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人生を変えるインド一人旅#2(デリーでカモにされる)

#1を読んでくださった方 、ありがとうございます。
前回に引き続きインド一人旅の備忘録です。

インド2日目の朝。
一人で使うには大きすぎるベットから起きてまずは朝ごはん。
関空で買ってきたサンドイッチを一つ食べた。

2日目の予定はこんな感じ


8:00〜9:30  デリーを少し観光
9:30〜10:30 タクシーで空港へ
12:30  ジャイサルメール行きの飛行機
14:20  ジャイサルメール到着・観光


歯磨きも洗顔も全てミネラルウォーターを使った。
日本でインドの水道水は汚染されてると聞いていたからではなく、

蛇口を捻ると、水が茶色い。そして独特の匂いがする。

水道水を使う気にはなれないのだ。
日本のトイレと水道水って本当に最高だなと思った。


朝のデリー観光は1時間と時間があまりなかったので、インド門を軽くみて終わりにしようと思っていた。

ウキウキでホテルを出てすぐ、超ハイテンションのインド人が声をかけてきた。

「お兄さん、いい靴履いてるね〜!どこからきたの?」

せっかくの一人旅なので現地の人とたくさん話そうと思っていた私はすごく嬉しくて、すぐに返事をした。

お兄さんがチャイを飲まないかと言ってくれたので、座って飲むことに。

お兄さんとチャイ

お兄さんはひたすら話しかけてくる。

「俺は日本に彼女がいるんだ!」
「日本が大好きだからお前はオトモダチ!」
「来年東京に行くんだ!彼女に会いに行くんだ!」

あまり時間がないと伝え、インド門を少し見に行くんだよーと言った。
ここですぐにUberを呼んでおけばよかった、、、。

お兄さんが言った。
「トゥクトゥクを持ってるからインド門まで乗っけてってやるよ」

日本人の彼女がいるって言っていて安心できるし、今からUberを呼んでもいつ来るかわからないし、この人にお願いしよう!

私は満面の笑みでお兄さんと握手した。


しかし、、、

いつまで経っても座ってチャイを飲んでいる。


10分くらい経過した時、お兄さんが急に立ち上がり私をトゥクトゥクに押し込んだ。

運転手は90キロはあるであろう大男。

『え、お兄さんが運転するんちゃうんかい』

なんか嫌な予感しかしない。

時すでに遅し。
トゥクトゥクは狭い道を抜けて大通りをすごいスピードで走っていく。
まだ朝も早く、窓のないトゥクトゥクの風は少し冷たかった。
そして大気汚染のせいで息が苦しく目が痛い。


交差点の真ん中に牛と鳩の大群


運転手にも再度、時間があまりないことを伝えた。
時間がないことよりも、余計な場所に連れて行って欲しくなかった。
運転手は強面の巨漢。強引にどこかに連れて行かれたら終わりだ。


写真で伝わる空気の悪さ。

案の定、インド門の近くに30秒ほど寄ってくれただけですぐに

「その格好ではお寺に入れないから伝統衣装を買わないといけない。俺がこの街で1番いい店に連れて行ってやる」

と言い出した。

誰でもわかる嘘だったので、時間がないことを理由に何度も断った。
その間もトゥクトゥクは走り続け、頼んでもないのにデリーの観光名所を超高速で回り出した。

お願いだからホテルに帰してくれ。

そうは思ってもこいつには逆らわない方が良さそうだと、私の本能が言っていたので大人しく流れに身を任せた。

背中から感じる圧。こいつには絶対に勝てない。


「1分やるから見てこい。」と言われて連れてこられたので何かはよくわからない。

結局、いくつかの観光名所を回った。(無理やり)
回ると言っても、写真を一枚撮るのがやっと。
すぐに次へ行くぞと、トゥクトゥクに乗せられるので何を見ているのかはよく分からなかった。

運転手は走りながら何度も見せに来るように言ってきた。
「この街で買うと安いが、他の街へ行くと5倍の値段はするから絶対に買っておけ。」
「ここに工場があるから良いものが安く買えるぞ。」
「ここに来た日本人は全員その店で買っていくぞ。」

何度も言い方を変えて言ってくる。

この時点でどうせ店に連れて行かれるんだろうなと思っていた。

そしてトゥクトゥクは細い路地裏にある店の前で止まった。

終わった。絶対に買わされる。


逆らったら何をされるかわっからないので、見るだけだぞと最後に小さく言ってから店に入った。いや、正しくは店に押し込まれた。

店内は意外と広く、何千もの衣装があった。
独特の匂いがした。

運転手があらかじめ連絡していたのであろう、店員が衣装の箱を既に用意していた。何種類も見せられ、どれにする?と言われたので
「必要ないから申し訳ないけどここでは何も買わない」とはっきり言ってやった。

