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各地の幻影達の言葉の意味たちの考察

こんにちは、考察界の幻影、考える金仮面卿です
今回もエルデンリング考察、進めてまいります

<考察の指針>

なお、本考察は体系に矛盾なく、テキストにも
則する範囲で、比較的自由に物語を膨らませて
います

そういう解釈も有りなのか、と楽しみながら
読んでいただけると幸いです☺️


本考察も、ほぼ一回りしました
特殊な切り口からの縦断的考察を2つしていきます


・ラダゴンが残した拒絶の刺たち 
・各地の幻影達の言葉の意味たち

今回は「各地の幻影達の言葉の意味たち」

狭間の各地には、死んでも死にきれず呟き続けている幻影がいます

彼らのセリフは謎に満ちつつも、重大な秘密を明かす手がかりとなりえます

今回はそんな幻影たちのセリフの意味に迫っていきます


1.リムグレイブ


「…褪せ人よ。飛び降りるがよい
そして学び、思い出すがよい
戦う術を。自らが戦士であることを」

学びの洞窟の入り口の幻影談(以下略)


謎度★☆☆☆☆

学びの洞窟はゲーム開始直後のチュートリアルです
その案内をする内容になっています




「…正しい死とは、すなわち、黄金樹に還ることなり
待ちなさい。根が貴方を呼ぶ、そのときまで…」

嵐の麓の地下墓


謎度★★★☆☆

この幻影は、還樹の一般的な理解を教えてくれます
狭間の地では祝福を受けられない者は、死したら狭間の中心、影の地へ送られることがDLCで明らかになりました
そこで悠久の時を越えて輪廻転生を待つ
それが運命の死というもののようです

一方、祝福を受けた者や、名誉ある死を遂げた者は環樹という転生の機会を賜ります
黄金樹の根の側に埋められることで、黄金樹を通じて同一記憶、同一IDを保ったまま、生まれ直しができるのが環樹であり、正しい死です

それには時間が掛かる場合があるが、樹が呼ぶまで待て。それが黄金樹信仰における正しい死である、と幻影は教えてくれます

さらにこの言葉は、ミケラが黄金の墓標テキストで言っていた「正しく死んでくださいな」という言葉が、狭間の地で一般的な弔いの言葉であることを知らせてくれます

また、これが嵐の麓の地下墓であることから、ストームヴィル城に関連している言であることが分かります。死王子イベントとの関連も示唆されることから、自説からは、この幻影の言葉は、ゴッドウィンがストームヴィルにいたことの手がかりの一つになると考えます



「…子樹よ。ああ、偉大なる黄金の子樹よ
結晶の雫は、もう満ちただろうか?」

宿場跡の北

謎度★☆☆☆☆

この幻影のいる宿場跡は、セレンの霊体が蟄居してた場所です

この幻影のセリフは、結晶雫が小黄金樹の雫から生まれることを知らせるものです

もしかしからこの幻影は、宿場跡で研究を続けるセレンの使いの霊体、あるいはセレン自身の霊体の分身が、結晶雫を集めている姿かも知れませんが、考えすぎでしょうね




「…猛っている。母を攫われた亜人どもが
どこにいらっしゃいますか、ケネス様
あの騎士は、血に狂っています…」

ハイト砦の北

謎度★★★☆☆

これはモーン城で亜人が一斉蜂起した理由の手掛かりとなる言葉かも知れません

血に狂っている騎士とは、おそらく血の指の一人、その中で騎士の姿をしているので、エレオノーラだと思われます

亜人の母というのは、考えうるのは亜人の女王ギリカ・マーゴ・マギ。DLCではマルガも追加されましたね。このうちの誰かがエレオノーラに拐われたのでしょうか。そこはよく分かりません

拐ったのが血の指とすると、破砕戦争のモーグvsゴドリックの因縁がまだ続いてるようにも思えます

この血の指を討伐しているのが血の指の狩人ユラ。そこからシャブリリイベントに繋がります 

詳しくは三本指とシャブリリの考察回をご覧ください

この幻影の言葉は、そのような血の指を指揮するモーグと、シャブリリを監督する三本指の対立関係を示していると思います



「…なんということだ。我らの死地が穢れている
おぞましい。黄金樹に還るを拒み、死んでなお生きるなどと」

死に触れた地下墓

謎度★★★☆☆

死王子が死にきらないことを嘆いているエルデの民の幻影だと思われます

この地下墓では死の根が手に入るので、それに関連しての内容でしょう

ただ、この幻影はもう少し訳ありで、「死に触れた地下墓」の入り口に座っています

この地下墓の名前に関しては、死に触れた、という言葉に違和感を覚えます

地下墓は本来死にまつわるものですから、あえて死と書くからには死王子の特別な「死」の理由と関連しているのでしょう

そして死王子に関連した「触れる」という言葉は

「けれど私は、陰謀の夜を調べる中で知ったのです
彼らは何も侵していない。ただ懸命に生き、それ故に、律の傷に触れてしまっただけなのだと」(魔術師ロジェール談)

というロジェールのセリフと繋がります

もしかしたら触れる、とは陰謀の夜の秘密に触れる何かがこの地下墓に置いてある、という意味かも知れません

この「死に触れる」地下墓を調べてみる価値がありそうです

この点この地下墓では死の根が手に入る他、ボスを倒すと緋色の凶刀というタリスマンが入手できます

緋色の凶刀

いわくありげな、おどろおどろしい呪物ですね
そして登場するボスがこちら

「黒き刃の刺客」と表示されますが……

でもこれ、何か大きくないですか
通常のローデイル兵より大きい
アレクトーやティシーと比べてみて下さい

黒き刃の刺客ティシー 小さい

ティシーのサイズはこれくらいです。女性なので、これが本来でしょう

しかるに、上のボスは確かにスリムではありますが、上背が主人公以上

他にもう一人、同じく死の根を守る「黒き刃の地下墓」の「裏」ボスである黒き刃の刺客が、別の地下墓で登場します。その姿がこちら

やはり大きい

「死に触れた地下墓」のボスと同じ種族でしょう。ティシーや長アレクトーと比べると、背が高すぎます。さらに、これを見て下さい

典礼街オルディナの黒き刃の刺客

典礼街オルディナの刺客。やはり大きい。主人公と太もものサイズを比べてみてもその大きさが分かります

ティシーやアレクトーはマリカと同じ稀人の種族と解されます。つまり巫子村出身の巫子ですが、どう見ても典礼街や地下墓のボスたちは別の種族です

少なくとも黒き刃の刺客には、ティシーなどとは別にもう一種族いる

もしかしたらそれが、死に触れた地下墓が触れている、陰謀の夜の秘密なのかも知れません

詳しくは陰謀の夜の考察の回をご参照ください

その地下墓の入り口にいる幻影は、そのような秘密への導きなのかも知れません




「…我が最期に、戦いを。戦士としての戦いを
祝福の導きよ、だのになぜ、この扉は開かぬのだ…」

闘技場の門前

謎度★☆☆☆☆

リムグレイブ闘技場の幻影

リムグレイブなので、ゴッドフレイではなくゴッドウィンが建設した闘技場である可能性もあります

野蛮という理由で、闘技場はラダゴン治世下において閉鎖されてしまいました

「かつて黄金樹に捧げられた闘いの
儀式の剣を模したタリスマン
王配ラダゴンの時代、捧闘は廃れてしまった
各地に残る闘技場は、その名残である」
(捧闘の剣のタリスマンテキスト)

王配といっても、マリカとラダゴンは同時に顕現できません
この頃のラダゴンは、二本指に気に入られており、マリカとの地位が逆転している可能性があります
故にマリカに肉体の主導権はなく、ほぼラダゴンの独裁状態だったと思われます

この幻影は導きを失った褪せ人で、ゴッドフレイ統治時代を知る戦士なのでしょう。最後にかつて捧闘で慣らした腕を披露したく扉を叩いたが、運悪くラダゴン統治下でそれは開かず、成仏しきれない霊体なのでしょう

