本日のドリル:合計特殊出生率とは(2024-1-④)
今日は少子化高齢化の関連用語です。
5月5日は子どもの日。毎年この頃、子ども関係の統計が発表されます。例年「合計特殊出生率」の数値が発表になりますが、今年の記事は「子どもの数」に焦点を置いたものでした。出生率うんぬんより、子どもの人口比率の低下や数が少なくなっていることを報じています。
購読していない方は途中までしか読めないかもしれませんが、参考までにこちらの記事です ↓
15歳未満の子どもの数は1400万人程度。前年より33万人減りました。減少は43年連続です。総人口に占める割合は11%程度で過去最低となりました。年齢が低くなるほど数は減っています。
子どもの数は、最近急に減ったのではありません。43年前から減っていたけれど、結果だけ見れば、少子化に対する手を効果的な手を打つことはできなかったと言えるでしょう。何もやってこなかった訳ではないので、何もしなかったらもっと減っていたとも言えます。
人口が減る流れの中にある日本。政府は少子化対策に力を入れようとしているのですが、対策を強化してもすぐに効果が出るわけではありません。私たちは、少子化が進む社会について客観的に知っていくことが大事です。
何となく子どもの数が減っている気がする、生まれなくなっている気がする、では対策は打てません。それを計る指標が「合計特殊出生率」です。出生率と略されることもあります。
「〇〇町の出生率が上がった」「××市の子どもの数が増えた」という報道を耳にすることがあると思います。個別の市町村で数値が改善され数が増えること自体はよいことなのですが、子育て環境のよいところに隣町から移動してきただけかもしれません。詳細を見る必要があります。そして若者が多く住む大都市圏で出生率が上がらないと、日本全体の改善にはつながらないこともおさえておきたいです。
高齢化の度合いを知るのは「高齢化率」です。全人口に占める「65歳以上(=高齢者)」の割合です。現在は2023年の29.1%です。10人に3人が65歳以上です。75歳以上の「後期高齢者」の数が増えていて、高齢者の高齢化が生じていることを頭に入れておきたいです。(敬老の日近くに、高齢化関連の最新数値が発表になります)
↓ 日経新聞サイトに飛びます。今日のドリルの記事です。
記事の中のように「出生率」と省略して書かれることも多いです。この時に、「合計特殊出生率」とは何かを知っていると、それを前提に正確に文章化することができるのではと考えます。
知っている・知らない、を分類してみましょう。例えばこんな感じです。
<知っている>
日本の出生率は他の先進国に比べても低い
<知らない>
15~49歳の女性が産んだ子どもの数を基に出している
人口維持には2.07を保つ必要がある
1975年に2を割り込んだ(=人口が減るフェーズに入った)
「希望出生率」1.8(=希望通り産めたとしても、人口は減る)
女性の経済参画が進んで男女差が小さい先進国ほど出生率は高い傾向にある
いかがですか? 統計には決まりがあります。そして国際比較ができるように決められていることも多いです。高齢化率のところで「65歳で高齢者はまだまだ若いのでは」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、これも比較のために決まっていることです。
希望出生率という言葉、「子どもを持ちたいと考える人が産める時の出生率」です。必ず結婚しなくていいし、産まなくてもいいけれど、産みたい人が子どもを持てる社会を目指しています。この時点で2を下回っていますから、日本は人口が減ることは前提で考えなければならないのです。
今回は少子化なのですが、女性の経済参画の話も出てきました。ジェンダーギャップ指数の話です。子どもを産むのは女性なので、女性がどのような選択ができるかが、出生率を上げるカギともなります。
人口が減り、社会が人手不足になったところで、ようやく女性の活躍と言われるようになったようにも思える、日本です。長寿も女性の方です。数年前から、経済学部等でも女性の経済状況の話などが出題されるようになっています。このような視点でも、新聞記事を追ってみると、社会が見えるようになるのではと考えています。
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