見出し画像

エルデの獣の考察

では、そんなメーテールの後に大いなる意志によって落とされた「エルデの獣」とは何なのでしょうか。作中かならずしも明らかでないので考察します。手がかりとなるテキストです

「黄金樹に刻まれたエルデの獣の追憶」
「それは、大いなる意志の眷獣であり
律たる概念の具現であった」

エルデの追憶テキスト

「かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという」

エルデの流星テキスト

この人はきっと、エルデンリングを求める
…黄金律をはずれても

メリナ談


以上のテキストからエルデの獣の手がかりは
・大いなる意志が狭間の地に送った
・黄金の流星とともに送られた
・大いなる意志の眷獣である
・律たる概念の具現化である
・やがてエルデンリングになる
・黄金律とエルデンリングは別の概念である
・エルデの獣と黄金律は別の概念である

見た目はこのような、クラゲの親玉のような有櫛動物?

エル獣

メーテールの次に大いなる意志に送られた「外なる神」
チャームポイントは金色
灼熱地獄たる混沌から生命を生み出したので、生命の源
ただ、知恵は高くなさそう、メーテールの言いなりで生命を生み出している
「律たる概念の具現化」、律、つまり指揮者であり統治代行者であるメーテールの意思を具現化するものらしい


エルデの獣、黄金樹、エルデンリング、黄金律 各概念の違い

・エルデの獣は、生命、つまり黄金の源

<もともと生命はあったの?>
もともと生命や人があった狭間の地に、後からメーテールやエルデの獣が降りてきた、と考える人もいるようです
しかし、私はそうではなく、原初の地球のように溶岩に包まれた灼熱の混沌の世界の後で、生命も何もなかった頃に、黄金の流星と共に降ってきたのがエルデの獣だと思っています。メーテールの指揮のもと初めての生命(アミノ酸などに命が吹き込まれた単細胞生物)を生み出した。理由は、ハイータの次のセリフです

けれどそれは、大いなる意志の過ちだった
(中略)
だから、戻さなくてはならない
混沌の黄色い火で、何もかもを焼き溶かし

三本指の巫女ハイータ談

何かが大いなる意志の過ちだった、と言っています
何が過ちだったのでしょうか
仮にその過ちがなかったら、つまり、過ちがなかった状態に
巻き戻したら、それは、混沌の黄色い炎で、何もかもが焼き溶かされた世界になるようです
黄色い火というのは、調べたら、赤い炎に比べて温度が高いようです

星の色の違いと表面温度

一般に星レベルの色ですと、黄色であれば4,000度近く
赤は2,500度
溶岩の温度が1,200度前後、マントルで2,500度とされていますから
黄色い炎の4,000度がどれだけ高いか分かります

混沌の黄色い温度というのは、およそ生命が存在できない温度
火山館でさえ活躍するトレントも、狂い火の蔓延する奈落の森で怯えて出てきませんから、黄色い炎はこの作品世界では、霊さえも焼き溶かすようです

そのような時代にもどす、そうすれば大いなる意志の過ちもなくなる

狂い火の信徒はそう言っているのですから、大いなる意思は生命も何もなかった時代にメーテールとエルデの獣を降らせ、生命をゼロから創造した、と考えるのが妥当です

・以上より、エルデの獣は、生命、つまり黄金の源と考えます


・黄金樹とは、生命が分岐して生態系になった、生命樹の状態。

実はエンヤ婆は黄金樹を世界樹ということがあります

世界樹を焼く火は、狭間の最も高い場所、巨人の大釜に燻っている
けれど、それを燃やすには、特別な種火が必要なのさね
…火の幻視を宿す者、その贄だけが、大釜の火で世界樹を焼くんだよ

指読みのエンヤ談

セフィロトなどの生命樹、ユグドラシルなどの世界樹もありますが、ここでの生命樹、世界樹は厳密にそのような神話のものと同じというのではなく、「生命が進化して枝分かれして多様化した状態」
「世界そのものを指すくらい重要な存在」といったもののメタファーだと考えます