ラダゴン政権下で剣技による強さの価値が薄れ、学問による黄金律の探求が優先されるようになった

そのような変化を、この幻影は知らせている気がします




「…巫女様、巫女様、どこにいらっしゃいますか?
どうか、私のブドウをお受け取り下さい」

ストームヴィル城、玉座とリエーニエの連絡路

謎度★★★☆☆

これは後述の、リエーニエでブドウを語る幻影と繋がる話だと思いますので、そちらで一緒に詳述します





「…霊廟がさまよっている。魂無きデミゴッドを抱いて
おお、永遠の女王マリカよ。貴女の、醜い落とし子を抱いて」

啜り泣きの半島、巡礼教会の入口

謎度★★★★★

これは……ちょっと触れにくい話なので
いつか「禁域の考察」としてまとめて書きたいと思います



「…おお、あれが、あの塔がそうなのか
やっと帰れるのか。黄金樹の麓、我が故郷に!」

啜り泣きの半島、第四マリカ教会の近く

謎度★★★★☆

この幻影のセリフは、かなり難解です。
啜り泣きの半島なので、ゴッドフレイと共に蛮地へ左遷された戦士(褪せ人)が赴任先で無念の死を遂げ、亡霊となって狭間の地へ帰ってきた

そのような素性の幻影だと思われます

そして見上げた先には、かつて太陽の都と呼ばれたリエーニエ北東の城砦、その城門の名残である小高い塔がある

それは現在の狂い火村。狂い火の灯っている塔を幻影は遠く見つめている
(太陽の都が現狂い火村である考察は→こちらをご覧ください)

そうして、故郷ローデイルに想いを馳せているのでしょう

この幻影の言葉は、謎に包まれた太陽の都の場所や役割、作られた時期や滅亡した時期を考察するのにとても重要な役割を果たしました

ぜひ上記リンクをご一読くださいませ




「…ああ、助けてくれ。俺は貴族なんだ
あいつらに、混ざりものどもに喰われたら、俺も永遠に…
ああ、それだけは嫌だ、穢さないでくれ!」

啜り泣きの半島、モーン城の城壁牢

謎度★☆☆☆☆

このセリフの内容から、モーン城、亜人蜂起イベント中の被害者と思しく、つい最近の幻影だと思われます

「あいつら」「混ざりもの」とは亜人を指すのでしょう。亜人の蜂起により逆に牢獄に捕えられた貴族。ローデイル貴族なので本来であれば死んで還樹を賜るのでしょう。しかし、亜人たちに喰われればそれはできない。通常の輪廻転生の死。IDガチャで転生するので、それが彼らにとっては「穢れ」だということになるようです

おそらく私たちの一般的な価値観ですと、輪廻転生を信じる信じないに関わらず、輪廻天性というのは場合によっては動物として来世生まれ変わるかも知れないものです。そして死後どう混ざろうと私たちにはどうすることもできない。けれど、黄金の民にとってはそれはあり得ない穢れらしいのですね

この幻影は、エルデの貴族の死生観と、亜人や混種が日頃どのように差別されているかを知らせていると思います

以上がリムグレイブの幻影たちです
リムグレイブは、ローデイル王家とゴッドウィンをめぐる闇深な場所なので、幻影等によって明かされる闇も深く濃くなる印象です


2.湖のリエーニエ


「…ああ、傀儡だ…
傀儡どもが、襲ってくる…」

リエーニエ街道北

謎度★★☆☆☆

リエーニエ南西に位置する、リエーニエ街道北にいる幻影の言です

この近くには街道見張りの塔があり、今でもリエーニエ戦役時に任にあたっていたと思われる兵士の霊が複数います

カーリアの騎士は20名に満たないらしいですが、おそらく代わりに沢山の傀儡が戦役で活躍したものと思われます

ラダゴン率いる主力軍に対して、20名の選りすぐりのカーリア騎士が防衛し、挟撃する南からのローデイル兵たちを、傀儡からなる部隊が防衛した。そんな戦の様子が妄想できます

その実態が分からない、ローデイル兵たちを震え上がらせた悪夢の傀儡部隊。どんなものだったか見てみたいです
ひょっとしたら学院に突入して捕えられ、傀儡化された、かつての仲間のローデイル兵だったかも知れません




「…レアルカリア、尊大なる魔術の学び舎よ
なぜ、その門を閉ざす?私は、輝石頭を被れぬのか?」

門前町の橋の手前

謎度★☆☆☆☆

リエーニエ戦役よりもっと後、破砕戦争以降の学園の門をたたく学徒希望者。その幻影だと思われます

レアルカリア学院は破砕戦争時不干渉を貫くため、南北の門を閉ざし、以来そのままとのことです(トープス談)。

これによりトープスのように学院を締め出されたか、あるいはそもそも入学させて貰えず、無念の死を遂げた幻影だと思います

尊大、不遜、傲慢

これは主にローデイル王家に投げかけられる呪詛に用いられる言葉です。学院閉鎖時期、実権を握るのは源流派で、源流派はローデイル勢力の魔術師であることから、このように侮蔑されるのでしょう




「……
…さあ皆、暗い地下から出ておいで
巫女様に、我らのブドウを差し上げよう」

浄化された廃墟

謎度★★★☆☆

「巫女様、巫女様、どこにいらっしゃいますか? どうか、私のブドウをお受け取り下さい」

リムグレイブで前述した幻影と、この浄化された廃墟の幻影は同じ集団だと思われるので、ここでまとめて考察します

自説では、かつてゴッドフレイが蛮地に左遷される際、立ち寄ったモーン城では、すでに一体の混種の英雄のみがいました。その一体を除いて、他の城の兵力は全て、流水の剣を会得したシャブリリ一人の手によって壊滅させられていた状態でした(シャブリリの考察回参照)

シャブリリがリムグレイブで暴れていた頃は、ちょうどゴッドフレイがファルムアズラに攻め込んでいた頃だと思います。そのときおそらくモーン城は亜人の支配下に、ストームヴィル城は古竜たちの支配下にありました

亜人たちを滅ぼしたとき、シャブリリはモーン城にいたファルム王権下の巫女たちを切らずにおいたため、彼女らは北に逃げました。シャブリリとその信徒たちは、ファルム防衛に援軍を送ったために空になったストームヴィル城の、玉座とリエーニエの連絡路を通って、北に逃げた巫女たちを探します

それが上記の「巫女様、巫女様、どこにいらっしゃいますか? どうか、私のブドウをお受け取り下さい」という幻影のセリフだと思われます

さらに北、リエーニエ街道南にこの「浄化された廃墟」にシャブリリたちは到達します

モーン城の巫女たちに、ストームヴィルに残っていた巫女たちも合流し、おそらくこの廃墟(当時は村)の地下に逃げ込みました

それをシャブリリたち狂い火の信徒に発見され、誘き出されてしまう。まさにそのときのセリフがこの「暗い地下から出ておいで」という幻影の言なのでしょう。かなりホラーです

巫女たちはここでシャブリリのブドウを食べさせられ、三本指の巫女にされました。村人たちには狂い火が伝染され、ここは狂い火の蔓延した危険な村になったのでしょう

後に派遣されたローデイルの部隊によりこの村は焼き払われ、住人ごと「浄化」されました。故にこの村の跡は「浄化された廃墟」

その名残りとして、地下室にはシャブリリのブドウ、そして浄化の証として「二本指の伝説」のタリスマンが、共に置いてあります

あくまで妄想ですが、そのような流れなら、この二つの難解な狂い火関連の幻影の言葉を説明できそうです



「…天球儀よ、後世に伝え給え。星と月の理を
そして、永遠に隠し給え。王女の罪を」

カーリアの書院

謎度★★★☆☆

これはラニイベントでラニからカーリアの逆さ像を渡され、それを使うべく赴くカーリアの書院への扉、そこにいる幻影の囁きです

逆さ像で天球儀を回すことで、主人公はリエーニエの神授塔へ登れるようになります

そこでラニの遺体に残された死の呪痕を見つけます。これは陰謀の夜でラニがゴッドウィン殺害に関与したことの証拠となりますから、その秘密を指して「永遠に隠し給え。王女の罪を」と祈っているのですね

また、「星と月の理」とは、星、つまり太陽と、月の支配が表裏一体の関係にあり、太陽から月へ、オセロゲームのように逆転することになる、という意味でしょう

実際にラニエンドは、DLCのミケラダーンエンドと複合することで、エルデの支配が完全にノクスの支配に移る結果になることが、こちらのミケモラダーンの考察回で考察されています

