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簡単なエルデンリング裏ストーリー

こんにちは、考察界の裏もの、考える金仮面卿です
今回もエルデンリング考察、進めてまいります

<考察の指針>

なお、本考察は体系に矛盾なく、テキストにも
則する範囲で、比較的自由に物語を膨らませて
います

そういう解釈も有りなのか、と楽しみながら
読んでいただけると幸いです☺️


ようやく全ての考察を終え、全ストーリーを紡げるようになったので、ここに表します

テンポを重視して、根拠やテキスト・ソースは別リンクで追記します

これであなたも、エルデンリングの全てのストーリーを把握できます





1.対立のはじまり


原初、狭間の地は星が出来たばかりで大地も海も黄色く焼け溶けていました

もちろん生き物はおろか霊さえもいません

それが徐々に冷えて、陸地と海ができました

それを見つけたのが、小宇宙を統べる大いなる意志です


大いなる意志は狭間の地に、流星とともに指の母メーテールを落としました

ちょうど影の地の指遺跡がある場所に流星は落ちてクレーターを作りました


また大いなる意志はその3つのクレーターの真ん中あたりに

黄金の流星とともにエルデの獣を落としました

エルデの獣は奈落のように深いクレーターを作りました


メーテールとは、大いなる意志の波動を受信してその神の意志を叶える魂です

メーテールは大いなる意志の命じるままに、狭間の地に生命を誕生させる事業を始めます


黄金の生命タンク、エルデの獣に命じて、メーテールは奈落の底に植物を生み出し森を作りました

狭間の地で最初の生命です


それから森に虫や爬虫類や小動物

さらに森の外に獣や鳥

海や陸に魚介類

そして類人猿、さらに人


さまざまな生き物をエルデの獣に作らせ、狭間の地に豊かな生命を育みました


狭間の地には天候の神性がもともとあって、天候の神は爬虫類を雷や嵐を起こす竜に進化させました

そして竜は北の山嶺に住み着きました


また狭間の地にはもともと妖精の神性もあって、地下を流れるシーフラ川には青衣の踊り子の妖精がいました


それらの生命と神性は、輪廻転生を通じて螺旋の整流を昇り正常に進化していました

まだ王国も人の神もなくルーンもない頃、人々は狭間の各地で狩猟や採取をして生きてた時代です


そこに、転機が訪れます


石棺のような形をした宇宙船が多数飛来し、リムグレイブの北、青海岸と呼ばれる場所に落下しました

それは次々同じ場所に堕ち、青海岸に大穴を開けます


大穴は深き地の底の空間に続いていました

石棺型宇宙船の蓋が開き、中からでてきたのは宇宙人……ではありません

エラク川の水が混ざった、大量の泥濘です


くろがね色の泥濘は、まるでスライムのように動き、大穴の底に溜まってゆきました

そして全ての石棺から溢れた泥濘が集まり終えると、今度は流れ落ちる滝を昇り、エラク川を北に遡上してゆきます


泥濘たちは現在のラウフの古遺跡がある地で、地上に出ました

そして泥濘は、付近一体の土壌として広がりました


月の幻想的な、夜の出来事です


泥濘のうちの一部が凝固し、「銀雫の殻」となりました

そこに、泥濘に含まれていた「雫の幼生」の霊体が包まれ「銀の雫」という半物質半生物になりました


銀の雫は変態し、エルデの民にそっくりの夜人に擬態しました


夜人は泥濘の土壌に白い樹木を植えました

その樹木は、彼らの細胞と雫の幼生の霊体を吸い上げ、やがてその枝に人間そっくりの果実を実らせました

それは収穫され、人とまったく同じように生活を始めました


その果実は「しろがね人第0世代」


泥濘や銀の雫、夜人、しろがね人は皆、「ノクステラの月」を母星とする星間文明の生命体でした

彼らノクスの民は、現地生物を最終的に全て植物化することで数々の星を征服してきました


ノクスの民は今、エルデの民を植物化して征服するために、狭間の地にやってきたのです


今ここに、黄金のエルデの勢力と、白銀のノクスの勢力の覇権争いが始まりました


金と銀の対立、太陽と月の対決。それが、エルデンリングの裏ストーリーです


しろがねや月の事柄は、ほとんど描かれず、断片的にテキストで匂わせる程度で馴染みがないですが、実はものすごく重要な敵対勢力です。馴染みがないかも知れませんが、どうか皆さんしっかりついてきて下さい



2.ファルムアズラの誕生と没落


白い樹木に実ったしろがね人第0世代の一族、カーリア家

その家長で夫ウルと妻ラウフの間に娘が生まれます


名をレナ・カーリアといい、後の宵眼の女王です


彼女は産まれながらに特殊な瞳を持っていました

視界に入る者たちを全て死にいたらしめるとても危険な瞳でした

それは死の幻視を宿した瞳で、「宵眼」とも呼ばれました


そのままでは危険なため、彼女はいつも目を閉じていました


そしてレナはとても賢く、さまざまな発明をし、一族を導く存在でした


そんな彼女を含め、しろがね人第0世代から産まれた第一世代にはある宿痾がありました

それは、成人に近づくにつれ歩行が徐々にできなくなるというものでした

足は老年になると脛から下が消えてしまい、そして間もなく死んでしまいます


それはしろがね人第0世代が、歳をとるにつれて下半身から樹根化してゆき歩けなくなる

という宿痾を受け継いだものでした。第0世代は最終的に、真っ直ぐに伸びた白い木になって死んでゆきます


また夜人は歳をとると足元から樹根化し、頭が大きな木のコブのようになって乾いて死にます


歩けなくなりその場から動けなくなる、というのは、もともと土壌であり植物である彼らの細胞に宿る運命のようです


レナもまた成長するにつれて歩けなくなりました


しかし三匹の狼が従僕としていつも侍っているので、彼女はそれに代わる代わる乗って移動できました


彼女はやがてラウフを離れ、北の山嶺の雪原を訪れます


星の綺麗なその場所で、彼女は「星見」と呼ばれる儀式を始めます


星見には、二つの意味があります


一つは、王家の男女の恋愛の運命を占い、それを操ることで、王権の獲得を目指すこと

もう一つは、


これまで従えた星に棲まう神々、その神性を、取り交わした律に従って喚び降ろし、使役するというものです


彼女は手始めに「炎の悪神」の外なる神性を喚び降ろしました

神は喚ばれ、巨人山嶺に棲む類人猿に取り憑きました


類人猿は異形の火の神性を見出し、巨大な火の巨人に姿を変えました


その頃北の山嶺は、山のように巨大な氷竜が棲んでいました

炎の巨人たちは氷竜たちに戦いを挑み勝利し、彼らを山嶺から追い出します


後に竜族は空やケイリッド北部のギザ山に棲み付きます


レナは炎の巨人を隣人とし、星見を続けます


そして狭間の地に、様々な異形の神性を呼び寄せました


・冒涜の蛇の神性をゲルミア火山に

・朱い腐敗の神性をリエーニエの地下の湖に

・混種の神性をリムグレイブに

・死の双鳥の神性を影の地に

・重力の神性をケイリッドに


それらは皆、過去にノクステラの月が従えた星々の神の魂です


それらの神々の魂は、期が来るまで静かに時期を待ちました


ただ一つ、朱い腐敗の神性の宿った女神は、シーフラの青衣の妖精に敗れ、腐れ湖に封印されました


レナは星見をしている中で、彼女のそばにいて温めてくれた巨人族の青年ダゴンと恋をしました


二人は寄る辺の洞窟で逢瀬を重ね、やがて一人の男児が産まれました


その子の名はラダ。レナはラダに、栄養の豊富な雫型の実の原種を与え育てました


ラダは立派な裸体の勇者になりました。彼は初めてのしろがね人と巨人の混血種、トロルです


そして雫形の実の原種には混種の神性が宿っていました。ラダの赤い髪には、全ての坩堝の諸相が現れた混じり角が生えました。それはとても立派で、誇らしくてレナは喜びました


しろがね第0世代の樹木化が進んで亡くなる人が増えました

レナは雪原に多く墓を建て、樹木の魂を集めました

透明な白い樹の霊体が聖別雪原に多いのはそのためです

その樹の霊体からレナは霊力を集め、魔術に用いました


星見で外なる神を喚ぶ技術を応用して、霊を喚び使役する魔術は、寒冷地で冷たい暗月の魔術となりました


レナは星見を前身とした初めての魔術師となり、故郷のリエーニエの東、ラウフに戻りました


レナはラウフでも操霊術を応用した技術を次々開発しました


遺灰、傀儡、ゴーレム


神授塔や鎮めの塔、還魂碑などを使って人や動物の霊を集め、戦力や動力として使います


また、レナを含めしろがね第一世代の女性は異種族と多く交わり混血種を増やしました


牛との間に 祖霊の民

狼や獣との間に 獣人

小動物との間に 亜人

蛇との間に 神肌


特に神肌の貴種と使徒は、冒涜の蛇や死の双鳥の神性がよく宿り、死の力を宿した得物作りや魔術を得意としたので、産まれたらレナ自らが取り上げ大事に育てました


レナの活躍で、カーリア一族は主にリエーニエで栄え、父ウルを王とする、ノクス初の王国が誕生しました。それがウル王国です。その頃ウルは右足がすでに樹根化していましたが、彼の巨大な石像が多く作られ、王国の神殿を飾りました


そんな王国誕生に驚いたのは、大いなる意志とその娘メーテールです


大いなる意志は、その頃狭間の地のあちこちで誕生した、腐敗や死、邪悪な蛇や巨人の炎や、不可思議な混種の発生に悩んでいました。それらが外なる神の干渉であることは分かるのですが、それをレナが星見で喚んだことは知りません


ただ、レナの宵眼や、レナが神肌と開発している黒き刃や黒炎は、大いなる意志が作る神人の永遠の命を滅してしまう力を宿しているため、脅威でした


そこで大いなる意志は、レナを身内にしてしまい、優秀な彼女とその技術をエルデのものにして利用しようと考えました


レナを神人に指名してしまえば、その意識に干渉して思うように操れます


炎の巨人に山嶺を追われ、近くを飛行し復讐の機会を狙っていた竜族の末裔、プラキドサクスを王に据え、炎の巨人と戦わせ、邪悪な炎を滅しようとも考えました。巨人の炎は、エルデの獣が宿る黄金樹を唯一燃やせる存在なので、これも危険なものでした


