ネットの誹謗中傷が止まらない、無くならない理由

まず大前提として言っておくが、ネットの誹謗中傷は悪である。

しかし、昨今のこの問題に対する考え方に私は違和感を覚えた。そのため、いくつか反論を試みたいと思う。

2020年5月23日、女子プロレスラーの木村花さんが亡くなった。自殺とされている。

この事件をキッカケに、いわゆるネットの誹謗中傷が一気に世間から注目されるようになった(それ以前からも報道はあるにはあったが、扱いはごく小さかった)。

ここで1つ重要な事を言っておきたいのだが、世間の人々には彼らネット民を糾弾する資格はまったくないという事だ。

何故ならば、ネットで誹謗中傷を繰り返したりする、いわゆるネット民と呼ばれる者達は、その多くが世間から弾かれた経験のある者達だからだ。

学校でイジメを受けた者。対面でのコミュニケーションが上手くいかず、友達が作れなかった者。何らかの理由で不登校になってしまい、ついて行けなくなってしまった者。

そんな、人知れず心に傷を持った者たちが集い、傷を舐め合い、時に対立し、独自の文化を形成したのがいわゆるネット文化というものなのである。

今、ネットで誹謗中傷をする者たちを叩いている第三者は、何を持って彼らを叩いているのだろうか。これまで身の回りの人物が苦しんでいても助ける事などほとんどなかった彼らが、一体何故ネットの世界の住民に対しては強気に言葉を叩きつけ、そして誹謗中傷を受けた者を擁護するのだろうか。私には不思議でならない。

誹謗中傷を受けた当事者が加害者を相手取り訴訟を起こすのは当然だが、これまで現実のイジメには見て見ぬふりをこいていた第三者に一体何故加害者を糾弾する資格があるのだろうか。

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次に、SNSの扱い方についての反論である。

「○○はSNSやネットによる誹謗中傷で自殺に追い込まれた。責任を取れ」

という論。

私はこれを聞いた時、本当に首を傾げた。

(じゃあSNSなんか辞めれば良かった)

と思うのである。

これは、

「イヤならやめろ」

では無い。

何故自殺するほど神経を擦り減らす物を続けるのか、という話である。

SNSなど無くてもなんら問題はないのにも関わらず、何故続けてしまうのだろうか。私は疑問でならない。

SNSで誹謗中傷を受け、心が少しでも傷付いた時点でSNSは辞めるべきだった。

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木村花さんの事件は痛ましく、遺族の方の無念は計り知れないが、木村花さん自身はどこかで退き、逃げる事は出来なかったのだろうか。何故、真っ向から向き合ってしまったのだろうか。

人は辛ければ逃げても良いのである。

命こそが最も大事なのだから。