エルデの王ゴッドフレイの考察
オープニング映像で登場し、本編になかなか出てこなかった蛮地の王ホーラ・ルー。モーゴット撃破後、彼の亡骸を優しく抱き上げるイケオジが、実は初代エルデの王ゴッドフレイことホーラ・ルーだったとき、多くの褪せ人は驚いたのではないでしょうか。この人が王👑だったのか……でもやっぱり脱いで野蛮! 今回はそんなゴッドフレイ。出自やエルデ建国の過程、蛮地への左遷の理由など、いろいろモヤモヤすることをハッキリさせます
出身は影の地?
前々回少し触れましたが、DLCでは影の城にゴッドフレイの手掛かりがありました。中庭に植えられた、小さいながらも立派な黄金樹。その下に王の受領のタリスマンは落ちています
てっきりもともと海外のどこか蛮地にいて、影の地以外で成婚したと思ってましたから、影の城で結ばれてたのは意外でした
タリスマンの意匠から当時から既に荒々しい無頼漢。髪型といい、どう見ても軍属上がりって感じはしないんですよね。どこか高地の屈強なマタギに鎧を着せた感じ。そうなるともともとはラウフの麓のあたりで大赤熊相手に素手で取っ組み合い、雄叫んでた、誉高き戦士だったのかも知れません
高地の戦士の装束をもっと考察してみましょう。ホーラ・ルーの出身を特定できるかも知れません
青は寒色ですので、高地の寒冷地では保護色となって戦闘には合理的な色だと思います
そして熊の狩人にとって強大な獣、というと、
ルーンベア ⇒ 大赤熊ラルバ ⇒ 大赤熊ルガリアの順で強くなってゆきます
誉れの衣装の「赤」とは、ひょっとしたらこのような大赤熊を一人で倒したような戦士の栄誉なのかも知れません
ここから分かるのは、
・一般の高地戦士の装束は、青が基本のシンプルなもの
・強い戦士となり、赤大熊を倒すと、誉れの装束を与えられる
・誉れの衣装の肩にあるように、ルーンベアなどを倒すとその毛を防寒のために縫い込む。そのような毛がない高地の装束は、駆け出し戦士の基本的なデザイン
などでしょうか
兵士でも騎士でもなく、ホーラ・ルーは戦士。しかも行儀の良くない。誉れ装束テキストの高地の「戦士」とも一致します
そういえば戦士というと、戦士名乗りをするのが好きなNPCがいましたね
めっちゃ戦士名乗りをする。名前からして、ホーラ・ルー一族の末裔。時代が離れているので、ホーラ・ルーの娘ではないでしょうが、遠い親戚筋ではあるでしょう。ルーは特定の集落についた字かも知れません。ルー村のネフェリ、みたいな
大事なのはネフェリの装束。腰のあたりにありますね、銀色の毛と赤い毛。ついてます。獣の毛ですが、長さから考えても、これはルーンベアの毛と、少しの大赤熊の毛とみることができます。ネフェリがいつも倒していたルーンベアと異なり、大赤熊は単独では狩れなかった。が、共に参戦して勇敢に倒した、そんな証かも知れません
その獣の毛から、ネフェリ・ルーは高地の戦士である可能性が高い。ならばその一族であるホーラ・ルーも高地の戦士出身となります
そんな観点で改めてゴッドフレイを見てみましょう
ゴッドフレイ。基本イメージカラーは青
この青は、高地の装束、一般戦士の青。王となった今、敵は大赤熊ではなくなりましたが、戦士の初心は忘れてないのですね
只の戦士、という文言から、地位も役職もない、狩人のような戦士だったことが窺えます
さらに、ゴッドフレイの得物はゴッドフレイの王斧。そこには王の雄叫びのエンチャントも付きます。熊といえば斧(金太郎感)。熊の咆哮に負けじと雄叫ぶホーラ・ルー。もう誉れはホーラ・ルーでいいでしょう。ホーラ・ルーといえば誉れ
まとめると、親戚筋の戦士ネフェリ・ルーが熊の毛をつけてるので、戦士ホーラ・ルーも熊狩人。ラウフ高地の出身、でファイナルアンサーにします