マリカは、影の地に影樹を立てていますが、今は恵みの雫をほとんどもたらしていません。ガイウスが守っている影樹の聖杯に、主人公が行ったときは、やっと影樹の欠片が5つほど溜まっていたくらいです

またエルデンリングが砕けた後の狭間の各地に育つ小黄金樹は、その周りにたくさんの壺が置いてあります
その中身は人の血肉であることが「友なる壺」のテキストから推察されますが、だとすると小黄金樹の周りの壺は肥料として置かれていることになります

しかし、現黄金樹の周りには、そのような肥料はありません
なのになぜあんなに立派で太く黄金色に輝く幹や枝ぶりなのかというと、そこにエルデの獣がやどって無尽蔵の生命力を与えているからだと考えます

影樹も小黄金樹もそのようなエルデの獣の生命力が宿っていないから、枯渇したり、養分が別に必要だったりするのです

しかも、前述のように黄金樹の養分は、人の血肉です
また、聖樹紋のサーコートには、次のようなテキストがあります

サーコートには、聖樹の紋章が描かれている
ミケラの血を受けた、聖なる芽生えの若木
だがそれは、遂に黄金樹とはならなかった

聖樹紋のサーコートテキスト

黄金樹とするために、血液を注いでいる

このことからも分かるように、黄金樹には人の血肉が必要
黄金樹が人に生命を与え
黄金樹は人の生命で育つ
人の生命をエルデの獣に置き換えても黄金樹は育つ
黄金樹の生命と人の生命とエルデの獣の生命は全て等しく交換可能なのです

そして前述のようにエルデの獣は、無から生命を生み出し増やし多様化させていることから、エルデの獣は全ての生物の生命タンクである、と考えます

<エルデの獣によって育たないもの>

「神降ろしにより、筋力が高められるが
黄金樹の祝福はそれを好まず
雫の聖杯瓶の、回復量が減少する」
(角の戦士の兜テキスト)

角人の混じり角は、神獣や神鳥を降ろす聖性と
考えられていますが、その効果として、黄金樹の
生命力が減衰してしまうようです

これはすなわち、坩堝の力も黄金樹の力も、どちらも
神の力であり、その神が対立関係にあると力を相殺
してしまうことを意味します

また、無垢金の聖属性は死属性のエネミーに対して
有効であったり、出血や腐敗のデバフ効果も、外なる
神の神性が、黄金樹の神性を打ち消すために生じる
ものです

このように、黄金樹の神(大いなる意思)と敵対関係に
ある外なる神性やノクスの暗月の神性は、エルデの獣の
生命力の恩恵を受けず、かえって弱めてしまうものの
ようです

従って、エルデの獣は全ての生命の生命タンクはあり
ますが、例外として敵対する外なる神の神性に支えら
れている生命や、そこから生まれた生命(腐敗の眷属など)
はその限りでない、ということになりそうです


黄金樹は本来、エルデの獣と共にあって、その根の下にエルデの獣がいるのが望ましい。
おそらくファルム時代の原初黄金樹も、(現黄金樹ほど大きくないものの)ファルムアズラにあって、エルデの獣がマリカとゴッドフレイの国獲りによって持ち出されてしまうと、黄金樹は枯れてしまったのでしょう

・エルデンリングとエルデの獣の関係はどのようなものでしょうか。

エルデンリングは、基本的に4つの輪が概念として表す統治権であることは前回考察しました

これら4つの力で世界を律し、統治する
概念としてのエルデンリング

この4つ輪の統治権を、エルデの獣に宿すことで、それはエルデンリングとして具現化して輝く

それは、大いなる意志の眷獣であり
律たる概念の具現であった

エルデの追憶テキスト

輝いた後が、このようなエルデンリングの姿です
最初の4つ話よりも複雑化しているのが分かります

マリカのエルデンリング

マリカの半身であるラダゴンの刻印がうっすら浮かんでいたり
頂上の弧は、神マリカを表していて、その神の束を神の門で掲げた形をしています
そして底辺の弧は、輪の恩恵の受け皿とされています(ルーンの弧テキスト参照)
この受け皿は、信徒たちへの恵みを意味し、マリカの特有の優しい律の現れだと考えています

