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伝説の武器が9振りに限られる理由
考える金仮面卿のワンポイント考察です
今回は、伝説の武器の謎を解明します
伝説の武器とは、アイテムテキストに「伝説の武器の一つ」と記されている武器のことです。これは合計で9つしかなく、なぜこれだけしかないのか、どういう基準で伝説の武器とされているのか、が長らく不明でした
伝説の武器一覧
世界喰らいの王笏
グランサクスの雷
夜と炎の剣
剣接ぎの大剣
マレー家の執行剣
遺跡の大剣
蝕のショーテル
暗月の大剣
黄金律の大剣
どれも古いものかとおもいきや、黄金律の大剣はラダゴンがおそらくレナラの配偶者となった後に作った(作らせた?)ものだと思いますので、さほど古くありません
それでも「伝説」の武器となるようです
どのような基準なのか。他にないのか等議論されていたのです
鍛冶が神事
ただ、今回DLCにより、その解決の手がかりが与えられましたので、改めて考察します
古い鍛冶ハンマーを象ったタリスマン
流紋文字が刻まれている
(略)
古では、鍛冶とは神事であった
鍛冶師は、溶鋼に刻まれた皺に文字を見出し
武器の魂を固着させたという
今回DLCで鍛治遺跡が追加され、そこで入手できる鍛冶師のタリスマンテキストから鍛治の意味がより具体的に示されました。それによると、鍛冶は単に武器や器具を打つにとどまらず、神事とのこと。トロルハンマーにも記載がありましたが重ねてDLCで強調されているのはよほど大事なことなのでしょう
それでは、神事とは何でしょう
エルデンリング世界には、実際に目に見えて神威を表す神がいます
腐敗の神、血の神、巨人の炎の神、蛇の冒涜の神、死に生きる者の神など
これらは「外なる神」と呼ばれ、狭間の地の生き物に状態異常や死などのデバフ効果を与えます
さらにDLCでは下記のようなアイテムも加わりました
![](https://assets.st-note.com/img/1725420394-7jmDsxOFaEvnhHuYXTMVoSKL.png?width=1200)
外なる神の伝承が刻まれたタリスマン
神秘を高める
全てを焼かれ、奪われた民は
貴いはずの先祖の遺体に、その影に
異形の神性を見出したという
これはどのような外なる神について表しているのか
民が崇めているのが土地神のようにも見えますから、坩堝の諸相にも神がいてそれに降りている、ということでしょうか(混種の神?)
それとも、より広く異形の外なる神全てでしょうか
いずれにせよ、「全てを焼かれ、奪われた民は」という言葉から、メスメルの炎の粛清以降、彼らの信仰は、祈りから呪詛に変わったことを伺わせます
黄金の王家一族への恨み。しかし、王家の地たる狭間には、封印のベールに遮られ届かない
彼らの思いは、王家に仇なす外なる神へ託されます
現在狭間の地は、破砕戦争を経て荒廃し、腐敗の毒や、死に生きる亡者、血の呪詛や蛇の冒涜などに溢れています
ひょっとしたらそれは、彼らの呪いが通じたのか
あるいはその呪いを運び狭間に届ける者がいたのか
そこで鍛冶の話に戻します
もし彼らの呪いを汲み取る者がいて
それが鍛冶師だとしたら
あるいはそんな鍛冶師を配下に置く者がいたとしたら
その者は武器に外なる神の魂を降ろすでしょう
鍛冶とは神事であった
鍛冶師は、溶鋼に刻まれた皺に文字を見出し
武器の魂を固着させたという
ここにある「武器の魂を固着」とは、そのような様々な外なる神や神の魂を武器に込める、という意味でしょう
武器を打つときにそこに神を降ろす
塔では、戦士も、その武器も、依り代なのだ
これもそうですね。武器に神が宿ることを知らせている
また、「溶鋼に刻まれた皺に文字を見出し」という一文も興味深いです
角人たち、あるいはノクスの文明には「流紋文字」というのがあります
![](https://assets.st-note.com/img/1725419396-sy3xJVYmNc0n9g4IP6diflWU.jpg)