さて、影の地に名を轟かせ、マリカに見初められて成婚した王、ホーラ・ルー改めゴッドフレイは、早々に影の地を畳んで狭間の地へと移り住みます
マリカの口説き文句は「私の王になれば、熊より強い巨人や竜王と、戦(や)って戦(や)って戦(や)りまくれるわよ」だったと思います。血湧き肉躍る脳筋王は、二本指とマリカの細かい確執などには無頓着で、なんで影の地にこんなねじくれた黄金樹が立っているのかもよく分からなかったと思います
新天地狭間の地で戦三昧
作戦立案や奸計はマリカの役目。ゴッドフレイは目の前の強い敵を屠るのみ。2人の相性はある意味最高だったと思います。ただそこは王、それなりの品位も必要です。戦闘狂の衝動を諫めるため、宰相セローシュという名の獅子の霊(遺灰?)を自らに背負いました
狭間の地にいきなり乗り込んできた二人と一匹ですから、たとえ二本指に選ばれた神人だったとしても、周りは敵だらけだったでしょう。亜人、トロル、炎の巨人、獣人、古竜。特に炎の巨人から、大釜の炎を取り上げない限りは、安心して黄金樹も建てられません
まず炎の巨人を殲滅する。ついで宵眼の持つ死のルーンと古竜王の囲うエルデの獣、そのどちらも奪う。ゴッドフレイ配下の戦力は、大剣を持つ騎士オルドビスと、樹槍を振るう騎士シルリアを筆頭とする、坩堝の騎士たちでした
シルリアって一般に女性名だし、なで肩で、オルビドスより線が細いんですよね。なので女性騎士なのだと思います
オルビドスの兜は左右に斧をあしらい、ゴッドフレイのイメージ
シルリアの兜と前掛けには黄金樹の枝と根、黄金樹はマリカのイメージでしょうか
この二人に任せてた、ということで、国盗りの戦にあたって夫婦二人三脚感が出て好きな設定です
さて、坩堝の騎士、という言葉が出たので、ここでゴッドフレイ王権時代の坩堝思想の扱いについて考察したいと思います
マリカが角人粛清を命じたこと、異種族と片っ端から戦い平定したことから、マリカは異種族に寛容な坩堝の諸相、あるいは坩堝思想が嫌い、と思っている人も多いかと思います。ですが、私は少し違うと思います
ここで、エルデ王国建国に関わる三者の好みをプロファイリングします
・二本指の好み
……禁忌は嫌い。朱き腐敗、巨人の炎、死の双鳥の神性など、外なる神のデバフは、永遠の生命や黄金樹に仇をなすので。
……坩堝も本来は排除したい。坩堝も禁忌と同様、本来は外なる神の干渉であり、混種の外なる神が降りてきていろんな生命を混ぜようとしている、と考えるのが自説。ただ、禁忌ほど直に害をなすものでもないし、今は坩堝の強い戦力が必要なので、必要に応じて利用。角人のように汚れ役(壺漬け事業や責問官など)に使えるし。でも、ゆくゆくは黄金純血主義のために混じり角は粛清するし、何かあったら坩堝はただちに潰す
・マリカの好み
……禁忌とはやり合わないと仕方がない。本当は蛇にも巨人にも恨みはないんだけど。二本指の命令だし。心を鬼にしないと。でも自分の子供で生まれてきたら、やっぱり愛おしい。本当は禁忌も坩堝もみな幸せな、優しい律がいい。でも権力、力を手にしないと、かつての巫子たちのように蹂躙されてしまうから。だから禁忌はまずは封じないと。大人しく従うなら、皆殺しにはしませんが
……坩堝は「生命オールオッケー!の大母」の思想の基本。坩堝は好き。いろんな種族で本来共存すべきだし、狭間を平定したらいずれはそうしたい。本当は影の地も隠したくはない。でも、二本指が死や過去を隠したがってるから仕方がない。いずれ二本指を出し抜いて思うがままにできたら、影の地もオープンにしたい。でも今はまだ無理。
え、角人? てめえ等だけは許さねえ。でも子供が忌み子だったら、やっぱり愛しいと思う。でも、甘やかしはしませんが。実力が必要。王になりたければ、実力で這い上がれ
・ゴッドフレイの好み
……強ければいいだろう!!!
