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困ったお客は時間を使う。
仲介業をやっていて、家賃レベルで客層が分かれる。賃料があるレベル以上の方々は至って普通。話もスムーズ。内見も楽しい。しかしその逆、安価物件のお客はなかなかの「こだわり」強い人も見受けられる。
うちでは安価なプランを別サイトを設けて集客している。
通常の流れでは、メールや電話でのやりとり→内見→書類送付→重説→契約→引き渡しで、早い時は1週間~10日で終了する。だが低価格希望の方はそうはいかない。
先日、そのサイトからある女性の問い合わせが来た。引っ越しまで時間がない、お金も少ないから安い物件を探してほしいと。
今となって言えることだが、当店はポータルサイトへは出稿しているものの、大手の影に入ってしまって決して目立つ会社ではない。そんな会社へ来たということは、他に断られたから行き着いたのだろうと。
そしてこういう人は時にとても時間がかかる。
まずは物件探索に入る。諸経費が安い、家賃が安い、駐車場あり、エアコンほしい、風呂トイレ別、2階以上がいいと要望が多い。でも、無くはない。私のような未経験不動産屋でも何件かは見つけることができる。しかしここからさらに要求が増す。
まず言われるのが築年数。「古いのヤダ。せめて15年以内が良い」など。おおよそビレッジハ◯スなどの超安価物件を見てきたのだろう。確かに安いがとても古いのでこだわりある人や女性にとっては避けたい。それは解る。
だがこの時点で見つけた物件のほとんどが消える。なのでそんなきれいな物件は無いと伝えると、今度は場所を指定してくる。「なるべく中心部が良い」。うーん、、、家賃相場を教えたいけど嫌味になると思って黙っておく。
逆提案で「この物件は条件に合います。しかし家賃が5千円高くなりますが、頑張れますか?」と。すると「厳しいです」と即答。その5千円が厳しいと言う割に車はオラオラ系ワゴン。女性で大きなワゴンに乗ってるのには驚いたけど、そもそもその車の燃費いくつだと思ってんの?売っぱらって安い軽自動車でも買えばガソリン代かなり浮くでしょうよ。10年前の軽自動車でもその倍は走るよ。・・・と言いたいがぐっと我慢。「いい車ですね」なんて心にもないことを言って機嫌を取ってみる。こういう収入に見合ってないものにお金を使う人の特徴は節制をしない。「一日換算で160円ほど節約すればいけますよ」と言っても理解しない。
まー、無理と言う前にタバコやめよーよ。それが一番の節制だよ。体にも良いし。
この時点ですでに2~3日経過している。やることが山ほどある中、これも仕事なので喜んでやらせていただく。酒も飲まず頑張ろうと発破を掛ける。
いろいろやり取りしてさらに数日、ここであることが気になる。そういえばこの人仕事してんのか?
何気に聞いてみると、「フリーライターやってます」と。あれ?こりゃもしかして・・・少し意地悪で「青色ですか?」と聞いてみたところ、「なんですかそれ?」と帰ってきた。・・・あちゃー、無職じゃん。
「ライターさんですか?すごいですねー。年収いかほどですか?」と聞くと200万だとのこと。こういうとき大体多めに言う人が多い中、もし200万が盛った数字だとすると・・・これがアルバイトで毎月得られているのであればまだ可能性はあるが、習慣性のない収入はヤバい。案の定、別の不動産会社でも、家賃保証会社にも断られてたらしい。さらには連帯保証人もいない。
残念ながら未経験不動産屋にはこういう人は捌く術も知恵がない。なのでそれらをはっきり言うと、コンプレックスに刺さったのか「そんなこと言われなくてもわかってます」と怒られてしまった。もちろん「もういいです」となり終了。結局売上にもならず時間だけが消えてしまった。
未経験不動産会社はこういったことの経験も少ないので、無駄に時間を使ってしまう。経験豊かな不動産屋は、電話やメール、選択する物件でおおよその人物像から早い段階で見切り、時間的ダメージを軽減している。
しかし未経験ではこうは行かない。全ての人に対し全力でやってしまう。なのでクロージングできなかった時の心のダメージは相当だ。
だが今回の件で言えることは、自分にもっと知識があって能力があればその人も気分を害せず合致する物件を見出して引っ越しできたのかもしれないと思うと申し訳なくなる。
時は金なり。時間を換金するのに必要なのは、知力と経験に他ならないと痛感できたことが唯一の利益と考えよう。