よろしければご一読下さいませ

この幻影の台詞は、カーリア王家と、物語の結末に関する重要なヒントを示していると思います




「…ああ、あのお方は、狂っていなさる
愛も、復讐も、狂い火に焼き溶かされていなさる」

復讐者のボロ家の近くの岸辺

謎度★★☆☆☆

これもモーン城イベント関連の情報を与えてくれる幻影です

「あのお方」とは、城主エドガーを指します。エドガーは娘のイレーナを殺害犯を探し出すうちに復讐の炎に憑かれ、瞳に狂い火を宿します

モーン城での亜人蜂起は、シャブリリの前身、血の狩人ユラが、血の指たちを追い詰めて狩る、という一連の流れ、その発端となる事件でした

その中でエドガーの娘が殺害されたり、その復讐に駆られたエドガーが狂い火に冒されたのはある意味偶然だったと思います。ただし、もしかしたらシャブリリがこの事件で近くに居たせいで、狂い火の神性が呼び寄せられやすくなっていた、そのせいでエドガーの発狂に狂い火が降りてきた。だとしたら限りでシャブリリが影響を及ぼしていたかも知れません

「愛も、復讐も、狂い火に焼き溶かされていなさる」
愛と復讐は、娘イレーナを思う心で表裏一体です

娘イレーナの肉体がハイータに乗っ取られたのか、メタファーNPCとして偶然その後現れたのかは分かりません。その回答の手がかりまでは、この幻影は与えてくれないようです

私は三本指の考察を通じて、知能の高さや人らしい情は、実は二本指より三本指の方がある、という評価に至りました。唯一、狂い火の火種を確保するために非情になりますが、それ以外は黄金の勢力を助ける、縁の下の力持ち的存在です

詳しくは、三本指とシャブリリの考察回をご参照ください




「…この村は、もうおしまいじゃ
ああ、アルバス老。貴方だけでも、どうか、息を潜めて…」

しろがね村

謎度★☆☆☆☆

文字通り、アルバス老に息を潜めてと忠言する幻影ですね
アルバス老は、このしろがね村の長で、聖樹に向かう割符を護ることから特に大切な存在です
足がないので、逃げて、とは言えないのが辛いところです

この村の近くには堕落調香師がいることから、彼らの作る秘薬の原料を採取するために村を襲撃していると推察されます

忌み潰しの銅鎧のテキストには
「心の壊れた虐殺者 忌み潰したちのローブ 
彼らの祖であるロロは、古い調香師であり」
とあり、しろがね人を虐殺する彼らは、もとは調香師であることが分かります。アルバス老のいう「呪殺者」も、彼らのことでしょう

なお、この幻影と関係ありませんが、しろがね村の位置は、リエーニエの南に位置します。リエーニエの北にはカーリアの王家領があり、しろがね村の周辺には、月の民の廃墟、月の貴族の廃墟があります。これらはみなノクスの民が永遠の都を追われた先の住処だったと考えます

おそらく破砕戦争や源流派との争いの中で破壊され、残っているのがしろがね村だけになっているのでしょう




「……ああ、ヴァイク様、貴方は王ではなかったのですね
どこにおわす?我らの王、狂い火の王よ
我らを別け、隔てる全てを、焼き溶かしてくだされ
ああ、世に混沌のあらんことを!」

鎮めの教会の近く

謎度★★☆☆☆

鎮めの教会近くの幻影です

この教会には、レアルカリア東門から北東に斜面を登り、狂い火の塔を経て狂い火村、さらにその先の斜面を登ってたどり着きます

そのことから、狂い火の発狂や苦痛、伝染を鎮めるために二本指の巫女たちによって建てられた教会だと推察します

そこには現在、巫女の死体があります。おそらくそれがヴァイクの巫女であり、彼を愛したとされるランサクスの遺体と考えられます

「竜槍の二つ名でも呼ばれたヴァイクは
ランサクスが、最も愛した騎士であった」
(ヴァイクの竜雷テキスト)

また、

「ヴァイクは、かつてエルデの王に最も近づいた
褪せ人の一人であったが 突然に王都の奥深くに潜り、
狂い火に焼け爛れた
それは、己の巫女のためだったろうか
あるいは何者かが、唆しを囁いたのだろうか」
(指痕の兜テキスト)

兜に、三本指のものと思われる指痕が残っていることから、狂い火を拝領する手続きにおいて全裸になることを徒過しており、そのためにヴァイクは混沌の王になりそなったとみられます

「我らを別け、隔てる全てを、焼き溶か」すの内容あたりは、後にハイータが伝える三本指の言葉に近く、狂い火イベントを進めないと得られない情報であることから、それを一般エンド進行にも周知させるためのインフォメーション幻影かと考えます




「…ああ、イジー様、申し訳ございません
この王家の地を、お預かり致しましたのに
私たちは、何もできませんでした…」

王家領の廃墟

謎度★★★☆☆

王家領の廃墟にいる幻影

単に王家領とありますが、それがカーリア王家であることが、「イジー様」という言葉により明かされています

お預かりする、という言葉から、この領地はかなり歴史ある土地だったことが伺えます。だとしたらイジーは相当昔からカーリア家に仕えており、王家領を預かるような地位の高い幻影からも敬われるほど高位の存在であったことになります

鍛治とは神事(鍛治術のタリスマン参照)であることから、私たちの思う鍛治師よりもずっとイジーは政権中枢に近いトロルなのかも知れません

代々のカーリア王女に使える軍師というのは、自称ではなさそうです
宵眼の女王、あるいはラニの傀儡であるジェーレン(自説)も、しきりにイジーの名を口にしていますし、ひょっとしたら王家の宰相だったりするのかも、と妄想しています

イジーについての貴重な情報を提供してくれるこの幻影の謎度は、ちょっと高いです




「……ラニ様、ずっと、お待ちしておりました
どうか、王家の復興を
カーリアに、満月あれ…」

カーリアの城館

謎度★★☆☆☆

カーリア城館の幻影。家臣でしょうか

これも、いつの昔から待たれていたのか、王家の復興とはいつの時点からを指すのかによって深読みもできますが、素直に考えると次のようになると思います

ラニの幼い頃に、父ラダゴンが母レナラを棄て、神マリカの王配となりました。それによりラニはローデイル王家の外戚となりデミゴッドとなったまではいいのですが、夫に棄てられたショックで母レナラが病んでしまい、学院の派閥争いでは、源流派の巻き返しを許してしまいました

ラニがレアルカリアで魔術を修めていないのは、通わなかったというより、源流派の支配が強過ぎて通えなかった、と言う方が正しいかもしれません

ラダーンがサリアで学び、ライカードがゲルミアの古い魔術を復興させたのも同様な理由だと思われます
母が大きくした学院で、その子らが魔術を学べない、というのは悔しかったのではないかと推察します

そんな王女が実質的に不在の中、ラニは遺跡の迷路のあたりの森で、老いた雪魔女に師事し、古の冷たい暗月の魔術を学びます

そうしてしばらく過ぎた頃、剣碑に残された、カーリア城館防衛戦が起こります
学院の支配で勢いついた源流派は、雇ったカッコウ騎士を使い、ついにカーリア城館を攻め込みました

そのピンチに駆けつけたのが、冷たい魔術を修め、城館に戻ったラニです。ラニはその圧倒的な魔力で、たった一人でカッコウの軍勢を退けました

カーリア城館防衛戦
卑劣なるカッコウどもの屍場

リエーニエ剣碑テキスト

上記剣碑はそのときの記録ですね

その後ラニは、名実ともにレナラからカーリア王女の地位を継ぎ、王家を背負って立ちます。まだ陰謀の夜の前、ラニに本来の肉体があった頃のことです

この幻影はおそらくそのときのもの
カッコウに立ち向かっていたところをラニに救われた従者の一人が、「ラニ様お待ちしておりました、カーリア王家の復興をお願いします」と涙した。そんな経緯を伝える幻影だと思います

