【解答解説】第38回管理栄養士国家試験(問30)
問題
腎・尿路系疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与する。
(2)血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれる。
(3)出血性ショックは、腎後性の急性腎障害(AKI)の原因になる。
(4)慢性腎不全では、低リン血症がみられる。
(5)末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能低下症がある。
解答
(1)
解説
(1)⚪︎
急性糸球体腎炎は、急性上気道炎を中心とする感染(主にA群β溶血性連鎖球菌)の後に、10日前後の潜伏期間を経て血尿、蛋白尿、尿量減少、むくみ、高血圧などの症状を発症する疾患です。
(2)×
ネフローゼ症候群の診断基準は以下4つです。
①蛋白尿
②低アルブミン血症(低タンパク血症)
③浮腫
④脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
(3)×
出血性ショックは、腎前性の急性腎障害の原因になります。
腎前性の腎障害は、脱水、血圧低下、出血性ショックなどによる腎血流の低下することで起こります。
腎後性の腎障害は、尿路の狭窄、閉塞などにより尿が排泄できないことで起こります。
(4)×
慢性腎不全では、尿からリンを十分に排泄することができないため、高リン血症がみられます。
(5)×
末期腎不全の合併症は、二次性副甲状腺機能亢進症です。
腎臓の働きには、「ビタミンDを活性型にする」ことがあります。腎臓の機能が低下している末期腎不全では、活性型ビタミンD3が十分に産生されず、腸管からのカルシウムの吸収も低下し、低カルシウム血症となります。そのため、血中のカルシウム濃度を増加させようとして、副甲状腺ホルモン(パラソルモン)の分泌が増加し、副甲状腺機能が亢進します。