【勝利の女神:NIKKE】レッドシューズを語りたい

 この記事の内容には2周年イベントストーリー「OLD TALES」のネタバレ、投稿主の主観的な考察を含みます。

 私は、小説や漫画など、良いストーリーを読んだ時には「良かった」と余韻に浸りながら、他の人が同じストーリーを読んでどんなことを感じたのかを見ることが好きです。そのため「OLD TALES」を読んだ後もXで他の人の感想を漁っていたのですが、その中で「レッドシューズ」というキャラクターに関して、自分が抱いた感想とは異なる意見が多く見られたため、つい語りたくなってしまい、この記事を書くことにしました。あくまでも自分の感想を語るものであり、自分と異なる意見を否定する意図は全くありません。

レッドシューズについて

 レッドシューズは第2世代のフェアリーテールモデルのニケで、もともとはV.T.Cの上級司祭兼首席研究員という立場にあった人間であったが、自分の、人類の敵であるラプチャーとの「共存」という信仰を広めるため、人類の希望である「ゴッデスの後継者」という、より影響力の強い肩書を求めてフェアリーテールモデルに志願した。
 「共存」のためにラプチャーの浸食の技術を研究し、もともと「ニケの行動を止める」程度のものでしかなかった浸食を「ニケをラプチャーに有利な行動をするようにする」ものに改造したり、その改造された浸食能力を持つラプチャーを野に放ち、ラプチャー側に改造された浸食技術を提供、ラプチャーの技術で進化版の浸食が完成した。
 ラプチャーの技術によって完成した進化版の浸食をシンデレラに使用し、シンデレラがヘレティック、アナキオールになる直接の原因となった。このアナキオールが原因で人類の敗北が決定的となり、人類がアークに逃げ込んで生活するようになる。
 以上が「OLD TALES」で描写されたレッドシューズの概要です。簡単にまとめると「勝利の女神:NIKKEの物語における悲劇の大部分の元凶」であるということになります。そのためこれまで作中でも屈指のヘイトキャラだったクロウやリヴァリンを超えるヘイトを集めることになり、「リヴァリン以上のクズ」といった意見も散見されました。この「リヴァリン以上のクズ」という評価が私の考えと食い違っていた部分となります。

なぜレッドシューズは「リヴァリン以上のクズ」じゃないのか

 そもそもレッドシューズは「物語の悲劇の元凶」であってクズではないです。レッドシューズの「共存」という考え方は、人類が滅びるのは時間の問題という絶望的な状況において、人類が生き残るための手段としてはアリな選択だとも考えられます。(浸食で強制的にラプチャーの見方につくことが本当に「共存」なのかは置いておく)レッドシューズは人類はラプチャーに勝てないと考えていたため、その中で人類が生き残るためという自分の中の正義に基づいて行動している。行動原理が人類の為という点で、「自分がいい生活をするために闇バイトに手を出して、弱みを握られたから仲間や命の恩人を巻き込んででも自分の保身のために行動する」リヴァリンと比べるとどちらがクズなのかは比べるまでもないです。とはいえ行動の結果が最悪すぎるためレッドシューズはとんでもないヘイトを集めているわけですが、いろいろ考えていると、そもそも「物語の悲劇の元凶」という評価さえレッドシューズに対する正当な評価なのかわからなくなってしまいました。

レッドシューズは本当に「物語の悲劇の元凶」なのか

本当にレッドシューズが居なければハッピーエンドで終わっていたのか?

