イカサマ師が誕生した話について

2025年2月8日、千葉で開催されたチャンピオンシップファイナル。
今大会はフォーマットがモダンの2日制のイベントであり、予選12回戦を行った後上位16名がプロツアーに招待される国内最高レべルの大会。
内訳として1日目は予選8回戦、2日目は予選4回選を行う。
1日目は7回戦終了時点での成績が上位64名のみが8回戦を行い、他のプレイヤーは敗退となる厳しいトーナメントだ。
加えて2日目のルール適用度は、MTGにおける最も高い「プロ」レベルである。
私はその大会に参加し、7回戦終了時点での成績が7勝0敗という最高の結果を出せた。

上位64名のみが行う1日目最後の8回戦目、私はフィーチャーマッチに呼ばれた。
ジャッジが見守る中敗北し、初日7勝1敗の成績で終える。
今大会におけるプロツアーへの参加権利を取得できる基準は、8勝3敗1分けと言われており、7勝1敗は残り1勝するだけで権利獲得できる非常に良い立ち位置である。
さらにはトップ8も俄然狙えるほどだ。

来たる2日目の初戦、私はマッチに勝利し初のプロツアー参加権利を獲得したと非常に喜んだ。
9回戦目時点での8勝1敗はほぼ確定と言っていい。
ただこの対戦はいつもと違うことがあった。
フェッチランドをプレイしデッキから土地をサーチ、その後自身でデッキをカットし、対戦相手にもカットしてもらうようお願いする。
何ともない、フォーマットモダンにおける日常の光景だ。
ここでジャッジからストップのサイン、私が1回しかデッキをカットしていなく、シャッフルが不十分と指摘。
私は「わかりました」と言いながら「確かに1回しかシャッフルしていなかったか…」と思い、何度かシャッフルしてそのまま相手に渡す。
警告を出され、同じようなことがあれば次はゲームの敗北となると忠告を受ける。
意識していたことではなかったので「気をつけないと!」と思った。
特に上位のラインまで来ている、尚更だ。

対戦終了後ジャッジに呼ばれ「対戦しましょう」と言われる。
私はえ?対戦??と呆然。
普通に考えてジャッジが私を対戦に誘う理由は無い、特にこのチャンピオンズカップのフィールドにおいて行うことではない。
嫌な予感しかしなかった。

シャッフルの回数を多めにしようと意識し、対戦をはじめる。
私が1ターン目にフェッチランドを置いて終了、ジャッジは島を置いて終了。
私はフェッチランドを生贄に、諜報土地を持ってくる。
モダンにおける日常シーン、特に迷いもなく行うプレイ。
いつもの光景ではあったが、いつもと同じではなかった。
そこでゲームは終了し、ジャッジステーションの裏まで呼ばれ話がはじまった。

デッキのシャッフル方法の話から始まり、あなたのシャッフルは自身のデッキのカードが見えてしまうようなシャッフルをしている。
目線が視線が下を向きがちで、中身を見ているように見える。
いや、”見ているように見える”、ではなく"見ている"という断定の話だった。
私自身そう言われると、一切意識してない部分だったので、力強く反論することは出来ず受け入れるしかなかった。
特にいきなりの話だったので、混乱している。
正常な精神状態ではない。
どの大会でも同じようなシャッフルをしている、今大会において特別注意したことはなく、何もかもいつも通りプレイしていた。
それら含め考えていることを全て伝え、色々な話をジャッジと交わした、自身の潔白を証明したい一心で。
そしてジャッジから下された判決は、無情にも「失格処分」だった。
話していく中で何を話しても失格になることは決まっているのだろう、という確信があった。