死の力と、巨人の炎。この二つを制するため、大いなる意志とメーテールは、ファルム・アズラ王国を建国しました。エルデ初の王国です



ラニは重力の神性を使役できるので、ファルムの都を宙に浮かせました。空から狭間の地を巡回しつつ、二人はメーテールの指揮のもと、世界をよく統治しました


ラニは宵眼の女王と呼ばれ尊ばれ畏れられました


プラキドサクスは軍事を、宵眼は内政を担当しました


宵眼の施策で最も優れていたのは、死のインフラ整備です


あらゆる生物の遺体は霊炎で燃やし、遺灰にして石棺に詰め、エインセル・シーフラの地下河に流す


石棺の遺灰に河の水が染みて、石棺の大穴に着く頃には泥濘となっている


その泥濘は最深部に溜まり、新たな生命が芽吹く


この火葬と水葬のインフラは狭間の地の衛生環境を向上させました


メーテールはやがて全ての死にまつわる事業を、宵眼率いるノクスの一族に任せるようになりました


そんなメーテールの評価とは別に、宵眼には思惑がありました


一族による死の力と霊力の独占


白銀の角貨の鋳造権独占と合わせてそれは巨大な利権となり、宵目の王家一族は巨万の富を得ました


宵眼はその富で狭間の地に沢山の私的な建造物を残します


①聖樹とその支えエブレフェール ……完全に樹木化した父ウル王の遺体(聖樹)を弔う施設です

聖別雪原の聖別とは、このウル王の遺体を聖樹として俗世から別けた、という意味です

②ウルドの古遺跡 ……母ウルドのための庭園。後に母を祀る記念公園になります

③名もなき永遠の都 ……エインセル・シーフラの源流の水質を管理するための施設

④ノクステラの都 ……ウル王朝の都を拡張した首都

⑤ノクローンの都 ……ノクスの民のための居住地と礼祭施設のある都市

⑥エニル・イリム ……大いなる意志やメーテールの関与なくエルデの神人を創造する施設


これらの富の私物化と、特に⑥番、大いなる意志の関与なく神を創造する螺旋塔は、大いなる意志やメーテールの激しい怒りを買うことになるのですが、この件は後述します


宵眼と古竜王の仲は良好で、宵眼の女王は自身の他に古竜王にも永遠の命の祝福を与えました


実はファルムにも黄金樹はあり、それは樹木化した父ウル王の分け技にエルデの獣の力を宿したものでした


それは観葉植物のように小さく、ファルム最奥、宵眼の閨の祭壇に飾ってありました


その黄金の雫で、宵眼はプラキドサクスの体表を、黄金のさざれ石で纏い護りました


また、二人の間には双子のデミゴッドの娘が生まれました


それは大きく育ち、2つの永遠の都の女王となりました。ノクステラとノクローンの都市は二人の娘のための都です


また、しろがね第一世代と古竜たちの間にも混血種が生まれ、男子は巨大な神人兵として永遠の都を守りました

宵眼の治世で忘れてはならないのは、角人の存在です


宵眼の女王は、ノクスの細胞を土壌に混ぜ、密かにエルデの民の植物化を推進しました

ノクスの細胞成分が濃く土壌に混ざる地域は、石棺の大穴からエラク川を上り、リエーニエのエインセル河で合流するまでの地域です。それはちょうど影の地の墓地平原からベルラートにかけて


その土壌で栽培した作物を摂取し続けたベルラートの民には、不思議な角が生え始めました

それは、木の根のような、さまざまな動物の角の混じったような奇妙な角でしたが、宵眼の治世ではそれを神性な「坩堝の諸相」であるとして、むしろ奨励しました


さまざまな動物の角が混ざるのは、混種の神性の干渉によるものです

シーフラの地下では、混種の神性は祖霊として、祖霊の民に守られながらその霊性を高めています


ノクスの泥濘と坩堝の神性の祖霊。二つの干渉を強く受けながら生活を営んでいたベルラートの民は、特に雫形の実の原種が平地に広く繁殖したラダの実、それを乾燥させて作ったスピリット・レーズンを食すと混じり角が大きく、体が強くなりました


そのように身体に角が生え、その角を坩堝の諸相として神聖視するエルデの民は、「角人」と呼ばれるようになりました


なお、その雫型の実がラダの実と名付けられたのは、それを食べて育った裸体の英雄ラダに生えていた、全ての坩堝の諸相に肖ってのことです


確かにラダの実を食すると戦闘能力や知能が高まり神の依り代として神性を降ろしやすくなるのですが、一方で正気を失い、判断力が狂い、凶暴になって暴れる者も現れる危険なものでした


さらに、石棺の大穴に近づくにつれて土壌のノクス成分濃度も高くなるため、その地域の角人の中には、全身が木の根のような形相になる者も現れました


彼らの末路は、「見ることも、感じることも、信じることも、触れることもできない」(ラニ談)樹木化です。それを「楽園の人のあり様」であり、幸せなことと言ったのは、ケイリッドの北西、ノクローンに暮らすノクスの民たちですが、角人はそれを恐れ、拒絶し、樹根化した民を嘆きの牢獄に投獄して隠しました


一方で、立派な角を生やして即身仏化した角人を土地神として崇め、さらに他方で土地神に至るまでに凶暴化した修験者を呪剣士としてベルラートの地下牢に投獄しました


角人となったエルデの民は、坩堝の諸相(とその終着点である樹根化)の功罪に戸惑いながらも、どんどん信仰を深めていきました


角人たちは強い角の戦士に、天候の神性での現れである神獣や神鳥を降ろし、また狂信的な螺旋の信者は螺旋の塔にとりつき、昇り、頂上の神の門で体を傷つけ接ぎ木して、自ら望んで人柱となりました。なお、接ぎ木も混種の神性の力です


この角人たちの異常さや、王国の財の私物化、また勝手に神を創造する技術を作るなどを問題視した大いなる意志やメーテールらと、宵眼の女王との間に溝が生まれるようになりました


干渉しようにも宵眼の女王は常にノクスの鏡兜を被るようになり、手が出せなくなりました


大いなる意志はメーテールに命じ、宵眼の女王に残酷な警告をします


メーテールは暗部の密使や黒き刃の刺客を使って暗殺者を二つの永遠の都に潜入させます


刺客は以前神肌から接収した黒き刃を持っています


その刃で、宵眼の二人の巨大な娘、両永遠の都の女王を暗殺しました


その二人の大きな女王の遺体は、いまも二つの永遠の都の椅子廟に残っています


それが宵眼の女王の専制への警告です


これに宵眼の女王は激怒しました


通常ノクスの民は争わずに、細胞の混入や異種交配を通じた支配率の増加によって勝利を目指すのですが、このときばかりは母としての感情が優先して暴走しました


ノクローン女王の娘の遺体から生まれた指殺しの刃を握り、はぐれ狼の遺灰に乗ってメーテールに接見し、彼女を傷つけまくりました


それは永遠に癒えぬ傷となってメーテールを壊しました


大事な娘を殺された宵眼の女王


大事な娘を傷つけられた大いなる意志


二人の母の報復合戦はここから始まります


大いなる意志はメーテールを傷つけられた復讐に、二つの永遠の都にアステールを落とします


まず巨大な隕石を落とし二つの都とウル王朝の一部を地下に叩き落とした後、アステールの流星を落としてアステールに虐殺させました


そうしてノクスの都は滅び、生き残った者たちは狭間の各地に散りました


ある王族のしろがね人は北の聖樹に


ノクステラの生き残りは、リエーニエの各地へ


王家領や月の貴族の廃墟、月の民の廃墟などは、そのとき地上に逃げ延びたノクスの民の名残です


また、ノクローンの民は逃げ伸びてサリアの街を形成しました


こうして栄華を誇ったしろがね人の都は滅びました


アステールを落とした際の隕石は、ファルムアズラも狙っていましたが、宵眼の操術でなんとかかわしました。しかし掠ったためそこからファルムは崩壊を始めます


これを見て、メーテールが回復不能と判断した大いなる意志は、狭間の地への干渉を放棄しました

以後大いなる意志は狭間の地と関わらず去りました


宵眼は悲しみと憎しみを抱きながら、ファルムの閨で喪に服しました


狭間の地を見つめ、あるべき復讐を思い描きながら


一方メーテールは、壊れる直前、保護プログラムとも言うべき二つのプロジェクトを発動させています


それはifのシナリオに備えた2つのプランです


プランAは、エルデの神を創造し、これにノクスの勢力を根こそぎ排除させるというものです。そしてこれは壊れる間際に誕生させた、数体の二本指たちに命じました


プランBは、二本指たちに命じたプランAがうまくいかなかったとき、つまりノクスの勢力にエルデの勢力が敗北し、この地を支配された場合、狭間の地を焦土として焼き溶かし、ノクスの細胞も霊も全て焼き払う、というものです。そしてそれは最終手段であり、そうならないために、二本指たちのサポート、特に、ノクスの使役する外なる神たちからの干渉を排除する、というプランです


これは、やはり壊れる前に誕生させた一体の三本指に命じました


以後二本指と三本指は、水面下で連携しながらそれぞれの任務にあたります


それを最後にメーテールは壊れた波動を出すだけで、沈黙しました


三本指のプランBは比較的明快で、三本指はまずノクスが苦手とする狂い火の外なる神性に目をつけます。狂い火の母星は、原初の狭間の地のように黄色い炎で煮えたぎり、霊さえも存在できない星でした。三本指はその神性を宿した最初の男シャブリリに目をつけ、生き埋めにされた彼の呪詛を受けて彼の魂を救い、三本指に仕える使命を与えました

以後シャブリリと三本指は、狂い火の神性を使役して、対ノクス戦の任務にあたります

そして、ノクスが使役するさまざまな外なる神の干渉に対しても、シャブリリの魂を使って対処にあたらせました

個々の事案については都度後述します



3.神マリカの誕生


一方二本指たちのプランAは困難を極めました。まず、エルデの神人を作ろうにも、大いなる意志は狭間の地を見捨て、メーテールも壊れていて応えません

神人はそれらが指名して初めて神の力を授権されるものです。どうしたものか

そんなとき、ユビムシがある巻物を見つけてきます。それは、大いなる意志の力によらずに自前にエルデの神を創造できる秘儀について書かれた巻物でした


それによると、神と、王の魂と、王の依り代が必要であるとのこと


二本指はこれを作るために、ベルラートに伝わるある事業に目をつけました


それはもともとメーテール主導で行っていた国家事業

罪人の牢獄運営なのですが

大きな壺に罪人を生きたまま詰め込んで、それが死ぬまで祈祷をして、輪廻転生の先、来世は善き人に生まれ変わらせるという気の長い儀式でした


あまり大っぴらにやっては宵眼の女王に気取られます


二本指は配下のユビムシたちを使い大量の金を掘らせ、また土地神たちから混じり角を盗んできて、それを材料に大量の黄金の角貨を鋳造しました


それは偽貨でしたが、純金を使っているので価値があり、特に白銀の角貨を持てない角人たちの間で高価で取引されました


それを賄賂に使って、大壺師や祈祷師や人買いたちを買収、新しい壺漬け事業をはじめました

(エルデの民の人買いの中でも、それで財をなし、後にノクスの貴族に取り入ったホスローという一族がこの事業を取り仕切るようになりました)


もともと大壺師は大きな壺を焼いて、それをベルラートの牢獄に納めるだけの生業でした


しかしホスローは彼らにボニ包丁と歯の鞭を持たせ、また数々の神性に侵されないように毛蟲の面を被らせ、陰惨な事業に従事させました


その事業を通じて達成したい二本指の思惑はこうです


・炎の巨人や神肌のほか、混種の神性に侵された呪剣士の囚人、あるいは腐敗の神性や眠り、死の双鳥の神性の鳥の肉などを片っぱしから切り刻んで、混ぜる


・その肉から神性を取り込んで祈祷で浄化させた強い神性を持つ巫子を神とする


・その肉を集めて巫子の体内で一体のホムンクルス(人造人間)を錬成する。それが王の依り代となる


・王の魂は分からないので取りあえず後からでも探す


つまり、これまでの罪人大壺の儀式の体を借りてその中身を作り替えて、禁忌の神性肉と巫子を融合させ、神と王の依代を作る事業を新たに始めました


そのための施設としてボニ村が利用され、ボニ牢獄が新たにひっそりと作られました

そして巫子を巫子村から調達したり、各地から捕らえた禁忌者を高値で取引する中継地点、そんな悪徳の街がモースでした


そうやって凄惨な巫子たちの中身肉を大量に作り失敗しては打ち棄てていた首謀者は、実は角人ではなく二本指だったのです


この罪人肉巫女壺事業は、長く成功するまで続けられました


その頃、リエーニエでも少し動きがありました


永遠の都の王女の血統はアステールの襲撃により念入りに断たれましたが、一方で雪原に残したトロルの祖ラダの血統は残っていました


その王女がリエーニエの王家領を預かり、トロルとの間に盟約を結ぶ中で、軍師兼宰相として代々イジーが表向きは鍛治師として仕えるようになります


イジーは宵眼の女王の命令のもと、王家のために、夜と炎の剣や暗月の大剣など、さまざまな伝説の剣を打ちます。それが代々カーリア城館に伝わる剣です(伝説①・②)


