になっていて、みんな原始人の服を着て、一緒に住んでいた。あと、中学の時に先輩が夢に出てくると、必ずイビられるということもあって、そういう日は、いつもより一層大人しくしているように心がけたが、どこからかボロが出て、結果同じだった。他には、今の夫と結婚する随分前の付き合い始めの時に見た夢で、だいぶ前の時代、二人は夫婦だった。私は夢を見るときに、大概私自身の目に映ったものを夢として見ているが、その時は違っていて、私が、夫婦として生活している2人を見ていた。顔はその頃の二人の顔だったが、髪型と服は違っていた。なので、この人と結婚するのかな?それともただの夢?と付き合っている時に思っていた。最近は日中昼寝している時にうなされて、息子に「ママ、夢だよ、夢」と揺すられる有り様。呑気で幸せな日々だ。
小さい頃から、夢で走る事がとても難しく(もしかしたらみんなそうかもだけど)走る時は手と足が合うように、頑張っていた。でも全然うまく走れなかった。腕を速く振っても、足がついていかない。うまくいったかと思うと、腕と足が一緒に出ている。なので、とても走るのが遅い。
ある時、確か中学生位の時、3拍子で走ることを思いついた。イチ・ニイ、イチ・ニイで手足が合わないので、イチ・ニイ・サン、イチ・ニイ・サンならどうかということだ。足が3歩で片腕を一振り。その繰り返し。それからうまく走れるようになった。それから数十年経ってもいまだに夢ではその走り方をしている。
空を飛ぶ夢を見るようになった時も、始めは全然飛べなかった。ただジャンプしているような、長く飛べてもピョンピョンピョーンみたいな。これもちゃんと飛べるようになるまで、だいぶ練習した。走る夢よりも、もっともっと時間がかかった。
まず、ジャンプできる時間を少しずつ長くしていった。水たまりを飛び越える感じから、走り幅跳び、木に飛び乗る、木の枝から枝へジャンプする。でも、飛行機のように飛べるようには、ならなかった。
ある日、それは私が20歳頃の時、1人の男の子が夢で飛び方を教えてくれた。多分、知らない男の子だったと思う。同い年くらいの。「飛びたいの?教えてあげようか?」みたいな。その子は、『両手を真っ直ぐ「気をつけ!」の姿勢で太腿の横にぴったりつけて、立っている所を蹴って、地面と平行に飛ぶ』と教えてくれた。平行に飛ぶのがとても難しいとのことだった。「始めのうちは、高い所から飛ぶ練習をした方がいいよ」というので、高い建物から飛び立った。確かに道路を平行に飛ぶのは難しかった。どうしても下に下に落ちて行ってしまう。お腹に力を入れて、バタフライの姿勢のように・・・ちょっと反り気味にする。んー・・・、説明するのが難しい。
でも練習しているうちに、だんだん平地からも飛べるようになって、その日のうちに、当時住んでいた近所の橋の上で、競争出来るくらいに上達した。それから、何故か毎晩、睡眠中は飛ぶ夢を見て、約束していないけれど、毎晩その男の子と、市内の色々な場所を飛びながら、競争したりしていた。私は、夢の中で、かなり上手にスピードを出して、空を飛べるようになっていた。空を飛んでいる時に、下に車が通っているのが見えて、車のスピードよりもずっとずっと速かった。夜の空を飛ぶのは、夜景が綺麗だったし、風も気持ち良かった。
そうして、1週間以上経った時に、たまたま見ていたテレビ番組で、空を飛ぶ夢の話をしている人がいた。なんと、その女性も空をすごい速さで上手に飛べていたそうだ。同じだ。私は、ほとんど市内か、隣の市を男の子と飛んでいたのだが、他に飛んでいる人を夢の中で見たことがないので、なんだか嬉しかった。けれど・・・。
その女性は「今はもう飛ぶ夢は見ていない、というか見ないようにしている」と言った。他の人に、空を飛ぶ夢の話をしたら、「空を飛ぶ夢は、あまり見ない方がいい、幽体離脱をしていて、そのうち戻れなくなるから」と言われたそうだ。背筋がゾッとした。夢を見ないようにするには「今夜から二度と空を飛ぶ夢は見ない」と口に出して言えばいいのだそうだ。私は、その場ですぐ、そう唱えた。
私は空を飛ぶ夢を見なくなった。あれから何十年も生きているし、結婚して子供も産んだけれど、あの時にいいタイミングで、あのテレビ番組を見れて良かったと、今もしみじみ思っている。感謝!!