この幻影の言葉は、先の剣碑と合わせてレナラからラニへの当主交代のときの様子を伝える貴重な証言かも知れません

そう考えると、例えば後に主人公が星を動かし、セレンを連れてきたセレンイベントにて、セレンに魔術師塊の技を掛け封じたのも、おそらく当主のラニだったと推察されます

母レナラは病んでいるし、レナラ第二形態を見ても分かるように、母の戦闘はおそらくラニの作り出す幻影が担当し、後見しています

セレンを対処し、源流派との長い争いに決着を付けたのはラニ

だとしたら、ラニを何よりも怒らせたのは、源流派との長い因縁や、セレンの残虐性ではなく、セレンが主人公に色目を使ったことだったのかも知れません




「…きっと、どこかにあるはずだ
黄金樹の麓に戻る、もうひとつの道
…古い坑道が」

デクタスの大昇降機

謎度★☆☆☆☆

デクタスの大昇降機にいる幻影です

アルター高原、祝福「黄金樹を臨む丘」から北東方向に位置する旧アルター坑道というショートカットがあることのヒントを教える、メタ的な幻影ですね
特に謎はありません



3.ケイリッド



「……腐っていく
何もかも、朱く腐っていく…
ケイリッドの地も、魔術街サリアも
もう、すべて終わりなのじゃ…」

腐敗を臨む露台

謎度★☆☆☆☆

リムグレイブとケイリッドのちょうど境にある、腐敗を望む露台
そこにいる幻影のつぶやきです

ここからケイリッドのエリアが始まることから、さらに先では様々な場所が腐敗しているよ、とアナウンスする幻影ですね

ケイリッドの幻影はこのタイプが多く、特に謎は担っていないものが多いです




「…祭りを、戦祭りを…
そしてラダーン将軍に、戦士の誉れを…
頼みましたぞ、ジェーレン殿…」

ゲール砦

謎度★☆☆☆☆


腐敗を臨む露台の真南、ゲール砦の幻影です

ラダーン祭りがかなり唐突に開催され、特に説明なく参加させられることから、その不案内を補うためのガイド的な幻影だと思われます

・ラダーン祭りは、戦祭りであること
・それは憎んで争うのではなく、戦士の誉として弔う戦であること
・その主催者がジェーレンという老人であること

などが簡潔に示されています
特に謎はありません




「…尊いことじゃ
エオニアの最初の花は、正にこの地で咲いたのじゃ
…マレニア様、貴女は女神になりなさるのじゃ」

エオニア沼の北の崖上

謎度★★☆☆☆

エオニア沼北の幻影です

マレニアがこの腐敗の発端であることを説明しています
そしてそれが、やや常軌を逸した信仰にまで発展していることを印象づけます

DLCの追加により、そのような信仰は単なる盲信でなく、腐敗の外なる神の力が作用しているらしいことが判明しました。そしてこの神性に取り憑かれるとき、ローデイル王家になんからの呪詛が向けられている可能性が高い(外なる神伝承のタリスマン参照)ことから、注意喚起の幻影ともいえそうです




「…どうか、もう一度だけ見せておくれ
朱い腐敗に舞い踊る、貴女の美しい剣を」

エオニア沼の岸辺

謎度★★☆☆☆

これも同上です

片手剣士の伝承タリスマンでは、マレニアと思われる少女が盲目の剣士に師事して流水の件を会得していることが分かります

この盲目の剣士は青衣の踊り子という妖精から剣を教わっています

この妖精はどうやらシーフラ河に関連しているらしく、シーフラ河の清流の淀みない浄化の力によって、エインセル地下の腐れ湖、腐敗の神を封じた逸話があります

シーフラはケイリッドの地下
ここケイリッドの地でマレニアの剣技を舞踏と表現する幻影は、腐敗を封じる踊り子の剣技との関連性を示唆するものと考えます




「……
…渇く、渇くぞ…
…竜よ、お前たちの力を寄越せ
その心臓を、喰らわせろ…」

竜塚の西

謎度★★☆☆☆

龍塚の西にいる幻影の呟きです

竜餐にも神性があり、人を人でなくさせること、正気を失わせ、歯止めの効かない渇望に囚われることなどが本編とDLCを通じて明らかになっています

特にDLCでは、竜餐の巫女フローサクスが登場するところ、巫女は神と交信する神職ですから、竜餐が外なる神の神性の一つであることをより強調している気がします

エーゴンというぶっ壊れキャラがDLCでは登場し、まさにこの幻影のように竜餐に取り憑かれていますね

暴竜ベールの巣食うギザ山が、本編とDLCの重ね地図ではケイリッドに近い場所にあるので、この幻影は、エーゴンのような人間が実は多くいることを示唆しているかのようです

さらに考えを進めると、古竜戦役で古竜と渡り合うために竜餐をしたであろうゴッドウィンの安否も気になりますが、この幻影からそこまで推し及ぼすのは難しいので、謎度は低めに設定しました



4.アルター高原


「…おお、黄金樹、黄金樹よ
揺るぎなく聳える、黄金の律よ
どうか導き給え。我らの、エルデの王を
そして、世界に修復を…」

アルター街道の三叉路

謎度★★★☆☆

アルター高原、街道の三叉路の幻影

アルターはアッパータウンなので、よい身分の黄金樹信徒でしょうか
この狭間の地での、模範的な黄金樹信仰の信徒の態度がこれであると解されます

皆新たなエルデの王を待ち侘び、世界の修復を熱望している
王が現れるまでは、ずっと彼らは導きを失ったまま、亡者のように彷徨うしかない現状を表しているのでしょう




「…マレー家はもう終わりじゃ
汚らわしい、欠け身の醜女などに心奪われるから
あのような咎人に、城と宝剣を奪われるのじゃ」

日陰城、内門

謎度★★★★☆

エルデ王家に代々仕え、罪人の処刑を請け負う名門マレー家
現在はマレーマレーが当主を務める日陰城、その内門の幻影です

そのまま読めば
・マレーマレーがマレニアに心奪われていて嘆いている
・マレニアに興味のない者にはマレニアはどう映るか知らせている
・城には宝剣があること、そしてそれは咎人エレメールに、城と共に簒奪されていることを伝える幻影です

しかし、DLCクリア後に改めて読むと、城主の狂信状態がすでに、腐敗の外なる神性の干渉を受けていることが疑われる、危険な状態です

またここまで来ると、ある一つの事実に思い当たります

<なぜマレー家の執行剣が伝説の武器なの?>

マレ家の執行剣はなんだか少し地味な気がします
例えばエルデの獣を倒した後に手に入る「神の遺剣」の方が伝説にふさわしい気がしませんか
しかし神の遺剣は「伝説の武器」に含まれません

この違いはなんでしょうか

実はこれら伝説の武器は、全て外なる神性やエルデ・ノクスの神性(大いなる意志・ノクステラの月)に関連しているのです
そしてこれらは全て、エルデの王家に災いをもたらしています

・モーン城での亜人蜂起 ……「剣接ぎの大剣」 宝剣、伝説の武器
・日陰城の腐毒化 ……「マレーの執行剣」 宝剣、伝説の武器
・ケイリッドへの隕石落下 ……「遺跡の大剣」 宝剣、伝説の武器
・火山館の蛇の冒涜、攻略戦の惨戦 ……「世界喰らいの王笏」 伝説の武器
・王都の王子を蝕む竜餐・古竜信仰 ……「グランサクスの雷」 伝説の武器
・王都の王子を蝕む死 ……「蝕のショーテル」 伝説の武器
・ラダゴンの赤髪、巨人の呪い ……「夜と炎の剣」 伝説の武器


そして武器の製作は単なる鍛治でなく、そこに神性の魂を固着させる神事であることが、DLCで明らかになっています(鍛治術のタリスマン参照)

これらの武器が実は呪いの神性を宿していて、エルデの王家に厄をもたらしているという考察については、伝説の武器が9振りに限られる理由の回をご参照ください

私自身はこの日陰城の幻影の言葉でこの考察に至りましたので、あえて謎度は高めの★★★☆☆にしました




「…ひぃ…、祝祭の歌が聞こえてくる…
…嫌だ、嫌だ…、剥がないでおくれ…
俺の皮は、穢れているぞ…」

風車村

謎度★★★☆☆

可憐な老婆が笑いくるくる回って踊る風車村ドミヌラ
丘を登ると神肌がいたりして、謎に包まれた村です
その謎を解く僅かな手がかりをくれるのが、この幻影の言葉だと思います

ドミヌラの可憐な祝祭。テキストを見ると、様々な動物の皮を剥がして、祝祭脂なるアイテムを制作する儀式のようです。それはルーン獲得の祈祷を付与するアイテムで、かつて影の地で巫子村がボランティア事業の資金となったであろう稀人のルーンを生み出すための儀式だった、と自説では解しています

興味深いのは、それを神肌と協力して行っていること
この幻影のセリフと合わせて様々な祝祭関連テキストから導かれるのは、決して巫子たちが神肌に命じられてやっているのではないことです
そこから、むしろ神肌と巫子の技術提携ではないかと私は考えています