また、この頃リエーニエでは、アステールの難を逃れたノクスの傍流王族や貴族の末裔が魔術学院を設立します


しかしほどなく結晶坑道で輝石に憑かれた魔術師が源流派を名乗り、次第に主流派になってゆきます。形を変えて、アステールとノクスの戦いが学院で続いたのでした


陰惨な二本指の壺事業に話を戻します


ある日、禁忌者たちの肉を全て取り込んで自分の中で一体の王の依代を錬成し、自らはほぼ元通りの姿で壺から生還した巫子が、一人だけ現れました


名をマリカといいます


マリカは赤髪の男に変身することができるようになっていました

その男には誰かの魂の転生体が宿っていて、自らの名を「ラダ……ダゴン」と言いました


そのラダダゴン、略してラダゴンの名以外、彼には前世の記憶がないようでした

二本指は試しに、自分の計画の骨子、つまり、エルデの民の純血の国家を作る理念をラダゴンに説きました。ラダゴンはそれに共鳴し、その理念を正しく理解して信奉しました

……どうやら善き人のようです


ここに神と、王の依り代たる肉体と、よく分からないけれど王の魂が錬成できました


二本指はマリカを唆します


・自分が壺からお前を救ってやったこと

・壺事業は角人たちが勝手に始めたこと(本当は二本指が金貨を積んでやらせてたのに)

・お前はこれから神になること

・神にならないと角人たちはこれから先も巫子たちを永遠に虐待し壺に詰め続けること

・お前の望む大母のような優しい律も、角人への復讐も、神になって力を手に入れないと実現できないこと

・もし神になるならその力を与える

・そのかわりお前は私たち二本指の干渉を受け、永遠に従うこと


マリカは迷いましたが、これ以上巫子たちから犠牲を出さないためにこの取引を受けました


そうしてマリカは、エニルイリム頂上、神の門に立ち、脱げた衣服から取り出した自分の抜毛を高く掲げて、神に即位しました


このときからマリカは、神たる力を得るとともに、二本指と自分の誓約に縛られることになります

またこの時同時に、黄金の影として王配ラダゴンも誕生しました


ここで二本指はプランAのうち、自前のエルデの神を創造するという難題をクリアしたのです


しかし、そのクリアは宵眼のお見通しでした


宵眼の女王は二本指が神と王の依り代を錬成することを見越して、古くに死んだ自分の息子たる王子の魂をその依り代に操霊して送り込んでいたのです


そう、最初の全ての坩堝の諸相が出たトロルの王、ラダ・カーリアの転生した魂を


なお、二本指の活動に並行して、三本指も計画を進めていました


エルデの獣が最初に生命を誕生させた奈落の森に、賢者ミドラーが隠遁し、研究をしていました。おそらく狭間の地の生命誕生の謎に迫る為でしょう


シャブリリは、ナナヤという若い女性の遺体に乗り移り、館を訪れ、讒言を弄してミドラーの妻に収まります


子を宿したりいろいろあるのですが、最終的に三本指は、狂い火の巫子ナナヤの讒言のもと、ミドラーに狂い火を拝領させます


同時に、二本指が黄金の角貨を握らせ買収した責問官に、やはり二本指が黄金で作った劫罰の大剣を用いさせ狂い火の干渉を止めています


つまり、二本指と三本指が協力して、狂い火の王になる一歩手前でミドラーを止め、耐えさせているわけですが、そうしてこの館で一体何をしているかというと、それは館の位置から推察できます


このミドラーの館は、狭間の地の中央、死の集まる鎮めの塔に位置的にとても近いです


つまり、ここで狂い火の王を発動させれば、たとえその力が全土を焼き溶かすほど強力でなくとも、鎮めの塔に集まる霊体を全て焼き溶かすくらいの強い火力を備えているのですね


霊はノクスのエネルギー源ですから、丁度、戦術として、武器庫や発電所を破壊するのと近い効果を持つことになります


三本指は非常事態のためにこのようなセッティングをキープしていた、それがあの館でミドラーが「耐えて下さい」と言われていた理由です


なお、三本指は現在ミドラーの館ではなく、ローデイルの地下に封印されていますが、あれは捕まっているのではなく、自ら害を及ぼさないようにあそこに収まっています


決して自分から世界を狂い火で焼き溶かすことはなく、あくまでエルデの王たる褪せ人の自由意志に任せて、ブドウを3つ巫女に与えるという厳重な意思確認のもと、狂い火を拝領させるそのときまで、あそこに隠れているのです


マリカが神になり、ラダゴンも王配となったところに話を戻します


マリカとラダゴンが最初にやったことは、婚礼でした


二人は(といっても同時に顕現できる肉体は一人です)、ユビムシに現在影の城のある場所に簡素な教会を建てさせ、その教区でマリカはラダゴンに祝福の雫を受領させました(少量ならマリカの黄金の生命力で雫を作れます)。そして教区にラダゴンの樹を建てさせました。マリカが血を注ぎ小黄金樹にするための樹ですが、それは壮絶に捻れて左にスピンしています。また、その枝はまるで近づく者を拒絶するかのような刺に覆われていました


若干の不安はありましたが、婚礼の儀は終わり、二人はその先の露台から現影樹の聖杯のある場所にたちました


そこで二人で黄金樹を立てます

しかし、二人同時に顕現できないので、まずマリカが真っ直ぐな黄金樹を立て、その後にラダゴンが樹を立てました


やはりラダゴンの樹は、教区のそれよりはひどくないものの、左に捻れました

大きく育つうち、マリカの樹もひっぱられてやや傾きました


なんとかそれでも、双つの幹を持つ黄金樹は、とても巨大に育ちました

枝に拒絶の刺を纏いながら


幸い指の産屋でユビムシたちはたくさん生まれるので人手はあります

また、黄金を掘ってくるので資金も潤沢です

マリカたちの教会は少しづつ立派になり、訪れる人も少しづつ増えました

この教会は巫子村への道を封じているため、人攫いも減りました

教会は巫子たちが手伝ってくれます

教会の像はマリカではなく、大母の像です

ここでマリカは尊敬する大母の理念を反映した、優しい律を実現するつもりでした


しかし、角人たちは神獣や神鳥を信じているので、なかなか布教はうまくいきません

マリカの手ずから黄金の雫を配るのですが、マリカの血を注いだ黄金樹から得られる恵はわずかです

やはりファルムの元からエルデの獣を奪ってくる必要があるのでしょう

また、ノクスの土壌や混種の神性の影響を受けている角人たちには、エルデの神の神性たる黄金の雫の恵みの効果もわずかです


信徒は思うように増えませんでした


そんななか、マリカとラダゴンが単為生殖で産んだ子、メスメルに禁忌が2つ宿っているという事件が起きました


彼は赤髪で、姿勢がまるでラダゴンの立てる樹のように左に歪んでいたので、巨人の炎の禁忌と冒涜の蛇の禁忌はラダゴンの血の影響である、と判断されました


ラダゴンは自分は善き人であり、そのような禁忌はない、と弁明しましたが、確かに黄金樹の歪みの責任は自分です


二本指は怒り、彼をマリカの中に封印しました。王配として失格したのです


ひとまずメスメルは、マリカが巨人の炎の左瞳を抜き、右瞳は祝福の瞳と入れ替えました

これで人の姿を保てるようになったメスメルは、巫子村に預けられ、忙しいマリカとはあまり会えずに過ごしました


二本指はここで戦略を変更します。布教による勢力拡大には限界があると見て、武力による全土平定を目指すことにします。幸い、軍資金は作れます


二本指とマリカはラダゴンの代わりの王配を探しました

そして、影のアルターの高地にある戦士の部族の一人、ホーラ・ルーを見つけました

彼は非常に逞しく、また高地ですから、ノクスの泥濘の土壌の影響を受けていない健康な体を持っていました


マリカに見そめられたホーラ・ルーは、祝福の雫を受領した後教会の中庭に立派な樹を立てました。マリカはそこにも祝福を宿し、それは今でも輝いている小黄金樹になりました


これなら理想的な黄金樹が立てられそうです

二人は改めて、共同で黄金樹を立てました。それが現在の立派な黄金樹の原型です。


メスメルに教会を任せて、二人は現在のアルター高原はローデイルの地に移住し城を構えました


ここに、ローデイル王家が誕生しました


周りは全てが敵状態の中、これからマリカたちの国獲りが始まります。それに備えメスメルも、現在の教会を少しづつ城砦に作り替えてゆきます。ここに、影の城と、それを護る城砦エンシスが徐々に形をなします



なお、このあたりでいくつか他の勢力に動きがありました


まず、シャブリリ、ケイリッドの地下シーフラ川で青衣の踊り子に水流の剣を教わっています。いつか朱き腐敗の神性と戦うときのための備えです


また、ファルムの斜陽を突いて、これまで古竜餐で凶暴な力を貯め続けていたベールが、プラキドサクスに襲いかかります。結果敗北しますが、古竜王も四本あった首のうちの二本を失うなど、深手を負います。以後竜王は娘のフローサクスに寝ずの任を命じ、宿敵ベールを討ち取らせるための翼竜餐の布教活動をさせます


また、永遠の都の王家はアステールの襲来により滅亡しましたが、ラダの血を継ぐトロル系の王家は細々と続いていました



4.ローデイル王家の躍進


ゴッドフレイ率いるローデイル軍は、手始めに巨人山嶺に攻め込みました

だがしかし早速ゴッドフレイ軍がピンチに陥ります。極寒の地、慣れない山岳に、ゴッドフレイ意外の兵士の戦闘力が、選抜の坩堝騎士たちでさえ落ちました。加えて巨人が巨大すぎます。巨人の火の釜の攻略は不可能に思われました


夫のピンチの報を受け、マリカが現地入りします。機転を効かせ、ラダゴンの封印を解き、実戦投入しました


ラダゴンは水面下で働き、トロルの末裔ザミェル一族の女性たちを動かし、巨人の味方をしていたトロルをゴッドフレイ軍に寝返らせることに成功します。巨人の赤髪つながりで、ダメ元で仕掛けたものでしたが、成功したのはもしかしたらラダゴンの魂が、トロルの祖である英雄ラダの転生体であり、トロル女性なら誰もがメロメロになってしまうくらいトロル的なカリスマがあったからかも知れません


この寝返りにより巨人戦争に逆転勝利します


なお、巨人戦争に勝利したときに建てられた第一マリカ教会には、マリカの言霊が残っていますが、口調から、これはラダゴンがマリカの声を借りて残している演説だと思われます


また、巨人戦争にラダゴンが参戦していたことは、巨人の遺体に刺さっている拒絶の刺や、その時の褒賞としてザミェル一族に渡したラダゴンの刻印が、封牢のザミェルの古英雄よりドロップされることから推知できます


なお、このときに山嶺に自生し、巨人の食料として彼らを強く凶暴化していたラダの原種をマリカたちは根絶します。そして、人間が消化できないように品種改良したロアの原種を代わりに植えました。その原種がやがて低地に適応して繁殖したのが、ロアの実です


ゴッドフレイ軍の行軍は続きます。アルター高原に特に敵らしい敵はありませんでした


アルター高原を制圧した後に、第二マリカ教会を建てます

王都の護りをあずかるマリカは、各教会に聖杯の雫を配り、祝福を与える布教活動を行います
アルター高原はノクスの泥濘に土壌が汚染されておらず、また、ラダの実を根絶しているので祝福の効果が高く、布教の手応えは上々でした。



