永遠の都滅亡の考察
前回は宵眼の女王を考察しました。底知れぬ異彩を放つ宵眼の女王でしたが、結果として彼女の王国ファルムも、彼女の一族の住む永遠の都も、滅びの運命を辿ったのはみなさんもご存知かと思います。今回は、一体どのような経緯でそれが起こったのか、また、その後ノクスの民はどうなったのか、それらのミッシングリンクを探求していきたいと思います
1.大いなる意思とメーテールは、なぜ宵眼の女王をエルデの神人に選んだか
エルデのボス大いなる意志は、暗黒の落し子アステールを落として、ノクスの勢力である永遠の都を滅ぼしました
勢力争いでそうなったのですから、まずエルデサイドの思惑を検証しようと思います。
そこで、そもそも何故大いなる意志は、宵眼の女王をファルムの神人に選んだのか不明なので、考察します
ファルム統治時代、少なくとも前半はメーテールが壊れておらず、大いなる意思の指示を受信していることはメーテール考察回で詳述しました。正常な頃の彼女らの思惑はどのようなものだったでしょうか
大いなる意思(⇒指令 メーテール)の思考
大いなる意思はメーテールとエルデの獣をこの地に送り込み、そこで生命創造発展計画を遂行しています。それは何億年という長い期間をかけ、いわばダーウィニズムの進化と似て、ゆっくりと世代の交代を経て変異し分岐し、多様化していったものと考えます
<エルデの地本来の生態系>
単純なバクテリアから多細胞生物が生まれ、海洋生物
が生まれ、それが陸地に上がってエビやカニやタコや
ホヤに、さらにミミズや、植物、昆虫、哺乳類、鳥類
や爬虫類と、その派生でしょうか、竜、そして(猿は
確認されませんが)霊長類、人間も生まれたので
しょう。
そして、霊長類にインスパ系外なる神の炎の神性が
宿って突然変異し、炎の巨人のような種も誕生し、
爬虫類に狭間の地の天候の神性が宿って突然異変し
竜族が生まれたものと推察します
一方で、ノクスの夜人は、土壌に撒いた泥濘を通じて、雫の幼生入り植物人たるしろがね人を増やす、というサイレントな入植から始めました(前述)。そうして誕生したしろがね人(第0世代)は、交配を経て、歩行不可能で色白のしろがね人第1世代を産みます。その中でたまたま、死の双鳥の外なる神の神性を宿した宵眼の女王が産まれました
宵眼の女王は、見つめるだけで相手を殺せる、という特殊な能力を使い、一族をウル王朝建国まで栄えさせたと思います。
<ウルの王朝遺跡とウルドの王朝遺跡>
リエーニエの北東には、ウル王朝遺跡と良く似たウルドの
王朝遺跡が、深い森の中に残っています。
白いウル爺さんの壊れた石像がたくさん散らばっていて
印象的な区画です
あれはおそらく、アステールによる地下落としを免れた、
ウル王朝の一部が地上に残っているものと思われます。
現在は祖霊の民(しろがね人と牛の混合種)が守り、
一方で黄金の勢力は、歩く霊廟と小黄金樹の化身をそこに
配置して睨み合っているようです
そのような宵眼の能力を知り、大いなる意志は神人たるを任せるに相応しいと考えたのではないでしょうか。そのときは、ノクスの民のような勢力がエルデの地に紛れ込んでいることを知らなかったと思います
また、宵眼の次のような特殊な能力も、坩堝の諸相や外なる神性による突然変異と思ったのではないでしょうか
宵眼の特殊能力
①両目に死の幻視を宿し、神に運命の死を与えることができる。そのための武器や魔術(黒炎)を開発する
②異種族や動物とも交配し、子孫を残すことができる
③魔術や祈祷に優れる。特に、動物霊を青白いエネルギー体に換え、攻撃魔術として使う術を編み出す(祖霊魔術)
④宵眼の能力ではなく、ウル王朝の文化だが、遺体を霊炎で燃やし、遺灰を作り、それを石棺に入れて、地下のエインセル・シーフラに流し、石棺の大穴という地下に葬るという独自のインフラを持つ。黄金樹の樹根に埋葬して再誕を待つエルデの民とは異なる方法で、祝福されざる者の亡骸を処理するのにそのインフラは便利。死にまつわる汚れ仕事を任せたい
これらの能力をエルデの王国……ファルム・アズラに取り込めれば、強力な力になる。
