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2024年10月22日今日の一枚
箱根駅伝予選会へ向かう早朝。服装に迷った。例年ならTシャツにパーカーを羽織るくらいがちょうどいい。ドアをあけ、家を出るとまだ肌寒いが天気予報ではかなり気温があがるという「Tシャツだけでいいか」そのまま駅へと向かった。
立川駅についてエキナカの「ドリップマニア」でコーヒーを飲み、外に出るとムワッとした湿気が身体を包んだ。「Tシャツだけでよかった」。前日の雨による湿気と強い日差しで明らかに立川駅周辺は蒸していた。昭和記念公園に到着して、Tverのライブ配信をつけるとスタート地点の気温は28度と報じている。「こりゃ、夏マラソンだな」。真夏の北海道マラソンのようなコンディションだ。ただ、カラッと乾燥している北海道マラソンは頭から水をかぶれば気化熱でやりすごせる。しかし、立川は昭和記念公園にたっぷりたまった雨水が日差しに照らされて蒸発し、天然サウナのようになりつつあった。この蒸し暑さはランナーにとってはたちが悪い。汗がランシャツにべっとりとまとわりつき、ランシャツと身体の間に空気が流れない。走れば走るほど、体温だけがあがっていく。
箱根駅伝予選会が暑くなりそうだということは今年の異常に暑すぎた夏からわかってはいたことだ。そのための準備と対応を粛々と積んできた大学が順当に本戦に駒を進めたように結果をみて感じた。
2位通過した専修大学の姿が画面に映ると、選手と一緒に抱き合うコーチでもあり専修大OBでもある五ヶ谷宏司さんの姿があった。2年ぶりの本戦出場だ。コロナで自衛隊立川駐屯地周回コースの予選会のとき、「立川の周回は直角に曲がるでしょう。だから、富津で集団走の練習をするときも、直角に周回するコースを作って慣れさせておいたんです」と周到な準備の一端を話してくれた。今回の箱根駅伝は専修大創部100周年の節目の年。いつも以上に「外せない」予選会であったはずだ。予選会2位通過は狙いすましたものだったに違いない。
今日の一枚は予選会日本人トップ1時間3分29秒でフィニッシュした吉田礼志(中央学院大)。吉田の実力からいえば、スタートと同時にケニア人選手の集団についていくこともできたはずだが、このコンディションの中でオールアウトしてしまうとダメージが残る。夏マラソンのダメージは内蔵にくるから厄介だ。
吉田は誰よりもクレバーにレースを進めた。日差しから逃げられない序盤の立川駐屯地ではペースを落とし、市街地を単独走でしのぎ、木陰で走りやすくなる昭和記念公園からビルドアップ。一人でも多くの留学生たちを抜くために追走。勝負よりもタイム。確実なレースをすることでタイムを稼ぎ、吉田の走りが後続の選手たちに安心を与えた。
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あの暑さのなかでの単独走はとてもきついはずだ。その強さは真夏に行われる世界大会でも有効に違いない。
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