デクタスの昇降機を降りてリエーニエにさしかかるところで、マリカが言霊でカーリア王家に投降を促します


エルデの勢力に属する源流派を排するくらい強いので、できればレナラは戦いたくない相手でした。近接戦主流のゴッドフレイ軍は、魔術師集団とは相性が良くないのです


幸い、レナラのカーリア王家と学院はこれに争わず、大人しく投降しました

以後学院とカーリアはローデイル王家の御用魔術師となります


今思えば、これも宵眼の女王やレナラの星見の力でしょうか。星見たちは、政治の趨勢を読む能力が高いです


また、源流派との派遣争いは、負ければ学院を追い出されそれまでですが、マリカの場合、その下につけば一定の学園の自治権と、御用魔術師としての地位や役割は与えられます。


「我らの律の一部となるか?それとも律の外にあり、何の力も持たぬ、辺境の傍流となるか」とは、我らの下につけば、辺境の王家を名乗ることも特別にお目溢しするぞ、という譲歩の意味が最初から与えられているのです。ここは投降した方が得、との判断です。マリカとレナラ、ここは共に争わないことにした。二人とも策士ですね


(あれ、リエーニエ戦役は? と思う方へ、それはもっと後です。ここは矛を収めたことにしないと、このマリカのこの言霊の意味が解釈できなくなってしまうのです)


順調に領土が拡大する中、初王子、ゴッドウィンが誕生します。実はゴッドフレイもずっと行軍しているのではなく、たびたび王都に戻って英気を養っていました


そんな中産まれた嬉しい黄金の第一子。行軍に勢いが出ます


戦の合間、闘技場を建設する捧闘で戦士は腕を磨いていました


そんな中、リエーニエの北東、現狂い火村の地にレアル・カリアとカーリア王家監視のための
城砦「太陽の都」を築城します。狂い火村の城門の名残、現在狂い火が灯っている塔と、リエーニエの王家領、そして黄金樹を結んでみてください。一直線で繋がります。太陽の都とはつまり、城砦で、王都ローデイルの威光を見せつけ監視するための施設だったのです


カーリアを落としたので、ファルム・アズラへ進軍できます

レナラに四鐘楼の転送門を開けさせファルムに飛ぶこともできます

が、ゴッドフレイ軍はファルムに恨みを持つ翼竜たちに話をつけ、その翼を借りて少数精鋭でプラキドサクスに奇襲をかけます


古竜王との一騎打ち、手負のプラキドサクスはゴッドフレイに敗れます


一方、宵眼の女王にチンクエディアを贈られるまでに信用を得ていた獣の司祭グラングことマリケスは、ゴッドフレイの急襲の混乱に乗じて宵眼の女王を討ち取ります

得物は黒き刃、かつてメーテールが宵眼の女王の娘たちを暗殺するのに使ったものが二本指に受け継がれていました


マリカがマリケスを通じて宵眼から死のルーンを奪い、決着します

以後死のルーンはファルムに残ったマリケスに管理させます


宵眼の女王は運命の死を迎え死のルーンを失うも、その遺体は古竜の子孫が運び去り、最北の聖樹に向かいます


聖樹では宵眼の女王の遺体は蜘蛛の糸の繭に入れられ、そこに大量の血が注がれます

蜘蛛の異形、幽鬼として魂を宿し転生した宵眼の女王は、以後老いた雪魔女を名乗り、聖別雪原で星見をします。そうして外なる神性や、王家の恋の運命に干渉して、エルデ史の裏で暗躍し、政を動かしてゆくのです



ゴッドフレイが竜王を討ち取ったその頃、シャブリリが流水の剣技を使い、モーン城で無双します
城を治めていた亜人や混種の勢力を殲滅。混種の英雄一人だけが残る


シャブリリは、モーン城や、ファルム防衛で古竜がいなくなったストームヴィル城を徘徊します。狂い火に侵された放浪商人たちと共に、城に残ったファルムの巫女を三本指の巫女にするためです。シャブリリが追いかけ、現・浄化された廃墟の地下室に隠れた巫女たちを見つけ、三本指の巫女にする

そこは後に焼き払われるまで、狂い火信徒たちの村でした


宵眼の女王改め、老いた雪魔女は、配下の者にモーン城で全ての遺剣を集めさせ、イジーに剣接ぎの大剣を打たせます。そしてそれを一人残った混種の英雄に渡し、復讐の怨嗟を注がせます
(伝説③)


一方宵眼の女王を失ったファルムでは、打ち破れた古竜王が一人、そのさざれ石の鱗を喪色にして宵眼を弔っていました


獣人たちを殉葬者にして、宵眼の閨の壁や柱に埋めました


そのままファルムは、遺跡の残骸を狭間の地に振り撒きながら、空を漂いました


約束の神……ノクスの神の復活を、いつまでも待ちながら






5.マリカ王政時代


ファルム・アズラからエルデの獣を簒奪したのち、マリカは現黄金樹に獣の力を宿します


黄金樹に生命力が漲り、力強く輝きました


また、エルデンリングにも獣を宿し現在の形になります。それは底の弧に民の受け皿があるように、広く民に永遠の生命を分け与える律でした


ただし、二本指の方針で、それはエルデの民でマリカに信仰を誓った者のみが祝福される選民主義的な律でした


マリカやゴッドフレイが好む分け隔てのない坩堝的で寛容な優しい律とは程遠いものでした



ファルムを滅ぼした後、仕上げの行軍が続きます


古竜王との争いの中、翼竜とは同盟が結ばれたため、ケイリッドの平定は容易でした。夜人であるサリアの夜巫女やノクス僧などが立ちはだかりましたが、敵ではありませんでした


ケイリッドの西(リムグレイブ東)に第三マリカ教会を設立します


さらに戻ってリムグレイブを南下


啜り泣きの半島はモーン城で、一人だけ混種の英雄が生き残ったものを討ち滅ぼし、全土平定を完成させました


そして啜り泣きの半島に、最後の第四マリカ教会を設立します


このときゴッドフレイに凶報が届きます


マリカに産まれた二子・三子が忌み角の生えた双子とのことです


急いで王都に戻るも、抱き上げてほどなく、双子は二本指の命で忌み捨ての地下牢送りになりました


ゴッドフレイはこの処分に強く抗議しましたが、覆ることはありませんでした


ゴッドウィンと等しく育てようと、夫婦でせっかくつけた、モーゴットとモーグウィンの名前

それは奪われ、二本指はゴッドウィンと似ても似つかない、マルギットとモーグという忌み名を二人に付けました


以後双子の拘束具に拒絶の刺の魔術で拘束力を与えるという名分で、定期的にマリカはラダゴンになって二人の子に会いにゆきます(ラダゴンになっているときの五感はありませんが)


忌み子が王家に産まれたことの責任の所在が問題になりました


マリカはこれを角人たちの呪いの彼らの穢れが原因と主張

二本指はマリカとゴッドフレイが坩堝思想に傾倒していたこと、特にゴッドフレイは赤熊餐などを通じて子に忌み角が出やすい体質になっていた疑いがあることが原因と主張します


二本指としては、全土平定が完了した今、ゴッドフレイの用はなくなり、二本指に反発してマリカを守る危険分子と判断したのですね


神人マリカを想うままに操りたい二本指としては、ゴッドフレイが邪魔になったわけです

坩堝思想も濃く、二本指の企図する黄金立原理主義にそぐわないのです


ゴッドフレイは二人の判断に従うしかありません


結局、二本指はマリカに角人の殲滅と、夫への何らかの処分を命じました


マリカは積年の憎しみに任せ、メスメルに炎による粛清と浄化を命じます


忌み子の原因はメスメル同様、マリカの体内に外なる神の干渉が残ったためなのですが、そのことをマリカは知りません(うすうす感じていても信じたくありません)


マリカは久しく会っていなかったメスメルのもとを訪れ、マリカの祝福という回復薬を与えます

そしてマリカはラダゴンとなり、エニルイリムを封印の樹と拒絶の刺で覆います。もう二度と神が誕生しないように

そして巫子村を訪れ、優しいだけの小黄金樹で照らし、大母の木のうろには自分の金髪の束を供えます。そして優しい律が実現できることを祈り、望み、そしてそのために穢れを焼き払うことを告解します


それきり、マリカは二度と影の地を訪れることはありませんでした


メスメルは母の命に従い、不承不承、粛清の聖戦を始めます

王家から火の騎士がメスメルの元へ援軍として送られました


影の地は、その粛清が狭間から目撃されないよう、マリカの祈祷により影樹の上からヴェールが降ろされ、以後封印されました



粛清の業火


メスメルは、父ラダゴンの拒絶の刺を継承した槍で、次々と神獣獅子舞を串刺しにします


焼き払われる角人たちを救えず、蕾の聖女ロミナは朱い腐敗の神性を自身に見出し蠍の異形となります


大母像はマリカのイメージと共に憎悪の対象となり、角人は首を破壊します


角人の奴隷が、彼らの傷跡から出血の神性を見出し、異形の血鬼となります

それは幼いモーグが地下牢で自身の異形に、血の神性を見出したのと、ほぼ同じ頃です


現在に至るまで聖戦は続けられるのは、二本指の目的が、軍事的な勝敗を決することではなく、土壌や角人たちから、ノクスの成分を徹底的に除去して浄化することにあるからです


マリカは夫ゴッドフレイから祝福を奪い、蛮地への追放と研鑽を命じます

それはマリカの判断による、戦略的な一時撤退の意味があったのでしょう


ゴッドフレイと配下の褪せ人は啜り泣きの半島から船で旅立ちます


王都でゴッドウィンと二人きりの生活になったマリカは、愛息子を溺愛して育てます


聖戦の阿鼻叫喚をよそに、そのベールの外のローデイルにはしばしの平穏が訪れました


ゴッドウィンが若者に成長し、太陽の都の城砦で砦長に就任。彼の初仕事です。光り輝く美しい王子ゴッドウィンは、兵士たちに、まるで太陽のように映りました。そのままゴッドウィンのイメージとなり、王都に太陽信仰が生まれます


母についてはあえて触れませんが、ゴッドウィンの子として沢山のデミゴッドが生まれました。それらはゴドフロア・ゴドリックらの祖先となります


産まれた子らは各地に散りそこから多くの黄金の貴族が生まれます。黄金の血族は拡大し、マリカ王政の最盛期を迎えます


ちょうどその頃、壺村ができます。かつてベルラート牢獄で壺死罪を受けた罪人が、善き人となって次々と小壺として転生しました。霊炎で焼いて遺灰にし川に流すというノクスの古い習慣は廃止されました。その習慣は泥濘に芽吹く祖霊を産み、祖霊はノクスの民の魔力の源となるからです。代わりに還樹という、黄金樹の根に埋めて魂も肉体もリサイクルして再誕させる方法をとりました。一方で、還樹されない遺体も多く出たため、それを詰めて肥料にしたり、戦士の壺にしたりする壺作りも必要になったわけです。しかしそれはかつてのように生者を詰めたり、生者を殺して詰めたりする壺であってはならない。それはマリカの強い方針でした。ゆえに死者のみを入れる壺師の手は、武器などを握ったことがないすべすべでないとならない、と定められたのです


ただし、その裏では密かに古くから二本指と癒着のある名門ホスロー家が、鋭い鞭を使った生き壺作りを連綿と続けていましたが



罪人の審判をする火山館が建築され、ゲルミアに責問官たちと家族の街も建設されました
それに伴い、罪人の処刑を請け負うマレー家が誕生し、アルターの裏手に日陰城が与えられました


その頃また老いた雪魔女も静かに復讐の機会を狙い、星見をしています

また二つ、イジーに新しい伝説の武器を打たせます


・マレー家の執行剣 その魂に、朱い腐敗の神性を宿すもの
・世界喰らいの王笏 その魂に、冒涜の蛇の神性を宿すもの


それらは日陰城と火山館にいつしか納められ、以後、ゲルミアやアルターの裏に干渉を及ぼします
(伝説④・⑤)



