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ミケラの聖樹とは何か

以前、約束の王ラダーンの考察の中で述べていましたがその後追加の考察も加わり大部になったのでここに独立させます

他方、ラダーンの考察中の表現を簡略化し、詳細をここにリンクすることで読みやすくするのも狙いです

とはいえ、とても長いので一言で本エントリの結論趣旨を述べると、「どうやらミケラはノクスの太祖ウルにその身と心を乗っ取られているらしい」ということです

以下はその根拠を膨大に述べている考察になります

よろしければご覧ください



1.本当にミケラが立てたものなのか?


聖別雪原の先にひっそり聳えるミケラの聖樹
そのことに関してもDLCで一切説明がありませんでした

無垢金の聖樹が描かれた、金属の大盾
ミケラの聖樹に仕えた騎士たちの得物
(略)
しかし、聖樹は醜く育ち
美しい聖樹は見果てぬ幻想となった

聖樹紋の大盾テキスト

聖樹は現在醜く育っているようです

聖樹に関しては、

・なぜ聖樹は醜く育ったのか
・なぜミケラは樹と一体化したのか
・そこからどうやってモーグを魅了し自身を拐わせたか
・そもそも聖樹はミケラが作ったのか
・しろがね人にとっての約束の地とは何だったのか(約束の王との関連は)
・なぜ針の騎士たちは足並みが乱れ粛正されたのか

等が謎なので、考えていきます


聖樹でのミケラの目的

聖樹に仕える騎士たちの胴鎧
左胸には、聖樹の紋章が描かれている
ミケラの血を受けた、聖なる芽生えの若木
だがそれは、遂に黄金樹とはならなかった

聖樹騎士の胴鎧テキスト

このテキストによると、ミケラは聖樹に自らの体を接ぎ木し、黄金の血を注ぐことで、それを黄金樹化しようとしたようです
このときはまだ神になろうとは思っていないようですね。とにかく新しい黄金樹を立ててみれば、マレニアを治せるかもしれない。マレニアの宿痾に無力な現黄金樹に代わって。そう思ったのではないでしょうか
しかし神であるマリカがかつて立てた影樹でさえ、黄金樹としては力が乏しかった。やはり、エルデの獣の潤沢な生命タンクを宿さないと力強い生命力を樹に注ぐことは困難なようです
そうして聖樹でマレニアを救う計画は失敗に終わりました

ところで

この聖樹ってミケラが立てたのでしょうか
とても大きく古く、立派な木ですけれど

聖樹の支えエブレフェールもとても大きい構造物です
もしこれをミケラが作ったとしたら、若いミケラが黄金律原理主義と王都ローデールを捨てて、少なくとも破砕戦争中にモーグに連れ去られるときまでに全部作り上げたことになる
ですが、かなり若いミケラとマレニアの家出兄妹に、そんなことができるでしょうか。王家はラダゴンに乗っ取られてマリカはまず人格を顕現できない。二人から資金援助もないでしょう

大きな木を作ろうにも、ラダゴンが作って立てた小黄金樹教会の黄金樹がようやくこの大きさです

ちょっと曲がった黄金樹
自説からはこの黄金樹とここに残された言霊は
ラダゴンのものです


ミケラが建てた聖樹が、短期間であそこまで大きくなるでしょうか?
巨大建造物を建てる支援は。ソール砦の城主? ミケラを崇拝するしろがね人たち? 無理でしょう
結論として、ミケラの聖樹は名前こそミケラですけど、おそらくそれは現在そこを占有しているのがミケラである、という意味だけで、それを彼が立てたとは考えにくいです
実際に、聖樹を観察すると、ミケラとマレニアの抱擁像とその土台だけ汚れや経年の風化が少なく、他の設備より真新しいのです。つまり後付けされた