逆に、これを取り込めなければ、エルデの勢力にとって脅威となる
⑤宵眼を外戚に迎えることは、ウル王朝やその後拡大する都に対して、人質を取つていることを意味します。同時に宵眼にとっても、一族の都は人質となります。勝手なことはできません。敵となりうる脅威を封じるには、一族に迎えてしまうことが一番手っ取り早い。いわゆる政略結婚というやつです
大いなる意志は、宵眼と、その一族の能力を高く評価し、また、脅威とみなして政略結婚をさせるためにも、永遠の生命を持つ神人に抜擢しました。そして、ファルムアズラの古竜王プラキドサクスと成婚させました
また、神人は二本指に思考を操られます
つまり大いなる意志や指が宵眼の女王を脅威に感じるなら、彼女を神人に指名してしまい手駒にして操るのが一番手っ取り早い
それが、大いなる意思(⇒指令 メーテール)の思考です
あるいは、大いなる意志は「エルデの民の勢力を伸ばし拡大させろ」としか指令はなかったかも知れません。それをメーテールなりに考えて、宵眼の女王とプラキドサクスを抜擢、治世を任せたのだと思います
宵眼がまさか、ノクステラという、別の種を送り込んでくる直営系の神の陣営だと知らずに
<直営系とインスパ系>
「直営系の神」
……エルデやノクスの異星間文明のように、種を
直接送り込み繁殖することで星を征服しようと
する神、星とか思念体
「インスパ系の神」
……血や腐敗や死や炎、狂い火などの「外なる神」
のように、種ではなく、神性を体に送り込んでき
て顕現する神、星とか思念体
なんかラーメン二郎みたいな区別ですが、すごく
整理しやすい便利な区分なのでぜひご査収ください
2.なぜアステールは落とされたか
宵眼の女王がファルムに嫁いでから、アステールが落とされるまで、その間の歴史に埋もれたミッシングリンクを検証します
最初は宵眼もメーテールも上手くやっていたはずです(嫁と姑の関係)。それをなぜそこまで拗らせたのでしょうか
宵眼の女王は非常に有能で、エルデの勢力を実によく発達させました
一方、古竜王プラキドサクスは、実質ファルム防衛のための軍事専門、幕僚長であり、内政的なことは全て宵眼が取り仕切っていたと考えられます
宵眼が実現したと思われる施策です
・原初黄金樹の樹立
……宵眼は、ウル王朝遺跡から根の発達した小ぶりな樹木を持ち込んで来ました。彼女はこれをエルデの獣の依り代としました。彼女の律は、生(幹と枝と葉)と死(根)が程よくミックスした、メーテールも納得のものでした。ただ、その観葉植物のように小さな黄金樹は、彼女の父ウル王の完全樹根化した姿、その分け技だったと解するのが自説です
・坩堝思想の導入
……宵眼の一族が頭角を表して間もなく、影の地を中心に、エルデの民に混じり角、と呼ばれる謎の角が生えるようになりました。角に限らず、羽や喉袋など、様々なものが生えてくる突然変異が見られました。当初は謎でしたが、宵眼はこれを「坩堝の諸相」と呼び、神性なものと推奨しました。その認識はあながち間違いではなく、彼らの角には、様々な神性を降ろす不思議な能力や強靭な肉体をもたらす効力があることが判明しました。そこから、坩堝を尊重する独自の文化が発達し、角人の勢力が拡大、塔の町ベラルートを中心に、独自の宗教と文化を発展させました。
メーテールはこれを坩堝的突然変異と認識し、興味深く眺めていたと思います
それら混じり角がエルデの民たちの正気を失わせると分かったのはもっと後のことでした
・死のインフラの整備
……宵眼の一族が管理する、エインセル・シーフラ河を利用した河葬は、エルデの地の生と死を循環させ、風通しのよい生と死のサイクルをもたらしました。また、火葬と地下水脈を利用した河川散灰のため、衛生状態の向上に役立ちました
エルデの神は実は霊を操るのが苦手です
というのも、ラニが肉体を捨て魂だけになると、二本指が干渉できなくなりましたよね
あれはすなわち、エルデの神や指には(肉体に干渉する力はあっても)魂に干渉する能力がないことを表しています
この事実は重要で、遺灰のように魂をパッケージングして式神のように召喚操縦する技術というのは、実はノクス特有のものなのです
