なぜ今ダイアログカレッジを西和賀で開くのか
こんにちは。
4月1日、2日と開催されるダイアログカレッジの主催である駅前だびょんの瀬川然です。
ダイアログカレッジとはなんなのか、なぜ今西和賀で開催するのか、ちょっと熱苦しいことを書き連ねることになりますが、読んでくだされば幸いです。
ダイアログカレッジ詳細・お申し込みについて
ダイアログカレッジとはなんなのか
一言で言えばこれからどうやって良く生きて暮らしていくかを他人と対話しながら一緒に考えていく場のことです。
日本は超少子高齢化社会に突入し、今のままの枠組みでは今の暮らしを維持していくのは困難だと思います。実際、西和賀町は超人口減少、過疎高齢化が進み、空き家は増える一方です。それに加え、超豪雪地帯という自然的要因も相まって、人が住まなくなった家は文字通り崩れます。
自然に還るという見方もできるかもしれませんが、制度や仕組みができるスピードの方が遅いので、国がとか周りの市町村がと言っていたら西和賀のようなところはどんどん自分たちの暮らしを作っていく能力が落ちていきます。
一方で、Amazonに代表されるECサイトの躍進は家にいながら欲しい物をいつでも手に入れられるようになり、TwitterやInstagramのSNSの発達は、他人の思考や見ている世界を可視化させ人々の距離感を縮めてきました。youtubeやプライム・ビデオは自分で探さなくてもオススメのビデオを紹介してくれて、チャンネルを付ければいつまでも時間を潰すことができます。誰に聞かなくてもchatGPTに聞けばなんでも答えてくれるし、なんなら「最高の人生にするにはどう生きたらいいですか?」と聞けばなんとなくそれなりの答えも返ってきます。
しかし、便利になればなるほど、世界は小さくなり、新しいことにわくわくすることは減ります。今自分がやっていることは先人たちがもうすでにやっていることだと思うと世界は脱色され矮小化されていきます。人々の目はスマホの小さな画面に吸い込まれていき、目の前で幸せの青い鳥が鳴いていても気が付くことはありません。
私は30年以上、西和賀という地域に暮らし、なぜこの地域に人々が暮らすのかをよく考えました。もちろん地縁血縁という歴史的な縁もあるでしょう。しかし、真冬の大吹雪の夜、一人寂しく朝を迎え、屋根から落ちた大量の雪を除ける作業をしながら、たまに雲の切れ間から差し込む太陽の光を見た時、春の日だまりの中にいる暖かさや、初夏のエゾハルゼミの鳴き声、秋の葉が散った後の寂しさを同時に感じることがあります。そこで感じたことを言葉にしたり文字にしたり。人が人である所以はここにあり、泣いたり喜んだり。冬の厳しさを隣人と共有し、春の喜びも夏の暑さも、冬が来る直前の憂鬱感もここでは全身で感じられる。
この景色の中にいたら何もいらないという気持ちにさせられます。
もちろん永続性は無いので、暮らしの現実的なことはすぐ目の前に立ち現れてきますが、もしも自分が「豊かだなぁ」と感じる景色の中で家族も幸せに暮らせる方法があるとしたら、そしてそっちが選べるとしたらそちらを選びませんか??