……いや、実際坩堝の連中は強い。竜餐や私がしてきた熊餐も、他の種の生命を取り込むことで自分を強める、坩堝的な営みだ。セローシュの宰相ぶり、実際に野生や自然から学ぶことは実に多い。坩堝上等の五本指統治下で育ったしな。黄金の純血は美しいかも知れんが、ひ弱では話にならんよ
……禁忌か。禁忌は確かにそのステータス異常を上手く利用すれば、戦闘には役立つのかも知れん。だが、好きではないな。力こそパワー。毒や腐敗や死に頼るようでは誉れ高き戦士とは言えない。なにより、自分にデバフがかかったら本来の力も出ない。まあ是々非々だな。我が子が禁忌だったら? それはそれ、大事なのは魂よ。黄金の魂を持っていれば、禁忌でも誉れ。誇り高く強ければ、禁忌でも坩堝でも、立派な戦士よ。だが二本指には逆らえんがな。こればかりは、大いなる意志の代弁者だ。従うよりあるまい
三者の、禁忌・坩堝に対する思想は、こうプロファイリングできます
なので、マリカもゴッドフレイも坩堝思想そのものには好意的だったと考えられます。既にここで、二本指との微妙な温度差が生まれてますね
今後も繰り返しこのような場面は出てきますが、基本的にマリカと二本指は対立しています。マリカは賢いし強い。二本指としては、反抗的だけどマリカの優秀さを棄てられず、なんとか乗りこなして利用するしかない(ただしラダゴンが後に力をつけてくることでこの関係は変化していきます)。二本指は、大いなる意志の娘、メーテールの子なので女性です。指は女性。なので、マリカと二本指は、嫁姑のような仲の悪さだと思って下さい。そうすると、二人の協力関係と水面下での主導権争いがイメージしやすいです
「マリカと二本指は嫁姑。エルデンリングの基本軸は、嫁姑の主導権争い」
↑ ここ、テストに出ます
さて、今回のテーマは嫁姑ではなく、婿ゴッドフレイでした
ゴッドフレイの国獲りに話を戻します
マリカ・ゴッドフレイ軍の行程は、マリカの言霊と、マリカ教会の番号を辿れば分かります。マリカ……というか、二本指は、二人が平定した場所に、順に教会を建てるのです
ゴッドフレイ軍の行軍
・第一マリカ教会 ……巨人山嶺……マリカの言霊
・第二マリカ教会 ……アルター高原
・湖のリエーニエ/デクタスの大昇降機……マリカの言霊
・リムグレイブからファルム・アズラへ
・ケイリッド西 ……剣碑
・第三マリカ教会 ……リムグレイブ……マリカの言霊
・第四マリカ教会 ……啜り泣きの半島
・巡礼教会 ……啜り泣きの半島……マリカの言霊
ゴッドフレイが戦ってたとき、マリカはどうしていたかも気になります。それぞれ順番を追ってみていきます
1.・第一マリカ教会 ……巨人山嶺……マリカの言霊
最初の巨人戦争の様子は、マリカの言霊や剣碑、戦場跡の景色が知らせています。
上の言霊は、まさに巨人を追い詰め、大釜を視野に入れたあたりで触れられた檄ですね。火を封じないことには、樹が建てられません。巨人討伐は、エルデ建国の一丁目一番地(死語)なのです
そうして巨人を倒し、それを伝える剣碑に気になる一文があります
「トロルの裏切り」……? さらっと書いてあるけど気になります
「トロル」が巨人戦勝利のキーになったようです
「英雄」たちの戦い。この裏切りに、「英雄」が関係しているのでしょうか。ちなみに、ゴッドフレイやその兵の活躍なら、「王」あるいは「王の戦士」たちの戦いとなるはずです。英雄は、少なくともゴッドフレイとは違う兵力のようです
そして、この剣碑は、後の大きな問題にものすごく重大な手がかりを残していることに、皆さん気づかれると思います
この戦場跡を見て下さい
炎の巨人の亡骸、何か気になるものがありませんか
刺です。拒絶の刺そっくりの刺。
英雄……そういえばラダゴンも、剣碑では「英雄」と表現されていました
巨人戦では、ラダゴンが活躍していた形跡があります
いやまさか……刺だけでは証拠が薄いですね
しかし調べると、またしてもあの名が、隠された歴史から掘り起こされるのです
ザミェル一族
なるほど、彼らも英雄。そして冷たい風をまとう彼らは、火の巨人たちの宿敵……これは強い戦力になりそうです
では、剣碑にあったトロルはどう関係するのでしょうか?