つまり、死や霊魂や遺骸に関するいわば静脈産業はエルデが不得手で、ノクスの得意分野なのですね
宵眼がどこからか連れてきて使役している死の双鳥(死儀礼の鳥)たちの霊炎であらゆる遺骸を燃やして灰にするなど、エルデにはなかった、ノクスならではの技術です
故に葬送に関する一切は、宵眼の一族に任せていたと思います
・魔術と祈祷の技術交流
……大いなる意志や指の神性を降ろす祈祷、これがエルデの巫子たちの力でしたが、これと、神肌と呼ばれる魔術使いの技術交流があり、両者が発展しました。特に、祝祭と呼ばれる儀式では、ルーンを増やすアイテムなども開発され、これがファルム王権の財政を少なからず改善させました。また、武力としての祈祷や祖霊魔術も進歩し、政権の盤石を支えました
・混種の爆発的増加
……宵眼の在任期間中、混種と呼ばれる様々な種族、獣人、竜人、祖霊の民、亜人、トロル、しろがね人、神肌などの種族が産まれ、多様性が促進されました。彼らは概ね大人しく、特に宵眼の命には従順でしたから、兵士や雑用係として、よく黄金の民にも仕えました。人口の増加は富国に繋がります。黄金至上のヒエラルキーも保たれ、ファルム王国は最盛期を迎えました
この頃は、ラダゴン原理主義王権下ほどの差別的な施策はメーテールもしていなかったと思います
大いなる意志も、メーテールもここまでの時点では、多様な種族の共存共栄だと思っていたはずです
宵眼は非常に有能な神人だったと思います
彼女が、その特性でなかなか眼を開けることができず、また歩行できないことも、獣人や狼などを利用することで全く問題とならず、むしろハンデを乗り越えて、よく働いていました
彼女は人前に出ることを余り好まなかったため、いつも王国の深部にいて執務にあたっていました
そのため、エルデの民が彼女の偶像を崇めることはありませんでした。
そのかわり、彼女の坩堝思想を体現した、寛容な「大母」と呼ばれる巫子が彼女の代わりに民たちに崇められていました
これは、宵眼の治世が民たちに好感的に受け入れられていることの証でありました
姑メーテールから見ても、恭順で控えめで気働きの良くできる宵眼は、自慢の嫁だったでしょう
その褒償として、宵眼の一族は、新たに管理する3つ自治都市を持つことを許されました
・「ノクステラの都」……ウル王朝を遷都させ、より立派な首都とした
・「ノクローンの都」……のしろがね人の生活と宗教施設を融合させたベッドタウン
・「名もなき永遠の都」……しろがねの生活と祭祀に密接に関わる2つの河の源流を管理するための都市(たぶん)
さらに、聖別雪原には、星見のための研究施設も建てて多くのしろがね人を移住させています
<星見の研究施設>
……もともと聖別雪原には、樹木の霊体があるなど、
しろがね第0世代が多く流れ着いていた形跡があり
ます。
寒い地域の方が、樹根化(老化)の進行が遅いのか
も知れません。
また、標高が高いので、星見という占星術のような
ものを研究するに適していました。
火の巨人が隣人だそうで、親しく交流しているうちに、
しろがね第0世代と巨人の間に混合種が産まれたと
思います
私はそれがトロルだと考えています
トロルの腹には内蔵がなく、代わりに樹の枝が生い
茂ったうろのようになっています。多分植物化した
ため、消化器官が不要となり退化したのでしょう
樹根化はしろがね第0世代の特性です。そこに石版
のようなものが入っています。聖典なのか、墓標
なのか、石版の意味は判然としません
トロルは別種族ではなく巨人の末裔とのこと
しかし炎の巨人とは形態が異なりしろがねの痕跡(植物的な樹根)も残る
ゆえにしろがね混種と考えてよいでしょう
特に、ノクステラ・ノクローンの巨大な都にはそれぞれ、宵眼とプラキドサクスの間に産まれた双子の巨大な娘を女王として置き、ファルムのみならず宵眼の一族も最盛期を迎えました
全ては順調に見えました
だがしかし、栄華は長くは続かなかった
やがて、大いなる意志が気づきました
メーテールよ。その宵眼って、大丈夫そ?
