ネビラキカフェ説明会開催
11月29日、地域(川尻地区)の住民に向けたカフェ説明会を開きました。
説明会の案内は2週間ほど前に川尻地区住民限定で全戸配布に入れさせていただきました(約300戸)。SNSでの告知はほぼせず、チラシのみ。貼った場所もほっとゆだ駅の温泉待合場所だけでしたが、意外と町中で声をかけてもらうことが多かったです。「カフェやるんだって〜?」、「どんなカフェ?」「楽しみ!」等々。チラシを配ったエリア外でも「息子さんカフェやるんですって?」なんて母は声をかけてもらったりしたそうです。
町内の反応を見ながら、実際には当日そんなに人が聞きにこないだろうなんて思っていましたが、雪が降る中にも関わらず、15名以上の方が集まってくださりました。
なぜ説明会を開いたか
カフェなんて言ってしまえば一個人の一事業にしかすぎません。それをあえてなぜ説明会を開いたのかを説明します。
①対話の場が少ないから
西和賀に30年近く暮らしてきて思うのは、日常での対話の少なさです。つい最近までそれが当たり前と思っていましたが、会社を辞めてから改めてそのことに対する危機感を覚えました。
他の田舎はどうかわかりませんが、西和賀では暗黙の了解というのがあり、知っている条件でまわりから物事を言われることが多々あります。なぜそうなったのか、自分はどうしたいのか、という説明は一切なく、「まずまず」という感じで物事が進んでいくことが多いように感じます。「そういうものか〜」なんて思っていましたが、これでは自分の頭で考える力はどんどん衰退していくだけだし、しゃべる力も落ちていきます。
日常の会話ではなく、自分の意見考えを醸成できる「対話」の場が必要だと思いましたが、実際に作っていかなければ、こういう場は開かれることはありません。
カフェで大切にしたいことの一つでもありますが、対話を増やして自分の頭で考え、自分だったら何ができるかを考え行動に移せる人を増やしていきたいと思います。
②30年後の西和賀がどうなっているか不安だから
西和賀町はすごい勢いで過疎が進んでいます。空き家もすごい勢いで増え、隣の空き家は雪の重さで崩れたままです。これからさらに危険特定空き家は増え続け、立入禁止のロープが張られ、町の景観が悪くなっていくことが予想されます。隣の空き家については、議員も役場も住民もお手上げ状態のまま放置されています。はっきり言ってしまえば思考停止です。目指すべき未来に対して、自分はどうありたいかを考え、悩み、ポジティブな気持ちになれる場を増やしていかなければ、どんどん衰退していくだけです。
自分がどうありたいか、豊かさとは何か、自分が自分の地域や暮らしに対して何ができるかを考える場として今回の説明会を開催させていただきました。
まちやど構想
現在、宿のひとつの形として「まちやど」というのがあります。町をまるごとひとつの宿に見立て、町の中にそれぞれの役割をもたせることで、地域価値を全体で向上させていくという考えです。
今回の説明会では、カフェの説明よりも、将来的に川尻地区ぐるみで宿をやりたいと思っているという構想をお話させていただきました。カフェはそのための地域の情報を得られる場所として機能させていきたい、町の外の人が町の中の人と繋がれるきっかけづくりになるような場所を作っていきたいと思っています。
具体的には、地域の中の困りごとをカフェに掲示しておき、それに対して関わってみたいと思う人をその困りごとのところに紹介し、関係性をつくるところまで持っていければ理想だと思ってます。例えば、西和賀は豪雪の町ですが、除雪は冬の労働として過酷なものです。ひとり暮らしの方が除雪に困っていたら、そこに人助けをしたい除雪を体験したい人を送り込み、地域の小さな課題と外の力をマッチングさせるという仕組みです。
これは上手く作り込んでいかなければトラブルが起こったり、実際には上手く機能しないこともあると思われますが、構想として持ち続けたいことの一つです。
そうやってカフェを通じて町を訪れ、情報を仕入れ、地域とのマッチング、さらにはそれがリピーターに繋がり、西和賀が第二の故郷になる人を増やしたいと考えております。
ひとつが生き残るためには、
全体が生き残らなければならない by養老孟司
先日、とあるトークイベントで聞いたお話ですが、とても心に響きました。西和賀のような過疎が著しく進む地域では、ひとつだけ生き残っても結局は残れません。かつてあった宿場町のような、地域の中でそれぞれに役割があって、それぞれの生き方が輝くようになり、地域全体が盛り上がっていく、これを作れなければ西和賀は多分この先残れないと思います。
カフェ説明会で言いたかったのはまさにここで、この説明会を機に、自分たちの未来づくりに一緒に進んでいきましょう!ということです。
大小あれど、それぞれが持つ幸せに向かって、自分だったら何ができるかを常に考え、実行している状態が理想だと思っています。もはやそれが地域に蔓延していけば、地域内にある課題は課題でなくなります。
今回の説明会は小さなキックオフではありましたが、地域が変わる歴史的な日になるかもしれません。
説明会が終わってから、何名からか声をかけてもらい、「とても良かった」とか「想像としていた内容と違って良かった(どういうこと?笑)」とか、Uターンで戻ってきた若い人からは「地域の目線・温度感がわかってよかった」とまで言ってもらえました。
何においてでもですが、最初に取り組むのはリスクがいることです。そのリスクさえも楽しみながら進んでいけるよう、まずは自分たちが先頭に立ち、新しい景色の素晴らしさを伝えていきたいと思いました。
こんな美しい景色を見ているここに暮らす人達はもともと豊かなはずなので。
zen
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?