あしらいは原始的ですが、表面に流紋文字とよばれる皺のようなものが刻まれている武器です。投擲すると手元に戻ってきます。ノクスは波紋を象徴とする文明ですので、流紋も少なくともそれに関係しているものと思われます。そしてこの流紋は、溶鋼に刻まれた皺に文字を見出すことで読み取られるようです。それぞれの皺文字が、それぞれの神を呼び降ろす呪文のようなものになっているのでしょうか
これに対して
![](https://assets.st-note.com/img/1725419896-SydDsfYe3LGU4lcO5qjK8r1a.jpg)
![](https://assets.st-note.com/img/1725419917-PqyWC93HFAUeTpNxZJfdVnBM.jpg)
こちらは、エルデの文明、二本指が直接言葉を降ろし、武器とする秘文字のパタと秘文字の剣です
エルデの勢力の方は、ノクスのように流紋文字を読む鍛冶を通じて外なる神を武器に降ろすのではなく、直接二本指の言葉を武器に降ろします
つまり、外なる神の介在の有無が、エルデとノクスの鍛冶の違いなんですね
![](https://assets.st-note.com/img/1725420346-h0znRCAVEm1sJyULYIvxurpM.png?width=1200)
二本指を直接崇める
民たち、かわいい
![](https://assets.st-note.com/img/1725420394-7jmDsxOFaEvnhHuYXTMVoSKL.png?width=1200)
外なる神を間接的に崇める
3人の民、かわいい
角人たちは、エルデの王(古竜王)とノクスの神人(宵目の女王)のミクスチュア文化で生きていました
流紋とは、エルデの指の「指紋」とノクスの水の「波紋」のミクスチュア文字なのかも知れません
流紋武器は投げると戻ってくることから、何らかの魂を備えているものと推察されます
以上まとめると
・粛清の聖戦の恨みを持つ角人たちは、その呪詛で外なる神に復讐の代行を求めた
・そのような呪詛とともに、外なる神の神性や魂を、武器に宿すことができる
・それが、「鍛治とは神事」の意味
前置きが長くなりました
いよいよ本題
伝説の武器の本当の意味
なぜ「伝説の武器の一つ」が計9振りしかなく、どういう基準で伝説の武器とされているのか
は、実はこれでかなりはっきりしました
伝説の武器どのような神性が宿っているか?
どのような魂や呪詛が宿っているか
そのような視点で伝説の武器を総覧すると、下記のような外なる神、あるいは、神との対応が浮かび上がります
世界喰らいの王笏、 蛇の冒涜の外なる神
グランサクスの雷 天候の神
夜と炎の剣 巨人の炎の外なる神
剣接ぎの大剣 混種(接ぎ木)の外なる神※※
マレー家の執行剣 腐敗の外なる神
遺跡の大剣 隕石(重力波)の外なる神
蝕のショーテル 死の双鳥の外なる神
暗月の大剣 銀の雫の神(ノクステラの月)※※
黄金律の大剣 エルデの神(大いなる意志)※※
※上記、天候の神は、自説は爬虫類を竜に変異させ
これらに雷や氷や嵐の力を使役させるようにした
のが天候の神性であり、これはあらかじめ間の地に
あった精霊のようなものだと考えているので、
「外なる」神ではないと考えます
なお、獅子舞が降ろす神もこの天候の神と考えます
※※
このような土地神と違い、流星や石棺宇宙船で降って
きたエルデやノクスの神も広い意味では外なる神
です。なので武器や依り代にその力を宿したり、魂
を固着させたりもできそうです
竜餐や熊餐の神性の本性
このうち、自説は、熊餐や竜餐※にも神性が宿っていると考えます
竜餐よりも、角人の神降ろしに近しい技
偉大なる野生との死闘、その先にこそ
己だけの神を見出すのだ
血みどろの死闘の末に大赤熊を仕留め
戦士は魅入られた。裸の力、その純粋さに
俺は、ただの熊になりたい
そういえばホーラ・ルーも、第二形態でセローシュを引き裂いてその血を浴びて雄叫んでいました。これは獅子餐の描写ですよね
◯餐というのは返り血を浴びるとその神性が降りてくるようです
ホーラ・ルー大丈夫でしょうか
冷静に考えて、セローシュを引き裂く時点で、何か尋常ならざるものを感じたんですよね……
裸になってるし、「俺は、ただの獅子になりた」くなってませんかね?
