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それは自分を強く守った。

私へ。

春、暖かい何かに包まれるような感覚になる。
毛布、太陽、花の優しさか。

もっと自分を愛せばよかったと。
もっと自分を強く守ってあげればよかったと。
今秋になって思う。

今の会社に勤めて4年目の私は、急な人事異動に従って、
春から部署異動となった。
誰も責めてはいけない、きっと誰も悪くない。
だけどそんな世界は存在しない。

 4月3日(月)入社1年目のような気持ちで挑んだ私は、
1日目にして心が粉砕された。気持ちが行けなかったのか。
それは誰も助けてくれない、教えてくれない、悲しく儚い世界だった。

1日目に作った資料を大否定され、アドバイスもなく、
今後の仕事の進め方も分からないまま、途方に暮れた。

私はその日から何となく日記をつけた。

4月3日(月)
今日は悲しい日だった、何もうまくいかなかった。
今日は早く寝ようと思う。

これが私の最初の日記だった。
日記というよりかは、自分の心をそのまま書いていた。
いくつか私の日記をありのまま紹介したいと思う。

7月3日(月)
どうにもこうにも本当に月曜日が嫌い。
絶対に好きになれない。そして生きていたくない。

7月6日(木)
今日、上司が他の社員に凄く怒鳴っていた。
私の胃が痛い、怒るのは悪い事ではないが、
今回はその人を心底馬鹿にして、いじめのような空間だった。
止めてあげられないのが辛い。

7月14日(金)
限界だ。前の部署の人に会って、
久しぶりに優しさというものに触れた。
それで業務中トイレに駆け込んで、たくさん泣いた。

8月2日(水)
今の部長が私にだけ態度が違う。
最近はよく眠れない。寝れたとしても朝全く起きれない。

9月5日(火)
【転職】で毎日調べている。無意識に。朝出社してすぐ。
私が死ぬには世界が勿体ないと言っている。

 とこんな感じで今見ると自分じゃないな、と思う。
あの頃の明るい私はどこに行ったんだろう、と。

でもね、自分を変えられるのは自分しかいないって
気づかせてくれたおかげで、私こんなところにいちゃだめだ。って
日記を見るたびに思うの。
自分がどんどん壊れていって、楽しい事も楽しいって思えなくて、
おなかもすかないし、ご飯もあまり美味しくはなかった。

10月3日(火)
私突発的に言っちゃったの。
【今月でこの部署から前の部署に異動させていただけませんか】って。
なんかこの言葉発した瞬間に救われたーーって思ったね。

そんな日記から見てとれるように、
私は10月3日を境に日記を更新しなくなった。
意図的なんかじゃなく、本当に開かなくなった。

10月26日(木)
もしかして書き忘れたのではなくて、
自分を強くするための日記だったのかもしれないね。
お世話になったね半年間。
20代前半で最も悩んで辛かった期間に認定しよう。
いつの日にかこの日記を見て笑ってね。
君は笑顔が一番似合う女の子だよ。忘れるなよ。
何があっても明るく強く生きてね。 2023年10月26日 9:25

これが私の最後の日記だった。
私を強く生きさせてくれていたのだ。
毎晩泣いて、なんで泣いているのかも分からず、
好きな音楽を聴いても何も思わなくなったこの半年間。
君を愛するすべての生き物はとっくに自分を守っているみたいだよ。

音もなくやってくる夜をまた好きになれて良かったね。
朝の眩い太陽の光をまた好きになれて良かったね。
これからはまた好きな人と好きに遊んで、
半年間強くなれたんだと思って、頑張ろうね。

私より。










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