だとすればもともとあった施設にミケラが間借りして、ミケラのためにゆかりのある像やその土台が新設され、祈祷室の家具や配置した騎士たちも後付けされたのでしょう

そしてエブレフェールの土台に掘り込まれたレリーフにミケラの姿はなく、主にあるのは王笏を持ったとんがりフードの老人、まるでウル王のような意匠です

王笏老人
エブレフェールに掘り込まれた古いレリーフは
ミケラがテーマではない

では、そんな奇妙な聖樹とはいつ誰が、何のために立てたのでしょう?
今一度聖樹を観察してみます

聖樹は2本、幹があります

一方はやや捻れた古木ながらも樹として立っています
サイズは黄金樹や影樹にくらべればはるかに小さいものです

さらにもう一本、まるで接木しているように奥に生え、太い幹は朽ち果て内部が空洞になり成長をやめている

接ぎ木したかのような2本の幹
下の尖塔や構造物は支えとなる
エブレフェールです


奥の方の朽ちた一本、その底に
ミケラの抜け殻とマレニアがいる


結論から申しますと、奥の方の朽ちた一本
これがミケラが作ろうとした聖樹でありそのなれの果てです

そして手前の一本はまた別のものです
詳細を以下に論じますが、これは実は土台のエブレフェールと共にミケラの作ったものではない

では誰がどのような目的でいつ作ったのか。それは後述するとして、外観の観察を続けましょう


外観。遠くからしか見えないのですが、
これは日陰城裏の崖から臨んだものです

古老の枯れ木のような佇まい
影樹とも似てます

はっきりと見える場所はないのですよね
次に、聖樹の枝から見たものです


左に捩れかけて、真っ直ぐに戻る


これはラダゴンが立てたと思われる
小黄金樹の形に似ている

右に歪んで左に戻る
なんだかよく似ている形です

これはどういうことでしょうか
ただの偶然でしょうか?
気になりますが、ひとまずこれも後回しです
次に上から見た地図です


聖樹は海に立っています
海上、小さな6角形の同心円が 17個ほどあります
これなんでしょう
神授塔に似ていますが……


尖塔、ヘルフェンのそれを思い出します
霊を導くことと関係があるのでしょうか
かなりたくさん建っています
色は金のようです

海に無数に建てられたのは尖塔です
実際は上図のような樹の支柱のようですが、尖塔はこの世界ではヘルフェンの尖塔のように死者を導く意味があります
神授塔と類似の機能を持つとしたら、これは死にまつわる鎮魂の塔
狭間の地の6つの神授塔の中心に、影地の鎮めの塔があります
これらの塔は、霊にまつわる宗教施設である可能性が高い

また、ずっと不思議だった聖別雪原の名
何を”聖別”しているのでしょうか
聖別雪原の先に典霊街オルディナがあり、聖樹への行手を阻んでいる
だとしたら、聖樹を”聖別”(人や物を聖なるものとして、他の被造物と別のものとすること)している、と考えるべきではないでしょうか

まとめると

・とても巨大な樹と台座の施設
・とても古いもののようである
・宗教的な尖塔や聖別の言葉から宗教施設である
・しろがね人が、約束の地と崇拝する

これらから、もしここで祀られているものがあったとしたら、とても身分の高い霊や神、あるいは王では
しろがね人の、身分の高い王で、樹


自説からはしろがねの太祖
ウル・カーリア王

そういえばウル王って、どんどん樹木化しちゃってましたけど、その後どうなって、どこに行ったのですかね?


下半身からどんどん樹になってく・・

聖別雪原は、そこに行くまでに、樹の霊体や墓標が無数にありました
まるで、山全体が一つの霊園のようでした

その霊園の奥
典礼(公の礼拝・儀式)街のさらに奥

それは、完全に樹木化したウル王の墓なのではないでしょうか
いえ、単なる墓を越え、墓標それ自体が、巨大な樹木となった、ウル王本人なのだとしたら……

周りを囲む尖塔は、聖別雪原中の霊的な力を集めてウル王に送り込む霊命維持装置のようなものなら

この巨大な施設の理由や存在意義。

父想いの宵眼の女王が、当時ファルムアズラで隆盛を極め、二つの巨大な永遠の都を一族のために建てられるくらいの権威を持っていた

ならば、父の遺体(樹木)のために荘厳な霊廟を建てるのも可能でしょう
それくらいの重大な意味のある施設です

家出したミケラ少年が作ろうとして、失敗したものではないのです

そうすると、聖樹……いえ、ウル樹と呼びます
ウル樹と、ラダゴンの小黄金樹の形が似てしまった理由も説明がつきます

ウル王と、ラダゴンに転生したラダゴンの最初のトロルの王子ラダは、実は祖父と孫の関係です
だから木の形が似ていると説明できます

祖父 ウル爺のなれ果ての木


その孫 (ラダゴンの魂)ラダが立てた木


そう考えると、聖樹とは、しろがね人の太祖、ウル・カーリア。ウル爺の樹、というか、ウル爺そのものです
ウル王が樹木化したときに、娘の宵眼の女王が極北に聖別して、ご神木として崇めたもの
それならばしろがね人が聖樹を「約束の地」として神性視するのも理解できます