この幻影は「俺の皮は穢れている」と言っていることから、おそらく咎人なのでしょう。人の皮剥ぎも行われていますが、罪人に対してしか行わないのではないでしょうか

巫子と神肌が技術協力していた事実は、かつてファルム王権下で宵眼の女王が神人として古竜王の伴侶になり、黄金と白銀が共に統治に当たっていた事実を推認させる数少ない手がかりの一つであるため、謎度を★★★☆☆にしました




「…ライカード、我が主よ
これが、この穢れた戦場が、お前の望む冒涜ならば
私はもう、付いてゆけぬ
誰も、お前には付いてゆかぬぞ…」

罪人送りの道

謎度★☆☆☆☆

罪人送りの道、火山館の北に位置するこの道で呟いている、ゲルミア兵の幻影の言葉です

ゲルミア騎士の胴鎧テキストには、
「かつて法務官ライカードに仕えた騎士たちの胴鎧
今はもう、誰も掲げない紋章が描かれている
覇王の雄心が、下卑きった貪欲に堕した時
彼らは、使えるべき主を失ったのだ」
とあります

かつては覇王の雄心とまで謳われ、配下の信も厚かったであろうライカードが、破砕戦争での落城の危機や火山館攻略戦の惨戦の中で冒涜に手を染めたこと
そのため家臣を地獄に叩き落とし、やがて誰も追いてゆかなくなったこと
それらを証言する幻影だと思われます

<マレー家と火山館>


アルター高原と火山館を繋ぐ「罪人橋」

容疑者は、「謁見の道」を通り、火山館の法務官のもとへ

黒団子などを用いた拷問の後、有罪となった者は

火山館北の「罪人送りの道」を通り日陰城へ

罪人の通る道は未検証ですが、捕縛から執行までの流れも
きちんと設定してありそうですね




「ひ、ひひ…、愚かな連中よ…
お前たちに、見つけられるものか…」

「ひ、ひひ…、私だけは、生き延びてやる
火山館に戻ってやるのだ…」

ライード砦

謎度★★★★☆

すみません、これはお手上げです。誰か教えてください
現在の確信が持てない、推せない考察、仮説を記載します

前述のように、忠臣さえも逃げ出した火山館
そこに戻る必要のある人間は、よほど特殊な用がある人です

思いつくのは二人

あらゆる姦通と不義をなした女性、デーディカ
そしてそれがもたらした厄災を封じんとする、シャブリリ

この幻影はすでに亡者ですが、肉体を乗り移って生き延び火山館に辿り着いていることを重視するなら、シャブリリ
見つけられないのは顔の皮を剥がしたから、「私」という一人称が女性を表すなら、デーディカ

デーディカとすると、考えられる物語は、次のようなものになります

かつてゲルミアの街で生まれた女性デーディカ
彼女は邪悪な蛇の神性を宿していたため、ゲルミアを追放されました
諸国を彷徨い不義と姦通を繰り返し様々な異形の子をなしたため、顔の皮を剥がされ、追われ続けます
デーディカは破砕戦争後の混乱に乗じて、再びゲルミアに戻ってきます
その時の思念がこの幻影として残っているのでしょう
彼女は再び火山館に戻り、そこで老いた大蛇となります
そしてデミゴッドやライカードを喰い、蛇の子を産み続けます
その中に死産の蛇の子がありました
この老蛇を退治するため火山館に潜入したシャブリリは、その死産の子に魂を宿します
タニスに可愛がられて育ったその蛇人の名はゾラーヤス。ラーヤはライカードと老蛇デーディカを滅ぼすため、主人公の褪せ人を招きます
そして屠らせた後は、拙い手紙と共にデーディカのタリスマンを残して消えます

「ひ、ひひ…」というヤバげな精神状態は、ちょっとデーディカっぽいので、仮にそうしておきます(火山館イベントについてはシャブリリ考察回で詳述しているので、そちらもよければご覧ください)

ここはかなり妄想が多めですね
お手上げです




「…見よ。黄金樹は、まだ立っている
滅びの火に焼かれても、揺るがず聳えている
はは、ははは…
ならば、我らはまだ、黄金の民なのだ…」

灰都ローデイル

謎度★☆☆☆☆

灰都ローデイルで燃える黄金樹を見上げ、狂いかけている市民の幻影

これもアルター街道の三叉路の幻影のように、標準的な黄金樹信徒の受け止めだと思います。律が個人の自由意志を奪った結果、もう縋るものが黄金樹しかないのに、それが燃えていればきっとそうなるでしょう
ただ、主人公ならばエルデの王エンドで修復できるので、彼らが依然として黄金の民であることは確かです




「…帰還じゃ。待ちわびた、王の帰還じゃ
最初の王が、もう一度、エルデンリングを掲げるのじゃ…」

灰都ローデイル、黄金樹の大聖堂

謎度★☆☆☆☆

ローディルの都にある、黄金樹の大聖堂にいる幻影です

灰都になる前の黄金樹の大聖堂には、金色の霊体「最初の王、ゴッドフレイ」が現れて戦えます

灰都になった後は霊体ではなく本人と戦うことになるので、そのことを予告する幻影だと思われます

マリカとしては本命はやはりゴッドフレイなのでしょうね
ゴッドフレイに勝ってもらって、彼と国造りをやり直したいのだと思います
倒しますけど




5.聖別雪原/巨人たちの山嶺


「…おお太陽よ!ソールの冷たい太陽よ!
どうか、蝕まれ給え
魂無き骸に再誕をっ…」

ソールの城砦、日蝕教会

謎度★★★★☆

これは屈指の謎幻影案件なので、次のソール城砦屋上の幻影とセットで考察します




「…申し訳ありませぬ、ミケラ様
まだ、太陽は蝕まれませぬ。我らの祈りが弱いばかりに
貴方の友は、魂無きままなのです…
…もう、見ることは叶わないでしょう
貴方の聖樹を」

ソールの城砦、屋上

謎度★★★★☆

これはミケラに仕えていたソール城砦主の幻影だと思われます

<宿将ニアールについて>

ソール城砦についての情報は少ないですが、
宿将の義足のテキストが僅かばかりそれを
伝えています

「刃の仕込まれた義足を、拳にはめ武器と
して振るうもの。雷の力を帯びている
ソールの宿将、ニアールは
その脚と引き換えに、敗軍の騎士たちの助命
を請い
後に彼ら、失地の軍勢を率いることとなった」
(宿将の義足テキスト)

このテキストから分かることは
・ソール砦は廃軍の砦
・ニアールは宿将で義足
・雷の力を使う
・失地騎士を率いることとなった

ひとつづつ見ていきましょう

・廃軍とは破砕戦争の廃軍を指すのでしょう。
ニアールは君主同盟軍に与する宿将だったと

・義足であることから、宿将ガイウスのように
しろがね人である可能性があります。
もとから歩けないのを隠してあえて足を切り
落としたように見せかけ、義足となる
だとしたらこのようなフェイクを使うあたり、
少し裏がありそうです

・失地騎士は、自説では都落ちしたゴッドウィン
に付き従った元ローデイル兵です
多くは古竜騎士で一騎当千の猛者です

・ニアールはもともと彼らの将であったわけ
でなく、彼らの命乞いをした結果彼ら失地騎士の
将となった

・古竜騎士は雷の戦技を使うので、ニアールもそれを
使う、ということですね

そういう経歴であり、ソール城主はそんなニアール
の主、ということになります

ただし幻影化しているのでもう、主は存命ではない
でしょう

聖樹はしろがね人にとって約束の地であり、非常に神聖な場所であるようです
その割符を預かる城主の家臣がしろがね人であり、この城砦を護っているというのは筋が通る話ではあります

ではその城主はソール砦で何をしているのでしょうか
ミケラはその城主にソール砦で何をさせたがっているのでしょうか
また、日蝕教会とは何でしょうか

「ソールの冷たい太陽よ蝕まれ給え」とは

「太陽は蝕まれませぬ。我らの祈りが弱いばかりに
貴方の友は、魂無きままなのです…」
とは

それらの謎を、順を追って考えます

まずミケラの思惑を考えます
彼が異父兄弟の兄ゴッドウィンに黄金の墓標を送り「正しく死んでくださいな」と祈ってることは有名です

この点をもって、ゴッドウィンを死に追いやって肉体を利用するつもりだ、との見解もありますが

私はそうは解さず、ミケラはまっとうに弔い、正しく死んで聖樹での再誕を真に願っていると考えます(嵐の麓の地下墓の幻影が言っていたように、「正しい死」とはマリカ王権下における一般的な概念です)。そこに邪な理由はないです