ゲルミアの火山にいつしか、メスの老大蛇が棲み着くようになりました

その神性の影響で、火山館の街に冒涜の蛇の神性を宿したデーディカという女が現れます

彼女は蛇などと姦通や不義を繰り返し異形の子を多数産むのでゲルミアを追放されます
以後、諸国を彷徨います


平和な時代は突如として崩れました


古竜戦役の勃発です。ローデイルにグランサクス率いる古竜が襲撃。初めて王都の壁が破られます


これを受けるゴッドウインは、古竜相手にさらでは敵いません。自らも含め、竜餐で強化した軍勢を率いてこれを斥けました


王都に巨大なグランサクスの遺骸が残り、ローデイル軍は勝利しました


黄金の王子に、竜餐という混種の神性の干渉を宿らせることに成功した老いた雪魔女は、グランサクスの得物からイジーに槍を削り出させます。ここに、グランサクスの雷を王都に残します(伝説⑥)


古竜戦役で何度も刃を交えたゴッドウィンとフォルサクスは、いつしか親友になっていました


フォルサクスは翼竜たちを排して、ストームヴィル城に居住します。これがストームヴィルに本当の嵐があった頃、です


フォルサクスの姉ランサクスが人の司祭の姿になり、王都に古龍信仰を広めます。黄金のゴッドウィンがこれを信仰したため、彼に従う兵や古竜騎士も、その信仰が太陽信仰から古竜信仰に変わりました


ゴッドウィンの子孫として、ゴドリックが誕生します。彼は色を好み、王都で放蕩します


黄金の王子が生き生きと暮らし、非常に混沌として華やかな時代で、マリカは好みました


しかし黄金純血主義を望む二本指としては、古竜信仰などは坩堝時代の回帰に他ならず、その混乱と風紀の乱れを苦々しく見ていました



その頃、リエーニエでも動きがありました


レナラと、しろがね人のユミル卿は、内縁関係にありましたが、二人の間に王女レラーナが誕生したのです。レラーナは婚外子だったため、表向きレナラの歳の離れた妹として扱われました


レラーナは幼い頃、レナラに連れられて、月光の祭壇で2つの重なる月に出会いました

月光の祭壇はレナラが満月の魔術で学院を掌握し王家を名乗った記念に建てられた施設です

そこには、宵眼の女王が作った暗月の魔術と、レナラの満月を讃える、二つの月が投影されています


レナラはそれを見ながら、自分が14歳の頃に聖別雪原で見た満月のことをレラーナに話します。レラーナは母とそれを見に行きたがりました。レナラは、レラーナが14歳になったら雪原の星見場にそれを見に行きましょうと約束しました


その約束が果たされず仕舞いだったのは、クララとクラリスのイベントで明かされます

あの白と青の霊クラゲの姉妹は、そのままレナラとレラーナのメタファーNPCと解するのが自説です


レナラとユミル卿の間に第二子の男児ユーリが誕生するも、体が弱くすぐに夭折してしまいました。そのことは、以後ユミルとレナラの心に影を落とします


レラーナは弟の分も母を守るために剣士を目指し、剣術の修行を始めました


話をローデイルに戻します


ゴッドウィンが古竜信仰を初めてしまい、二本指はそれに手を焼いていたところまで語りました


二本指は、ラダゴンの復権を検討していました。ラダゴンであれば、黄金律原理主義であるため、このような風紀の乱れを放置しないはずです


そこで復権の条件として、次のようなテストをしました


リエーニエの学院を落とし、レナラとの間に子をなす任を与えたのです

レナラは歩行可能の偽装をしているため二本指はレナラがしろがね人だと知りません

ラダゴンに足りないのは知力と信仰なので、まず学院で魔術を学ばせる

そしてレナラとの間に成した子に禁忌がないのなら、度重なる禁忌の子はラダゴンではなく、マリカの責任ということになる


また、ラダゴンが学院相手にどれだけ戦えるかも試せます


ラダゴンは二本指の命令の通り、太陽の都の城砦を本丸として第一次リエーニエ戦役を開始します


ラダゴンの肉体がここで顕現しているということは、以後マリカは暫く王都に不在となることを意味します


戦争が始まったため、一緒に星を見に行くというレラーナとレナラの約束は果たされず仕舞いになりました


また、拒絶の魔力を充填する者がいなくなったため、忌み双子の拘束具の効力が薄れ始めました

モーゴットがマルギットの名で霊体を飛ばし各地を徘徊しはじめるのはこの頃です


一方モーグは内なる血の神性、姿なき母と対話し続ける他、誘惑の神性や炎の神性にも目覚めてゆきました


第一次リエーニエは引き分けで、ラダゴンは一時撤退しました


ラダゴンとの戦いを通じて、カーリア城館に伝わる夜と炎の宝剣にまつわる運命めいたものを感じたレナラは、ラダゴンの出自を調べることにしました


レラーナ、ユミル、ムーンリデルに調査の任を託します

三人はエインセル川を月の船で下り、影の地に潜入しました

影の地は封印されていましたが、実は地下の河を下れば、かの地に立ち入れるという隠し通路があったのです。確かに、地下まで封印されていれば、河の水は堰き止められ氾濫していたはずです


レラーナはその地でメスメルに出会い一目惚れします


ユミル卿はノクスの宿敵メーテールの所在の調査を始めて指追いになりました


ラダゴンの調査を終えたムーンリデルとレラーナは、指の調査を続けるユミルを残し、カーリアに帰還します


報告を受けたレラーナは、ラダゴンが過去にマリカの王配だったことを知ります


エルデ王家に近づけるチャンスと考え、次からは籠絡する作戦に切り替えました

第二次リエーニエ戦役開始


レナラはラダゴンに和平を持ちかけ、星の雫と星光の欠片でメロメロにします


レナラとラダゴンは和睦し、ほどなく結びの教会で成婚します


ラダゴンは婿入り道具に裁縫セットを持ち込みました


レナラはラダゴンに、カーリア王家に代々伝わる暗月の大剣を贈ります

ラダゴンは返礼に、暗月の大剣のデザインを受け継いだ黄金律の大剣をイジーに打たせ、レナラに贈ります(伝説⑦)


そして学院で魔術を学びます



やがて、レナラとラダゴンの間にラダーンが誕生します


強く大きな体の子で、赤髪以外の特に禁忌は認められませんでした

(しろがね人は子供の頃は歩行が可能なので、その宿痾も見逃されました)



一方、影の地で見たメスメルが忘れられないレラーナは、母に影の地行きを希望するも却下されてしまいます


それもそのはずです。レラーナは次期カーリア女王。その一族の運命を棄ててメスメルの元に走るなど、ノクスの血が許さないからです



レナラとラダゴンの間にライカードが誕生します。この子も賢く優秀で、赤髪以外の禁忌はありません


レナラとユミルの子は基本的に体が弱かったのですが、ラダゴンとの子はとても強かった

これはラダゴンがラダの原種で育ったラダの転生体であることと関係してそうです

レナラはますますラダゴンのことが気に入りました。

トロルの末裔のレナラと、トロルの太祖ラダの魂の転生ラダゴン。相性がいいのは当然のようです


母はラブラブである一方、自分の望みは叶わないレラーナ

彼女は、王女である身分と肉体を疎ましく思い、自らを原輝石化し、しろがねの肉体を棄ててしまいます


そうまでしてメスメルの元にいきたい。しろがねの本能を超えた娘の自由意志に、レナラは折れざるをえませんでした。


自らの黒髪を切って娘に贈り、影の地行きに送り出しました

ムーンリデルに再び月の舟で下らせレラーナの原輝石を運ばせる


影の地で父ユミルはすでにメーテールの波動を浴びすぎてかなり壊れていましたが、娘の事情を理解すると、騎士の傀儡を作って中にレラーナの原輝石を封じ込めました

以後レラーナは双月の騎士となり、メスメルの護衛として果敢に自身を売り込みました


ミアの指遺跡にメーテールの所在を突き止めたユミル卿は、その上で廃墟と化していたマヌス・メテルの大司教に収まります


その頃には指擬きの幻覚剤の過剰摂取及び、メーテールの壊れた波動を受け続けて半ば廃人になっています


その頃、王都ローデイルに雪だるまのような神託の使者が多数出現し、神託のラッパを吹き鳴らしました


同じものは同時期に、最北の聖樹と、エニル・イリムにも現れました


その神託の内容は、以後生まれるデミゴッドの誰かが、新たな神となり、新時代が到来するとのこと


その神託を受け、王都では黄金樹の扉のレリーフにその神託の内容が彫られました


ラダゴンとレラーナの間に、ラニが誕生します。賢く魔術の素質が極めて高い。そして赤髪の他にやはり禁忌はありません


ラダゴンの血に赤髪以外の要素がないことが、三度証明されました


ラニもまた幼い頃にレナラに手を引かれ、月光の祭壇で月を見ました
そこでラニが魅了されたのは、満月ではなく、宵眼の女王を讃える、冷たく暗い神秘の月でした


ラニの幼い頃にラダゴンがローデイル王都に召喚されます

ラダゴンは全ての試練を見事にクリアしました


ラダゴンは婚姻の時にレナラから贈られた暗月の大剣を返納し、カーリアの城館を去ります


ラダゴンがマリカと成婚し、王配になりました。

ただしそれは表向きで二人は同時に顕現できません


禁忌の子はマリカの血に原因がある。その可能性が限りなく高まった今、肉体の主導権はマリカからラダゴンに移りました


以後マリカの肉体が顕現することはほとんどありませんでした





6.ラダゴン王政時代


ラダゴンが王配となったことで、カーリア王家のラダーン・ライカード・ラニがローデイルの外戚としてデミゴッドとなりました


しかし、ラダゴンを失いレナラの心は壊れます


レナラの失調をきっかけに、学院で源流派との争いが再燃しました


学院に身の置き場がなくなったラダーンは、家を出てサリアの魔術学校で重力魔術を学びます

師となった白王は、重力の神性で隕鉄の肌を持つにいたった異形のしろがね人です

アステール落としに先立って落とされた隕石の影響でそうなったのでしょう

同様に近くにいて黒王になったエルデの民もいます


サリアに学んだラダーンは後にケイリッドの赤獅子城に居を構え、赤獅子軍を従え将軍ラダーンを名乗ります


幼いラニは遺跡の迷路の森で老いた雪魔女に師事し、冷たい暗月の魔術を学びます

出会ったときの雪魔女は、霊馬トレントに乗り、腕が四本の幽鬼(wraith caller)でした


ラニは雪魔女との修行の中で、トレントとはぐれ狼の遺灰を託されます


ライカードはラダゴンにより法務官に任命され、火山館に赴任します


老いた雪魔女は、イジーにファルム遺跡の残骸で作る「遺跡の大剣」を打たせます
重力の隕石の神性を宿すそれは赤獅子城に忍ばされました(伝説⑧)


魔術街サリアに隕石が落下します。ラダーンが大剣で砕いて食い止めましたが、そのときカーリア王家の運命も止まりました。ラニの伴侶たる褪せ人が後に現れることをトリガーとして、星の世紀(ラニ)エンドと、約束の王(ミケラダーン)エンドが同時に進行するためのセッティングです


レナラが壊れ、学院を源流派が制圧します。源流派が雇ったカッコウの騎士がカーリア城館に攻め込みました


しかしそのとき、冷たい暗月の魔術を会得したラニがカーリア城館に戻り防衛します。カッコウの屍を築き、危機から王家を救いました


ラニは母レナラから正式に王女としての地位を承継し、カーリア家の当主となります。まだ赤髪で、現在の人形の姿になる前です。移動手段の多くは重量魔法と、トレントに頼るものでした