彼らの太祖がそこに祀られているのですから
これはミケラとの約束ではなく、しろがね太祖としろがね人たちの約束だった

ではミケラはしろがね人にとって一体何だったのでしょうか


2.聖樹にとってのミケラの意味



<エブレフェールの王家の幽鬼>

聖樹の支えエブレフェールには「王族の幽鬼」が5体も
出現します

王家の幽鬼は主にリエーニエ地方に出現します

「月の民の廃墟」 貴人の魔術師
「月の貴族の廃墟」 王族の幽鬼2体 幽鬼の従者
「王家領の廃墟」 さまよえる貴人 王族の幽鬼

これら廃墟は全てリエーニエに点在します

幽鬼はおそらく、ノクスの傍流王族の遺体を蜘蛛が食し、
しろがね混合種化した姿だと思います(手足が8本や繭の糸)

これはノクステラ(ウル王朝から遷都後の王都)の
難民がリエーニエ各地に散らばり、そこに棲み着いた
名残だと思います

貴人の魔術師、さまよえる貴人も同様です
貴人はほぼ死者に近い状態なので歩けるのではないで
しょうか
さまよえる貴人は西リムグレイブにも見られます
ノクローンは貴人以下の月の民が暮らすミドルタウン
だったのでしょう

これらエネミーの所在は、永遠の都に棲んだ月(ノクス)
の民の地位や、月の民が滅亡したのちの難民の分布を探る
手がかりになります

このような王家の幽鬼がエブレフェールに最も集まっている

これは、聖樹とその支えが本来ノクスの王族にとても近い
施設であったことの証左です

このように、王家の幽鬼の存在一つを見ても、ここはミケラ
の建てた施設ではないのです



王家の幽鬼 白い キモい 手足8本

聖樹にとってミケラは何だったのか
上記の自説によると、ミケラはしろがねの太祖ウル王と、接ぎ木してしまいました

ミケラ……それ、同化しちゃあかんやつや




①まずウル樹に自分の聖樹を接ぎ木したのが失敗だった
②そのため血だけではなく、自身を接ぎ木して育てようとするも、もともとあったもう一本の樹に宿っていたウル爺に、自身の聖樹と、ミケラ自身を乗っ取られる
③さらにエオニアで華を咲かせ針を抜いたマレニアが滞留したことで両方の樹木に腐敗が広がった
結果このような朽ちた哀れな双樹になってしまったのではないでしょうか


その結果ミケラは……


こうなった

んんん?
上の画像、左の紋章は、宵眼の女王の治世、ファルムアズラ時代の黄金樹の紋章です
ミケラ、あんさん完全に原初黄金樹化、つまりウル爺化してるやんけ
ご丁寧に真ん中螺旋編みまで一緒です
螺旋の意匠に関してもう少し掘り下げましょう

切り返す双樹など
らせんの意匠


ミケラのデザインには螺旋が多く取り入れられ過ぎています

ミケラの針


角人の文化に照らすと、それは坩堝化、ファルム時代の先祖返りでしょう
若いのになぜ、ミケラはらせんが好きなのでしょうか

もともとミケラはラダゴン主導の単為生殖の子です
ラダゴンの影響が強く出ている
ラダゴンの魂が、ウル爺の孫のラダを継いでいましたし(記憶はないが)、
その後さらに聖樹で肉体が、ウル爺と同化していたので、より強く先祖帰りしているのでしょうか

螺旋の他にも、ミケラがノクスに強く干渉された可能性を示唆する要素があります

琥珀の星光のあった場所
なぜにマレニアとミケラの像が

琥珀色に輝く、儚い細片
束の間に流れた星光の残滓
星光が運命を司るとすれば
琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ
特別な精薬の材料となる
人の身で口にすることはできない

琥珀の星光テキスト

琥珀の星光というアイテムがあります
セルブス絡みで傀儡を作るためのアイテム、星光の欠片
その上位版で、デミゴッドでさえ傀儡にできる効力がある
ラニに試そうとして失敗したものですが、これが拾える場所にはなぜか
聖樹と同じ、ミケマレの像があるのです
ラニと同じく、ミケラとマレニアもまた次代の神人候補でありデミゴッド
琥珀の星光が効くはずです

