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2024年10月7日今日の一枚

マドリート・マルチャ国際GP10km競歩で山西利和選手が優勝。

タイムは40分ジャストであるから、ピッタリキロ4。歩いてキロ4ってだけで、そこらの市民マラソンランナーはビビリあがるスピードなのだが、20km競歩での彼らの持ちタイムからすれば、本当はもっともっと速く歩くことができる。

マルチャ国際のサイトでは過去のレースの模様が垣間見れるのだが、街のどまんなかで開催されるシティレースはとても良い。

パリオリンピックもそうだったけど、街のど真ん中でワーワー声援を浴びながら競技が行われるのは観る側も選手もとても楽しい。日本の競歩レースはコースとしては良いのだろうけど、観る側にとってはなかなかに物寂しいものがある。思えば、日本で一番競歩が盛り上がったレースは札幌大通りで開催された東京オリンピック競歩であった。無観客とはいえ、街のど真ん中でもあり、生活動線でもあるから、規制することはできない。それに、競歩そのものに興味がない人は雪国であるがゆえに発達した地下道を歩けばいいのだから、沿道が混みすぎることもない。いまにして思えば、日本競歩史上最高のレースはあれだった。(メダルもとったし)

コース的に北海道マラソンともかぶるわけだから、前日イベントとして、競歩も開催してもらえばとても良いのではないかと思う。ぶっちゃけ東京レガシーハーフよりも、北海道のマラソン・競歩コースのほうが「オリンピックレガシー」なのだから。

話を山西選手に戻すと、パリオリンピック代表は逃したけれど、こうやって歩きつづけていることがとてもうれしい。神戸競歩で代表を逃したときは「もしかすると辞めちゃうこともあるかもな」とも感じていた。前から代表を逃したときは、辞めるときだ。という覚悟をもって競技に取り組んでいる。と聞いていただけに。

パリオリンピックを逃したことで、山西選手はじっくりと厚底との共存に向き合うことができた。スペインをはじめヨーロッパの選手たちがこぞって取り入れたのはアシックスメタスピードというシューズ。本来はマラソンシューズではあるけれど、これが競歩にずばりとハマった。

ブダペストで良い結果が出なかったとき、山西選手は「彼ら、彼女らはオレゴン世界陸上で1年スキップする覚悟で厚底のシューズに合わせてきた。ただ、厚底シューズで歩くだけでなく、厚底を活かした歩型を審判にも認めさせてきたということ。」 ブダペストを終え、さまざまな日本人選手が厚底を競歩に取り入れ試行錯誤を続けたが、本来もっていたバランスを崩してしまう。欧米選手と同じようにアシックスを履けば良いものではなく、自分の体型を活かしたシューズを探すところから始める必要があった。

マドリードを歩く山西選手の姿を映像でみて、なるほどな。と思った。レースで勝つことはとても大事だけど、国際的な競歩大会で審判が自分の歩型をどう判断するか?このあたりをレースを通じて確認もしているのだろう。つまり、失敗ができないオリンピックや世界陸上ではなく、レースの展開の中で競歩のグローバルスタンダードをチェックしているのではないかと。

今日の一枚はパリオリンピックマラソンフィニッシュ直前での赤﨑暁選手。足元はニューバランスのFuelCell SuperComp Elite v4だ。ニューバランスのマラソンシューズは三村仁司さんが手掛けたハンゾーシリーズから厚底への転換で迷走をはじめた。柔いのか反発があるのかどっちつかず。これまでのニューバランスの潔さ。みたいなものが消えたのだ。しかし、このシリーズではクッション性のチューニングがとてもうまくいってるような気がする。「こう走ってほしい」というコンセプトが足をいれるとわかるのだ。

そして、山西選手がマドリードで履いていたシューズも赤﨑選手と同じ、ニューバランスのFuelCell SuperComp Elite v4であった。間違いなく、すべてのシューズに足をいれて試した彼がこのシューズを選んだ理由をそのうち聞いてみたいと思っている。

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