ダイアログカレッジは、自分が欲しいと思う生き方や暮らし方を皆と話しながら一緒に考えていく対話の場です。
掴んだと思ったら儚く消えていく場ではありますが、自分が心の底からいいと思える瞬間を共有したり、もしお金の心配をしなくていいなら本当は自分は何をやりたいんだろう、それを叶えるためにお金を稼ぐにはどうしたらいいんだろうか。そんなことをその場で輪になったみんなと深く対話をしながら考えていく場のことです。
なぜ今西和賀で開催するのか
西和賀町は人が普通に暮らすには困難なくらい自然が厳しいところではあります。ですが、その厳しさがあったから安易な金儲けしたがりは入ってこず、人々は助け合いながら自然と向き合いながら厳しさを乗り越えてきました。しかし、そんな地域ですら近代化が進み、都会と同じような安心安全便利を求め、他の地域との特色の差が薄くなってきてるところもあります。もちろん、他地域と足並みを揃えようと努力をしてきたから今の豊かさを享受していることは否定しません。ですが、安心安全便利を追求すればするほど、人々や場は入れ替え可能になり、そこにいる意味はなくなります。
心の中に浮かんだイメージを起点に世の中を創り変えていく創造力が人にはあることを、最近身を持って体感しています。それは面白がって移住してくる若い人たちや、最近西和賀で面白いことをし始めた人たちから感じるエネルギーのことです。何も儲かるビジネスをするのであればこんな条件不利地域で事業をやる必要はありません。周りの環境を面白がり自分の直感を信じ一歩一歩表現してきた結果がだんだん花開こうとしています。
自然の中で生きる人であるという喜びがここにはあり、その喜びや豊かさをきちんと仲間と高め合い表現できたら多分西和賀は世界の中で輝く地域になると思います。
「ここでこれをやったら楽しいよね」
「自分はいいけどあの家族はどうなるんだろう」
「自分の子供が大きくなる頃、こんな地域になっていたらいいな」
なんて想像力に満ち溢れた前向きな会話は以前より増えた気がするし、そんな前向きな楽しい会話が普段から交わされるところに人は集まってくると思います。
加速度的に進む人口減少社会の中ではインフラの維持もままならず、今を持続させようと思ったらどんどん貧しくなっていくばかりです。もう一度自分たちの感受性・身体性を起点に地域や社会のありようを考えるフェーズに西和賀は来ているのだと感じます。そして岩手県で最も過疎が進む西和賀町からそういう考えが浮上するのが自然なことだと思うのです。
西和賀町のこれまでと、今現在、そして未来が感じられるダイアログカレッジというプログラムは、世界中の過疎高齢化・人口減少で思い悩んで思考停止になりがちな人々の心を照らす一筋の光になるという確信があります。
そのためには今の安心安全便利第一というマインドセットから、もう一度自分の心と向き合い、違和感をぶつけ、心の底からワクワクできるマインドへ変化させる必要があります。もしかしたら、日本の中に蔓延する閉塞感みたいなのは、ちょっとした心の変化の在りようでガラッと変わるのかも知れません。そんな知恵とエネルギーが得られる地域に西和賀をしていきたい。
心と身体が生産される地域にここがどんどんなっていったら西和賀の存在意義は絶対に大きくなるでしょう。
それは最近西和賀に集まってきている人をよく見ていると感じることが多々あります。それはなぜなのか、どういうところを打ち出していけば精度が高まっていくのか、自分の地域でも発展させられるところはないのか、を参加者の皆さんと深く深く対話を通して考えていきたいです。
その先に愛情と自信と誇りに満ち溢れた心と身体が喜ぶ故郷があるんだと思います。
西和賀から始まるダイアログカレッジは小さな取り組みかも知れませんが、ここから大きなうねりを創っていきましょう。
「100人の1歩を踏み出す」に込めた想い
ダイアログカレッジのチラシを町内で配って周っていたら、農泊をされている女性の方が「そう、1歩を踏み出すのが大変なんだよなぁ」ってことをおっしゃっていました。
もう何年も農泊事業に取り組まれていて町内でもグリーン・ツーリズムの先駆けをされていた方ですが、私も起業して思うのは最初の1歩を踏み出す大変さです。あれをやりたい、これをやりたいと色々思うことがあってもどうやってそれを具現化すればいいのかわからない。だから最初の1歩を踏み出せずにいる方って結構いるのかも知れません。
誰だって最初の1歩はあり、その大変さがわかるから最初の1歩を皆で踏み出したい。1人の1歩は小さくても100人の仲間が集まれば大きな1歩になります。
自分の歩んできた道や感受性を信じて最初の1歩踏み出しましょう。
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駅前だびょん
瀬川然
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