それはともかく
さらに、
竜餐を為した者は、いつか人ではなくなる
竜への飢え、渇望は、消えることなく溜まり
竜餐もそうですね。これも外なる神性の一つ、広い意味で坩堝の諸相や接ぎ木と同じ「混種の神性」だと思われます。竜餐をして古竜戦争に挑んだゴッド・ウィンも後には嵐鷹の王を名乗って、心は人ではなくなっています。ゴッド・ウィンは、熊餐や獅子餐に憑かれたホーラ・ルー(ゴッドフレイ)の子。モーゴットやモーグの忌み角はなくても、別の坩堝の諸相は出ているようです
なにかに取り憑かれてそれに耽溺する……血の神性に取り憑かれるモーグやその信者、あるいは甘い眠りに癖になる眠りの神性もそうですが、外なる神というのは中毒性があるもののようです。ゴーリーのようなマレニアの信者もケイリッドで熱狂はちょっと異常でしたよね。神憑り、という言葉がありますが、そういえばたくさんの厄介な信徒を生む狂い火も外なる神です。そうやって取り憑かれていくのはみな、外なる神の影響を疑っていいのでしょう。何者かが狭間の地に外なる神を持ち混んで流行らせ、治安を乱しているようなのです
外なる神性の目印
いつの間にか取り憑き人を耽溺させていく神性
その目印、外なる神のタリスマンの「異形の神性」がそれですね
通常の進化の姿と異なり、尋常ならざる容姿になってゆく
接ぎ木も同じく異形の外なる神でしょう。剣接ぎの大剣を持っていたのはモーン城のボス、「獅子の混種」でした。この神性に魅入られたため、ゴドフレイやゴドリックは接ぎ木の中毒となったのではないでしょうか
そしてその容姿はまさしく「異形」に他なりません
剣接ぎの大剣のあるモーン城は、ストームヴィルと同じ領内で、同じように、宝剣と共に、ゴドリックらに管理されていたはずです
このように考えて、だんだん影が見えてきました
影の地の角人たちが呪う、エルデ王家
その呪いを封じ込め、狭間の地に届ける伝説の武器、9つ
それは、次々と黄金の一族に災いを齎してゆきます
世界喰らいの王笏、 蛇の冒涜の外なる神が宿るそれは、老いた大蛇を生み、ライカードを飲み込みました
グランサクスの雷、 天候の神性が宿るそれは、ゴッドウィンと古竜を結びつけ、彼を王家から離脱させ、孤高の嵐鷹にしました
夜と炎の剣 邪悪な巨人の炎の外なる神とノクスの協力関係を表すそれは、黄金樹を焼き払わんとします
剣接ぎの大剣 混種(接ぎ木)の外なる神が宿るそれは、ゴドフロアやゴドリックなど、接げば接ぐほど弱くなるデミゴッドを生み出しました
マレー家の執行剣 腐敗の外なる神が宿るそれは、エルデ王家の処刑人マレーを狂わせ、城内を不毒の海に、そしてエオヒドの咎人の介入を許しました
遺跡の大剣 重力波の外なる神が宿るそれは、重力の力で今でも狭間の地に隕石を呼び寄せます。ラダーンが砕いて食い止めましたが、サリアに向けて隕石は降り注ぎました
蝕のショーテル 死の双鳥の外なる神が宿るそれは、ゴッドウィンを死に生きる者に変え、狭間の地にアンデッドを増やし続けます
暗月の大剣 銀の雫の神(ノクステラの月)の神性を宿すそれは ノクスの女王に代々受け継がれ、永遠の星の契りとカーリア王家の繁栄を約束します
黄金律の大剣 エルデの神(大いなる意志)の神性を宿すそれは、暗月の大剣に魅了され、暗月の大剣を模して作られるまでに、月に太陽を隷従させます
伝説の意味
このように考えると、一見そのセレクトの基準が不明だった伝説の武器が、「神性」というキーワードで統一的に説明できるのが分かります
伝説の武器の意味
それらは全て、伝説の宵眼の女王(自説ではレナ・カーリア、その再誕は老いた雪魔女)の命により長い歴史を掛けて、一つづつ作られ、少しづつですが確実にエルデ王家に呪いと災いを届けました
そしてそれら全てを打った伝説の鍛冶師の名は、長命のトロル
長年カーリア家に仕えてきた軍師イジーと解されます
赤獅子城の城主ジェーレンのセリフに興味深いものがあります
…ときに、あ奴はまだ、武器を打っているのか?