私はこの日イカサマ師になった。

ジャッジと話した時、個人としてあなたはイカサマはしていないだろうとは言っていた。
デッキの順番を知っていればプレイにも影響が出る、ドロースペルを使うタイミングも不自然になるはず。
ただそういったものは確認できなかったと。
8回戦はフィーチャーマッチだったので録画の確認もできただろうし、9回戦もプレイを見ていてそう感じたのだと思う。
例え1回戦から全て確認されていても同じことを言われる自信がある、一切そのような行為はしていないのだから。
ジャッジにも「当然です、私は何もしていませんので、プレイに出るわけがありません」と力強く答えた。
ただデッキを見えるようなシャッフルをし、目線が下を向いているという事実がある。
不確定な情報ではなく、ただただそこに事実がある。
正直憤る気持ちは変わらず持ち続けている、冤罪をかけられた気持ちは変わらない。
だが客観的に見れば失格処分を下すのは当然であり、この裁定は当然だったと納得はしている。
以上が今回起こった失格処分についての話である。

私の不注意が原因で起きたことであり、失格処分自体ゲーム全体として気持ちのいいものではありません。
不快な思いをした方もいるかと思います。
大変申し訳ございませんでした。

2025/02/17追記
今回失格判定を出したジャッジから、加筆をしてほしいとの依頼がありましたので、その内容を追記します。
自身のデッキの中身を見るようなシャッフルをし、視線が下を向いている。
上記の内容だけでは、失格処分には至りませんとのことです。
以下要素が重なり、今回失格処分となりました。

正しいシャッフルが出来ていない
こちらはいままで話していた通り、自身のデッキが見えてしまうようなシャッフルのことです。

ジャッジからシャッフルの指摘があったにも関わらず、それを重大なことと捉えず、シャッフルが不適正なままだった
過去似たような話を一度された覚えがありました。
その話をジャッジに伝え、今大会8回戦のフィーチャー戦でも軽く指摘があったものを、重大事項と捉えずにいたことが原因です。

ジャッジと対戦しましょう、と始まった対戦時のシャッフルは適正なシャッフルであった
前提として、この対戦時はシャッフルの回数のみの指摘で、シャッフル方法への指摘については話していない
対戦後、あなたの今しているシャッフルはいつもと同じシャッフルですか?と確認した際、そうですと肯定
その後、ジャッジステーションの裏で話をし、その際不適正なシャッフルをジャッジが提示、同じ質問を投げかけた所そうですと肯定
また、ジャッジステーション移動前に角度について説明しながら、問題のあるシャッフルを見せ、このように持っていたか?と質問
そこに対して否定し、表面を下に向けていると回答があったため

私とジャッジの認識が違っていて、ここで時間がかかりました。
私の元々の認識は、指摘されるまでは不正なシャッフルしかしていない、そもそもシャッフルに対して不正であるなどの認識はしていなかったから、自然とそうなる。
それがこの大会以前から全てこのシャッフルである、という認識でした。

ジャッジに呼ばれるという特殊な状況下で、シャッフルに対して意識して正常なシャッフルになっていた。
私はシャッフルへの意識等はなく、いつも通りでしたということを伝えることに集中して、矛盾した発言になっていた。
私自身がそうしている認識もなかったが、客観的に見て矛盾しているし、怪しいと感じるに足る理由かと納得出来ました。

ただ特殊な状況下で、通常の精神状態でもない。
揚げ足を取るような発言一つでこうなってしまうのか、というモヤっとしたものは感じます。
人間同士の意思疎通、正しく伝え受け取られるかどうかは双方の努力あってのもの。
ジャッジステーションには、録音できる場所を用意した方がよいのではと今回感じました。
そういった状況にならないよう、シャッフルを正しくする等未然に防ぐことが一番ですし、今回私の落ち度が原因で起こったことは事実です。
指摘を軽く受け止めず、しっかり受け止めていればこうなっていなかったのも事実です。
お騒がせして大変ご迷惑おかけいたしました。



ここからは私個人の感情であったり自身のこと、使用したエスパー眼魔デッキについてお話します。
非常に長くなっているので、興味ある方のみお読みください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

個人について

私はMTGを始めておよそ10年ほどである。
タルキール覇王譚がリリースされた当初頃から本格的に遊びはじめた。

ここから先は

9,501字 / 1画像

¥ 200

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?