<蛸たまと聖血の木の芽>

この琥珀の星光が落ちている場所には、ミケマレの像
の他に、陸蛸がたくさんおり、さらに聖血の木の芽も
生えています
これらが無関係にあるのではないとしたら、暗示する
ものは何でしょうか

蛸たまは人血の溜まった卵巣を持つところ、それは血
に満たされたミケラの繭を連想させます
また聖血の木の芽は幼き聖血を与えたミケラの聖樹を
彷彿とさせます

マレミケの像とミケラの血を匂わせるアイテム
聖樹と琥珀の星光の関係が推知できる配置ではないで
しょうか


この琥珀の星光の物語上の意味も長らく不明でしたが、
次のような経緯があったとしたら、その意味が理解できます

①ミケラは若い頃、マレニアの宿痾に無力な黄金律原理主義を見捨てた

②だが、ミケラもマレニアも若く、行くあてがない。そこに聖樹の存在を知る。親切にしていたしろがね人に誘われ、聖樹を寝城にすることを受け入れて、聖樹に血を注げばマレニアを治せるかもしれないと考える

③しかしその聖樹は、ノクスの太祖ウル王が樹木化した姿だった。うっかりそれと接ぎ木して寝城にしてしまい、そのときミケラたちにこの「琥珀の星光」が使われ、しろがね人のいいなりにされてしまったら……?

マレニアは、主人公と初めて見えたとき「……長い、夢を見ていた」と意識が混濁している様子ですし、ミケラに至っては聖樹と一体化しているという説明困難な、訳の分からない状態になっている

もしかしたら、琥珀の星光でウル王にいいなりにされてしまっている可能性がありそうです

<ミリセントのセリフ>

マレニアの分け身(娘)のような存在のミリセント
のセリフ

「…私はマレニアに、返したい
かつてマレニアのものだった意志を
朱い腐敗の呼び声に、人として抗う矜持を
あのラダーンに伍するために、彼女が打ち捨てた
戒めを」

からも、マレニアは聖樹に滞在している間に
人としての心を失う覚悟を完了しまっているらしき
ことが指摘されます


他にもノクスの影響は考えられます
祝福「排水路」という名から、エブレフェールには排水施設があることが分かります。そこから濁った排水が注ぎ込む先にマレニアの滞留する聖樹の底があります
二人はそこに長く滞在していました

影の地でメスメル軍が懸命に浄化しているのがノクスの成分の混ざった泥濘の土壌であることを考えると、マレニアが滞在しているこの泥濘んだ場所も、かなりノクスの成分による身体への影響がありそうです
ミケマレの二人が聖樹で汚染されてしまった可能性がある

以上まとめると

①ミケラはウル王の肉体と接ぎ木して同体化してしまった
②琥珀の星光を使われたふしがある
③マレニアと共にノクス成分の排水に長く浸っていた
④神人眠りの繭でしろがね式の再誕をした
これだけノクスに干渉される契機が認められます
その結果


こうなりました

こうなっているのだから、おそらく宵眼の女王やウル王に干渉されてる可能性が高い

みなさんDLCでミケラの様子がちょっと怖い、思ってたイメージ(マレニアに優しい無垢な少年)とちょっと違うので引っかかってたのではないでしょうか。しかし、何らかの洗脳や乗っ取りがあったとしたらしっくりくる

ウル王とミケラが混ざって坩堝になっている
あるいは、ミケラが魂も肉体もウル王に乗っ取られている

断言できませんが、その可能性が高い演出が多くなされている

なので、その仮定で話を進めてみましょう

目覚めたウル王の魂は、ミケラの肉体に乗り移っている。そのハイブリッドの存在を仮にミケ爺とかウル王(inミケラ)としておきますが、そのミケ爺は、生き霊としてモーグのもとを訪れ、ミケラの能力を使ってモーグを魅了します。そして破砕戦争中に自身の肉体を攫わせて、モーグウィン王朝に移動
繭の中で同衾して、モーグに血を大量に輸血させた
干からびたミケラの肉体に血が満ち、若い姿を取り戻しました

