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「吉田誠治作品集&パース徹底テクニック」の感想
私は絵を描けない、ということについて、「描けないのではなく、描かないだけだ」みたいな指摘もありますが、まあそれはそれとして、とりあえず現状として、私は他人様にお見せできるような絵を描くことができていないわけです。
そんな私がこの「吉田誠治作品集&パース徹底テクニック」を購入したのは、吉田さんの過去の作品が好きというのもあり(コミティアでは必ず立ち寄るサークルさんです)、そんな吉田さんが時折公開している作品添削がとても面白いからです。
その添削の一部は、添削依頼サイトでも閲覧できます。
https://sessa.me/@yoshida_seiji
元絵の時点でも素晴らしい作品が、添削を受けることで、素人である私の目にもはっきりと輝きを増す、そして作者さんが抱えていた迷いに光明を与える、そのダイナミックさに立ち会えるという喜びがあります。
芸術は感性だ、技術よりも好きに描くべき、みたいな意見があり、それにも一理はあると思いますが、単に好きに描く、その一歩先に踏み出すには、やはり技術というベースが必要なんだろうとも思うわけです。
吉田さんの指導はとてもロジカルに的確で、何を求めているかがとても分かりやすいです。「背景グラフィッカ」と名乗りつつも、イラストのメインがキャラクターであれば、その魅力を際立たせるためには背景の一部をあえて暗くしたりぼやけさせたりということにためらいはありません。
本書にあるテクニック集も、おそらく私には直接は使いこなせないものばかりですが、私は一枚絵からも物語を見出すことを趣味としていて、そのイラストにどのような技術が使われているかを知ることができれば、物語を読み取る助けにもなりそうな気はします。
楽器というものは、たとえ弾けなくてもその美しさは見てわかるし、その機構が分かればなおのこと深みが出ます。もちろん作品集の部分は絵を描かない人にとっても楽しめるものですが、たとえ絵を描かない人でも、テクニック集の部分を眺めて得るものもあるような気がします。
吉田誠治作品集&パース徹底テクニック
玄光社
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=21805