え?
3.永遠の都の滅亡
神の目がようやく、宵眼の正体を見抜きました
彼女の正体は、銀の雫の勢力
彼女たちしろがね人の体内には、雫の幼生が宿り
交配、特に異種交配を通じて幼生のコピーたる子孫を残し、爆発的に増加する
気づいたときには、単純に頭数で割れば、圧倒的な比率で、銀の雫の勢力が生態系を支配していました
しろがね人は後述のように、自由意志の意識層の下に種としての暗黙の統一意識があります
つまり、エルデとしろがねの混血種は、総じてしろがね種の強制的な統一意識に従ってします(約束の王ラダーンなどがその例です)
おそらく交配の結果雫の幼生がコピーされ支配することからそうなるのですが
それはおそらく共存共栄からほど遠く、しろがね侵略、あるいは寄生による乗っ取りに他なりません
螺旋塔の築造
また、彼女の本心を見抜くきっかけに、螺旋塔の築造は決定的になりました
エニル・イリムの抱擁像は誰か、の考察回で詳述するように、螺旋塔というのは、大いなる意志やメーテールの関与なく勝手にエルデの神を創造する施設です
そのために大量の角人の生贄を注ぎ込みますが、その角人も元はといえばエルデの民で、それが混じり角を生やされ正気を失って率先して贄になっている状態です
さらにその混じり角も、ノクスの泥濘が用意した汚染された土壌が原因であることなどが徐々に明らかになっていきます(混じり角風土病説については「角人と祖霊の考察」回をご参照ください)
エルデの民を贄にして勝手にエルデの神を創造する施設
それを作った宵眼の女王は明らかな越権行為です
裏切られたと思ったメーテールは宵眼に不信を抱きます
メーテールが宵眼を神人に選んだことは結果的に失敗でした
彼女は気がついて見れば、ノクスの一族の私服を肥やす施策しかしていません
確かにエルデの王国を大きくしましたが、その富を全て一族の為に使ってしまうのです
民や生命でさえも贄にし、霊力にしてしまいます
だから失敗なのです
そんなメーテールの失態に大いなる意志は対処を求めます
仰せに従い、メーテールは事態の収集を模索します
自分がよく調べず神人に推した手前、直ちには切りにくい
また、なんだかんだ優秀で全てを取り仕切る宵眼を失うと、王権基盤が揺らぐ
なんとか上手く宵眼を大人しくさせ、これ以上しろがねの勢力が増えるのを食い止める手はないか
それには脅迫するのが一番な気がします
そうしてメーテールは、卑怯な一計を案じました
双子の娘、永遠の都の王女の暗殺
これをすれば、暗に宵眼の女王に対する警告となる
こんなときのために一族を人質に取っている
メーテールは、子飼いの暗部の密使や、暗殺要員として育てた巫子(黒き刃の刺客)に命じます
これは後の世の二本指の密使ですが、このような暗殺者、刺客は五本指、つまりメーテールの時代からいたと思います
メーテールは宵眼の監督者ですから、宵眼が開発した黒き刃(武器)もおそらく神肌などから接収しているのでしょう。デミゴッド殺しの刃は動かせます
これを密使や黒き刃の刺客に持たせ、2つの都に放ちます。指直属の密使となれば、自治都市とて受け入れざるを得ません
そしてそれぞれの都に派遣された密使たちの一人が、密かに、宵眼の二人の巨大な娘のうちの、ノクローンの娘をある夜暗殺します
ノクステラの巨大な娘と、ノクローンの巨大な娘
この双子はおそらくDの双児のように、ひとつの魂を共有していたと考えます
そのため、ノクローンの娘が運命の刃で弑されたとき、同時にノクステラの娘も絶命、同じように巨大な椅子廟に座ったまま骸になったと思われます
なお、黄金と白銀、絡み合う双児というのは、元はこの永遠の都の黄金と白銀の血を引いた巨大な娘の意味です