ラニは暗月の大剣とともに置いてある黄金律の大剣を亜人に持たせて寄る辺の洞窟に捨てさせました


奇矯騎士ジェーレンがカーリアの客人となるも、セルブスの手によってラニの傀儡とされました

傀儡となったジェーレンは赤獅子城に派遣され将軍ラダーンの客将となります


ライカードは火山館でタニスを側室に迎えます


火山館には以前老いた雪魔女がイジーに打たせた世界喰らいの王笏(その魂は、冒涜の蛇の神性)が秘宝として伝わっています


ライカードは蛇の神性に憑かれ始めます。神肌の貴種を迎え、ゲルミアの古い魔術の研究と、復古を始めます



ローデイル王家では、ラダゴンとマリカの単為生殖により、ミケラとマレニアが産まれます


ミケラには永遠に幼い宿痾があり、これは永遠に孵らない梟の卵に象徴される、眠りの神性トリーナの力によるものです。眠りの神性は取り憑かれ癖になることから、魅了の力も宿しています


この眠り、出血、狂い火

この3つの神性は、宵眼の女王が従えた星由来のものではありません

なので、9つの伝説の武器の中にこれらの力が宿るものはありません


なお、このミケラの宿痾は、彼の成長が遅いということに気づくまで発覚しませんでした


一方マレニアには産まれた時から明らかに朱い腐敗の宿痾が確認されました


これで宿痾や禁忌、忌み子を宿すのはマリカの血が原因と確定し、以後マリカは立場を失い、顕現が許されなくなります



これを受け二本指はマリカの後継者選びを本格化させます


二本指は、神託の使者の神託通りラダゴンの子らであるラニ、ミケラ、マレニアを神人に指名します


これは実質的にマリカとゴッドウィン下ろしの動きです


ラダゴンはマリカの能力から祈祷を学び魔術、祈祷の両方をマスターします


今だに信徒の人気が高いマリカ教会に対抗して、ラダゴンは小黄金樹教会をアルターに建設します


そこに自ら小黄金樹を立てますが、それは途中で螺旋に曲がりそうになるもなんとか持ち堪え真っ直ぐ伸びました。修学と研鑽の賜物です


ラダゴンはその小黄金樹教会で、マリカの言霊を借りて、以後黄金律原理主義の探求を宣言します


黄金律原理主義に基づき、異教の信仰や、捧戦などの野蛮な娯楽の禁止、坩堝騎士の降格を通じて無秩序を排斥する、以後黄金律の完全性を探求する学問のみを奨励するなどの急進的な改革を断行しました


ミケラには黄金律原理主義の英才教育を施すラダゴン。この頃の親子仲はよいことが、光輪の祈祷のやりとりから伺えます


ミケラ・マレニア共に、母マリカと全く会えません。父子家庭状態です


マリカに会えないかわり、二人はゴッドウィンによく懐きました


それすらも気に入らないラダゴンは、ゴッドウィンと古竜信仰の徒たちを王都から排除します。信仰の対象は黄金律のみです


都落ち前夜、ミケラ・マレニアは別れを惜しみゴッドウィンに抱きつきました。そのときの像が、聖樹に残っています


ゴッドウィンは、親友フォルサクスを頼りリムグレイブのストームヴィル城に移住します


王都から、黄金の王子を信奉する多くの古竜騎士も付き従います。彼らは後に失地騎士と呼ばれる存在です


王家を離脱して以後、ゴッドウィンは嵐鷹の王を名乗り、リムグレイブで新興王家の領主となります。民、竜、亜人やしろがね人を分け隔てなく大事にする名君でした


が、黄金の翼で南西の竜餐教会に飛び密かに竜餐に耽るという闇も抱えていました


イケメン、強い、優しい。モテまくるので黄金の貴族のご婦人たちと子孫を残しまくった……ことにしておきます


一方、マリカとの単為生殖では禁忌の子しか残せないラダゴンは、これ以上マリカとは子孫を増やすことができません

レナラを正式な王妃としてローデイルに呼びたいとの願いが強くなります


ラダゴンは単為生殖で琥珀のタマゴを産みます。それをレナラに贈りました


それは「いずれ迎えにくる。それまで待っていてくれ」とのメッセージでした。レナラは喜び、いつまでもそれを抱き続けています(ただし取り憑かれているように耽っているのは次述のタマゴに宿る睡眠の神性のせいだと思われます)

しかし、それはラダゴンも知らないことでしたが、タマゴには眠りの神性が宿っていました。ラダゴンに棄てられたタマゴは濃密な毒に成熟した見えない靄を放ち、レナラを侵してゆきます。レナラは泥濘の眠りの中、優しい昏睡に癖になったように、そのタマゴに雫の幼生を与え産み直しを繰り返します

しかも生まれる幼年学徒たちは皆、かつて夭折したレナラの子ユーリの様相にそっくりでした


奇しくも同じ時期、マヌス・メテルで完全に壊れたユミル卿も、ユビムシの子にユーリの名をつけ産み直しを繰り返します


それを見てラニとライカードは母を棄てた挙句追い討ちをかける父ラダゴンがますます嫌いになりました


二人でローデイル王家への背律を誓い合います


一方、二本指とラダゴンは、原理主義に逆らい、なお民からの信仰が厚いマリカと、辺境の王を名乗り子孫のデミゴッドを増やし続け、同様に民に人気の高いゴッドウィンの二人が心底邪魔になりました


そうして二人を排除する陰謀を企みます


陰謀はゴッドウィンを殺害し、その罪をマリカに着せ、人気を失墜させる計画でした


ラダゴンは、ラニに死のルーンの奪取を、ライカードに黒き刃制作の手伝いを命じます


ラニやライカードもまたデミゴッドなので、二本指の命令には逆らえません


二人は面従腹背でその計画に乗ります


ラニには作った黒き刃で自身の肉体を滅し、指の干渉を逃れる目的
ライカードには手に入れた冒涜の爪で、マリケスを屠り死のルーン全てを手に入れる背律の目的を、それぞれ隠しながら計画を幇助しました


ラニは四鐘楼の転送門からファルムに赴き、マリケスから死のルーンの一部を奪います。二本指の干渉を受け言いなりとなったマリケスだったので、争うこともなく、簡単な仕事でした


ラニとライカードはゲルミアの冒涜の蛇の魔術で、死の刃を複数作ってラダゴンに渡しました


また、こっそり冒涜の爪を作りライカードに持たせました


ラダゴンはかつてラダゴンの刻印を贈ったザミェルの古英雄の長を封牢送りとして、これを見せしめにし、ザミェル一族を使って黒き刃の刺客に変装させ、陰謀の夜を実行させました


ゴッドウィンのいるストームヴィルにはラダゴンも自ら赴き、強化された拒絶の刺の魔術で城の横腹から王の閨まで貫く穴を空け、ザミェルによる暗殺を手助けしました


リエーニエの神授塔の上でラニは暗殺のタイミングを見計らい、同時に自身に黒き刃を突き立て肉体だけ殺します。それはラダゴンの計算外のもので、結果ゴッドウィンは魂だけ死に、肉体と意志は生き残りました


ラニの肉体は死に際に黒炎に焼かれてああなったものと思いますが、もしかしたら死後肉体を傀儡化されたり誰かに穢されないようにあえてあのように燃やした可能性もあります


同時にザミェル一族はその夜、各地に散らばるゴッドウィンの子孫たるデミゴッドたち
の多くを暗殺しました


ただ、その中でも数人のデミゴッドは、暗殺の禍を逃れています


例えばゴドフロア。彼は当時モーン城にて、密かに接ぎ木を繰り返し異形となっていたので、暗殺者は彼と気づけず取り逃しました。彼が混種の神性に取り憑かれていたのは、雪魔女がイジーに打たせた剣接ぎの大剣が、宝剣としてモーン城に伝わっているため、その干渉を受けていたと解されます


また、ローデイル城にてマリカの擬態のヴェールを使って遊んでいたゴドリックも、同じく禍を逃れました。ご婦人方に紛れて女装をして遊んでいたのでしょうか


その他手が回らなかった数人は生き残ったと考えられます。逆に、霊廟の数の7体のデミゴットと、ルーテルが蘇らせた1体を足して8体は、少なくとも陰謀の夜に共に暗殺されたと考えられます


その夜ローデイルは女王の閨の前で普段と変わらず警護をしていた、黒き刃の長アレクトーと娘ティシーは、ゴッドウィンとその子らの暗殺の濡れ衣をラダゴンに着せられ、その場で処刑されそうになりました


ティシーは母を庇い命を落とします。アレクトーは見せしめと口封じのために封牢送りになります


ラダゴンと二本指により、陰謀の夜はマリカが配下の黒き刃の刺客を使って行ったと喧伝されます。それが巷を巡りまことしやかに信じられ、マリカの人気に翳りが出はじめます


ゴッドウィンの肉体は密かにストームヴィルから回収され、黄金樹の根本に埋められました
表向きの目的は還樹ですが、真の狙いは犯行現場の隠蔽でした


黄金律から切り離されていた運命の死が復活したため、回帰性原理で生命の進化が無まで巻き戻されます。まるで先祖帰りするようにゴッドウィンの肉体は退行し、魚介類の段階まで巻き戻されました


そのタイミングで、親友ゴッドウィンの肉体が死ぬのを防ぐために、フォルサクスがサポートします


フォルサクスが死に向かう先祖帰りのプロセスを食い止めているので、死王子の遺体や業瘡が魚介っぽくなります


ストームヴィルが空いたので、ちゃっかり接ぎ木のゴドフロアが居着きます。ゴッドフレイの威光たっぷりに改装します


しゃあしゃあと生き残り放蕩を続けるゴドリックにラダゴンが切れ、マリカの家財道具と共に追い出します。家財道具には擬態のヴェールも含まれていました


ゴドリックは親戚のゴドフロアを頼りストームヴィル城へ転がり混みます。そこでゴドフロアから接ぎ木の魅力を教わります。それ以降、ゴドフロアとゴドリックは二人で接ぎ木に耽ります


その頃、老いた雪魔女は、イジーに蝕のショーテルを打たせます。その得物には双頭の死の鳥の神性が宿っています
ゴッドウィンの子孫がかつて城主だった聖別雪原のソール砦にそれを置きました(伝説⑨)


陰謀の夜に肉体を棄てたラニは以後姿を消します


黄金樹の根本に埋葬されたゴッドウィンの肉体は、根を通じて狭間中に、死の根と彼の業瘡を増やし始めました。


それは狭間の地に、ディビアの呼び舟他、さまざまなアンデッドを生み続けます


この死王子の肉体がもたらす異常事態は、ローデイルでも重大な問題と受け止められました


二本指とラダゴンはいくつかの地下墓に、黒き刃の刺客(実体は暗部の密使か、ザミェル一族)を配置し、死の根の警護にあたらせます


マリカは言霊で、マリケスの分け身、グラングをして死の根を永劫食い続ける罰を与えます。グラングはDを雇い、死の根の探索にあたらせました


暗殺されたデミゴッドたちはなぜか、ゴッドウィン同様に肉体だけ生き続けています

その子孫の君主貴族たちはゴーレムの技術を用い、歩く霊廟を作り各地で弔います


それを衛る首なしの騎士は、かつてのデミゴッドたちの家臣です

一方、幼いミケラは黄金樹を通じてマレニアの宿痾の根治に取り組んでいましたが、死の根が蔓延ることで黄金樹の力も最大限発揮されることができず、困っていました


とりあえず王都の外郭に黄金の墓標を捧げますが、この程度では兄さまは正しく成仏しなさそうです


現状マレニアは黄金の針で腐敗の進行を抑えていますが、父ラダゴンは妹の宿痾の治療に協力的でなく、また自分にも幼生の宿痾があると分かると、だんだん冷たくなりました


幼いながらにミケラとマレニアは、大好きだったゴッドウィンを暗殺したのが誰か、分かっていました


状況の打開も望めないので家を出ることにします


ラダゴンも、ゆくゆくはレナラを王都に呼び、新たに子をなす予定だったので、特に止めませんでした


家出した若い二人はどこに行ったのでしょうか


シーフラに腐敗の女神を封印した妖精がいるとの話を聞き、マレニアはそこに向かいました


マレニアはシーフラ流域のケイリッドの地で盲目の剣士(魂はシャブリリ)に出会い、彼から流水の剣技を教わります


これが後の水鳥乱舞の原型です


ミケラ自身は北に聖樹があるという話を聞き、そこにほど近いソール城砦に身を寄せることにしました


ソールの砦は当時、かつての太陽王子や古竜信仰の信者が日蝕を信仰していて、日蝕教会が建てられていました


それは、日蝕が永遠に魂無きデミゴッドの守護星であり、永遠に彼らを運命の死から遠ざけることを祈るための教会でした


しかしミケラはその教会の祈りを、正しく太陽が蝕ばまれ死んで、還樹を受けるような祈祷に変えさせました


ミケラは聖樹を調べ、ある確証を得たのち、剣技を身につけたマレニアを呼び寄せ、
マレニアと共に樹根の空間へゆきます。


そこで自身を接ぎ木し、血を注ぎ込み聖樹を黄金樹に変え、マレニアの治癒を試みます


このミケラが宿った聖樹はしろがね人にとってとても大事なものだったので、カーリア騎士ローレッタや、レダのようなミケラ信奉者の針の騎士団、また典礼街のしろがねの射手や、ザミェル一族が仮装した黒き刃の刺客などで守られました