<モーグウィン王朝の装飾>

血の王朝はシーフラの流域にありますが、あれも
明らかにモーグが作ったものではなく、古いノクス
の施設をモーグが間借りしているものですよね

赤いしろがね2世はモーグに使役されているように
見えて、実はモーグを利用するためにこの施設に導
いた手引きだったのかも知れません

血の繭の祭壇には、下半身が樹根化して消滅した
ウル王の彫像が無数に飾られています

もともと時期がくればこうするために予め用意された
ノクスの施設
ここでウル王はミケラの姿を借りて繭から復活する

同様に時期がくればそうするために予め用意された
ノクスの施設であるエニル・イリムの神の門で、次は
神として復活する手はず

それが「約束の王と神の帰還」として”白い”樹皮の
秘儀の巻物に記されていた

としたら全てが辻褄が合います

その約束された計画の、モーグもミケラも駒に過ぎ
なかった、という場合の考察です


血の王朝に老人像がたくさんあった
理由が 明らかに


ウル王のために太古に用意された施設
血の王朝の祭壇も、エニル・イリムの螺旋塔もその為の施設
ウル王は神としていつか影の地に帰還する


でも待って、ウルって王であって、神でないのでは?

ではこれをご覧ください

神肌の使徒の背中
ウル爺?

神肌って常々、どの神の肌を剥いでるんだろうと思いました
エルデの敵だからエルデの神の肌を剥ごうとしている危ない輩
みなさんもなんとなくそう思ってませんでしたか?

しかし、これを見るとどうやら違うようです
ノクスの民にとって神はウル王
だからウル王の肌を剥いで着ている
それが神肌

この点しろがねは植物人間ですから、樹皮を剥ぐ感覚で皮が剥げるのでしょう
神肌が神肌である以上、彼らが着ている肌の持ち主であるウル王は、彼らにとって神に相違ない

”すべてのしろがね人(ノクスの民)を救済するために、神となって帰ってくるよ。待ってろ、我が民よ(ウル王談)”
そのような「約束」が、太古、ウル王としろがね人の間にあった(きっと)

この血の祭壇で輸血した理由の一つは、ミケラが聖樹のテストで血を使い果たしてしまったから
血を十分に注いで再誕しないと、あの干からびた亡者のような幽鬼の姿になってしまうのかも知れません

あとはモーグの肉体強化用ですね。便利なことにモーグは、天をニーヒルすればいくらでも血が降ってくる能力を持っています

ミケ爺はモーグを魅了して、神の血液と、依り代の肉体を確保します

破砕戦争が終わり、ミケ爺の機が熟します

ノクスの末裔の女王、ラニが主人公を拐かし、気に入り、ラダーン祭りが開催され、ラダーンの魂がケイリッドの神授塔を経由して、影の地の鎮めの塔に送られる

ミケ爺の帰還が着々と準備されます

①神 ……ミケ爺
②王の魂 ……しろがね末裔ラダーン
③依り代 ……混じり角のモーグ(坩堝)

見事にノクスの要素を持った3つの素体が揃いました

ミケ爺は影の地をめぐり、ミケラの肉体や残滓(それらはエルデの要素)を次々と断捨離して、神になる

それならばトリーナも止めるはずです

「…ミケラを、止めて
あの子を、神にしないで…」

「あの子にとって、神は牢獄
檻の中の神は、誰も救えない」

「…ミケラを、殺して
あの子を、許してあげて…」

聖女トリーナ談

神は牢獄

確かにそう

ウル王に意志も魂も肉体も乗っ取られているのだから

この、ミケラ → ウル爺化に気づかないと、なぜトリーナはミケラを殺せとまで言ったか理解できないと思います

「神は(ウル王に操られ従うだけの)牢獄」
そうなったら「誰(に)も救えない」
「(これからウル王に操られてとんでもないことするだろうけど、あの子は悪くない)あの子を、許してあげて……」

的な意味になります
(トリーナもそのことに気づいているのならはっきり言って欲しいところです)