ラダゴンの拒絶の刺は?
実はこの2つはザミェル一族で結びつきます
啜り泣きの封牢に囚われたザミェルの古英雄を倒すと、ラダゴンの刻印をドロップします。
なぜザミェルがラダゴンの刻印を?
またなぜ封牢に閉じ込められているのでしょうか
しかし、これはザミェルとラダゴンの関係を示唆します
両者の関係は「陰謀の夜」の考察回で詳説します
少なくとも今は、「古英雄は、ラダゴンから刻印を貰うほどの仲だった」ということを押さえておきます
また、このザミェルは長身で、仮面を外すと、驚くことにトロルと同じ系統の顔をしているのです
歩く霊廟に関係する、細身のトロルと同じ長い首と銀色の長髪を持っています。まるで、トロル車を引くトロルの女性版、という感じです
そこで、ザミェルの得意とする冷気の魔術を考えるに、これはノクス系の魔法です。そこから推察するに、ザミェル一族は、トロルとしろがね人の混種です
「ザミェル」「トロル」等画像検索すると、このような仮面を外した姿を見ることができます
トロルの子孫だからこそ、敵対していたトロル勢を説得し、黄金の勢力の味方に引き入れた。これが「トロルの裏切り」の意味です。トロルは、最初、敵の敵は味方論理で炎の巨人と共闘して黄金の勢力と戦っていた。しかし、トロルの子孫であるザミェル一族を、ラダゴンが味方に引き入れたことにより、トロルを寝返らせることに成功した。故に気候的にも地の利からみても不利だった巨人戦争をひっくり返すことができた。そういう戦いがこの戦場からは浮き彫りになるのです
まだ信じられませんか? 巨人戦争でも、ラダゴンが暗躍していたことを。ならば、もう一度この言霊を見て下さい
マリカはこのような激戦地に身を置かないはずです。
マリカがいてもそれを守る兵力が多数必要になり、かえって足手まといになってしまう。ゴッドフレイとしてもこんな場所にマリカを連れてはこないでしょう
ではなぜマリカは、「あの頂きに」、とまるで景色が見えているかのような言霊を残せたのでしょうか
マリカの言霊の中で、具体的な景色を表しているのはこの言霊だけです
それはつまり、マリカはラダゴンとして、この巨人戦争に参加し、実際に「あの頂き」を見ていたからなのです
また、「そして、はじめようじゃないか」という言い方はなんだかマリカっぽくないし、「我ら黄金樹の時代を!」のような「!」がつくアジテーションは、ラダゴンの十八番です。小黄金樹教会での「同士よ! 何の躊躇が必要だろうか!」も、これはマリカの言霊を乗っ取ったラダゴンのアジだと解しています。この2つの言霊は、どうしてもラダゴンっぽいのです。
また、ラダゴンはこのとき「巨人たちを打ち滅ぼし」と、完全に殲滅させる気でいました。でも実際には、
マリカは殲滅させずに、巨人に火守りをさせることで生かしています。
分かるでしょうか。このマリカとラダゴンの違いを。この違いには注意を払う必要があります。ある場面で、これはマリカではなくラダゴンの言霊である、と読み解かないと、いったいマリカがどういう性格の人なのか、何を考えているか、まったく分からなくなってしまうのです。ラダゴンは黄金律原理主義で他民族が嫌い。マリカは大母の坩堝の律が染み付いていて最終的には寛容。ただ戦うときはやむを得ない範囲でしっかりやるけど
