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【エッセイ】じゅて~む 第二十二夜

【あらすじ】
N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。
タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。
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おっす、オラ悟空。
嘘だ。
俺は達太。会社員だ。武闘家の少年・孫悟空ではない。

もう39歳だ。これから修行して強くなれるとは思えないし、強くなりたいとも思わない。
自分より強い奴と戦うスケジュールが入ったとしても、わくわくしない。
だいたい、強さってなんだ。

俺の思う強さは、器の大きさである。
器が大きいことは、素晴らしいことだ。たくさん盛れる。なんでも盛れる。
2~5人前の麻婆ナスを盛れる。

それに器が大きいと、器の隅に手羽元の骨や、から揚げに絞った後のレモンや、牡蠣の殻を置いておける。

それは人でも同じこと。
たくさん盛れる人間。なんでも盛れる人間。
5人家族の食卓に麻婆ナスを与えられる人間。
牡蠣の殻を置いておける人間。

どうだろう。
惚れ直してもらえただろうか。俺の肩に蠣の殻がいつ置いてあってもおかしくないときたもんだ。

そんな器の大きい俺の好きな言葉は「弱肉強食」
三文字目に「強」の文字がある。これは器を意味する。
その前後を「肉」と「食」という豚の角煮を思わせる漢字がサンドウィッチしている。器いっぱいの豚の角煮となる。
頭の「弱」はなんだろう。「鰯」の間違いか。
イワシ?

俺になる方法を教えてやろうか?
「すみません」「わかりません」が言えない大人が結構いる。
俺は違う。
「申し訳、、ございませんでした!!!」と大声で謝罪し、「教えて下さいませ・・・・」と澄んだ目で相手を見ることができる。
「大盛でお願いしますよ。ふふ。」も、ちっとも恥ずかしくない。

それができないならば、大人なんてやめてしまえ。
俺は「すみません」「教えて下さい」「大盛で」が言えないくらいなら、妖艶な美女になり、
「ごめん、教えて、大盛りよ」
と、ウインクをする。その方がマシだ、さあウインクの練習だ。

もちろん、徳川家康のような、ジャムおじさんのような、この外見をキープしたままの、美女になってやる。しかも19歳。
その方がマシだ。器の小さいヤツになるくらいなら、呪われた外見の妖艶な美女となってやろう。

そしてバスケット選手と結婚してやる。絶対にだ。

さて。
今日は金曜だが、エッセイ日和だったので、エッセイを奮発してみた。

明日の土曜は仕事があり、一日座りっぱで腹が減るだろうから、夜は定食屋を居酒屋のように「はしご」する予定だ。エッセイ日和ではない。
満腹で、せっかくのエッセイが食い物の話題ばかりになるなんて、もったいないだろう?どの口がそんなことを言うかって?この口だがどうかしたのかい?
だから、明日の土曜ははエッセイを書かない。
今日書いた。
ではまた日曜に。

週刊少年ジャンプにこのエッセイが載り、孫悟空の作者や、スラムダンクの作者と対談することを、強く強く、飛び蹴りより強く、望む。

じゅて~む。

2020.9.11

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