泥人と神託の使者の一致

このように解すると、聖樹や王都にいた神託の使者は、ミケラではなくウル王(神)復活の神託のラッパを吹き鳴らしていたのかも知れません

リエーニエの地下にあったウルの王朝遺跡入口には、たくさんの泥人たちがいました。ウル王の大きな石像の足元、彼らもノクスの神の到来を告げる神託を宣る者たち

神託の使者
泥人

神託を探す古い王朝の神官、そのなれの果て
小さなシャボンと、大きなシャボン
二種の魔術を用いる」

泥人の遺灰テキスト

そんな泥人たちの放つ神託のシャボンのテキスト

「古い王朝の神官たる、泥人たちの魔術
(略)
泥人たちは、シャボンの内に失われた神託を
探し
ている」

神託のシャボンテキスト

一方聖樹には雪だるまの神託の使者がいて

「聖なる術を使う、人ならぬ楽団の霊体
神託の使者たちは、新しい神、あるいは時代の
予兆として現れ、神託の笛を吹き鳴らすという」

神託の使者たちの遺灰テキスト

新しい時代の予兆を知らせていました

これはミケラの時代の預言かと思っていましたが、
よく考えれば彼らは本来ノクスの神の時代を知ら
せる者ではないでしょうか

だとしたら、雪だるまの告げる新たな神とは……

泥人たちがウル王の石像の下で探していた
「失われた神託」と重なるのだとしたら……

彼らは見つけたのかも知れません
ミケラではない、前に失くした、別の神の到来を

その神が、すなわち太祖ウル王

いろいろめくれてきましたね

聖樹での奇妙な動き

「約束の王」、「約束の地」

しろがね人がずっと言っていました
初期の段階から

我らしろがね人には、約束の地があるのじゃ
先ほどの割符は、その地に至るための、鍵なのじゃよ

しろがね村アルバス老談 その地とは、ミケラの聖樹

…光よ、我に道を示したまえ
約束の聖樹への道を!

祝福「聖別雪原」の幻影談

かつて、カーリアの親衛騎士であった彼女は
しろがねの安住の地を探し求め、旅に出た
そして、聖樹の未来に、それを託したのだ

ローレッタの親衛騎士兜テキスト


これらには一言も、「ミケラとの」約束とは書いてありません
そもそも聖書などで登場する約束の地とは、通常、彼らの神と民の約束の場所なのですね

そう考えると、ローレッタやレダの動きも色々説明できます


<ローレッタの意味>

ローレッタがカーリアの親衛をやめ、棄教して
ミケラに仕えたように見えたのも、実はミケラ
・マレニアが聖樹たるウル爺に害をなさないか
監視するためだった

つまり、ミケラを守ると見せかけて、ノクスの
太祖ウルとの約束の地である聖樹の親衛に回った


<レダの意味>

「かつて、騎士団の同志たちを貫いたその剣には
陰りなく拭われてなお、血の匂いがこびり付いている」
(レダの剣テキスト)

「針の騎士たちは、かつてミケラに仕えたが
今はもう、誰も残っていない 唯一人を除いて」
(切り返す交差樹テキスト)

この仲間割れも不思議でした
ミケラの騎士団でなにがあったのか

ミケラが原理主義化して暴走したからだと考えれ
ていましたが、ウル爺にミケラが同体したことで人が
変わったように騎士たちに見えたとしたら
その変化に、レダだけがいつまでも盲目的で気づかず、
謀反と捉えて仲間たちを粛清しまくったとしたら
色々と納得です


他にもミケラの変節を示すテキストは無数にあります


神の知恵、神の誘惑。ミケラこそ
もっとも恐ろしい神人なのだから

マレニアの戦兜テキスト


これは、ミケ爺化した後のミケラのことを、マレニア……排水でノクスの細胞を取り込んでノクス化が完了してしまったマレニアが、そのことを仄めかして言っているセリフと思われます。本来ミケラは心優しい少年でした。マレニアのために心を砕いてくれた。それをここまで恐ろしがるというのは、すでにミケラが(マレニアも)ウル王の怨念に心を乗っ取られているからではないでしょうか


無垢金で作られた翼の兜
ミケラの刃、マレニアの装備
彼女は、抜け殻の足元でミケラを待ち続けた
兄さまが、約束を違えるはずがない

マレニアの戦兜のテキスト


だとすると、この兄さまとは、一般にラダーンを指すと言われていますが、もしかしたらウル王のことを言っている可能性さえあります
しろがねには、祖先のことを兄姉、子孫のことを弟妹と呼ぶ文化があると解されるので(詳細は「しろがね人に関して押さえるべき2つのこと」をご参照ください)
そうでないとしても、あれだけ大切にしていたマレニアを、ミケラがDLCで一顧だにしないのも、すでにウル王に乗っ取られて目的が変わっているから、と考えると(悲しいですが)納得できます

