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栗駒国定公園(南本内岳)管理員始めました

7月から西和賀町で1番標高が高い南本内岳の管理員を始めた。
年間80日(私は40日)南本内岳をパトロールしてまわり、盗掘や違法行為がないかを見て回る仕事だ。1日あたり7,000円の日当が出る。
南本内岳の魅力と南本内岳管理員の仕事について書き記す。

栗駒国定公園(南本内岳)について

南本内岳は西和賀町の南、焼石岳の北に位置し、同町で1番の高さ(1486m)を誇る山です。

町外からは認識はされていたようですが、登山道が開拓されたのは割と最近の話で、昭和53年に登山道が開設されています。それまで町外からは権倉山や北焼石岳、時宗平と呼ばれていたようです。

ちなみに時宗平とは主に秋田県の南部の人たちが呼んでいたようで、鎌倉時代、元寇の来襲を神風が吹いて回避できた記念に、北条時宗が御礼にお寺を建てたとのことで時宗平と呼ばれているらしいです。実際にお寺もあったらしい。
『ゴンタの色桃』越後屋幹雄より

昭和48年、旧湯田町時代に改めて発見され、名前は「南本内岳」と名付けられました。

当時の湯田町山岳会の記念誌を読んでいると、登山ブームが到来していた頃で、「自分たちの町にも誇れる山をつくろう」ということで開拓されたようです。かつては県民体育大会で山岳のコースにも使われたこともあるようで、旧湯田町の人達にとってはとても愛さている山です。

西和賀町の最南端の集落“本屋敷”から車で約40分凸凹した砂利道を進むと登山口が見えてきます。登山口から山頂までは約3時間かかり、6合目を超えると天空のお花畑が広がっており、ハクサンチドリやキヌガサソウ、ハクサンシャジン等の高山植物が咲き乱れています。

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山頂から見える三界山がいつもかっこいい

天気がいい時は北西に東成瀬村や横手市、北には西和賀町、東には和賀町が見えることがあります。

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東成瀬村

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西和賀町。iPhoneの限界

お花畑に出たときの景色が素晴らしく、1年に1回は登りたくなるいい山です。

南本内岳管理員を始めて

南本内岳は栗駒国定公園内に位置する山で、県から公園内の管理を町が委託されています。町では2名の管理員を募集しており、私も応募してみることにしました。結果は採用されることになり、初めての年ということなので、一人分の年間80日を2で割り、今年は40日間のパトロールが割り振られました。

西和賀町は1年の半分は雪に閉ざされるので、山に登れるのは6月〜10月までです。パトロールし始めたのが7月下旬からだったので、週2日〜3日は行かないとパトロールしきれない計算になります。登山口まで我が家から約1時間かかり、そのうち40分は凸凹した砂利道を行きます。しかもマイカーで。

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道はあまり良くない。特に後半は。凸凹下道が心地よく、毎回眠くなる。

特に夏場は日が出ると暑いので、朝早くに家を出ます。だいたい6時に家を出て7時に登山口。そこから登り始めて8時半に山頂。9時半に下山というのが私のルーティーンです。平日に南本内岳に登っている人は殆どおらず、これまで(7月下旬〜9月初旬迄)17回登っていますが、3回しか他の登山客と会ったことがありません(土日は2〜3組くらい登っている)。

何よりも、登山口までの道が遠いのと普通車だと車を傷める恐れがあることが何度も行きたくなる山にはなりきれない要因だと思います。また、南本内岳は西和賀側から登らなくても東成瀬村や焼石岳の方から来ることができます。個人的見解ですが、焼石岳方面の方が高山植物が多彩な気もします。

ここで疑問に思ったのは、今後登山客が減る中で南本内岳西和賀登山コースを後世に残すことの必要性です。お花畑コースの木道はだいぶ荒廃が進んでおります。

夢にまで浮かぶ南本内岳のお花たち

このまま登山客が減り、過疎化による税収減のため林道整備にお金がかけられなくなった際、南本内岳西和賀コースを閉じる日が来るのではないかという一つのことが頭をよぎりました。コースができてから約40年。中心になってコースを開拓した人たちはもう70代を超えています。もしかしたら、自分たちの代で山を閉じるかどうかの問を問われる日が来るのではないか。そう思い立ってから、南本内岳についてのお話を聞くということを始めました。

昭和53年のコース開拓時に中心的役割を担ってきた方たちに連絡を取り、文献を借りたり、実際に何人かの方たちからは直接お話を聞くことができました。

個人的には昔の人達のお話を聞くのは面白く、登山道整備で炊き出しをした話や、山の上での放牧、高山植物泥棒の話、思い出話しは尽きることがありません。どの方にも共通していたのは、高山植物の名前を詳しく知っていることでした。話を聞いて回ったうちのお一方は、毎年お花のシーズンが来ると「今どんな花が咲いているはずだか眠る前に頭に浮かんでくる」と言っていました。

これからの南本内岳

パトロールを始めてから、この山がなぜいい山なのかを自分の言葉で語れるようになりたいと常に考えながら登っています。別に毎回山頂まで登らなくても問題は無いのですが、今年は40回登りきりたいと考えています。今はあまり登る人も少なくなったこの山を40日も80日も行く必要があるのかということもありますし、仮に山を閉じるということになったとき、自分の言葉でなぜこの山を閉じなければならないのかということも語れる用意はしておきたいと思うからです。

山登りは究極の“消費”の趣味です。食べたもの・飲んだものは血肉や汗になり、見ている景色は脳の片隅に蓄積されて消えていきます。消費だけは疲れるし飽きるものです。そこで、私が始めたのは山頂で動画を撮るということ。SNSにアップし、誰が為でもなく、でも動画を見て元気になる人が一人でもいたらいいなという願いを込めて動画を取り続けます。

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クライマーズ・ハイになった状態で動画を撮る。後で恥ずかしくなることもあるけど、山は何があるかわからない。

YAMAPに日記を毎回書くということもやってますので、ぜひフォローを。モチベーション維持になります。



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