
月響(げっきょう)18
家に帰るとすぐモリモに電話した。
「先生、明日の卒業式出られません。
まだナリタ君のことで立ち直れてません」
って半分以上ウソ。
かなり心苦しい。
「そうか、無理しなくていいよ。
豆田も休むと連絡あったし」
コレは二人でサボるのとっくに見透かされてるなーと思ったけど、
モリモの声は優しかった。
「春休み、卒業証書渡すから絶対来いよ。
二人っきりで卒業式するのも悪くないと思うよ」
と云ってくれる。
「ありがとうございます」
モリモとお別れするの超さびしいよって伝えたかったけど、
照れてしまって言葉にならなかった。
それからマー坊に電話を入れた。
スゴイ久し振りで少し緊張する。
モリモの話だとマー坊は、卒業式後に行う『稔田君を偲ぶ会』の幹事を
任されていて何かと忙しいらしい。
呼び出し音が長く感じる。
マー坊は電話に出なかった。
私はとりあえず「ひさしぶりー。卒業式出ないことにしたよ」と
簡単なメールを入れると携帯の電源を切った。
なんだかちょっとだけマー坊を遠くに感じていた。
次葉へ