ただ、実はもう一つミケラには想いがあって

ミケラは基本黄金律信奉なので、生を重視します
ミケラは本来優しい律を持っていて、全ての生の擁護者です

そんな彼にとって、いつまでも生き続けて、狭間の地にアンデットを増やし続ける兄の生体は、少し困った存在なのですね

<指読みのおばばも>

死王子の遺体が埋葬されている大樹根の近くに一人
座って祈っている指読みおばば

彼女も「ぼっちゃんは死ぬべきでした」と言っています

この世界、死は再誕の準備手続きなので、必ずしも
”死んで”は残酷な言葉ではないと思います。むしろ

風邪ならば病院に行って治して
風邪を放ったらかしにして他にうつさないで

極端に言えば、そういうニュアンスの言葉だと思います

ゆえに、きちんと弔いつつも、公益的な意味で早急な正しい死を望む気持ちもあり、その為の黄金の墓標と、日蝕教会なのかと

ところで各地の歩く霊廟の遺体たちは、ほぼ全てゴッドウィンの子孫というのが自説です

そんなゴッドウィンがなぜあんなにおぞましい姿でアンデッドを増やしながら生き続けているかというと

蝕紋の大盾に記された「魂無きデミゴッドの守護星」として「彼らを、運命の死から遠ざける」ために生きていると考えます

思えば、最初に死んだデミゴッドとしてラニと同時に死んだから、ゴッドウィンは特別に肉体だけ生き続けているはず

なのになぜ彼の子らも彼と同じく肉体が生き続けているのか。本来なら運命の死を迎えているはずです

その理由が、まさに蝕紋の大盾のテキストが記すように、日蝕として沈まない太陽になったゴッドウィンが、子らの守護星となり、彼らの肉体を生かし続けているからなのではないでしょうか

しかも実際、一人再誕に成功してることから、ゴッドウィンは霊廟の子を全員再誕させるまで業瘡を増やし続けるつもりなのでは。世界を死に生きる者まみれにしても
しかもフォルサクスがそれを手伝っている

これはもう親心に縛られた残留念ですね

一方、黄金律信奉者で、全ての生命の守護者たるミケラとしては、ちょっと承服しがたい話です

敬愛する兄さまとはいえ、流石にそれは困るから成仏していただきたい、その太陽は早く蝕まれて下さい、と

それを祈ってお願いするのが、日蝕教会なのだと思います

<幻影の言葉の意味>

「ソールの冷たい太陽よ蝕まれ給え」

……日蝕になって子孫を全員復活したい気持ちは
分かりますが、それは無理筋です。その前に
エルデの地はアンデッドで溢れかえってしまいます。
だからどうか、正しく亡くなって、還樹の手続きを
経て再誕してください


「太陽は蝕まれませぬ。我らの祈りが弱いばかりに 
貴方の友は、魂無きままなのです…」 

……そう祈ってはいるのですが、なかなかゴッドウィン
様は成仏してくれません。力不足ですみません。
肉体だけ生き残ってしまって……ミケラ様が新しく立て
ようとしている聖樹も、太陽王子が還樹で蘇らない以上、
もう見ることはできないでしょう

そういう意味になると思います

ゴッドウィンが優しすぎるが故こういうことになっているのですね

そしてそんな主と気持ちを同じくするのが、霊廟を守る首なしの霊廟兵や、死の騎士たちです

彼らは、死王子と子らが再誕してもしなくても、ずっと共にありたいと願っています。だから、死に生きるものの世界、昏きものたちの世界になっても構わないと考えている

「死の騎士の黄金の戦斧
両手持ちで二刀となる、一対の得物
王都古竜信仰の力たる、を帯びている
かつてゴッドウィンの近衛であった騎士は
死王子の、分け身の骸の守り手であった」
(死の騎士の双斧テキスト)


ゆえに、全ての生命の守護者たらんとするミケラと、スタンスが真逆になるのですね

このあたり、詳細は、陰謀の夜の考察回や、太陽の都を特定の考察回をご参照ください

かなり長くなりましたが、一番謎な言葉を残す幻影ですので、丁寧に考察しました





「…光よ、我に道を示したまえ
約束の聖樹への道を!」

祝福「聖別雪原」

謎度★☆☆☆☆

聖別雪原の祝福にいる幻影です

この先にある典礼街オルディナは、街がまるまる封牢になっており、台座に火を灯すことで封を解除できるギミックになっています。そのヒントとして、「光よ」と言っているのでしょう

「約束の聖樹」という言葉は、実はかなり複雑で重い意味を持っているのですが、この幻影がきっかけで明らかになる謎は特にはないと思われるので、謎度は低めです





「…モーグ、呪われた血の忌み子めが
…返せっ
ミケラ様を、返せっ…
玉のお身体、お前ごときが触れてよいものか…」

モーグウィン王朝への転送門の東の川辺

謎度★☆☆☆☆

モーグウィン王朝へミケラを助けに行きたい信徒
しかし転送者に阻まれ断念している、そんな幻影ですね

このセリフ自体は、謎の手がかりというより、むしろミスリードを誘う言葉となっています
モーグがミケラに操られていたのが実際ですから

なのでこの幻影も、謎は担っていないと考えます


6.シーフラ河


「…おお、偉大なる血の君主よ
どうか私めを、王朝の末席に加え給え
モーグウィン王朝、万歳
モーグウィン王朝、万歳っ!」

祖霊の森の東

謎度★★☆☆☆

祖霊の森の東の幻影。モーグに心酔しています

これも特に謎はありません

モーグウィンって。王朝って。という戸惑いを誘うフレーバーテキストですね

ちなみに自説は、
モーグの本名がモーグ「ウィン」
モー「ゴット」と合わせて、「ゴッドウィン」
黄金の兄に肖った名前であり、両親は忌み子であってもゴッドウィンと共に育てるつもりでその名前をつけたと解しています
しかし二本指の方針に逆らえず、やむを得ず忌み地下に送らざるをえなくなった

そのとき二本指は彼らに「マルギット」と「モーグ」という、ゴッドウィンとは縁もゆかりもない忌み名を付けた

そんな妄想をしています

モーグウィン王朝というのは、そんなモーグが、自分の出生を受け入れ、ありのままの自分を愛することができたからこそ名乗れた本名だと思うのです

なので結構大事な幻影の言葉だな、と思い★を一つ加点しました


7.影の地


「…みんな、燃えちまった
あのメスメルどもが、みんな燃やしちまった
儂らが、何をしたって言うんだ
ただ、生きていただけだろう…」

火に焼かれた廃墟

謎度★★☆☆☆

影の地に突入します
この地にも幻影はあって、多くはローデイル王家への呪詛を呟いています

炎に焼かれた廃墟の幻影も、言葉そのままの恨みの念ですね

マリカとその子らが非常に恨まれていること
だから異形の神性がその復讐を代行して、エルデの王家に災いをなしていること
それを積極的にノクスの勢力が利用していること

それらを示す幻影の談だと思います




「…あたしには、分かるよ
あんたたちの恨みは、ずっと残ってる
そうして、あいつらを呪うのさ
メスメルを。マリカの子らをね…」

火に焼かれた廃墟

謎度★★☆☆☆

これも同上です

現在狭間の地では、黄金の王家が凋落し、破砕戦争で国土はボロボロになっています

その原因はどうやら単なる偶然ではない
たくさんの者がマリカとその子らを呪い
その呪いを実際に届けた者があった

だからそうなっていることを暗示する言葉ですね





「…痛い。体中が、痛い…
うう、ううう…
…なあ、俺はまだ、人間かい?
だから、こんなに苦しいのかい…?」

病捨て村

謎度★★☆☆☆

蠅の病の苦痛を訴える、病捨て村の幻影

蠅人に変態するときに苦痛から解放される
同時に人でなくなる、という生き地獄を表す
そん言葉ですね

なお、蠅の病に関しては、それをよく看取り弔った者は罹らないというテキストがあります

「弱き者が、恐るべき蠅の病に罹った時
変態より前に、その生命が尽きてしまう
その死を看取り、丁重に葬った者だけは
病に罹ることが無かったという」
(病のタリスマンテキスト)