この心理プロファイルは信じてよいのではないか。テキストの解釈の指針として確かではないかと思います
さて、以上まとめると、「英雄たち」とは、そこにいたラダゴンとザミェル一族
「トロルの裏切り」とは、トロルとしろがねの子孫であるザミェルが、トロルを黄金側に引き入れた、という意味です
この功績で、火は封じられ、黄金樹が安心して建立できるようになりました
ただ、ここで立ち回ったラダゴンは、ゴッドフレイが苦戦しているのを見かねて仕方なく表したマリカの分身ですので、あまり表立っては歴史に名を刻んでいません。だからまだ目立って姿は表してなかったと思います。また、このような使い方であればラダゴンの封印を解いても、二本指はうるさく言わなかったのでしょう
次の戦場に移ります
2・第二マリカ教会 ……アルター高原
第二マリカ教会について、現在はモーグ関連の血の勢力が占拠していますが、ゴッドフレイ建国の当時はどうだったでしょう。アルター高原は王都のお膝元であり、特に目立った抵抗勢力はなくとも、ここに公式の教会を建てて布教し、民衆の求心力を高めておく必要性は高かったものと思われます。巨人たちを倒し勢いに乗るゴッドフレイ軍が南進する、その途中の場所だったと思われます
3・湖のリエーニエ/デクタスの大昇降機……マリカの言霊
これはレアルカリア魔術学院に対する、マリカの脅迫……もとい、投降の説得だと思われます
「黄金樹は、すべてを律する。選ぶがよい」
……これから黄金の統治になるけど、どうする? 殺(や)る?
「我らの律の一部となるか?」
……少しは魔術できるようだけど、よかったら高待遇で雇うよ?
「それとも律の外にあり…何の力も持たぬ、辺境の傍流となるか」
……まあ仕掛けてこない限り殺しはしないけど、従わないのなら冷遇するよ?
こんな感じの意味だと思います
おそらく当時は源流派の中でレナラが頭角を表してきた時期
レナラは、月の魔術を使いますが、それをまるで太陽(黄金)に阿るような「満月」の魔術に作り変えた。満月とはつまり、太陽(黄金)に照らされて初めて存在しうる月。これは実質的に、マリカの言霊に対する隷従の解答を意味します
レナラが学院での支配力を強められたのは、レナラの得体のしれない実力に加え、実際的には黄金の勢力の後ろ盾を得ることができたからだと、私は考えています
レナラは王家に阿るあまり、あまりに強大過ぎる魔術や、神殺しに関わるような魔術は禁忌としたのでしょう。そんな姿勢を骨抜きと揶揄する勢力と学院内で対立し続けることになります
ゴッドフレイ行軍としては、魔術学院と戦うことはなく、このときは穏やかに南進することができたでしょう
4・リムグレイブからファルム・アズラへ?
さて、巨人戦争の勝利からリムグレイブまでは比較的穏やかに進軍できました。問題は、もう一つの本丸、ファルムアズラです。これ、ゴッドフレイはあの天空の城にどうやって進軍したと思いますか? 本編にあったような、時空の歪みによる転送はまだできないと思われます。隕石の衝突で崩れかかっているとはいえ、実際に古竜王も宵眼もまだ居城しているはずです
飛ぶ?
そう、飛ぶ、です
飛ぶしかない
どうやって?
