だから僕は、(五輪に)H(antai)ができない
私は去年にこんなことをつぶやいている。
https://twitter.com/ele_cat_namy/status/1251977401136934912
外出「自粛」で補償がない、とは言うけれど、私が直接的な被害を受けるような職種ではないとはいえ、もしこの状況で離れて暮らす家族に何かあった時に、覚悟さえ決めれば会いに行ける、という状況であることは、一つの精神的な救いになっている。
https://twitter.com/ele_cat_namy/status/1251977805144797184
海外のように「許可証を持たずに外出したら逮捕される」状況であったなら、両親が危篤であっても駆けつけることもなかなかできないのだし。
私が五輪開催に反対ができない理由はこれが全てなのだけど、もう少し整理しておく。
現在日本国内でも何度目かの感染拡大期が続いていて、毎日のように新規感染者数が最大を更新している。
そんな状況でもオリンピック、パラリンピック(以下「オリンピック」)は開催される。犬は吠えるがキャラバンは進む。
感覚的には何もこんな時期にやらなくても、とは思うけれども、野球やサッカー、プロレスなんかは数を制限しつつも有観客でやって目立ったクラスターは起こしていないし、多少性質は違うとはいえ無観客でやるなら、それ自体は(問題ないとは言わずとも)許容範囲なのではないか、などとうっすら考えている。
オリンピックを開催することで「オリンピックやるんだから自分だって街へ出て飲んでもいいだろう」みたいなメッセージと受け取る人々が出てくる、という指摘があった。
その指摘自体はある意味妥当であっても、そういう人たちは何でも口実をつけて飲み歩く人たちなので、オリンピックがなければないで結局は減らないような気がする。春は桜で酒を飲み、夏は花火で酒を飲み、秋は月見で酒を飲み、冬は忘年会で酒を飲むのだ。
そういう人たちを完全に抑え込むには、他国でやっているような強制ロックダウン、ある種の戒厳令のようなものが必要になるだろう。
日本では法律、ことによっては憲法まで改正しないと実施できないという「移動の自由」の制限である。
そこで先に引用した話が出てくる。
私は今両親とは遠く離れて暮らしている。いくつかの公共交通機関を利用しなければ実家に行くことができない。
もし強制ロックダウンが実行されていたら、その期間中に両親に何かあっても会いに行くことができない(公共交通機関が使えないので)。
たぶん家族が危篤というくらいでは外出は許されないだろう(もしそれが可能になってしまうと、病院は「危篤証明書」みたいなものを求める人々でごった返して、そっち方面から医療崩壊に至るはず)。
そのために、「自粛」というふんわりとした空気にとどまっていることを、私個人としては歓迎していた(今もどちらかといえばしている)。
ありがたいことに今のところ「移動の自由」を行使しなければならない状況にはなっていないものの、明日のことは誰にも分からない。
街に出て飲み歩いて感染を広げている人たちを決して歓迎はできない。でも「移動の自由」を選んだ私としては、そういう人たちを強制的に排除できないのもやむを得ないような気がしている。どうしたって「移動の自由」に付随して発生してしまうのだ。
危篤の家族に会いに行くのと、オリンピックを開催したりそれを口実に飲みに出るのとは別だ、という意見もあるかもしれない。でも私の中では、それらはおそらく不可分なのではないか、という気がしている。
「移動の自由」が存在している状況下においては、オリンピック開催による人流等の影響というのは、日本全体からすれば小さくはないけれども比率的には決して大きくもないように思う。オリンピックに関係なく動き回る人々は多分ずっと多い。
やってもやらなくても同じであればオリンピックは開催すればいい、ということになる。さしたる根拠もなくオリンピックを中止させれば、他のイベントも同様によくわからない理由、お気持ちで開催が左右されてしまう。それは困る。
もちろん個人的な考えとは別に、例えば科学的な根拠を持って(法律なり憲法なりを改正して)ロックダウンをするというのなら多分それには従う(従わざるを得ない)。
継続的な興行であるサッカーや野球と、単発になるオリンピックでは訳が違う、という指摘もある(それはもっともな指摘と思ったけど本件とはちょっとズレるので割愛)。
会食して感染を広げてしまう人々を受け入れ対応しなければならない保健所や医療関係者の人たちからするとやってられないというのももっともな話で。
コロナと関係なくオリンピック関係者、組織、東京都や政府の姿勢が気に入らない、という意見もあるだろう。
他の人たちにそれぞれの事情や考え方があって開催に賛成しても反対してもかまわないし、このまま最後まで強行されるのか途中で中止されるのかもわからないけれども、「移動の自由」を選んだ私としては、その結果として招かれる事態というのも受け入れないといけないのだろうなあ、と考えている。
※デルタ株の登場によってフェイズが変わり、当時とは事情が違う、という見方もあり、その辺は今後の状況と情報を注視しているところです。
※記事の内容とは無関係ですが、タイトルを拝借したのでご紹介。
だから僕は、Hができない。
http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201109hgadekinai5/