これには2つの意味があると考えています

一つは、防疫上のプロパガンダ
病の死者を放置するのではなく、弔うことを推奨することで、衛生状態の悪化を防ごうとする、そのための情報操作

エルデンリングのような背徳的な世界観では、そんな欺瞞もありそうです

ただもう一つの意味の方が重要だと思います

それは、恨みや呪いの本質です

蠅の病というのは、実は陰惨なボニ村の壺漬け事業に対する巫子たちの呪いで発生し、拡大していると解することもできます

巫子は祈祷で病を治癒することができます
ならば、呪詛で病を促進させることもできるはずです

この世界では特に、実際に祈りや呪いが神や外なる神に呼び寄せ、人や物に降りてくる設定です
だからこそ、きちんと看取って弔うという善行・功徳を積んだ者には、神の呪いが免除・解除される

そういうことがありうると思います

この呪いと解除の本質は、そのまま影の地を焼き払ったマリカや、その血を継ぎ黄金の繁栄を享受するその子らにも当てはまります

これに関連して、例えばラニは肉体を殺して魂のみになっていますね

二本指の干渉から逃れたり、神人たる運命の星から解放される意味もありますが、マリカ(=ラダゴン)の血を引いているという生まれつきの罪に対する贖罪の意味もあったのかも知れません

贖罪という観点からは、マリカは角人たちへの贖罪の気持ちは全く見せていません
ただ子らを愛し、エルデの民たちのことを愛しているだけです

もちろん陰惨な事業に携わった角人たちの罪も大きいのですが
そんな事業に関わった者だからこそ、不衛生な環境で蠅の病に罹るという因果応報に苦しんで罰を受けています
何より、そんな事業とは無関係なだった角人たちがほとんどでしょう
無辜の者たちを虐殺したマリカの罪というものは、やはり大きくあると思います

この点メスメルは、心から悔い、苦しみ、中身肉の看病をしたり、種の保管庫で彼ら角人の先祖を保管したりしています

メスメルがかろうじて生き、家臣やレラーナに慕われていられるのは、彼の善行・功徳によるもの

マリカが腹を刺され、磔にされるのは、それを積まなかったから

そういった因果応報が、この病のタリスマンと、蠅の病というもしかしたら巫子の呪いかも知れないものに苦しむ幻影からは見て取れます




「…嫌だ、壺は嫌だ
もうしない。二度としない
天に誓う。善き人になる
だから、許してくれよ…」

ベルラートの牢獄

謎度★★★☆☆

ベルラートの牢獄で、まさに壺に詰められるを待つ罪人の幻影です
実はこの言葉は、一つの矛盾、疑問に対する回答になっています

ベルラートの牢獄の本来の罪人壺事業と、ボニの牢獄の巫子を混ぜる壺事業とは、形こそ酷似しているけれど、実は連続性がない別の事業である、と考えるのが自説です

ボニ村の巫女を混ぜる壺に切り刻まれて詰められた罪人は、実際は罪を犯しておらず、ただ各種の禁忌的な神性に魅せられた者たちにすぎなかったと考えてます
(詳しくはこちら、罪人巫子壺の回で考察しています)

一方、ベルラートの牢獄では、実際に罪を犯した咎人がその罪を償い、来世で善き人となるための本来の儀式であったことが、この幻影の言葉から明らかになっていると考えます

ここで重要なのは「壺はいやだ」という言葉です

少なくともこの幻影は、生きたまま大壺に漬けられ、蛆虫を食んで死を待つ運命の、実際に罪を犯した咎人です

だから「壺はいやだ」と言っているのです

これがボニ村の囚人なら、「殺さないでくれ、切り刻まないでくれ」と言うでしょう

死んだ後壺に入れられるかどうかは関係ありません、そんなことより、殺されることをこそ拒否します

そして中身肉の壺は大壺ではなく中壺。人が二、三人入れば一杯のサイズの壺です

ベルラート牢獄とボニ牢獄、何かが変わっているのです

なかなか気付きませんが、この罪人の幻影は、そういった、壺の性質の違い、変化のヒントをくれている、と思います





「…塔よ。影に隠された、我らの塔よ。螺旋よ
あのお方を、神に導きたまえ
…我らを救う神に」

塔の街、ベルラート

謎度★★★★☆

ベルラートの幻影

これは地味ですが、重大な謎を含んだ言葉です
ここにいう塔が螺旋塔(エニル・イリム)であることに争いはないでしょう

この幻影の生きた時代は、螺旋等がラダゴンによって封印の木と拒絶の刺で黒く隠された以降です

故に、マリカが、少なくとも聖戦を下命して以降になるでしょう

問題は、「あのお方」が誰か、ということです
ミケラではあるのでしょうが、その中身は誰か、ということだと思います

これは考察しだすと長くなるので、本編の考察に譲ります
「兄さまが、約束を違えるわけがない、の意味」考察回などをご参照ください)




「…マリカ様
貴方の子をお抱きください
そして、どうかお示しください
この聖戦は、いつ終わるのでしょうか?」

エンシス城砦

謎度★★☆☆☆

エンシス城砦の幻影。エンシス城砦はレラーナが護る砦ですね

この幻影の言葉の真意は、「貴方(=マリカ)の子」をどう解するかで趣が変わります

「黄金樹を信仰するすべての民」を神マリカの子と解すると、
・聖戦が今なお終了していないこと
(終了を宣言する命令が届かないため、勝手に終了できない)
・それでもなおマリカと黄金樹を信仰し
・そんな世界に我が子を生み出さないとならなかった
そんな民の、哀れと悲惨さを表していると思います

他方、「貴方の子」を直球でメスメルと解すると
もしかしたらこれは、メスメルの苦悩を共に歩もうとする、レラーナの思念体のようなものが、呟いているようにも感じられます

・メスメルを抱きしめてあげて欲しい
・そして彼を聖戦から解放してあげて欲しい

いずれにも解釈できる、非常に悲しく、重い言葉だと思います




「…かつて、石棺は流れ着いたという
咲き誇る深紫、ビロードの花園に
どうせなら、そんなところで眠りたいものじゃて…」

エラク川下流

謎度★☆☆☆☆

エラク川下流にいる幻影のつぶやきです

ビロードの花園とは、大穴最深、泥濘の騎士とトリーナがいる花園を指します

特に他に謎はありませんが、そもそも石棺て流れ着くほど軽い素材なのか、というのがこの幻影の言葉の意外だったところです
でも実際は、この場所めがけて何隻も空から落ちてきたから大穴が空いた、と解しています(エラク川を下ったのではなく)





「…ベール、我が暴君よ。まだ傷は癒えぬのか
お前の滾りは、まだ満ちていないのか
はよう、はよう、壊しておくれ
すべてを!思いあがった、尊大と傲慢を!」

老人のボロ家

謎度★☆☆☆☆

DLCの幻影はそれほど難解な言葉を残していないですね
これ以上謎を残すのではなく、解決して畳んでいく局面だからでしょう

この幻影も、
・ベールがプラキドサクスと戦って手負いであることを説明しつつ
・傲慢なエルデ王家の破壊を希望し、散々竜餐で犠牲になった翼竜にそれを焚き付けているものだと思われます

竜餐に関してはプラキドサクスとその子孫が推奨したので、エルデばかりに責任があるわけではないのですが…




「…やはり、そうだったのか
指たちは、あの遺跡から生まれたのだ
…ああ、だとしたら。もし、あの吊り鐘を吹き鳴らせたら
私も、抱いてもらえるだろうか
美しい母の懐に」

指追いのボロ家

謎度★☆☆☆☆

指追いのボロ屋の幻影です

メーテールの神性に憑かれた指追いたちの壊れっぷりを示すものだと思われます

普通、外なる神性に魅入られると凶暴化するのに対し、メーテールの神性に魅入られると、慈愛が溢れて変な方向に行くのが何とも気持ちわるくて興味深いです





「…さあ、大人しく壺に入りなさい
そして、善き人になりなさい
お前たちは、巫子なのだから
そのために、生まれてきたのだから」

鞭の家

謎度★☆☆☆☆

ボニ村の鞭の家で、何かの手を引くような姿の幻影

これはどんな人なのでしょう

巫子村の土地の領主に管理を委託された者か

あるいは人攫いの下請けで、巫子たちを助ける、逃がすからとかいって、なけなしのルーンを手数料としてぶん取り、騙してボニ村に連れてきて、結局ツボに入れるという、そういう手合いですか

あるいはホスロー家の祖先……

よく分かりませんが本当に最低な連中です
粛清の聖戦でなく、こういう連中だけを集めてメスメルの炎で燃やすか、レラーナの月で潰すかすればよかったのに、と思います

というか、自説では二本指が雇ってるのですよね……ラニが最後に切り付けたの、よくやったと思います

あれ、今気づいたのですが、ノクスって誰も殺してない? 気のせい?




