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メガバンのインターンを初日で棄権した話

京大3回生だった俺は、将来やりたいことがなかった。

ただ、
「そこそこ頭の良い大学に入ってしまったからには、お金を稼げて、マウントを取れるような仕事に就きたい」
なんて考えてボーッと過ごしてた。

外資系コンサルや外銀のようなガチ勢が集うところに混ざるほどのやる気はない中途半端な俺は、「なんとなく」メガバンクのインターンに応募して、外面の良さと経歴だけで申し込んだ二社からインターン参加を許諾された。

いざ夏インターンの本番、俺の精神状態はボロボロだった。

将来への絶望感、コロナ初期の閉塞感、部活のリーダーの責任感、いくら勉強しても取れる保証のない学部の単位。

あの夏、俺は誰にも相談できず1Rのベッドでうずくまって、昼も夜も生活から無くなった。

自律神経の症状か、37度2分程の微熱が1ヶ月ほど続いていた。

それでも俺は誰一人にも相談していなかった。

「優秀で順調な人間な、普通の人間に見られたい」
メンタルが安定しない自分は、当時の理想の自分には不要な要素だから排除して過ごした。

だから、そんな状態でもインターンに行けないなんてことは、自分で許せなかった。

ギリギリの状態で迎えたインターン当日。

淀屋橋のオフィス街。
汗と震えと熱が治らない中で始まったインターンでは、初っ端からメガバンの洗礼を浴びせるかのような課題を課される。

「グループで、担当者として融資先の企業の経営改善をプレゼンしろ。制限時間は30分」

当然、初対面のグループで見たこともない企業の経営改善策がまとまるはずもなく、ちぐはぐなプレゼンをした。

すると、
まさかの社員からの激詰め。
これがメガバンのやり方だった。

(これが社会なのか。こんなことで物怖じしているようじゃ自分は社会では生きていけない)

気付いた時には5daysのインターンを初日で棄権し、

人生で初めて精神科を予約した。

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