まぜか店員と運転手は大笑い。
「お前変なやつだな、これがないとお寺に入れないんだぜ?」みたいなニュアンスで変なやつ扱いが始まった。

残念。
運転手と店員は日本人みんなが流されやすい性格だと思っているようだが私は違う。
幼いことから人と違うことが大好きだった。
みんなが右に行くなら私だけ左に行く。そんな幼少期だった。
両親には迷惑や心配をたくさんかけたが、常に人と違うということを肯定しながら育ててくれた。

私がその手には釣られないと分かると、彼らは力技に出た。
奥から3人くらい男が出てきた。

衣装を見るふりをしつつ出口の方へ移動すると、運転手を含めた5人が道を塞ぐ。
まさに無言の圧。
運転手が向こうのグルでは、私に勝ち目はない。
このまま走って逃げれば無賃乗車になってしまうし、買わないと言っても返らせてくれない。

飛行機の時間も迫っているし、、、。
私は厄介ごとを避けるために1番安いものを見せてくれと頼んだ。

明らかに安っぽい生地のシャツとパンツのセット。
値段を聞くと答えてくれない。
日本円で2,000円くらいか?と聞くと大体そんな感じだよと言われたのでこれくらいならとレジへ。

レジの前でターバンも買わないといけないと言われた。
時間もないし、正直かなり疲れたので適当に選んで買うことに。

レジで提示された金額が

1万6000円

流石に意味がわからず店員と運転手に強めの口調で言い返した。
しかしなぜか逆ギレ。しかもかなり怒ってる。

「こんな良い商品を安く買えると思っているのか?」
「最高の商品だからこの値段は安すぎるくらいだぞ」
そして最後には

「これを買わないと外に出られないぞ」

もう脅しじゃないか、、。

負けを認め、身の安全を1万6000円で買うと考えて買うことに。
悔しかったが、店に入った私が100%悪い。

店を出ると運転手は上機嫌で、フォトスポットに寄ってから帰ろうと言い出した。もう時間がないので早く帰りたかったが、とにかくこれ以上刺激しないように引き攣った笑顔で頷くことしかできなかった。


行きたくもなかったし、悔しさで行ったことすら忘れていたが写真が残っていた。



ホテルの近くまで帰ってきた。
トゥクトゥクの相場からして、高くても1,500円くらいだろうと思っていた。
またしても考えが甘かった。

運転手はこう言った。

「1時間ツアーしてやった、最高の買い物もさせてやったし、時間通りに帰って来させてやった。色々合わせて2万7000円だ。」

眉間に皺を寄せながら運転席からこちらを見てくる。

本当に情けないのだが、抵抗する体力も気力も私にはなっかった。
500ルピー札でパンパンだった財布から現金で渡した。
泣きそうだった。

「おい、チップは?」

またか。
私はもう一枚500ルピーを渡した。

「は?俺へのチップがこれだけか?後4枚は必要だろ」

チップってこっちからの気持ちで渡すものだろ、、。
私はアメリカに6ヶ月留学していたこともあってチップの文化には多少の理解がある方だと思う。
チップを要求されるのも初めてだったし、要求してくるような人には1円も払いたくなかった。

そんなことを考えていたが、2,500ルピー(約4,500円)を渡した。
普通の相場の運賃より高いチップって何だよ。そんなことも口では言えず
引き攣った顔で

“You are the best driver in this city”

と言ってからトゥクトゥクを降りた。
もちろん皮肉の意味だが、相手には本心で言ってますよといった感じの口調で言った。

ここまででたった1時間。
人生で1番精神的に疲れた1時間になった。

ホテルに戻りバックパックをとってチェックアウト。
手続きをしてもらっている間にさっきまでの出来事を全て話した。

デリーでは私のような無知な観光客(特に日本人)を狙った法外な値段の請求がよくあるらしい。安全を考えるのであればホテルからタクシーを予約することだと教えてくれた。
ホテルからタクシーを予約すると、ホテルに雇われているドライバーが来る。
彼らは雇われの身なので、客からクレームが入ると即解雇。
だから余計なことができないらしい。

逆に流しのトゥクトゥクはチップや店からの紹介料で生活をしている。
絶対に乗るなと言われた。

ホテルから空港までのタクシーに乗り込んだ。
窓からはデリーの汚れた空気とクラクションの大合唱。

「とんでもない国に来てしまった。」

そう思いながらもこれらかの旅がワクワクで心は踊っていた。


次回はデリーから離れジャイサルメールへ!

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