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象使いになる その1

2019年の夏休みの旅行計画を夫から任された。
ベトナムはどうかな、タイでのんびりもいいかな、とアジアへの旅を思い描いていた。ネパールで象に乗ってお散歩もいいけれど、ネパールって今、どういう情勢だっけ…。

相談してみようと思い、旅行会社に立ち寄ってみると、パンフレットに小さな象が写っているものを発見。“象目(ぞうめ)”の力がついているので、象のシルエットを見逃すはずはない。象のシルエットが目に飛び込むと、なぜか気づく特殊な能力。“象目”という単語は、どんな辞典にも載らない。親しい友人の間だけでしか通じない特殊な隠語。

さて、そのパンフレットにあるのは「ラオスで象使いになる」というもの。象使い専用のマホートロッジでお泊りして、午前、午後と象使いになるためのトレーニングを受けると、晴れて“免許皆伝”という魅惑のコース。世界遺産の街、ルアンパバーンの観光やのんびり気分の「トレッキング」や船のクルーズもついている。なんともそそられるツアー。

その場で「申込みたいのですが」と仮予約。ただし、心配な点が一点あった。それは年齢制限。12歳以上とある。私は確かに12歳以上だけれど…。上限の記載などない。申込みの時に告げられたのは、「くれぐれも保険に入ってください。入ったら、保険の番号など必ずお知らせくださいね。」それもそのはず。とてもワイルドな体験なんだから。(つづく)