暴竜ベール。彼は翼竜の元締めです
プラキドサクスに敗れ、根に持ち敵対しています
彼の巣食うギザ山は、影の地の南端にあります
狭間の地の地図を重ねると、リムグレイブと近い
実際リムグレイブには、南西に竜餐教会もある。プラキドサクス統治下では、翼竜を喰って力を得ることが人間の兵たちに推奨されていることがDLCで明らかになりました
翼竜サイドとしてはたまったもんじゃありませんよね
ヘイトを貯めて復讐の機会を狙っていたと思います
そこにどうでしょう、ゴッドフレイ・マリカ軍が、ファルムアズラ攻略の話を持ちかけたら
翼竜サイドとしてはまたとない復讐の機会です。二つ返事で協力するのではないでしょうか
特にテキストはありませんが、そのような勢力図、敵対関係の地理的状況から、ゴッドフレイ軍は翼竜の力を借りてファルムに侵攻したと考えられます
翼竜に乗って少数精鋭で奇襲を仕掛け、古竜王との一騎打ちに挑むゴッドフレイ……かっちょいい。姿が浮かびます
なお、マリケスは予め他の獣人に紛れ、竜人兵などと共に一足先にファルムに潜入し、司祭の一人に化けて情報を送る、諜報活動をしていたと思います。彼が王の一騎打ちの裏で、もう一つの決着を果たしたのは、前回考察しました
5・ケイリッド西 ……剣碑
ケイリッド。当時は赤い腐敗などは当然なく、穏やかな辺境地だったでしょう。サリアにわずか、ノクスの古代禁忌魔術が伝わっていたと思います。しかし、古竜王を撃破した今、飛ぶ竜も落とす勢いのゴッドフレイの前に、多少術を使えるノクス僧や夜巫女など敵ではありません
散発的に起きる抵抗勢力も蹴散らし、そうしてゴッドフレイはついに、狭間の地を平定したのでした
ここで注意すべきは、これらの行軍を一気にやってのけたのではない、ということです。一つ領地を広げては王都に戻って英気を養う。マリカとしても、実際に戦場に赴いたのは巨人戦争でラダゴンに化けたときだけでした。後は手負いのプラキドサクスくらいですから、安心して王都を守れたと思います。そんな中で、二人の間にも子供が生まれていた
長男ゴッドウィン。見た目も美しく、強く、人格も良好。非の打ち所のない王子でした
だが次に生まれた双子は忌み子。この衝撃は、各方面に影響を与えたとおもいます。もちろん二本指の強い命令で、生まれて間もなく忌み捨ての地下牢に二人の子は封じられました
いつの時点か分かりませんが、進軍中にその報を聴いたゴッドフレイは、急いで王都に帰ったことと思います。マリカや指巫女を通じて二本指に訴えるも、決定が覆ることはなかった
今は国獲りの最中。全土を平定するまでは、この問題は棚上げされたでしょう
そして最後の地、ケイリッドを治めたとき、マリカとゴッドフレイは何らかの決断をしなければならなかったと思います
6・第三マリカ教会 ……リムグレイブ……マリカの言霊
初戦の巨人の山嶺からグルっと反時計回りでケイリッドまで
そこを時計回りで戻る途中のリムグレイブ
しかし、ゴッドフレイとその軍は、王都への帰還を許されませんでした
表向き、好敵手がいなくなって王の瞳が褪せた、と残っていますが、やはり不自然です。やっと全国を統一したこれからというときに、王が不在に、しかもそれが王女の采配で、ということはやはり尋常じゃない事態と言わざるをえない
そしてこの点が、多くの考察者をしてマリカの本心を不明にしている点の一つではないかと思います
ですが、この左遷は以下のような理解だと得心できます
・二本指の思惑
・影の地で、禁忌の子メスメルが生まれたとき、赤髪だったことから、ひとえにラダゴンの責任に思われた
・しかし今回の忌み子は、二人が坩堝思想を持っていることに照らすと、マリカ・ゴッドフレイ、どちらにもその責があると考えられる
・つねづね坩堝思想を嫌悪していた二本指は、この機会に坩堝との決別を完全なものにしたい