「…もう、石漁りは飽き飽きだ
きっと、俺が見つけてみせる
鍛冶の祭壇を…」

溶岩筒の鍛冶遺跡

謎度★★★☆☆

溶岩筒の鍛治遺跡の幻影

これは、DLCで追加された鍛冶遺跡を分かりやすく紹介するための幻影だと思います

ここで彼が探している祭壇というのは、実際は「鍛治床ハンマー」の槌頭に取り付けられた鍛治床なのでしょう

鍛冶が神事である、というのは、自説では伝説の武器9つをどう解釈するかに関わってくるので、大事なヒントだと思います






「…やめろ、俺を見るな…
もう、見ないでくれ
うわああああああっ!」

サソリ川の地下墓

謎度★☆☆☆☆

サソリ川の地下墓で、苦しんでいる幻影

ここはゴッドウィンの死を弔う「死の騎士」がボスであり、死の鳥の神性を祀った地下墓なので、バジリスク像があります

バジリスクに見つめられて苦しんでいるのですね
まるで我が身のようです






「…やめてくれ、聞きたくない
俺は、幸せでなくていい
だから、もうやめてくれ
その嘆きを」

嘆きの牢獄

謎度★★★☆☆

嘆きの牢獄で懊悩する幻影です

嘆きの牢獄にはボス、嘆き人がいて、

・呼び声頭「嘆き」
・嘆き人の仮面
・嘆き首

などが手に入ります


「人頭に似せて作られた歪な土細工
幸せな、嘆き声を発する
その声は、脳みそに浸み込んでくる
シクリ、シクリ、シクリ、シクリ」
(呼び声頭「嘆き」テキスト)

シクリ、シクリ、

嘆き人という存在も特に説明がなく謎です
ただ、ここまで自説を読み解けば、老人といえばもうウル爺さんしかいないかと

で使用し、被った者を嘆き人に変態させる
死ぬ時まで、姿が戻ることはなく
嘆き人として使用すると、頭部を巨大化する
それは、楽園の人のあり様である」
(嘆き人の仮面テキスト)

下半身から樹根化が始まったウル爺さん
ウル王朝の巨大立像はかろうじて左足が残っていましたが、
モーグウィン王朝の像は、それも完全に樹根化して困った顔のウル爺でした

その後どうなったのか

おそらく死ぬまでその姿は戻らなかったでしょう
そして、目や頭部から角のような根が突き出し
シクリ、シクリ、と痛みます

服はもう着ません。木ですから。です

しかし、樹に変態するというのは、存外幸せです
悩む脳がないですから 緩みきっています
悲惨な現実を見る、目もなくなっています

「その異相は、どこか幸せを感じさせる
何を見ることもない緩みきった幸せを」
(嘆き首テキスト)

ただ、もうどうしようない、戻れない
このまま樹になるしかない、嘆き

でも幸せ。神になる道が約束されていますから

それが楽園の人、ウル爺の在り様

頭がどんどん大きくなっていきます
枝を広げて、ウル爺さん、聖樹になるのですね

確かに、そんな嘆きは聞きたくないですね
嘆き人はウル爺のメタファーNPCと考えるのが自説です

坩堝の混じり角を信奉する角人でしたが、その先にあるウル爺化、つまり完全な樹木化までは望まなかったようです

そのことを表す幻影だったのだと思います

なお、神肌の使徒の背中には、おそらく樹根化してゆくウル爺の嘆き顔がプリントされています

嘆き首の背中にも、さらに症状が進んで顔まで樹根化した嘆きプリントされています

じっくり観察すると楽しいです

神肌の使徒のバックプリント


嘆き人のバックプリント


樹根化の進行を表していると考えます



「……ミケラ様
貴方は、棄ててしまわれたのですね
決して、棄てるべきではないもの
自らの半身ですら、救えぬ者が
どうして、すべてを救えるでしょうか」

大穴の十字

謎度★★★☆☆

大穴の十字にいる幻影の談

大穴でミケラは、「我が愛を、ここに棄て」ている
確かにそれは捨ててはいけない
愛を捨てた神に、民を幸せにできるのでしょうか
無償で無尽蔵の絶対愛(アガペー)を注げるのは、神しかいないはずです

半身のトリーナをここで棄てているのですが
自らの半身ですら、救えぬ者が
どうして、すべてを救えるでしょうか」
という指摘は、全くな道理だと思います

これは、果たしてそんな愚かなことをしたのはミケラなのか?
中身がだれかに入れ替わっていないか?

といった警戒を抱かせるための幻影ではないでしょうか






「…ああ、勇気をください
貴女の元に、跳ぶ勇気を
トリーナ様…」

大穴深部

謎度★☆☆☆☆

大穴深部の幻影

これはティエリエの残留思念でしょうか
それともティエリエの他に限界ファンがいるのかも知れません
トリーナ様なら






「…ようこそ、招かれざるお客様
どうか、我が主ミドラーの警告を、お聞き入れください
…狂気に、近付かぬことです」

「…やめてくれ。もう、たくさんだ
俺たちは、同胞だろう…
だのに、何故、こんな酷い仕打ちを…
ミドラー様が、何をしたって言うんだ」

ミドラーの館

謎度★★★★☆

ミドラーの館にいる、使用人だったと思しき幻影

これは
・ミドラーがある程度正気であること
・同胞というからには、責問官と同じ角人の使用人だったのでしょう
・これらの幻影は、比較的正気の喋り方です

館内には爛れたブドウの遺体も多いですが、おそらくこれらの幻影使用人は、外に並べられた使用人の遺体と共に狂い火に冒されておらず、正常だったと思われます

にも関わらず首を切られ、逆棘の杖槍を刺されたままで晒されている

これはどうしたことでしょうか
審問官はなぜ彼らを救出しなかったのでしょうか

これはつまり何を意味するかというと口止めだと思われます
館内に残る、太った責問官やイオリたちは、本気で狂い火に対処するつもりがありません

だから同胞で、正常だったにも関わらず、使用人たちを一列に並べて処刑した

一体誰に命じられてそんなことをしていたのか
ヒントは、イオリたちが落とす「黄金の角貨」です

これ先は、三本指とシャブリリの考察回で詳述していますので、そちらをご覧ください

使用人の正気さを伝える幻影のセリフは、ミドラーの館の謎を解く重大な手掛かりでした





「…そんなことは、あり得ない
俺たちは、見棄てられてなどいない
メスメル様は、マリカ様の息子
見棄てられるはずがない…」

影の城

謎度★☆☆☆☆

多くのメスメル兵や黒騎士が、永遠に終わらない聖戦に倦んで心を壊してゆきます

マリカの実際の気持ちはどうだったでしょうか

マリカはおそらく彼らを見捨ててはおらず、ただ、自分の律、自分の希望する政策とあまりに乖離する二本指体制に反発して、結果抑え込まれてしまった

現在マリカとしては我が身を含めてどうすることもできない

しかし、そういった事情は影の地はおろか、狭間の地でも伝えられていない

だからこそ人は恨み
新しい神と、救いを求める
あるいは失った救いの幻影に縋る

なかなかに影の地の幻影は哀しい
哀しいままだと思わせる幻影の嘆きでした



さて、これで全幻影たちのコメンタールが終わりました

<幻影のいない場所>

・永遠の都、ノクローン
・深き根の底
・エインセル河
・永遠の都、ノクステラ
・腐れ湖
・モーグウィン王朝
・火山館
・崩れゆくファルムアズラ
・ミケラの聖樹

↑この辺りのロケーションには
幻影がいないようです

主にノクスの勢力の現場ですね

彼らには死して彷徨い嘆き哀しむ自由意志
さえ基本的に認められていない、という
ことでしょうか


さて、お気に入りの幻影や解釈はありましたでしょうか

また、自分は違う、こういう解釈だ、といったご意見がありましたらどうかコメントを下さいませ


今日は「各地の幻影の言葉たち」を考察しました
次回は、「エルデ史の年表」を制作します








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