悪態をつきながら大根を抜く日々 ②「で、来年もやる気ある?」
トップの写真は表面の見た目が悪いからと規格外品扱いになった大根たち
楽に稼げると思って、大根を植えた経緯はこちら。
浅はかだったという反省は一旦脇に置き。
ここからは、家に持ち帰った(規格外)大根を干しながら夫のzenと私が交わした会話である。ざっくりいうと、もう来年はやりたくないという私と、一年で止めるのはよくないと主張するzen。
読んでいただいているみなさんの意見も聞きたいです。
ei「来年は、もうやめようね、大根つくるの」
zen「なんで」
ei「だって割りに合わないもん」
zen「でも当初の計画通りに120円で売れていたらそんなこと言わないでしょ」
ei「そりゃそうだよ」
zen(現金すぎる……)
zen「今年は、(普及センターの?)指導が悪かったんだと思う(だから来年はきっと改善する)」
ei「来年だって同じリスクあるよ。下請けはダメだ。同じ金額稼ぐのに、もっといい方法探すのは当たり前でしょ」
zen「そういう発想が、企業誘致や原発誘致につながるんじゃないの」
ei 「それは違くない?」
zen「構造は同じでしょ」
ei「似て非なるものだと思うけど。農家だって漁師だって稼げる魚種や作物を考えるでしょ。狩猟採集民族だって、栗がとれなければドングリ食べてしのいだと思うもん。」
ei「そもそも、西和賀で足りない分は雫石から買うんでしょ?今年はその量がすごく増えるんでしょ?でもそうなったら、誰のための一本漬けなの?西和賀の農家のためじゃなかったの?」
zen「そうだけど。でも一本漬けがなくなったら、自分で売れない弱い生産者を見捨てることになるんじゃないの」
ei「だって、いま頑張って大根つくってる農家だって、こんな大変で報われない仕事だったら、子どもにやらせたくないって言うと思う」
zen「20円で買ってもらえるだけマシだよ。他の町だったら規格外は買い取ってもらえない」
ei「いやいやいやいや。そういう考え方だから、変われないんじゃないの?いま一時的に高齢農家の手取りの助けになっているかもしれないけど、このままじゃいずれ続かないよ。むしろ高齢者のためなら重労働な大根じゃなくて、葉っぱビジネスみたいな、もっと軽い作物がいいよ」
zen「……なんかショックだな。自分がやってきたことは間違いだったのか」←彼はもとbou社職員なので。
ei「言いたい放題でごめん…。最初のストーリーはわかる。でも、『西和賀産大根で作った一本漬け』だからストーリーが成り立つのであって、そこから外れちゃうんなら、そもそもに戻って見直した方が良いと思う。」
栽培してみてわかったけど、大根は、育てるのが簡単だ。
だからそれで1本120円で買ってもらえるのは美味しい話だ。
いま現在、西和賀農家の家計の助けになってる部分もおおいにあるだろう。
だけどすごく重労働で、案外リスクもあることがわかった。
選別基準が厳しいので、大根生産をやめてしまう農家も多いと聞いた。
(その気持ち、いまならすごいわかる〜〜〜〜。一升瓶抱えてその農家さんとこ行って、ぐちぐち飲み明かしたいくらい)
これ、たぶん旧来の日本の農業の構造的問題。bou社への販売じゃなくて、JAでも多分同じようなことが起こっている。
今変わらないと、生き残れない。
それは、今年の反省をいかして、来年は農薬を数回撒くということではない。
そういう改善(?)はあまりやりたくない。
農薬たっぷりで綺麗な大根より、いまの大根で十分だ(ちなみに農薬不使用ではない)
少なくとも、見た目は悪いけど、味は変わらないってことをきちんと消費者とコミュニケーション取って販売する努力をすべきではないか(bou社自身、その被害者なのだから、これが良い機会になってほしい)
個人的には、想いのない形で(想いのある)農業にうかうか手を出したことを恥じ入りつつ、町と農業のリアルを一つ体感した気持ち。
さて来年。私が変わるか(やめるか)、bou社が変わるか。
ei
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