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煌めきと交わる

10月5日(土)夏とは言えない季節に海に足を運んできました。
独りではなく、一人と一匹で。
海まではそれほど遠くはなく、一人と一匹はお菓子を食べたりして
浮かれた気分で向かいました。

到着して間もなく一匹と一人は一緒に走った。

砂がうまく私たちを走らせてくれなかったけれど、
それすらも何だか愛おしくて、夏終わりの緩やかな温かさと
いつか一匹が死んでしまうとの恐怖で少し涙してしまった。
私は決めているんだ、この子が亡くなったら旅に出ようって。
そうでもしないとやっていけないから。

海辺に敷物を、音楽にまたお菓子に、
柔らかなタオルと私たちと。
何度も何度も一匹と一人は歩いて走って
夕暮れと呼ばれる時間まで無為に過ごした。

食べていたお菓子に
口の中の水分が奪われた時点で
飲み物がないことに気づいたため、
帰宅しようとした。

その時、一人の小さな男の子が走ってきて、
わんちゃん触ってもいい?と砂いっぱいの手で駆け寄ってきた。
事前に砂まみれの子犬にそんなことは関係ないため、
どうぞと少し高めの声で承諾をした。

「わんちゃん砂だね」
「お風呂にしないとだね、お口とおはなを塞いであげてね痛いからね」
「お返事できないから、お返事できるようになったらいいね」

これが可愛くて仕方ない愛、手からこぼれてしまいそうな純粋さ、温もり
結論食べてしまいたいほど可愛らしい男の子が現れた。

私はずっと、「うんうん、そうだね、そうだよね。ああかわいい」
と口からこぼれていた。

他人との人生の交わりに
交わらなかったであろう部分に強く歓喜した。

その子は貝殻を3つほど私にプレゼントしてくれて
「ずっと大事にしてね」と。
「ありがとう、またどこかで会おうね」と返し、その場は終わった。

あの子が海に来なかったら
私が海に来なかったら、そもそも海なんてなかったら
なんて答えのない問いを考えた。

最近 煌めいた素敵な愛が世界には溢れていて 楽しくて仕方がない。



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