若きラダーンの黄金の兜
英雄の赤髪を誇る、獅子の装備
ミケラの刃、マレニアは
エオニアに腐敗の花を咲かせるその時
ラダーンの耳元で囁いたという
ミケラが待っている約束の王

若獅子の兜テキスト

ラダーンにしても、彼はレナラの血をひくしろがね人の末裔ですから、しろがね太祖には逆らえません。ウル王の帰還の礎になることは、種としての宿命。生まれる前から決まっていた約束。しろがね種族としてこの上ない栄誉。二つ返事で王の魂となり影の地で待機するでしょう(なお、太祖ウルの螺旋塔での重要性についての名残りは「エニル・イリムの抱擁像は誰か」の考察もご参照ください)

ミケラの変節を表すテキストは他にもあります

あの方は、化け物です
純粋で、輝きに満ち、ただ愛によって人の心を漂白する
…私はあれが、心底から恐ろしい
…褪せ人殿。私は、ミケラ様が恐ろしい

老兵アンスバッハ談


これもそうです。海千山千のアンスバッハをして素直に恐ろしいと言わしめるほどの存在。ウル樹に一体化してウル爺化したミケラを裂いて引き剥がし、血の王朝に連れてくる手伝いをしたのはアンスバッハかも知れません。そんなミケ爺とやりあった後のアンスバッハの感想です。純粋で無垢だった頃のミケラを、アンスバッハは知らない

繭の内で、眠り続けるのであれば、それでよいが
あるいは、滅ぼすべきかもしれんな
ミケラ、あればかりは得体が知れぬ

百智卿ギデオン談

ここに言うミケラは、ミケ爺でしょう

無垢金の聖樹が描かれた、金属の大盾
(略)
しかし、聖樹は醜く育ち
美しい聖樹は見果てぬ幻想となった

聖樹紋の大盾テキスト

もう一方の聖樹が現在醜く育ってしまったのも、ミケラがウル王に乗っ取られてしまった結末と考えれば納得できます(ミケラが作るものは本来繊細で美しく全て完璧なものでした。理由もなく醜くなるはずはないのです)

いずれにせよ、もう私たちが知っていたミケラとマレニアは、ウル爺の聖樹に取り込まれた後には居ないのです……悲しいですが

数々の手がかりからこのように解さざるを得ない
私もこんな説を唱えたくはありません
恨むなら二人をこんな目に合わせたフロムさんを恨んで下さい

容赦ないノクスの民の闇

私が裏エルデンリングをめくって最終的にお伝えしたかったものです

しろがね人は確かに被虐されていました

しかし水面下では強かに王になる機会を窺い時代を動かしていた

どこまでも王になるチャンスを求めて

隙あらば王をねじ込んでくる

ラダゴンの魂に王子ラダ
ミケラの肉体にウル爺

2回もぶっ込んできましたからね

おそろしいです。終盤の金銀のオセロ、その隅取り合戦

ミケラがとっくにノクスの勢力に乗っ取られていたこと
まだ信じられませんか

ではこちらをご覧ください


これよりは星の世紀
月の千年の旅

星の世紀エンド ラニ談

上記は前回詳述したバッドエンド、ラニエンドのセリフ

私は、誓います
優しき千年の旅

主人公魅了完了時 = ミケラダーンエンド ミケ爺談

これは、主人公を魅了してミケモラダーンが勝利した時のセリフ
つまり約束の王エンドのセリフといっていいでしょう

完全に対応しているのが分かります

さらに、ミケラには没セリフもあります

…我は誓う
すべての生命と、すべての魂に
これよりは楽園の世紀 優しき理、千年の旅
すべてよ、愛だけを思うがよい
何者も、何ごとも、排することなく、罪することなく 私が全てを抱こう
…共に行かん ラダーン、我が約束の王よ

ミケ爺の没セリフ

楽園という言葉は、嘆き人と対応しています
彼らは樹根化し何も見ることも感じることもできなくなる
それが楽園の人の有り様とするのがノクスの侵略です

植物のように感情も全て失くさせる
「愛だけを思う」「排することなく、罪することなく」
これ、植物にならないと無理です
自由意志と律動があれば、人は多かれ少なかれ罪を犯すものですから
それすら許さないという理になります