つまりエルデの竜王とノクスの宵眼の混血の双子の意味ですね
Dの兄弟は、おそらくこの永遠の都の巨大な双子のメタファーNPCです
(詳細は「死を狩る者Dと、弟の考察」をご参照ください)
宵眼と、その父たるウル爺原初黄金樹からおそらく永遠の生命を与えられ(そのため永遠の都と呼ばれた)た双子の娘たちも、黒き刃で刺されては運命の死を迎えること必至です
二人の王女を失えば、都は混乱し、ノクスの勢いが落ちることも明らかです
しかも、暗殺ともなれば、宵眼が正式に指に抗議を入れることも難しくなります。証拠がありません。宵眼の部下の例えば、神肌の乱心のせいかも知れないのです。これは宵眼への強い威嚇、脅しになるでしょう。それは完璧な計画のはずでした
しかし、メーテールの計算外のことが起こりました
ノクローンの王女だった娘は、その亡骸に一本の刃を残したのです
このテキストの「遺体」がノクローンの王女だったことは明示されていません
しかし、遺剣はラダゴンが残した神の遺剣のように、やんごとなき者が命を亡くしたときに生まれます
永遠の都の女王も古竜王の血をひくエルデの女王なのですから、その遺体から剣が残っても不思議ではありません
そしてこの指殺しの刃は
「運命なき者には振るうことはできず」とあります
これを振るえる者の持つ「運命」とは何でしょうか
後にラニもこれを使って二本指を屠っています
だとすれば、運命ある者とは、「神人である者」
宵眼は神人ですから、これを振るう資格を持ちます
そして大いなる意思と、「その使いたち」
メーテールのことですね
「娘」の遺体から生じた、「神人宵眼だけが振るえる」「メーテールを傷つけるための刃」
もうこれはダイイング・メッセージです
娘から母への復讐依頼の叫びが、この指殺しの刃を生んだと解されます
いくらメーテールがしらばっくれたところで、指殺しを持つ宵眼はもう止まりません
いつもメーテールに謁見するときにするように、宵眼は影の地の指遺跡を巡って3つの鐘を吹き、マヌス・メテルの大聖堂で、指の母メーテールに謁見します
憔悴し、指を謀った罪の許しを請いに来たか宵眼よ
そう思ったでしょうメーテール、まさか指殺しなんてアイテムを持ってるとは思わなかったでしょう
またこのときに新開発の、ノクスの鏡兜を被っていたと思われます
黒き刃でも大いなる意思や指は傷つけられません。いざとなれば宵眼は操れる。だから安心と高を括っていました。
・指殺しの刃
・ノクスの鏡兜
まさかそんなチートアイテムが出てくるとは寝耳に水です
怒りに任せ、指を傷つけまくる宵眼。この時ばかりは、背を貸す狼の機動力たるや、眼にも止まらぬ速さだったでしょう
命までは取りませんでした
しかし、その時を境にメーテールは、二度と正常に戻ることはありませんでした。完全に壊れ、大いなる意志の波動を求めて、混乱した電波を発するようになったのです
どちらが先に仕掛けたのでしょうか
大いなる意思、メーテール、宵眼の女王
全て「母」
母の愛に、先後や優劣などないのかも知れません
自慢の娘、メーテールを傷つけられた大いなる意志は激怒しました
その大逆に報いを
これらのテキストから、暗黒はアステールを指し、アステールは永遠の都を滅ぼし、またそれは大いなる意志の怒りに触れたためであり、地下深くに落とされたことが分かります
メーテールが落とした暗黒の流星は、ファルムも半壊させ、エルデの地の各所に降り注ぎました。現在も、聖別雪原イエロアニスの廃墟と、リエーニエ地下腐れ湖の下流には、アステール本体が居ます。さらに、アルター高原の名もなき都や、ノクローンの都にもアステールは落とされたでしょう
落とされた衝撃で都は地下に埋もれました
唯一地上に残ったのは、リエーニエ北東の、ウル王朝の一部
