【Wine ワイン】Purato Appassiment Organic 2021
【Wine ワイン】Purato Appassiment Organic 2021
ジューシーなシチリアの赤
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■Producer (生産者)
Feudo di Santa Tersa
■Country / Region (生産国 / 地域)
Vittoria / Sichilia / Italy
ヴィットリア/ シチリア州 / イタリア
■Variety (葡萄品種)
Nero d'Avora, Syrah, Some typical grapes
■Pairing (ペアリング)
Caponata カポナータ(トマト、 茄子などの野菜の煮込み料理)
Pasta con sarde パスタ・コン・サルデ(鰯、干しブドウ、 松の実、 フェンネルで和えたパスタ)
Pasta alla Norma パスタ・アッラ・ノルマ(茄子とトマトのソースに熟成させたリコッタ・サラータをかけたカターニアの名産パスタ)
Cous cous di pesce クスクス・ディ・ペッシェ(トラパニ周辺で食べられる魚介のソースをかけたクスクス)
Farsumagru ファルスマーグル(仔牛肉にサルシッチャ、モルタデッラ、ゆで卵、パンチェッタ、カチョカヴァッロ、 ペコリーノ、 グリーンピースなどを詰めて巻き、 トマトソースで煮込んだ料理)
■生産地概要
■Sichilia シチリア州
■プロフィール
イタリア最南端に位置していて、地中海に浮かぶシチリア州はイタリア最大の州である。地中海最大の島であるシチリア島以外に、エオリエ諸島、エガディ諸島、ペラジェ諸島、ウスティカ島、パンテッレリア島を含む。イタリア半島のつま先にあたるカラブリア州の先に位置しているが、場所によってはチュニジアの首都チュニスより南に位置する所もあることからも分かるように、かなりアフリカに近い風土である。
地中海のど真ん中という戦略的に重要な場所に位置していることもあり、古代から様々な文明の十字路であり、いくつもの民族、文明がこの島を通り過ぎて行った。閉鎖的なサルデーニャ島と対照的に、シチリアはこの地を支配していた民族、文明の影響を受け、その文化、習慣、風習などと受け入れながら、独自のシチリア文化を形成してきた。西アジア原産のヴィーティス・ヴィニフェラがギリシャを経て、シチリアに到着し、古代ローマ帝国領土拡大とともに北上して行ったことを考えると、ほとんどの品種が一度シチリア島を通過したと考えることもできる。実際シチリアは固有品種の宝庫であり、白ブドウではインツォリア、カッリカンテ、グリッロ、グレカニコ、カタラット、ミネッラなど、黒ブドウではネーロ・ダヴォラ、ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ、フラッパート、ペリコーネなど数えきれないほどの品種がある。
シチリアはヴェネト、プーリアと並ぶワイン大生産地である。戦後高度成長期には、大量のバルクワインを供給すると同時に、4〜5社の有名ブランドのフルーティで親しみやすいワインが国内外市場を席巻した。1990年代後半からは中規模で高品質を目指す意欲的なワイナリーがどんどん出てきて、世界中でシチリアワインブームを巻き起こした。2000年以降は、国際的スタイルのワインから脱却して、テロワールを表現するワインに徐々にシフトしている。エトナ、パキーノ、パンテッレリアなど興味深いテロワールに注目が集まっている。
非常に大きな島で、全く異なる気候、テロワールが混在している。海抜レベルの畑から、標高1,200mの畑まであり、土壌も真っ白い石灰土壌、鉄分を含んだ赤い土壌、火山性土壌など多様である。収穫も7月後半から11月半ばと3カ月半に及ぶ。シチリアは「島」というより「小さな大陸」と考えた方が適切だ。ブドウ栽培に適した地として古代から名声を誇るテロワール、まだその可能性が十分に開発されていない固有品種、想像力溢れる生産者たちを持つシチリアワインは、これからまだまだダイナミックな発展を続けていくであろう。
■歴史
古代からギリシャ人、フェニキア人、カルタゴ人が頻繁に往来していたが、特にギリシャのもとで繁栄を見た。その面影は今でもアグリジェントやセリヌンテの神殿群、セジェスタ遺跡などに見ることができる。その後、カルタゴの支配を経て、ローマ帝国の一部となる。この時代に穀物栽培が盛んになり、シチリアは「ローマの穀物庫」と呼ばれた。西ローマ帝国滅亡後は、ビザンティン、イスラム、ノルマン、フランス、スペインと様々な支配者がこの島を治めた。ガリバルディの千人隊の有名なシチリア遠征により両シチリア王国は征服され、シチリアはイタリア王国の一部となった。その後、イタリア王国の誤った南部政策によりシチリアは衰退し、多くの問題を抱えるようになる。歴史的経緯、地理的位置などにより、文化もメンタリティーもイタリア半島とは大きく異なるので、常に分離独立の動きがあり、現在は自治州になっている。
■文化