ただ、ミケラがこのように厚く警護された真意はまた別にあります


実は聖樹はノクスの初代ウル王が樹根化し完全に樹木(神木)となった後の姿なのです

そして初代ウル王はしろがね人たちに、いずれ神として帰還すると約束しました

その約束はウル王の樹皮で作られた巻物の秘儀に記されています。あの秘技の巻物は、将来ウル王が神として帰還するためのものだったのです


それゆえ、聖樹は「約束の地」としてしろがね人に崇められたのです


ウル王の魂が死んだ後も、17本の尖塔により集められた霊力で大きく育ったウル王の肉体たる神木


それと接ぎ木したミケラは。ウル王の意志に肉体を乗っ取られてしまいます


同様にマレニアも聖樹の排水に浸り続けたため、精神がノクスの勢力に侵されてしまっています


聖樹に立ち入った二人は、ノクスの干渉を強く受けた状態になっているのです


一方王都では、ラダゴンがレナラを呼び寄せる準備を着々と整えていました


その矢先、マリカが突然奇襲を仕掛けます


マリカは最後の力を振り絞って、ラダゴンから肉体の支配権を奪い返します


女王の閨で、ラダゴンへの呪詛の言霊を吐き、エルデンリングを破壊するという暴挙に出ました


この時、各デミゴッドに大ルーンが宿りました(手に入る8つ+α)


マリカはリングを破壊した後、城から逃亡し、黄金樹の麓で単為生殖により女の赤子を誕生させます


それがメリナです


右目に炎の幻視、左に宵眼(死の幻視)を宿したその赤子の右目を、メスメルと同じ祝福の瞳に入れ替え、左目を封印し、「使命」を与えました。そして、幻視の炎で焼き霊体にして逃亡させました。引き取りに来たのは霊体となったティシーと仲間の黒き刃の霊体たちです


以後霊体のメリナは、ティシーたちに育てられ、また祈祷と刺客の術を仕込まれました


そしてマリカは王都(後の古戦場)外郭に逃げ、言霊で全デミゴッドに告げます


「デミゴッド、我が愛し子たちよ

お前たちはもう、何者にもなれる。王であれ、神であれ

そして、何者にもなれぬ時、お前たちは見棄てられる

…そして贄となるのだ」

すなわち、破砕戦争の開始を


ラダゴンが肉体の支配権を取り戻したとき、なぜか自分は王都の外郭にいて、後に発見されたところによると、黄金樹の根元には焼け死んだ赤子の遺体がありました


それらは謎でしたが、それどころではありません


二本指はラダゴンにエルデンリングの修復を命じます。槌をうち、不完全ながら現状の維持が暫く可能な程度には修復されました


しかしこれを完全に修復するには、新たな律による修復ルーンが必要ですし、何よりマリカを拘束していた誓約の弧(てっぺんの弧)が破壊されマリカの槌に刺さったままです。これを直さないとマリカが暴走するのを二本指が止められません



ラダゴンに黄金樹の入り口を拒絶の刺で封印させ、黄金樹内部で、死のルーンを宿した拒絶の刺で、自身の腹を貫きます。


その刃は同時にマリカを貫き、新たな拘束の弧で磔にされたマリカが、黄金樹の中に、ラダゴンと共に封印されます


その状態でもまだマリカは神としてエルデンリングの幻視を宿していました


ラダゴンは槍の不完全さに腹を立て、それを打ったヒューグに、もっと完全な神殺しの武器を打つことを命じます。その声は、マリカの言霊を借りて降りてくるので、ヒューグはマリカの言葉だと錯覚して恐れ、「足りませぬ。神には、届きませぬ」と、半ばうなされながら鍛治をしました


そのように、マリカはまだ生きていました


そしてマリカの言霊はいつまでも響き、全デミゴッドに告げます


「デミゴッド、我が愛し子たちよ

お前たちはもう、何者にもなれる。王であれ、神であれ

そして、何者にもなれぬ時、お前たちは見棄てられる

…そして贄となるのだ」

すなわち、破砕戦争の開始を







7.破砕戦争へ


エルデンリングが破壊されたとき、ゴドフロア、ゴドリック他、ゴッドウィンの子孫で生き残った数名のデミゴッドに要の輪の大ルーンが宿りました

マリカの言霊を受け、王都ローデイルを継ぐべきは黄金のルーンを受け継ぐ自分たちであるとの考えが広まりました


ゴドフロアとゴドリックを盟主として、ゴッドウィンの子孫たる各地の諸侯が同盟を組みます。これに賛同するライカードと、ライカードを補佐するラダーンを加えた君主同盟が結成され、ローデイルに侵攻します


これが、第一次ローデイル防衛戦です


これを受けた各勢力の動向をまとめます


レアルカリアを支配する源流派は不干渉を貫き、南北の門戸を閉ざします

源流派はつまりアステール輝石に操られた魔術師たちであるところ、アステールはエルデの僕であるため、王家の誰にも弓が引けない立場にあります。だから中立を宣言するのですね


ラニは破砕戦争時最後まで姿を見せません。ラニは独自の律でこの土壌……もとい、地を支配したい思惑なので、破砕戦争には興味がありません


なので、この戦争は実質的に魔術師抜きの戦争になりました


ローデイル側の兵力ですが、ローデイル兵とツリーガード、そしてわずかに残った坩堝騎士だけで君主同盟の大軍に立ち向かうのは、多勢に無勢です


特に失地騎士とよばれる一騎当千の古竜騎士たちが君主同盟に参加しています。このままでは王都の敗戦は確定です


地下から幽体で事態を把握していたモーゴットは、モーグと共に王都防衛に立ち上がります


幸い拘束具の魔力は、ラダゴンが充填を怠っていたせいでほぼ残っておらず、二人の力を持ってすれば容易く牢を破れる状態でした


モーグが血の誘惑で同盟軍を惑わせ、さまざまな疑念や撹乱情報を流し、足並みを狂わせます

そこに、モーゴッドがオレグとイングヴァルのうち、オレグの引き抜きに成功しました


オレグ配下の古竜騎士クリストフが、盟主の一人ゴドフロアを捕縛しローデイル軍に差し出すなどの働きを見せます


戦況不利とみたもう一人の盟主ゴドリックは、浮き足立ちます

本来であれば救出すべきゴドフロアを見捨てて逃亡しました

擬態のヴェールで婦人の姿に化け、他の婦人たちと共に真っ先に逃亡した、そんな恥ずかしい報が同盟軍の間を駆け巡り、結果として盟主を欠いた同盟は、大義も失い、烏合の衆と化して、瓦解しました


君主同盟瓦解の報を受け、呆然としたのはゲルミアで控えていたライカードです


父、しかも王家に弓を引いたライカードは、もはや後戻りできません

このまま破砕戦争を戦う他ない


そんな状態のゲルミアに、一人の顔の皮を剥がされた女が入り込みます

各地で異形の子を産み追われ続けたデーディカです


彼女は半ば狂人のように薄ら笑いながら、火山感に戻ることに取り憑かれます


彼女はゲルミアの炎の中で醜悪な老大蛇となり、火山館に身を寄せたデミゴッドを密かに喰らったりしました


第一次防衛戦の功績により、地下の拘束を解かれたモーゴットは祝福王と讃えられ、モーグもかねてより念願のモーグウィン王朝建国に向け旅立ちました


そんな中起こった第二次ローデイル防衛戦は、実質的にはライカード率いるゲルミア軍とゲルミアに避難した同盟軍の残存兵力、さらに応援の赤獅子の戦力からなる連合軍でした


これに応戦するのは、マルギット時代に育てた夜の騎兵たちと、第一次防衛戦で取り込んだ古竜騎士を従えたモーゴットです。また、直接モーグは参戦しませんでしたが、血の王朝からは、若き日の純血騎士アンスバッハなどの強者が派遣されました


忌み鬼、英雄の屍を築く。黄金樹に揺らぎなし、の剣碑の通り、またしてもモーゴット率いるローデイル軍は王都防衛に成功します


火山館への反転攻勢はローデイル軍に任せ、血の王朝に帰還したアンスバッハは、そこで君主モーグがミケラに魅了されていることを知ります


主を取り戻すため、ミケラに立ち向かうも、あっさり魅了されてしまいます


なお、このときのミケラは、ウル王の石像が並ぶ祭壇で、かつてより計画されていた血の繭での再誕を遂げています


繭は蜘蛛の糸でできており、大量の血を注ぐことで、蜘蛛との混種、幽鬼となり再誕するため、腕が少しづつ増えてゆきます(最大6本)。現在ミケラの腕は3本です


以後、聖樹の中でウル王に干渉された幽鬼ミケラと、さらにミケラに魅了されたモーグ、そしてアンスバッハらモーグの臣下は、揃ってノクスの勢力となります


破砕戦争に視点を戻します


火山館攻略戦。反転攻勢するローデイル軍は、最後の盟主ライカードを落とすため火山館に攻め込みます
排水の陣を敷くライカードは冒涜の蛇の禁忌に手を出します


邪悪な蛇の神性に取り憑かれ、老大蛇となったデーディカに自身を喰らわせ、冒涜の君主ライカードとなってローデイル兵を飲み込みます


神肌の貴種の手引きで乙女人形も導入され、戦闘は凄惨を極めました

籠城戦なので死体は山積み、疫病も流行り、終わりが見えない惨戦となりました



その頃マレニアが突如聖樹から現れ、貴腐の騎士を従えて南進します。リムグレイブでゴドリックを蹴散らしケイリッドへ。ラダーンと一騎打ちをし、腐敗の花を咲かせる間際、

「ミケラ(=ウル王)が待っている。約束の王を」

と告げ、勝敗は引き分けになります


ラダーンはしろがね人であり、種の特性として太祖となるウル王との約束に逆らえないため、以後ノクスの干渉を強く受けることになります


同時に火山館の攻防も引き分けに終わり、破砕戦争は勝者のいないまま幕引きとなります



腐敗に冒されたケイリッドの地にミケラ(ウル王)が訪れ、赤獅子フレイヤの傷から膿を吸い出す治療をしています
このミケラが遠隔の霊体なのかは分かりませんが、このときにフレイヤはミケラ(ウル王)に魅了されます


