いきもの大図鑑プレミアム ヘラクレスオオカブト レビュー
どえらいヘラクレスフィギュアが来た
すべての甲虫フィギュアを過去にしようというのか
この記事は、先日発送された「いきもの大図鑑プレミアム ヘラクレスオオカブト」のレビューです。
7000円を超える価格、新素材の採用、サンプルの重厚な塗装…
期待と不安を半々に配送される日を待ち、ついにヤツはやってきました。
造形・塗装
塗装はサンプルから大きな劣化もなく、細かな翅の模様や毛の質感を表現しています。それが筆者の拳よりも大きな本体に施されているわけですから、開封時にはその存在感に圧倒されたものです。(追記:さすがに拳よりでかいは盛りすぎだったことが判明しました。ごめんぬ)
ちなみに、大きさは公式によれば約190mmとのことですが、実際に測ってみると182mmほど。実物の最大サイズとおおむね一致しますが、胸角が非常に長いその個体と比較すると、こちらは胴体の割合が大きいため、実物大とはギリギリ言えない感じです。どちらかといえばゾウカブトみたいなサイズ感といえるでしょう。
裏面の基本色は、標本準拠の黒。ここは生きた状態の暗いマルーンで塗装してほしかった…
毛の塗装には3色の塗料が使われているようで、かなりの立体感を醸し出しています。
「かぶとむし01」では国産カブトと共用の形状だった腹部はちゃんと専用のものになり、ポーズによっては塞がりがちだったスタンド用の穴も適切な位置に。
上翅に隠れた腹部はもちろんのこと、なんと上翅の裏面まで塗装が施されています。普段はプラスチック丸出しのツルツルの黒色ですから、ここが塗られているのには感動しました。それだけに鉄板を埋め込んである部分が露骨に分割されているのが残念です。
上翅を開き、下翅パーツをセットすることで飛行形態も再現可能。
この状態での「翼開長」は25cmにも及び、世界最強のカブトムシにふさわしい迫力を放ちます。
差し替え用パーツとして、黒く変色した状態の上翅パーツも付属。黒一色なのでとくに塗装のおかしい所とかはないですね…
欲を言えば、もう少し価格を上げていいのでブルー個体風の翅も付けて欲しかった。
「かぶとむし01」版ヘラクレス・ヘラクレスとの比較。前胸は積層跡や胸角の分割が消滅し、よりリアルな造形になりました。省略されていた頭部の毛も復活しています。
上翅も黒いグラデーションなどが追加され、よりリアルな塗装に。ただ、黄色い部分の色相は前のほうが実物に近かったように思います。
前述のとおり裏面は大きく様変わりしているほか、脚部も標本のような硬いポーズだった前作から、生き生きとした自然な印象(を持たせるべく可動させられるよう)に変化しています。
腹部の塗装も見直されているほか、下翅は「いきもの大図鑑専用 ディスプレイスタンドセット」に付属するものと同じ、よりリアルな設計データを使用しているようです。もちろん翅脈もしっかり塗装され、これを手に持って羽ばたけば本当に飛べるような気さえしてきます。
あまりにも巨大で重い本製品を飛行形態で飾るべく、専用のスタンドが付属します。
…ですが、製品そのままの状態だと若干関節がゆるいので、ネジを締めなおしておきましょう。
今度は「いきもの大図鑑専用 ディスプレイスタンドセット」との比較。下部の台座がかなり大型化して安定性を稼いでいるのが最大の違いですね。
また、アーム部分も若干長くなっており、台座との接続部は形状が変化しています。なので、専用スタンドセットとの互換性はありません。あっても嬉しくないですが…
あまりにも進化した可動
可動に関しては、「かぶとむし01」同様に頭部や胸部、足の付け根といった主要部が稼働するのに加え、人間でいう肘と膝にあたる部分も可動する様になり、ポージングの幅が大きく広がりました。
前脚だけはさらに可動が進化、根元が球体関節での接続になっています。
ですが、このために実物では動かない方向にも前脚を動かせるようになってしまっており、少々不自然なポージングも可能になっています。
いきもの大図鑑シリーズとは無関係ではありますが、「甲虫王者ムシキング」のゲーム中ではこのように関節が不自然に動くモーションも存在しているので、それを再現できるメリットがあると言えなくもないです。
脚部先端のフセツはなんとボールジョイントで接続され、表情付けが可能。よくもこんなに細い部分に関節を仕込んだものです。
さらに、新素材の採用により自由に曲げることが可能…と、公式はアピールしていますが、あまりにも怖いのでここではやりません。
そんなフセツは、細かすぎて無くすか曲げようとして破損する恐れがあると判断してか、予備も付属する至れり尽くせりっぷり。触角の予備も付属するあたり、同パーツも曲げられる新素材なのでしょうか?怖くて確かめられません。
いきもの大図鑑シリーズのヘラクレス・ヘラクレスは、本製品・かぶとむし01・ミニコレクションと、3種類ものサイズで製品化されました。これもヘラクレスオオカブトが持つ人気の証ですね。
つまりいきもの大図鑑で一番人気があるのは下翅パーツだった…?
これまでの数倍手間やコストのかかった造形&塗装、サイズアップの恩恵で倍増した関節可動、下翅やスタンドといった付属品が一体となり、これほどリアルで迫力のある飛行ポーズが再現できます。
ムシキングカードとセットで飾ると、それは最早20代完全殲滅装置と化します。これを作ったせいで肉体が吹き飛んだため、霊と化した私は念力で記事を書いております。
過去ラインナップと対決!
まずは「くわがた02」のマンディブラリスフタマタクワガタを相手に戦ってもらいましょう。もう追い詰められてますね。
しかし、逆転のリフトアップ!さらにマンディブを遠近法で投げ飛ばし…
再び捕まえ、回転を加えてより遠くへと放り捨てます。
超必殺技「ヘルクレススパイラル」により、マンディブラリスフタマタクワガタを撃破!
次の挑戦者は、筆者の作製したサタンオオカブト。正規品の発売が決定し、宙ぶらりんになった哀れな存在です。
ですが戦いは非情、そんなサタンの境遇に同情することもなく、上空へ叩き飛ばします。
またも遠近法でぶっ飛んでいくサタン目掛け、翅を広げて突進!そのまま空中で6本の脚を使って絡めとり…
回転しつつ地面に叩きつけ、元祖超必殺技のローリングドライバーでサタンオオカブトもあっさり打ち負かします。もう手のつけようがありませんね。
総評
本体7700円、送料を含めると9000円近くになる本製品ですが、実際に手に取ってみると「買ってよかったなあ」と思わされます。
公式の「昆虫フィギュアの新しい時代へあなたを導くことをお約束します。」という売り文句にここまで偽りがないとは…
不満らしい不満といえば、「裏側は生体準拠の色がいい」「価格を上げてでも青い翅を付けて欲しかった」と重箱の隅をつつくようなものばかりで、この記事のための写真を撮っている時間は非常に楽しいものでした。
来年あたりリデコでヘラクレスリッキーが出ないかな?その時青い翅も付属しないかな?などと、妙な期待をしてしまいます。