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串刺し公メスメルの考察

DLC発表時から新ボスとして注目を浴びた串刺しメスメル公。蓋を開ければ、ロマンと哀愁溢れる正統ボスで世界中に多くのファンを獲得しました。粛清の聖戦を指揮した彼の姿は多くのテキストが伝えています。しかし、その出生から成長の過程は全くの謎に包まれています。本考察ではその謎な部分を中心に考察します

まずざっと、わかっていることから

・マリカの子。あまりに扱いが酷いことから、貰い子説もあり。自説からは、マリカとラダゴンの子。マリカの取り込んだ禁忌から、巨人の炎と蛇の冒涜を受け継いだ

・現在は影の城に棲んでいる。壺肉巫女を看病する優しい一面も。種の保管庫を抜けた先にいることからアカデミックな事業を運営するインテリな一面も

・肉体的には骨格が歪み、褥瘡のような疵もみられ、蛇の複眼も多数。第二形態では筋繊維がすでに蛇で構成されており、なんというか、人生通じてとても生きづらそう

・部下や友には恵まれている方だと思います。下位のメスメル兵がいて、主力の黒騎士がいる。ここらへんには自分の蛇たるを明かしておらず、それを知った将(アンドレアス)や友(その息子)に裏切られていることを嘆いている。今でこそ蛇を堂々と見せつけていますが、当時は、いつも飼っている蛇が離れないんだ、とかいいながら、できるだけ隠していたのかも知れません。なお、親衛隊の火の騎士は、メスメルが蛇たるを知っています。そして彼らだけは、故郷を追われてもメスメルに忠誠を尽くします。あと、しろがね人たる宿将ガイウスはメスメルと親友です

・レナラの妹、双月の騎士レラーナに惚れられていますが、この点については思うところあるので別に考察します

・角人を粛清した過去を今でも重く受け止めています。上に立つべき者は黄金の一族に限る、という意味での黄金樹至上主義ですが、民としての弱者には優しい一面も。自分がマイノリティだからでしょうか

メスメル関連のテキストを読めば、このあたりの現在の彼の評価にさほど争いはないでしょう

以下では、テキストにない彼の過去について考察します


まず時系列を確定します

串刺し公、メスメルの直属となる 火の騎士たちの尖った兜
彼らは皆、黄金樹の貴族であったが メスメルに忠誠を誓ったが故に 疎まれ、故郷を追われたという

火の騎士の兜テキスト

火の騎士が、もともと黄金樹の貴族だったこと、故郷を追われてることから、この頃既に現黄金樹はあり、狭間の地から影地に左遷されていることが分かります。いつの時点か分かりませんが、マリカとゴッドフレイの新黄金樹政権が樹立され、メスメルの影地とどっちにつくか、みたいな打診があったのでしょう。そうなると、粛清の聖戦の頃には既に狭間の地に新政権があったことになります。従って時系は次のようになるでしょうか

・マリカ神の門で神になる
・ラダゴンと結ばれる(前述)
・影樹(当時の新黄金樹)を立てる(も、歪んでしまう)
・単為生殖でメスメル誕生
・影樹の歪みとメスメルの禁忌、両責任をとりラダゴンは影樹を拒絶の刺で閉ざし、マリカの中に封印される
・影の城中庭、立派な黄金樹の元でマリカとゴッドフレイが成婚(前述)
・マリカはゴッドフレイと共に狭間の地に旅立つ。メスメルは残される
・マリカとゴッドフレイ、巨人戦争を制し、ファルムアズラ攻略。エルデの獣を奪い、狭間の地に黄金樹と黄金律を爆誕させる
・黄金樹の貴族のうちよりメスメルに火の騎士が派遣される
・粛清の聖戦の命がマリカからメスメルに下される
・粛清が終わり、火の騎士たちは影の地に残る
・現在に至る

影の地で見出された黄金樹の祈祷
周囲を弾き飛ばす、黄金の衝撃波を放つ
タメ使用で衝撃波が大きくなる
エルデンリングが砕けた時
影の地の人々もまた、それを感じ 黄金樹の怒りと信じた

彼方からの怒りテキスト

影の地から狭間の地は、その様子が結構伝わり、リンクしてるみたいです

幻影の木の根元で見つかる、黄金の種子
聖杯瓶の使用回数を増やす
(それは祝福で行う)
それは、エルデンリングが砕けた時
黄金樹から各地に飛来した
生命が、自らの終末を悟ったかのように

黄金の種子テキスト

「黄金の輝きを含んだ、影樹の破片
影の地の、マリカの教会などで手に入る」
「それは、影樹が内から壊れるとき
影の地の全土に飛び散るのだといい
黄金樹の民は、それを集めて祈っている」