大きな体を縮こまらせて、窮屈そうに…
口煩いし、まったく変わった巨人じゃったよ
だが、そうよな…、あ奴の武器はなまくらじゃったが
あの朱い腐敗に対してなお、腐ることはなかったな…
このなまくらで腐らない武器は、赤獅子城のボスを倒すと手に入る遺跡の大剣のことでしょう
そして実は、遺跡の大剣も数少ない伝説の武器の一つです
空から降る遺跡の残骸
その砕けなかった欠片を鍛えた武器
「伝説の武器」のひとつ
ジェーレンの証言は、伝説の武器をイジーが打っていることを裏付けます
イジーの鍛えた武器が腐敗の神性に侵されることがなかったのは、マレーの執行剣を打ったのもイジーで、イジー自身、腐敗の神と渡りをつけているからだと考えられます
なお、自説はこのジェーレンは、ラニの傀儡と考えています
それは、主人公と運命を感じ口ごもるセリフがあったり、特にイジーの名を何度も口にして、攻撃されたときの絶命の言葉もイジーへの注意喚起であったり、とにかく主人公やイジーへの愛情が深いからです
<イジーの鏡兜、鍛冶師ヒューグの場合>
「結晶鏡で作られた兜
軍師イジーが、肌身離さず被っていた
割れやすく、打撃には弱い
それは、大逆に従う者の装束であり
大いなる意志と、その使いたる指の
あらゆる干渉を跳ね除けるという
イジーは恐怖していたのだ
自らの裏切りを」
(イジーの鏡兜テキスト)
イジーがいつも鏡兜を被っている理由、
自らの裏切りを恐れるためもあります
が、彼が刀を打つとき、二本指の干渉
を退け、外なる神との交信に集中して
鍛治を行うためでもありそうです
他方で
「…おお貴女、お許しくだされ、お許し
くだされまだ、足りませぬ。神には、
届きませぬ
けれどきっと、必ずや、
貴女の願いを…お許しくだされ、女王マリカ…」
(鍛治師ヒューグ談)
エルデ側の鍛治師ヒューグは、いつもマリカを
恐れ、マリカに祈りながら神殺しの刃を鍛えよ
うとしていました
しかし、神殺しの刃は恐らく、ゲルミアの古い
冒涜の魔術、その神性を持つ神と交信しないと、
剣に宿すことはできません
「…足りぬ、足りぬ、足りぬ
こんなものでは、神を殺せぬ
こんなものでは、神を殺せぬ!」
(ヒューグ談)
ヒューグも腕の良い鍛治師ですから、鍛治が
神事であると心得ているでしょう
しかし、彼が祈ってる神はマリカです
常に指の干渉を受けながら、外なる神とも交信
できないので、神殺しの刃がなかなか完成しな
いのです
「神には、届きませぬ」
DLCのタリスマンを通じて、ヒューグがなぜ鍛冶
を、こんなにも祈りと結びつけて行っていたか、
そして、なぜ神に届かなかったか、も明らかに
なったと思います
<狂い火と血は?>
なお、狂い火も外なる神の神性ですが、ノクスは
狂い火だけは苦手(霊を焼くから)で持て余して
います。だからイジーをしても刀にも込められま
せん。
その隙をついて狂い火を味方につけた三本指の話
は、三本指とシャブリリの考察の回で詳述してい
ます。よろしければそちらもどうぞ
あと9つの伝説の武器には血の神性もありません
これはモーグが自前で用意したので、イジーが
わざわざ作る必要がなかったのでしょう(なお
モーゴットも血の神性を扱えますが、黄金樹
崇拝なので剣に封印してます。モーゴットの
呪剣テキスト参照)
以上まとめると
・一見無関係に見える9つの武器は、その宿している魂が「神性」ということで共通している
・それらは老いた雪魔女(宵眼の女王)が軍師イジーに打たせ、それを関係地に忍ばせることで、ローデイル王家に干渉している
・同じ外なる神性でも、狂い火・眠りの神性・出血の神性はローデイル王家に縁が深い(それぞれ三本指・トリーナ・モーグモーゴット)のでイジーが手を出せなかった
かなりすっきり説明できると思います
以上、伝説の武器が9振りに限られる理由の考察を通じて、エルデンリングにおける鍛冶の意味、外なる神性との関係を深堀りしてみました
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