 レッドシューズが元凶扱いされている最たる理由がゴッデスによるクイーン襲撃作戦失敗の原因となっていることが挙げられます。レッドシューズがシンデレラを浸食させ、それによってシンデレラがヘレティック化、ヘレティック化したシンデレラの妨害によってゴッデス部隊は撤退を余儀なくされる。また、この件によりラプチャー側の軌道エレベーターへの警戒は強まり、クイーン襲撃は不可能と判断、人類のアークへの移住が決定される。つまりレッドシューズがシンデレラを浸食させていなければゴッデスがクイーンを倒してハッピーエンドだったため、レッドシューズが戦犯であるという考え方である。しかしこれはあくまでゴッデスがクイーンに勝利できるという前提での話である。この前提が成り立たない場合、ゴッデスによるクイーン襲撃が実行され、結果としてゴッデスが全滅となり、ラプチャー相手に唯一勝ち星を挙げられる「人類の希望」を失うことになる。そうなれば人類がアークに移住するための時間稼ぎである、「アークガーディアン作戦」も成立せずそのまま人類滅亡、というのもありえた未来ではないだろうか。そう考えると100年後まで人類が生存できているのはレッドシューズのおかげだと見ることもできるのではないか。

浸食による悲劇は本当にレッドシューズが居なければ起こらなかったのか

 浸食による悲劇(チュートリアルでのマリアンや「ONER ZONE」でのピナの事件など)は確かに浸食機能が初期の、ニケの行動を止める程度の物であれば起きていないことであるためこれらの原因がレッドシューズにあるというのは妥当であるが、結局レッドシューズの技術力では完成に至らなかったものを完成させたのはラプチャーの技術である。また、完成した進化版浸食が人間には分析しきれない技術となっていたというセリフからラプチャーにはレッドシューズより高次元の技術力があることが伺える。


 そんな技術力を持つラプチャーが、レッドシューズに出来る改造を、レッドシューズの手助けなしで出来なかったとは考えにくい。また、レッドシューズは浸食の改造を「レッドシューズの人格データを入力し、ラプチャーの基準で「思考させるように」促す機能を与えた」と述べている。

NIKKE本編における浸食がこの機能から正当に進化した機能であれば、浸食を経てヘレティックになった内の一人であるニヒリスターがクイーンを殺すことを考えていたことや、主人公がヘレティックに遭遇した際に、人類に対する「悪意」を感じていたのも不可解なことである。レッドシューズの人格をもとにしていたなら、ラプチャーに不利になりうる行動をしようとすることや「人類への悪意」が行動原理になることは考えにくいためである。くわえて、ニヒリスターはクイーンも浸食されたニケから生まれたと述べており、

レッドシューズが浸食に手を加える前から、ニケをヘレティックにする、進化版の浸食がなければここに矛盾が生じる。この矛盾を解消するならば、

  • クイーンはレッドシューズが浸食を改造した以降に生まれた

  • 進化版の浸食は最初からあったが発見されていなかっただけ

このどちらかが考えられる。しかし、前者であった場合は「REDASH」で語られたラプチャーが最初にシャトルなどを攻撃したことが不可解になってくる。後者であった場合は、何故その浸食が発見されていなかったのかという疑問が出てくるが、この疑問は、人間を襲い、ニケと戦うラプチャーには必要のない機能だったため、と考えれば説明がつく。しかしそれが後から必要になった。例えば、マリアンのような、クイーンの後継者が必要になったなど。そういったラプチャー側の事情の変化によって、進化版の浸食能力を持つラプチャーも戦闘に出てくるようになったのが、たまたまレッドシューズが、自分の人格データを入力したラプチャーを野に放った後だっただけ。つまりレッドシューズは自分が何かした気になっていたけれど実際には、ラプチャーはレッドシューズの研究に対した興味はなかった、という可能性もあるのではないだろうか。

最後に

 ここまで長々とレッドシューズを擁護するかのような文章を書いてきたが、この文章を書いている私は、シンデレラを浸食させて不幸な目に合わせたという一点だけで、レッドシューズのことが大嫌いです。しかし、レッドシューズがクズだという評価はちょっと違うんじゃない?みたいな気持ちを妄想じみた考察を踏まえて綴ってみただけです。
 こんな駄文に付き合っていただいてありがとうございました。


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