影樹の破片テキスト

黄金の種子が飛び散ったとき、同時に、影の地では影樹の破片が飛び散った、という理解でいいんですかね

上記時系列のうち、Gの子らが誕生したのは聖戦の粛清の前のタイミングか、後のタイミングか
ひょっとしたら、Gの子らが忌み子だったために、マリカは余計因縁を感じて粛清の聖戦を急いだ可能性もあるんですよね
私はもしかしたら、このモーゴッドとモーグが忌み子であったことで、二本指が非常に機嫌を損ねて、その詰め腹を切るために、マリカには角人を粛清させ、ゴッドフレイも何らかの責任をとるように迫った。マリカはやむなく、ゴッドフレイから祝福を奪い、蛮地に左遷した、という流れすら考えています。もちろんマリカには、夫を鍛えるという目的もありましたが

なんというか、この頃はようやく、マリカとしても気づいたのではないでしょうか。自分に問題があるのでは、と。そして思い当たるのは、壺の中で必死に祈っていたこと。彼らの罪をお赦し下さい。そうして、自分が彼らの罪を引き受けてしまった可能性があり、だから次々と様々な禁忌の子が生まれてしまうのだ、と

そういう不穏な状況なので、かわいい我が子とて、二本指の不機嫌に逆らって地下牢送りを阻止することなど、できかったのでしょう

ほどなくして本格的に坩堝の諸相が禁断のものとなり、ゴッドフレイ配下の坩堝騎士たちも排斥されていったのではないでしょうか

ここらへんは、いずれにせよ、最初から二本指の方針ではありました。マリカの過去を知る角人たちはいずれ葬るつもりだったのでしょう。坩堝の諸相自体二本指の好みではありませんし。

話をメスメルの粛清に戻します

メスメルの中には、邪な蛇が蠢いていた
母は、その瞳を封印の祝福に入れ替え
それでもなお、彼を影に隠した
はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみと共に

串刺し公の追憶テキスト

マリカは、自分や同胞の巫子をひどい目に遭わせた角人たちを憎んでいたのは確かなんですよね。新政権を樹立して盤石にするにはあれこれ大変でしたから、そういうのも一段落して、ある程度兵力も影の地に割ける余裕ができるまで、お預けしてたのもあると思います。いろんな思惑が重なって結局このタイミングで、粛清の命令が下った

そうなると、母は家を出て、父はそれ以前に行方不明になっていて、後はメスメルひとり、本当に何もかも任されちゃったんですね。これはかなり可哀想です

母の願い、粛清の聖戦のために
メスメルは自らを恐怖の象徴とした
嘆きも、呪詛も、ただ私だけを責めればよい

メスメルの鎧テキスト

実際影の地に行くと、角人たちの恨みはメスメルマリカ半々ってところでしょうか。粛清実行犯も相当恨まれるでしょうが、新政権で栄華を誇っていた狭間の地の方にも当然ヘイトが向きますよね

時系列を確定したことにして、ではメスメルの幼少時代を、テキストは一切ないので、心理プロファイリングといくつかの物証・状況証拠から推察します

・生まれたとき、既に母は神、父は王配でした。巫子村ではなく、影の城に居はあったのでしょう

・母は新政権の準備に忙しかったでしょう。新しい黄金樹を作るも歪んでいたり、壺巫女事業をやめさせるために角人たちと鋭く対立したり。影の地には黄金の教会もありました(祝福の瞳膜テキストより)が、角人たちは神獣獅子舞や神鳥を信仰していたため、神人マリカの威光も届きにくかったと思われます。過去の因縁もありますし、角人とは結局最後まで良い関係は築けなかったと思います

黄金樹の祈祷が施された瞳膜
瞳に付けることで、祝福の光を仮初に与える
また、使用により装備した大ルーンの恩恵をもたらす
影の地で、黄金の司祭たちが
信徒の不安を取り除くために用いた
欺瞞であり、故に効果的であった

祝福の瞳膜テキスト 影の地にも人は居て、黄金の教会もあった

・母はこのように忙しく、過分な地位に気が立っています。一方父ラダゴンは、自分の赤髪にさえ絶望する黄金律原理主義者です。当然、巨人の炎と蛇の禁忌を宿す我が子を受け入れることはなかったでしょう。ラダゴンとしても、メスメルを見ると、己の罪人の前世の残滓を見る思いでしょう。かなり辛く当たったのではないでしょうか(これに対して、幼少期の金無垢ミケラは大のお気に入りだったに違いありません)