それは次のラニの理と完全に一致します

生命と魂(略)は遥かに遠くにあればよい
(略)見ることも、感じることも、信じることも、触れることも
…すべて、できない方がよい
だから私は、(略)この地を棄てる

魔女ラニ談

これもそうです

見ることも、感じることも、信じることも、触れることも
…すべて、できない

は、嘆き人のような植物化、樹根化を想定しています
ミケラダーンエンドとラニエンドは、同じ終末を予定しているのです

これもそうですね

冷たい夜、はるか遠くに思うがよい
恐れを、迷いを、孤独を

魔女ラニ談

①恐れを、
②迷いを、
③孤独を

これはミケラが

螺旋塔の十字で棄てたもの ①恐れを
青海岸の十字で棄てたもの ②迷いを
大穴の十字で棄てたもの ③愛を

に対応しているように思います

二つは意図的にリンクしているのです

さらに、螺旋塔エニル・イリムがエルデのためでもましてや角人のためでもなく、ノクスの王族のために建てられた施設であることの根拠として、こちらの考察もご覧ください → エニルイリムの抱擁像は誰か

ノクスの末裔であるラニと
ノクスの太祖であるウル王(inミケラ)は、ノクスの千年王国実現のために完全にシンクロしていた

主人公がミケラに敗れれば、おそらくラニはそのまま狭間の地を支配するエルデンリングを携えて星の世紀に旅立ちます
もはや狭間の地の支配者はミケモラダーンで確定
そして、律と民を完全に分けて、他のノクステラに隷従する星々と同様に、エルデの地を遠隔統治するのでしょう

これは主人公がミケラダーンと対決せず、最初からラニを選んだときも同様です
主人公がラニと共に狭間の地を去ってしまえば、エルデの地でミケラダーンに敵う相手はいなくなります。同様に、ノクスの勝利確定です

ラニエンドというのは、そのような約束の王エンドとセットのラストなのです
ノクスの完全勝利、エルデの敗北

ノクスの完全勝利の先にあるのは、全ての民の植物化、樹根化です(おそらくノクステラの都の巨大な遺体を見上げていた無数の奇妙な人体のような姿になります。あるいは全員嘆き人のような何も見ない楽園の姿になります)

ラニエンド

それは果たして幸せなトゥルーエンドなのでしょうか?

それは前回で考察したとして、さらにミケラがノクスに乗っ取られているという推察に話を戻します

さらに読者さまよりご指摘いただいた点を私なりの解釈と表現で以下に記載します

<ミケラがノクスに乗っ取られているように見えるその他の兆候・演出>

・ミケラがトレントに乗り影の地にいるティザー画像、および
約束の王ラダーンにおぶられている。これはいずれもミケラが
「誰かの背に乗っている」つまり、「自ら歩行できない」こと
の表れでは、というご指摘です。確かに言われてみれば、これ
は私が見落としていた、自説でいうところの「非歩行カムフラー
ジュ」の一種たりえます。ミケラが聖樹に結合後しろがね化して
いたことを示唆する一つの根拠として、「誰もミケラが歩いてい
るのを見たことがない」というのが挙げられます(一方しろがね
人ラダーンは成人後歩行不能でしたが、モーグの肉体を依り代と
することで歩行可能となっています)。ミケラの思い出の中の
ミケラもひざまづいて、歩いていないんですよね。。あれは檻の
中のミケラの心象風景だと私は解しているのですが、ひざまづい
ている……

・ミケラとマレニアの抱擁像も同様に、(しろがね人のごとく)
ひざまづいたものです。マレニアは身は乗っ取られていないよう
なのでマレニア戦で歩けますが、ウル爺にミケラはどうなのでしょうね

・その他、星(夜)の雫というノクスアイテムとミケラの魅了の
効果の類似性、暗月への”恐れ”とミケラの”恐ろしさ”の表現の重畳
などもご指摘いただきました

総じて、ミケラのしろがね化、ミケラのノクスへの接近が意図的
に暗示されているように見える点で同意します

とても参考になりました


3.ミケラの完敗なのか

以上、とても長くなりましたが、一言で言えば「ミケラ、ウル爺に乗っ取られてるよ」ということです

ではミケラはそのようにノクスの勢力に完敗しているのでしょうか
ミケラはそんな簡単に負けるほど暗愚なのでしょうか

実はそうではない
ミケラは会心の奇策を仕掛けている。その兆候がある、というのが自説です

このミケラの反撃は「約束の王ラダーン」の考察の終盤で論述しています。よければそちらもご覧ください


他の考察はこちら↓




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