台湾のおにいさんの話。
一昨年に台湾にいったとき、
台湾のトップランナーたちからお誘いをうけました。
「一緒に山にあるトレーニング場所を走りませんか?
ぼくらの師匠みたいな人がいるんです。」
そこで紹介されたのが張嘉哲選手。
ロンドンオリンピックマラソン台湾代表選手です。
生ける伝説みたいな人。
現地では「真男人」と呼ばれてます。
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張嘉哲選手は世界中のランニングシーンをチェックしていて、
なんと「EKIDEN News」も「OTT」もすでに知っていた。
後輩たちに「OTTっていうのはな」と説明してたくらい笑
最近ではNoteも始めた!
昨年末はチーム神野の高木聖也コーチを連れて台湾へ。
ここでふたりを引き合わせたことがきっかけで
年明け早々には張選手と神野選手との合同合宿が実現したのです。
その張選手がEKIDEN NewsのFacebook記事をシェアしてくれてまして。
それを見て、高木コーチが翻訳したものを
さらにシェアしてたのですがこれがよかった。
神野大地。彼には(過去の箱根駅伝での活躍から)「三代目山の神」という素晴らしい呼び名が付けられたが、私はこれは彼を苦しめるひとつの鎖にもなっていると思う。なぜなら、(卒業から数年経った今でもなお、)みんなの彼に対する印象は「山の神」のままだからだ。
青学を卒業後コニカミノルタに入ったが、程なくして2018年に実業団を離れ、青学の先輩であった髙木聖也をコーチに迎え、共にケニアに向かった。彼は大迫傑選手より一足早くケニアに向かい、マラソンで勝利するための道を探していたのだ。
(ちなみに藤原新氏はいち早くケニアで訓練を行った日本人選手だが、日本代表として出場した2012年のロンドン五輪より長らく不調が続き、現在は現役を退きコーチとして活躍されている。)
果たしてケニアに行けば強くなれるのだろうか。
当然強くなるためには多くの時間が必要であり、何より「地の利は人の和に如かず」ということわざがあるように、どれだけそこがいい土地であっても、人々が一致団結していなければ効果は発揮できない。地の利を得て、一致団結できているチーム神野は、絶えず強さを増しているように感じる。
神野大地をよく知らない者達の中には、彼のSNSを見て彼のケニア行きは一種のパフォーマンスであって、ただ旅に行っているようなものだと、心ない言葉を放つ人もいるかもしれない。しかしそれは、彼の努力がまだ成功に結びついていないだけだ。
人はいつだって成功した人を見て初めて、その過程にある努力に対し価値のあるものだったと認める。先日、大迫傑選手が涙を流したのもまた、こうした理由からなのだろう。
私はこの写真が好きだ。チームの皆がゴールした神野選手を迎えるシーン。誰ひとり彼を責めるような表情はせず、彼にこう語りかけているようだ。
「おかえり。お疲れさま。さぁ、帰ろうか。」
彼の東京マラソンにおける成績は、自身が事前に告知していた目標タイムより4分オーバーとなった。(自己ベストは2時間10分台)
去年中国で行われたアジア大会で(※天候・コースの難易度共に東京マラソンと比べ決していいとは言えない条件下で)北朝鮮の選手を押さえて1位となった時の成績も2時間12分台だったことを考えると、やはり今回の東京マラソンの成績は良かったとは言えないだろう。
彼が両手を頬に当てながらゴール地点を後にするその様子は、私が先日の宮崎合宿で初めて彼に会った時と同じく、まるで近所に住む男の子のようで、その佇まいは大迫傑選手や井上大仁選手とは全く異なり、個人的には福士加代子選手に似ていると思った。
現在26歳の神野選手は、共に東京マラソンを走った同じ青学OB達の2時間7分台という列車には乗れなかった。自身のYouTubeチャンネルにおいて本人も語っていたが、前半30km、つまりレースの大部分を1人で走るという戦術が敗因だったのかはわからない。しかし、失敗は成功に不可欠なものだ。これは決して彼の今回の結果に対する言い訳として言っているのではない。
チーム神野は常に貪欲にあらゆる知識を求めようとする探究心があり、世界各国ともオープンに情報交換し、交流している。
私は彼がいつか2時間6分台も出せると信じているし、彼のこうしたプロランナーとしての数々の取り組みは、いつの日か後輩選手達の教科書になるだろう。
世界をマラソンで旅をする。とはこういうこと。
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