それと不思議なことに、メスメルは母と父が一緒にいるところを見たことがありません。必ずどちらか一人。それは不思議なことでしたが、なんとなく聞ける雰囲気ではありませんでした。幼いながらに、秘密の匂いを嗅ぎ取ってしまったのでしょう

・そういったわけで、マリカが城を留守にするとき、なぜか父も決して姿を表さないので、幼いメスメルは影の城に一人ぼっちです。寂しい彼はどこに身を寄せるでしょうか。

きっと巫子村です

・巫女村は、貴賤隔てなく生を受け入れる大母の思想が根強い村です。また、神マリカが誕生したことで残酷な壺漬け事業は急速に廃れたはずです。その意味で、マリカの子メスメルは、その禁忌に関わらず、優しく受け入れられたでしょう

・メスメルは巫子村で幼少時代の多くの時間を過ごしました。痛ましい壺肉巫女の手当なども手伝いながら、マリカ不在の寂しさを、ここで紛らわせていたと思います

・メスメルの成長もこの村です。彼の蛇たるはこの村以外では秘密だったため、この村で脱皮などもしました。そのときの抜け皮が今でも村に残っています

・あと、ここで巫女村の興味深い文化についても触れておきたい

色とりどりの布と花で飾られた大槌
風車の村、ドミヌラの祝祭で用いられる踊り子たちの祭具
人としては大きすぎる頭蓋骨で作られ
攻撃命中時、僅かなルーンを得る

祝祭の大頭蓋テキスト

狭間の地、風車村ドミヌラ。老婆たちがくるくる回る謎の村として印象が深い読者も多いでしょう。その老婆たちをよく見ると、向かって右の三つ編みが切り落とされ、左右の長さが不揃いです。これは、マリカ像のマリカと同じ。切り落とした三つ編みを、マリカは大母のうろに供えてきたことから、これら老婆たちはマリカと同郷の巫子村出身の巫子である可能性が非常に高い。彼女たちの踊りは「祝祭」と呼ばれる儀式なのですが、それが物騒で、神肌の使徒と協力して、人や動物の皮を剥ぎ、祝祭脂というバフ素材を作っているようです

遺骨の欠片などを混ぜ合わせた瘤脂
製作可能なアイテムのひとつ
武器に塗り、祝祭の祈祷を付与し
攻撃命中時に僅かなルーンを得る
その効果は一定時間で消える
可憐な祝祭は、古い習俗であり
黄金樹はそれを黙認していた

祝祭脂テキスト

かつて白銀と黄金の姻戚関係時代、ひとときの技術交流があった話をしました。ドミヌラに神肌の使徒がいて、なぜか老巫子たちと平和的に共存しているのも、かつての影の地での習俗が残っていたからなのですね
だとすると、影の地巫子村にも、神肌の使徒が立ち寄っていた可能性が高い。そしてある時期、このような祝祭を行っていたのでしょう。それをメスメルも見ていたに違いありません。同じ蛇の属性をもつメスメルと神肌の使徒(自説からは蛇としろがねの混種です)。互いにどのように見えていたか興味があります。また、この可憐な祝祭の文化は、メスメルが巫子村に身を寄せていたからこそ発祥した習俗である可能性すらあるのです。巫子村はそれだけ、特に蛇に寛容な土壌が培われていた、ということですね

・話を時系に戻します。やがて父はいなくなります。何やら自分の呪われた出生に関連していることは感じました。そのせいで、父は居場所を失ったのだろう、と思いました
やがて母は、新しい男を連れてきました。とてもたくましい屈強な荒くれ男です。母はその男に、自分を会わせようとはしませんでした。そういったことは慣れっこだったので、メスメルはそういうときは余計、巫子村で過ごすようにしました。彼の名がホーラー・ルーということは、人づてに聞きました

母が新しい男と結婚するのそう時間はかかりませんでした。母はホーラ・ルーと新たな王朝を建てるべく影地を後にします(新しい男と出ていく母、辛い。そういえばマリカを売女と罵る角人もいましたね)。その際、メスメルが慣れ親しんだ巫子村の巫子たちも引き連れて出ていきました。老巫子は新天地の風車村に置き、若い巫子は黒き刃に育てるためでしょう。後に残ったのは、痛ましい壺肉巫子たちだけでした

(ちなみに、キャラメイクで稀人顔、というのがあり、必ず老人の顔になります。それは狭間の地で一般に確認され得た稀人が、ドミヌラの踊り子老人たちだけであり、若い黒き刃の刺客はその顔ごと存在がヴェールで隠されていたのでそうなったのでしょう)