アステールは逃げ場を封じた地卡で、輝石魔術や重力魔術を使って、都や施設のしろがね人たちとその眷属たる混合種、さらにその始祖となる銀の雫を破壊蹂躙したでしょう
生き残った僅かなしろがね人は、地下に埋もれた都を棄て、地上に散らばってゆきました
4.永遠の都滅亡後のノクスの難民
大いなる意志による復讐は終わりました
ファルムはおそらく宵眼の操術により半壊で済みました。ゆっくり時間をかけて崩壊するでしょう
あるいは、大いなる意思はわざと宵眼とファルムを生かしたのかも知れません。その理由は、
①自分の行った罪とその結果たる都の滅亡を目の当たりにさせ、宵眼に生き苦を与えたかったのか
②あるいは、同じ母として、娘を失った宵眼に手加減をしたのか
③あるいは、せっかく始めた生命創造計画ですから、宵眼を長に残し、継続させる判断をしたのかも知れません。これまで栄えた黄金の生命たちに罪はなく、統治者も必要だったからです
前述のように、メーテールはもう正気に戻ることはありませんでした
自慢の娘を台無しにされて、大いなる意志は悲しんだでしょう
指殺しなる得物を持った銀の雫の勢力に、もはや愛想をつかしたかも知れません
メーテールに変わる娘を送って、生態系をひっくり返すことはもはや不可能
大いなる意志は、そのまま娘を見捨てて、エルデの地への干渉を諦めました
宵眼の敵はもういない
ノクスの勝利は必至です
宵眼は各地に逃げ延びたしろがね人たちの行く末を見守りました
各都市からどう逃げ延びたか
・星見の研究施設
……聖別雪原で星見の研究をしていた彼らは、特に大きな都市を築いていたわけではなく、また標高が高く岩盤が固いので、アステールが飛来しても、地下に叩き落されることはなかったと思います(雪崩がすごかったでしょうが)。むしろ、アステールが運んできた輝石が彼らの星見を変えました。輝石魔術に魅せられた彼らの中には、探求の果てに、自らを原輝石という核に変える者も現れました
このまま死ぬこともあれば、別の肉体を見つけ、馴染めばそのまま暮らすこともできたようです(セレンのように。後述)
ここに、歩行可能な人間タイプのしろがね人が誕生します
原輝石化してしろがねの肉体を捨ててしまえば、歩行不能の宿痾から逃れられます
また、しろがね人とトロルとの交配により、雪原では、大型のしろがね人も産まれたと思います
夜と炎の剣テキストにもあったように、魔術師の前身たる星見
彼らの一部は輝石魔術を携えて、リエーニエに移り住んだことでしょう
なお、現在も弓手として聖別雪原に残るしろがね人もいます(しろがねのラティナなど)
・ノクステラの都
……地下に落とされたノクステラの都市がアステールに蹂躙される中、逃げ延びたしろがねの勢力は、いったん現在のウルドの王朝遺跡に避難してたと思います。駆けつけた祖霊の民が護衛にあたっていたのではないでしょうか。この難民のしろがね人たちは、一部はリエーニエに棲み着き、残りはリムグレイブなどに移住したと思います(しろがね村)
リエーニエに月の貴族の廃墟や王家領などがあるのは、おそらくノクステラの都が首都で、高貴なしろがねが多く住んでいたからでしょう
リエーニエのしろがねの民は、湖に魔術学園を開設、その領地に自治権を獲得し、学園の領地を拡大していきました。聖別雪原から降りてきた輝石魔術の探究家たちと合流し、現レアルカリアの結晶坑道で輝石の発掘を始めます。そして、サリアの魔術街とはまた別の魔術文化が花開きました。
<幽鬼にみるノクス難民の行方>
「月の民の廃墟」 貴人の魔術師
「月の貴族の廃墟」 王族の幽鬼2体 幽鬼の従者
「王家領の廃墟」 さまよえる貴人 王族の幽鬼
これら廃墟は全てリエーニエに点在します