一方下のエルデンリングはファルムアズラのもの
自説では宵眼の女王の律の具現化たるエルデンリングだと考えます

原初エルデンリング(宵眼の女王の律)

マリカのエルデンリングのような、底辺の弧、すなわち恵みの受け皿がありません
代わりに根があります。根とは死王子の死の根や地下墓のように、狭間の地では「死」を表します

マリカの思想、律。その具現たるエルデンリングには、底辺に恵みの受け皿があり、信徒たちにもたらされる優しい律です
しかしその恵みは、信徒、つまり黄金の民にしかもたらされない、選民的で不平等な律です

宵眼の女王の思想、律。その具現たるエルデンリングには、底辺に死を表す根があり、民たちにもたらされる厳しい律です
しかしその死は等しく全ての生命に与えられる意味で、平等な律です

また、頂上部の弧
マリカのそれは、神の門で掲げた金の毛束であり、それは最終的にマリカ自身の両手を拘束する弧となりました

神を受託する誓約
その誓約がマリカを縛る

一方原初黄金樹の頂上の弧はとがっています

てっぺんのトンガリ
トンガリ
トンガリ
トンガリ
トンガリ


死のルーンのトンガリ

原初黄金律の形は、根が死を意味し、頂点のトンガリも死のルーンの形、つまり死
徹頭徹尾「死」を意味しているのが特徴的です

これは現黄金樹が生命を力に変えているのに対し
原初黄金樹を統べるノクスの民が死を力に変えていることに対応しています

そして宵眼の女王レナ・カーリアを継承するカーリア一族も、ラニに至るまで徹底して死たる「暗月」の律を承継しています

このように、最初は単純な4つの輪だった概念としての律。
それがエルデの獣に宿り具現化を通じて、律者たる神人の思想に反映して光り輝く複雑なエルデンリングに変わる

律が、「黄金律」に変わる瞬間です

エルデの獣自体に特定の律や思想があるわけではありません
エルデの獣はただ無尽蔵の命を蓄え、神人の望む律や生命に、ひたすら黄金の恵みを注ぎ、その理想の形を実現するだけです

エルデの獣とそれが生み出した生物たちに対する統治権。統治者の思想によって微妙に形が違いました

統治権は、大いなる意思→指→神や王、というように委譲されていきます

黄金律のうちの、「黄金」部分の源となるが、エルデの獣なのですね

以後本作では、黄金、と名が付けば、エルデの獣であり、メーテール陣営であり、二本指派閥であり、大いなる意思の勢力であると考えてよいでしょう

ただし、後述のように、二本指が活動する頃には、エルデの地は大いなる意思には見捨てられているので、そこだけは注意が必要です

ただ、大いなる意志に見捨てられようと
指の母メーテールが壊れようと
巨人の炎に黄金樹が焼かれようと

ただひたすらに黄金樹と生命と黄金律を輝かせようと力を送る

そんな頼もしい眷獣が、エルデの獣なのです

エルデの獣とはそういう、基本的にタンク的役割の存在なので、最後ラスボスで戦うときは「なんでオレが?」と思ったと思います

それでも、ライフ半分から使う3つ輪の光輪攻撃は、大いなる意志、メーテール、エルデの獣の三位一体を表して壮大なので、ラストバトルの際は是非眺めて見てください


今日は「エルデの獣」について考察しました
次回は「ファルム・アズラ」について考察します





他の考察はこちら↓






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?