・そんな不遇な人生を送ってきたメスメルが、それでも深い慈愛の心を持っているのは、巫子村が常に彼を受け入れていたからというのが大きいと思います。精神・知力・信仰なども、巫子たちのもとで高めたのでしょう。彼は種の保管庫のようなアカデミックな施設の運営にも携わっています(提唱者は火の騎士ヒルドですが、メスメルの承認が必要)。

ヒルドは、賢者ザルツァの友であり
種の保管の提唱者の一人であった
その遺灰は、保管庫の守りとして祀られたという

火の騎士、ヒルドテキスト
ザルツァのフード

火の騎士の賢者、ザルツァのフード
まるで肥大した後頭部のように
余り布が大きく巻かれており
知力を高める
ザルツァは古老ワゴの弟子であり
古遺跡に火をかけぬよう
その首をかけて諫言したという

ザルツァのフードテキスト

ひょっとしたら肥大した後頭部には、忌み角が生えていたのかも知れません。フードはそれを隠すためのものだったのでは。
火の騎士は前述のように、ローデイルにいた貴族出身の騎士です。メスメルの元に送られたということは、マリカもゴッドフレイも忌み角は知っていて、あえて不問にして送ってきたのかも知れません。角は優秀な証でもあります。だから賢者たりえたのでしょう
そんなザルツァだから、坩堝の諸相を残す種や遺跡の保存を提唱したのかも知れません


<種の保管庫から推察するメスメルの心情>

種の保管庫にはおそらくたくさんの原種の標本が
保管されているでしょうが、特に多く目につくのは
角人の文化、とりわけ、坩堝の諸相としての角に関
する標本です

メスメルが粛清を悔い、焼き滅ぼした全てに償い
たい気持ちがあるとしても、神マリカの子として
それを勝手にすることはできません

何より、償い切れるものでもないでしょう

しかしそんな彼に、もしできることがあるとしたら、
角人の文化や坩堝の諸相としての角に光を当て、
目を背けずに、改めてそれらの意味を自分に問い直す
ことだと思います

実際メスメルは、彼らの角には何か意味があるのでは
ないか、と不思議に思いながら、これらを集めている
と思います。もともと大母思想の巫子村で、坩堝の薫
陶を受けて育ったと思うので

全て灰にしてしまった償いに、全てを残している

そんなメスメルの心情を感じます


種の保管庫に吊るされている巨人の正体

全ての坩堝の諸相の塊と、
その発現主と思われる巨人の標本

この巨人の正体については、→こちらで考察していますので、よかったら併せてご照覧ください

こう考えないことには説明がつかない代物です


メスメルに話を戻します

彼は両親に見放されましたが、忍耐強い人間性で部下には恵まれました。そしてマリカの命が下ります。粛清の聖戦。聖戦とは名ばかりの、一方的な虐殺と歴史の隠蔽でした

大好きだった巫女村の、両手を優しく下に広げた大母像が、聖戦の混乱の中で壊されてゆきます。ありとあらゆる坩堝の価値観を破壊したいのは、二本指の切望でした。この戦の背景に、母マリカの憎しみを超える、何か悍ましく壊れた狂気の存在を感じながら、彼は自分を恐怖の対象として同化させ、完遂しました。もうメスメルは自らの蛇を、隠すことはありません

メリナが新黄金樹の下で生まれたのは、後述のようにかなり後の時代になってからだと思います。メリナが褪せ人にそっと寄り添うようにしゃがみ、ぼそぼそ話して消えるのは、彼女がいつもメスメルにそうやって、母マリカの言霊を伝えていることの癖だと私は思っています。多分メスメルはメリナの来訪を救いに感じていますが、メスメルからメリナに積極的に気持ちを話すことはしないでしょう

母は本当に王たるを託したのか
光無き者などに

串刺し公メスメル談


このセリフからは、「メリナから母の企ては聞いてはいたが、まさか本当に褪せ人が来るとは」みたいなニュアンスを感じますよね
なんとなく、今でも彼と母の通信は、うっすら続いてる印象を受けます

<影を仰ぐ露台>
影の地では教区が水没させられていました
水を抜くと影を仰ぐ露台という区画に行けるようになります
影樹の麓や、巫子村を含む区画です
そこに通じる道を封鎖して保護していた
さらに巫子村へは隠し通路を通らないと行けず
その間に黄金のツリーガードを二体置くという念の入れようです

ツリーガードはマリカの祝福という回復薬を持っており、
これはメスメルがマリカから与えられたものなので、
ツリーガードはメスメルが置いたものだと考えます




以上、今回は憶測多めで、「メスメル」について考察しました。
メスメルに関しては、残念ながら王の目は少ないので、多少考察に飛躍があっても、結論に影響しない面があります。なので、性格プロファイル的な考察を多めにしました
次回は「影樹」について考察します






他の考察はこちら↓







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