幽鬼はおそらく、ノクスの傍流王族の遺体を蜘蛛が食し、
しろがね混合種化した姿だと思います(手足が8本)
これはノクステラの難民がリエーニエ各地に散らばり、
そこに棲み着いた名残だと思います
貴人の魔術師、さまよえる貴人も同様です
貴人はほぼ死者に近い状態なので歩けるのではないで
しょうか
さまよえる貴人は西リムグレイブにも見られます
これらエネミーの所在は、永遠の都が滅亡したのち
の難民の分布を探る手がかりになります
なお、「王族の幽鬼」は聖樹の支え、エブレフェール
に5体も出現します
聖樹とその支えが本来ノクスの王族に近い施設であった
ことの現れとなります
詳しくは約束の王ラダーン回の聖樹の考察を参照ください
・ノクローンの都
……地下に落とされたノクローンの都市がアステールに蹂躙される中、逃げ延びたしろがねの勢力は、西に避難し、サリアの街を形成したと思います。また、一部はリエーニエの難民と合流したでしょう。
サリア地下にも結晶坑道があるので、リエーニエ同様、輝石の魔術が研究されました。リムグレイブの魔術学園と交流をもちつつも、サリアでは独自の禁断魔術や重力魔術が研究されていました。
なお、禁断魔術とはカーリアから見た呼び名で、彼らは望むままに魔術の研究に没頭しました
もともとノクローンには宗教施設が多かったたため、サリアにはノクス僧や夜巫女も今なおボスとしています
・名もなき永遠の都
ここは2つの大きな都と異なり、主に地下河川の水源を管理するための小規模の都市だったと解されるため、もともと地下にあったと思われます。なので、ここの現在の崩壊は主に、黄金樹の根が育って地盤を壊したためと思われます。なので他の都のような大きな被害はなかったのではないかと推察します
その他、各地で被差別対象とされるしろがね人
更に、典礼街オルディナでミケラの聖樹を守るように屋根の上で矢を放つ霊体のしろがね人がいたり
聖樹を約束の地として崇めるしろがね人もいます
モーグウィン王朝に仕える、あるいは庇護されている? のと、魅了されているのか、攻撃してくる、カエル顔のしろがね人第二世代もいます
しろがね村や、火山館地下で虐待されるしろがね人、等
彼らは一般に弱く、地位が固定化され、反撃してきてもさほど強くない、という立場にあります
また、老人の第一世代は足が溶けている者も多く、ますます不利な立場にあることが分かります
以上はノクスの民、と言われる、いわゆる人型のしろがね人です
広く、しろがね混血種について
永遠の都滅亡と直接の関係はありませんが、広くしろがね混血種のその後を見ると、例えばモーン城での蜂起のように、従僕としての地位に不満を持つ亜人や、王の壁としていまでも警護についている竜人兵、神人の影従の地位にある獣人、延々車を引く力仕事に従事するトロルなど、彼らの立場は総じて高くありません。優れた主に運良く仕えるしか、彼らに救いの道はなさそうです
これなら好き勝手生きているエビやカニやタコやホヤの方が気軽ですね
4.まとめ
上記まとめます
・栄華を誇った永遠の都とファルムの滅亡は、大いなる意思、メーテール、宵眼という三者の母が復讐に復讐を重ねた末起きた、悲劇であることが分かりました
・その結果、しろがね人や、しろがね混合種たちは、数こそ多いですが、総じて低い地位に圧しつけられ、その状態が今でも続いています
ただし、次回のレアルカリア魔術学院の考察を読むと、彼らが必ずしも弱者であるとばかりはいえないことが分かります
より現在の裏エルデンリングに迫ってゆきましょう
今回は、「永遠の都の滅亡」について考察しました
次回は、「レアルカリア魔術学院」について考察します
他の考察はこちら↓