・また、強すぎるゴッドフレイは、二本指にとっても脅威となりうる。黄金律に靡かず坩堝を信奉するゴッドフレイとは、今後対立が予想される
・そこで、マリカには影の地での角人の粛清と、夫への何らかの処分を命じることにした。坩堝に対するしっかりとしたけじめを取らせる
・同時に、巨人戦争で優秀な働きをしたラダゴンへの評価を見直す。彼にもう一度チャンスを与える
・ゴッドフレイの思惑
・ゴッドウィンは問題ないが、モーグウィンとモーゴッドは心配である。二人には、ゴッドウィンの名をそれぞれゴッドとウィンに分け与え、坩堝思想のもと、三人別け隔てなく育てようとマリカと話合っていた。それをなぜ、モーグ、マルギッドなどの忌み名を付け、ゴッドウィンの名の影を消すのか。その上忌み捨ての地下に、拘束具をつけて幽閉するなどと。そもそも角は、我が故郷では神聖なものとされていたのではなかったか。それを勝手に忌み呪いなどと愚弄して。許せぬ。二本指とは到底価値観が合わない。……屠るか
・いや、指に逆らえばマリカがどうなるか分からない。それに、今回の角子の件に関しては、我にも明かせない事情が、妻にある気がする。妻の方が知に長けている。我は戦う専門だ。神の王配に過ぎぬ。ひとまず全てを平定し、当面の憂いは拭い去った。一仕事を終えた今、実際我は用済みかも知れぬ。ここは全て、妻の采配に委ねよう。我はどんなことがあっても、妻を信じ従おう
・マリカの思惑
・不安が的中した。どうやら禁忌の子や忌み子は、私の中に問題があるらしい。壺の中で取り込んだ罪人たちの禁忌が、私に移り残ったのだ。これは祈祷でもどうにもならなかった
・まずは大事なのは、ゴッドウィンの身の安全。この子を大事に育てる。モーゴッドとモーグウィンは可哀想だが、地下に幽閉するしかない。いざとなれば、解き放つ。その時まで、己を鍛えて強く生きよ
・夫への風当たりは、この先強くなるだろう。二本指との対立が予想される。だが、今はそのときではない。蛮地に送り、そこで鍛えて貰う。さらに戦士を増やし、鍛え、しかるべきときに供えて貰う。王にはそのことを、こっそり伝えよう。きっと分かってくれる
そのような三者の思惑が一致した結果の採決が、次の言霊です
これは事実上の死刑宣告に見えます。少なくとも二本指は、その決断に満足したでしょう
脅威となるゴッドフレイが去り、残ったのはマリカと子供三人……いや、一人。あとは、どうにでもなる
7・第四マリカ教会 ……啜り泣きの半島
王と王の軍……そのとき既に瞳から祝福を失った戦士たちは、褪せ人と呼ばれるに至りました。彼らはこの半島から、海の向こうにあるとされる蛮地へ向け、船で旅立ちました
啜り泣きという半島の名は、王を失った神と、神と離れる王の心情を表しているのでしょうか
8・巡礼教会……啜り泣きの半島……マリカの言霊
マリカ教会はいわば二本指謹製の、権威ある官製教会です
啜り泣きの半島にも、マリカ第4教会はあります
ですが、マリカはここに言霊を残さなかった
マリカはそこにではなく、少し先の巡礼教会、その小さな民製の教会に、最後の言霊を残しました
王とその配下の褪せ人のために
二本指に悟られぬよう、こっそりと
今回は心理プロファイル多めで、二本指、マリカ、ゴッドフレイの心情を洞察しつつ、様々な勢力との関係の中で、ゴッドフレイ軍の進行を特定、考察しました
今回の考察では特に、マリカの神人としての人となりを、かなり明確に伝えられたと思います
また、ラダゴンとザミェル一族の影が不気味に見え隠れしているのも今後の解説の要です
次回は「黄金のゴッドウィン」の考察です
他の考察はこちら↓
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