破砕戦争のその後ですが


破砕戦争の敗残兵で処刑を免れた者は流刑兵となり、多くはストームヴィルと雪原のソール城に身を寄せます


ソール城はミケラに仕える城主が、宿将ニアールを擁し守護する城砦で、破砕戦争時はローデイルの側に属したと思われます

戦後はしろがね人の宿将ニアールが自らの足を切って、敗軍の流刑兵や失地騎士の助命を嘆願したため、二アールは以後彼らの将となります


ストームヴィル城は、ゴドフロアなき後ゴドリックが引き籠り、破砕戦争の屈辱を噛み締めながら、さらなる接ぎ木に耽っていました。息子のゴストークが生まれ彼に無理やり接ぎ木を試すも適性がなく、実の息子に対し使用人のような酷い扱いをしています


火山館ではライカードと一体化した老蛇から生まれた蛇人の娘が死産となります
そこに現れたシャブリリの魂が乗り移り、タニスに大事に育てられます
名をゾラーヤスといいます


二本指は、破砕戦争で勝利できなかったデミゴッドたちを見限り、以後デミゴッドは不死ではなくなります


狭間の地の英雄などを円卓(ローデイル城にある本当の円卓)に集めて黄金律修復人として戦わせましたが、うまくいかず


二本指は、マリカが蛮地に送った褪せ人たちを祝福の導きで呼び寄せます

架空の円卓を作り、そこにバルグラム、ベルナール、ヴァイク、ライオネル、ロジェール、アルベリッヒなど他にもたくさんの褪せ人を呼びました

しかしいまだに王たるを託せる者が現れません


そんな様子を、老いた雪魔女は静かに見つめています。彼女は待っているのです。自分の似姿を纏わせたカーリアの女王、ラニに相応しい褪せ人の伴侶が現れるのを


星が再び動き出す刻が来るのを、ただ何もせず、静かに待っている


死に生きる者、朱い腐敗、暴れる亜人、蛇の冒涜、血に狂う者たち、何もせずとも、愚かなデミゴッドたちが勝手に争った世界には、死と苦痛と混乱が蔓延してゆく


狭間の地に霊が増えることは、霊力を武器とするノクスにとって有利なことです

狭間の地に憎しみや恐れが増えることは、負の感情によって干渉力を高める外なる神を利用するノクスにとって有利なことです


つまり死と混乱はノクスを強くして、エルデを弱体化させる関係にあるのです


老いた雪魔女はそれを見届けながら、ただ刻を待っています。それが、即ち星見です


かつていくつもの星を従える中で培った、支配のノウハウです


褪せ人召喚後のさらに詳しい狭間の地の様子をいくつか記します


ケイリッドで腐敗の眷属が生まれます


腐敗の眷属が人の姿に擬態した、賢者ゴーリーや5人の娘たちも生まれ、そのうちの一人ミリセントは、ウル王に干渉され失くした、マレニアの人間らしい心を受け継いでいました


老いた雪魔女がイジーに打たせたマレー家の執行剣(魂は朱い腐敗の神性)が宝剣として伝わる日陰城では、現当主マレーマレーがマレニアに入れあげるあまり、敷地が腐毒に侵されています


ルー一族の末裔、ネフェリがリムグレイブの霧の森に生まれます。ルーンベアなどを狩猟する戦士として育ちました


二本指はやむを得ずマリカの協力を得ます


マリカは自ら選択して、6人の褪せ人に祝福の導きを与えます


・蛮地の王、ホーラ・ルー
・輝ける金仮面卿
・死衾の乙女、フィア
・忌まわしき糞喰い
・百智卿ギデオン=オーフニール
・まだ名もなき褪せ人のあなた


ギデオンがネフェリを養女にします。彼は褪せ人に、デミゴッドの情報を与え、狩らせ、後に自らがこの褪せ人を狩ることでルーンの独占を企んでいます


老いた雪魔女の人形に霊を宿らせたラニが、ついに動き出します


ウル王の干渉を受けたミケラと影の地で合流し、ラニは彼にトレントを貸与します


影の地の偵察を終えたウル王の干渉を受けたミケラ(以下ミケ爺)は、霊呼びの鈴ではなく、金で自作した霊馬の指笛と共にトレントをメリナに託します。なお、メリナはミケラがウル爺の干渉を受けていることに気づいていません


メリナはトレントと共に褪せ人を待ちます。主人になるべき褪せ人は、トレントが自身で選びます


これまでが、プレーヤーがゲームを開始する前に狭間の地で起きたバックストーリーです

質量にしたら、主人公到着以後の10倍の質量の物語が、明らかに描かれず、テキストや景色やアイテムの中に潜んでいます


多くは妄想の誹りを免れませんが

そう解さないと説明がつかないことばかりです

可能な限りソースをリンク先に併記していますので、ご参照いただければと思います



8.主人公が到着


これは皆さん実際にプレイしてご存じなので、駆け足で見ていきましょう


主人公が王を待つ礼拝堂に着くと彼の指巫女が死んでいます


この巫女を殺したのはおそらくメリナです。メリナは指巫女がいない褪せ人に導きを与えるという取引を行なっているため、巫女がいては邪魔なのです。なお、暗殺術はティシーら黒き刃の刺客の霊体に教わりました。メリナが育って独り立ちした後は、ティシーの霊体は遺灰として、封牢にいる母アレクトーが所持しています。成長後のメリナは影の地に飛んで、メスメルと親交があります


さて、狭間に着いた主人公ですが、接ぎ木の貴公子に襲われて崖から落下
気がつくとメリナに助けられています。取引させられてトレントを託されます


次に会うのはラニ。霊呼びの鈴とはぐれ狼の遺灰を託されます。トレントもはぐれ狼も、もともとの古い持ち主は宵眼の女王(老いた雪魔女)です。トレントのさらに前の持ち主は、祖霊の民が羊などと一緒に捕まえて飼っていました


このときラニはレナ、つまり宵眼の女王の本名で自己紹介します。偽名が実は一番大事な実名だったという、ラニのトリッキーな話法が窺えます


次にストームヴィル城の前でマルギットと会い、顔を覚えられます


次にストームヴィルの地下でロジェールと出会います


ゴドリックを倒し、最初の大ルーンを手に入れます


すると架空の円卓に招かれ、二本指と指読みのエンヤ、鍛治師ヒューグ、鈴玉の双子老婆他さまざまな褪せ人と出会います


モーン城でモーグが血の指エレオノーラなどを使い、亜人を刺激して蜂起させます。これもまた、混種の神性の干渉でしょう


これに対しては、シャブリリの前身ユラが血の指たちを追います


また、シャブリリの魂が入ったラーヤが主人公を火山館に招きます

ライカードと老蛇(デーディカ)を主人公に倒させ、ラーヤは消えます


ユラが斃れると、シャブリリが現れ、ハイータに主人公を三本指まで導かせます


ネフェリ・ルーイベントでネフェリ・ルーがリムグレイブの正統を継ぎ、ストームヴィルの王になります


その先は、プレイヤーさんの選択するエンドです


死王子イベントのフィアは、ゴッドウィンの望む、死に生きる者たちのための律を実現するために、


完全律イベントの金仮面卿は、モーゴットの望む、律を実現するために、


忌み呪いイベントの糞喰いは、モーグの望む律を実現するために、


マリカがそれぞれ呼び寄せた褪せ人等による修復律です


壊れかけの時代エンドの百智卿は、特にエンディングには拘らないプレーヤーのためにマリカが呼んだ褪せ人です


ゴッドフレイに主人公が負けると、おそらく最初の建国の続きをマリカと二人でするのでしょう

これが一番いい気もします。マリカのためにマリカが呼んだ褪せ人がゴッドフレイなのでしょう

皆さん、負けてあげましょう


あくまでラニが俺の嫁、という方のために、ラニエンド進行の物語を書きます



ラダーン祭りでラダーンを倒すと、カーリア王家の星の運命が動き出します


これは、ラニイベントが進むと同時に、約束の王ラダーンイベント、つまりDLCの運命も動き出すことを意味します(ラダーン王の魂が影の地に飛ぶので)


ラニイベントでは、ノクローンへの地下穴が開き、指殺しの刃が手に入ります


セレンイベントではセレンがレアルカリアを急襲。しかし、主人公に色目を使ったためにラニが怒り(他にも理由はありますが)、セレンはラニによって魔術師塊の紅一点にされます


ラダーンに次いでモーグも倒し、DLCの条件をクリアします


影の地へ、追跡者たちと共にミケラの足取りを追います


ミケ爺が一つづつ大切なものを棄ててゆきます。おそらくこれは、二本指の干渉から逃れる、つまりラニが肉体を棄てたのと同じ意味があるのでしょう


愛と共にトリーナが棄てられます


おそらくトリーナが棄てられたとき、大ルーンも壊れ、追跡者たちの意識が、ミケラの魅了から解けます


その途端、協力していた同志が争い始めるのが皮肉ですが、私はそれでも自由意志というものは大事だ、と思います


メスメルを倒してエニルイリムの封印を焼き、頂上の神の門へ


ミケラ神・ラダーン魂・モーグ依り代、これらが合体してミケ(モ)ラダーンとなります


これに勝つか負けるかで、エルデとノクスの勝敗が分岐します


ミケ(モ)ラダーンに主人公が勝つと、


→ 上述のエルデの王エンド4つを選択できます。それはエルデの勢力がノクスの勢力に勝つというエンドです


→ 狂い火エンドを選択した場合、全てが焼き溶かされ、エルデもノクスも何も残らない、イーブン・ドローのエンドとなります。ひょっとしたら、原初混沌からまたやり直すのかも知れません


→ 星の世紀エンドを選択した場合、ラニが二本指を傷つけ主人公を狭間の地から連れ去ります


狭間の地の荒廃は止められず、老いた雪魔女、つまり宵眼の女王が狭間の支配を完了するのでしょう


ラニの律は手の届かない遠い星空にあって、遠隔から統治されます

狭間の生命はやがて、根のような混じり角や腐敗の花、死の灰となった泥濘の土壌となって、植物化し、まさに「見ることも、感じることも、信じることも、触れることも…すべて、できない」状態にさせられます



ミケ(モ)ラダーンに主人公が負けると、


→ノクスの勢力がエルデの勢力を支配します

(しろがね人にとっての)神の帰還、
(しろがね人にとっての)約束の王、
(しろがね人にとっての)約束の地、

が実現します


このときラニは主人公を連れずに一人で星の世紀エンド、つまり、ミケラダーンに敗れて残した主人公の律を使ってラダゴンやエルデの獣に挑むか、ですが、それはしないでしょう。ミケラダーンに王を託すのでしょう


これらに対し、主人公がラニエンドを選んだ時は、同時にミケラダーンを倒せる褪せ人も不在になるのでミケラダーンエンドがセット、ノクスの圧勝です


ただ、ミケラダーンエンドは、果たしてミケラがいいなりになっているエンドでしょうか


ミケラはみすみすウル王の策略にはまるほど愚かでしょうか


答えは否です


実はミケラはノクスの策略にはまったフリをして、逆にウル王を魅了していた可能性があります


というのも、ミケラは全てを棄てるといいつつ、 実は棄ててはいません


右腕を棄てる、と言って残っているし、また、魅了の能力も残しています


つまり、トリーナとの関係を絶っていないのです


実は、愛も残していたミケラは、ウル王に取り込まれたフリをしてウル王を魅了して封じていたのです


なぜそんなことをする必要があったのでしょうか


それは、しろがね人が、約束の神と王を手にいれるまで攻撃をやめないからです


だから約束が果たされたように見せかけ、しろがね人を満足させ、エルデとノクスの争いを終結させる


それが聖樹を訪れたミケラの最初からの目的だったのです


ミケラは全ての生命を平等に扱います

優しい黄金律を実現するために、

・神ミケラ(頭文字Mの子らとマリカを代表)

・王の魂ラダーン(Rの子らと、しろがね人を代表)

・王の依り代モーグ(Gの子らと、混じり角と、外なる神性を代表)

この完全な布陣で、全ての生命を祝福する



これが、エルデンリングの物語の全てです





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