【解答解説】第38回管理栄養士国家試験(問26)
問題
上部消化管疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)わが国では、食道がんは、中部食道に比べて下部食道に多い。
(2)胃食道逆流症では、下部食道括約筋機能の亢進がみられる。
(3)早期胃がんでは、ボールマン(Borrmann)分類が用いられる。
(4)ヘリコバクター・ピロリ菌感染は、萎縮性胃炎を起こす。
(5)早期ダンピング症候群は、インスリンの過剰分泌で起こる。
解答
(4)
解説
(1)×
約半数が中部食道で発生します。
(2)×
胃食道逆流症では、下部食道括約筋の機能不全が原因となります。
下部食道括約筋は、胃の噴門部を閉めることで、胃の内容物が逆流しないようにする筋肉です。
(3)×
ボールマン分類は、進行性の胃がんで用いられます。
固有筋層に達した胃がんを肉眼的に分類します。1型→2型→3型→4型の順に予後が悪くなります。
(4)⚪︎
選択文の通りです。
ピロリ菌に感染すると、胃に炎症が起こります。これが慢性的に続く慢性胃炎の状態がさらに進行すると、胃液や胃酸を分泌する細胞が減少し、萎縮性胃炎になる危険性があります。
(5)×
インスリンの過剰分泌で起こるのは、後期ダンピング症候群です。
・早期ダンピング症候群
食中や食後30分程度で発症します。食物が腸に急速に流入し、動悸、めまい、冷汗、顔面紅潮、全身倦怠感などの症状をきたします。
・後期ダンピング症候群
食後2〜3時間後に発症します。腸で急速に吸収され、高血糖状態となるとインスリンが過剰分泌され、反対に低血糖状態となります。頭痛、倦怠感、冷汗、めまい、手指のふるえなどの症状をきたします。