演劇素人が、町と演劇のいい関係についてかんがえた -ギンガク合宿成果作品発表会in西和賀
西和賀は実は演劇の町だ。わたしは演劇に関してはまったくのど素人で、下北沢の3駅先に住んでいても劇場に足を運ぶことはなかったが、家の近くで格安で舞台が見れるとなった今、喜んで出かける所存です。
で、昨晩からどっぷり銀河ホール(劇場)に入り浸りました。
昨日は劇団短距離男道ミサイルのプレビュー講演「父さん、晩年っていうのかい、これは。」で爆笑し、今朝はギンガク合宿成果作品発表会の受付手伝い(ほぼ何もしてないが、楽屋や受付まわりをうろうろさせてもらった)、からの作品鑑賞、打ち上げまで参加。
あらためて、西和賀いい町だ〜〜〜〜と思ったのでした。
その理由は以下の3つ。
1 演劇好きのためではなく、住民のために上演されるという鑑賞ハードルの低さ
2 町内外の熱くて面白い人たちと関われる
3 文化体験を充実させられる可能性に満ち溢れてる
ギンガク合宿とは
2月中旬から二週間、複数の劇団が西和賀に滞在し、それぞれの作品を作り上げていく合宿。異なる劇団が同じ制作期間を共有するのは稀なんだそう。
1 演劇好きのためではなく、住民のために上演されるという鑑賞ハードルの低さ
いままでのわたしの心境はこんなかんじ↓
演劇ってちょっと見てみたい気もするけど、自分の好みもわからない中で、お金を払って舞台を見るってハードルが高い。批評家や演劇好きはいろいろ舞台を見て語るのが好きそうだけど、ど素人のわたしが舞台を見て、何か感じ取れるのだろうか。
つまり勝手に”演劇鑑賞”というものに構えてたんですね。
でも昨日今日で一気に4作品を見て、素直に
演劇って、面白い!!
と思えたのでした。2日間で、たった1000円でいろんな作品に触れられるってめちゃ贅沢で、西和賀の文化度の高さを感じました。(しかも上映していた銀河ホールは西和賀の人口の5%(300/5000人)を収容できる。すごい)
2 町内外の熱くて面白い人たちと関われる
演劇が面白いと思った理由の一つは、関わっている人たちが魅力的。言葉について、身体について、表現、社会、アート、認識etcetc、いろんなこと考えててすごいなーと感じるけど、その人たちが周辺を出入りしていて、会話を聞いてるだけでも刺激になります。東京の舞台だったら、上映時間中の役者と観客という関係しかないけど(ファンの方は別だと思います。わたしぐらいの低いモチベーションで見に行く場合の話です)、ここでは終演後の打ち上げに参加するだけで、舞台外の役者が笑ったり格闘したりしている息遣いを感じられる。合宿参加者一人ひとりの2週間の振り返りコメントを聞いていたときは、なんというか、心の奥のほうがムラムラしました。
3 文化体験を充実させられる可能性に満ち溢れてる
打ち上げで町外からきた出演者や演出家の方々と話したことのメモ。
滞在型作品制作の良さ
・稽古以外の時間を共有することが大事。同じ感覚・言語を持てる。役者・演出家の力関係みたいなものを乗り越えられる。
・生活のためのバイトや都会の喧騒から離れて、24時間演劇のことだけ考えられる。静かで景色が雄大で、大声を出してもいい。集中できる環境。
・舞台を買う(有名劇団を呼ぶ)よりも、舞台を創る場である方が良い。西和賀が原点だという芸術家をたくさん輩出できる。巣立っていった人たちから、ブレークする人が出るかもしれない。
・芸術家や脚本家が、制作場所を求めて滞在するアート・イン・レジデンスが一般的になったときに、いまのこの合宿の活動は誘引剤になる。10年後に大物が一人きたら西和賀の勝ち。それまで続けることが大事。
さて、イチ移住者として、東京に比べて田舎(とあえていうが)の一番の弱さは文化体験の少なさだと思っていて。展覧会もリサイタルも舞台も圧倒的に数は少ない。けど、こんな風に身近なところで小さい頃から舞台制作を横目で見られるとしたら。いろんな視野を持つ人たちが西和賀にきて、話す機会が得られるとしたら。それはとても濃密な体験になるなあ。面白いなあ。いままで西和賀は自然が素晴らしいと思っていたけれど、演劇を通じた文化体験という点からも町の可能性に期待が持てました。西和賀にきてよかった、と再認識。