シチリア人は精疑心が強く、外部から来たものに強い警戒心を抱くが、一度友人になると、こちらが戸惑うぐらい親切な人たちである。自然条件に恵まれ、戦略的に重要な位置にあったため、3,000年近くに渡りよそ者に支配されてきた歴史が、シチリアに深い影を落とし、独自の文化を発展させてきた。複雑な文化的重層性、よそ者には非常に分かりにくりメンタリティーと行動様式、あまりにも有名なマフィアの問題など、すべてその文脈の中で考察する必要がある。
■経済
農業は重要な位置を占める。穀物栽培は古代から広く行われ、特にパスタの材料となる硬質小麦が優れている。柑橘類は非常に美味しい。赤い色をしたオレンジのタロッコは有名だ。パキーノトマトと呼ばれる小さなトマトも人気がある。アーモンド、ピスタチオ(エトナ山麓のブロンテのものが特に有名)も素晴らしい。漁業も重要で、トラパニのマグロ漁は有名だ。観光業も重要である。
■気候風土
丘陵地帯が多く全体の61.4%を占める。山岳地帯が24.5%で、平野は14.1%である。最も広いカターニア平野とパレルモ盆地に人口が集中している。島の北部にはシチリアアペニン山脈が、東から西へとペロリターニ山塊、ネブロディ山塊、マドニエ山塊と続いている。島の北東部には今でも活発な活動を続けるエトナ火山(3,343m)が白煙を上げている。
地中海気候で、夏は暑く、冬は温暖である。島の南西部はアフリカの影響を受け非常に暑い。サハラ砂漠からの風シロッコも吹く。ティレニア海に面している北側の海岸沿いは暑さが幾分穏やか。全体的に降雨量は非常に少なく、早慰は深刻な問題である。エトナはアルプス気候である。
■ワイン生産量
ワイン6,168,737hℓ(2021年)
ブドウ栽培面積119,427ha(2021年)
生産量の61%が白ワイン。
■主要ブドウ品種
[白ブドウ]
Catarratto カタラット
シチリアで最も栽培されている白ブドウ。カタラット・コムーネ、カタラット・ルチド、カタラット・エクストラルチドなどの下品種がある。アルコール度数が高く、フレッシュなワインを生む。
Ansonica アンソニカ(inzolia インツォリア)
シチリアではインツォリア、トスカーナではアンソニカと呼ばれる白ブドウ。フラワリーなアロマを持ち、優美な味わいの白ワインを生む。
Grecanico グレカニコ
シチリアで栽培されている白ブドウ。アロマティックだがデリケートな味わいの白ワインを生む。
Zibibbo ジビッボ(Moscato モスカート)
モスカート・ダレッサンドリアをシチリアではジビッボと呼ぶ。アロマティック品種で、パンテッレリア島で造られるパッシートが有名。
Carricante カッリカンテ
エトナの固有白ブドウ。酸が非常に強いことが特徴。長期熟成により真価を発揮する。
[黒ブドウ]
Nero d'Avola ネーロ・ダヴォラ(Calabrese カラブレーゼ)
シチリアを代表する黒ブドウ。赤い果実やプラムのアロマを持つっ、力強い赤ワインを生む。
Nerello Mascarese ネレッロ・マスカレーゼ
シチリア島北東部の黒ブドウ。エトナの代表的品種。色は薄めで、酸とタンニンが強い。
Frappato フラッパート
シチリア東部で栽培されている黒ブドウで、フラワリーなアロマを持つ、軽めで優美な赤ワインを生む。ネーロ・ダヴォラとブレンドされることが多い。
■地方料理と食材
[前菜]
- Arancino di Riso アランチーノ・ディ・リーゾ(おやつにもよく食べられる大きなお米のコロッケ)
- Insalata di Arance インサラータ・ディ・アランチェ(オレンジにオリーヴォイル、塩、胡板をかけたサラダ)
- Caponata カポナータ(トマト、茄子などの野業の煮込み料理)
[パスタリゾット]
- Pasta con Sarde パスタ・コン・サルデ(鰯、干しブドウ、松の実、フェンネルで和えたパスタ)
- Pasta alla Norma パスタ・アッラ・ノルマ(茄子とトマトのソースに熟成させたリコッタサラータをかけたカターニアの名産パスタ)
[魚料理]
- Cous Cous di Pesce クスクス・ディ・ペッシュ(トラパニ周辺で食べられる魚介のソースをかけたクスクス)
[肉料理]
Farsumagru ファルスマーグル
- (仔牛肉にサルシッチャ、モルタデッラ、ゆで卵、パンチェッタ、カチョカヴァッロ、ペコリーノ、グリーンピースなどを詰めて巻き、トマトソースで煮込んだ料理)
[その他]
Cannoli カンノーリ
- (筒状の揚げた生地に、リコッタと柑橘類の皮の砂糖漬けを添えたお菓子。
- Cassata Siciliana カッサータ・シチリアーナ(スポンジケーキにリコッタ、アーモンドベースト、ドライフルーツを重ねた非常に甘いケーキ。アラブの影響濃い)
[チーズ]
- Pecorino Siciliano ペコリーノ・シチリアーノ(D.O.P.、羊乳、非加熱圧搾)
- Ragusano ラグサーノ(D.O.P.、牛乳、パスタフィラータ、四角柱形)
東部
Messina メッシーナ県
Catanai カターニア県
siracusa シラクーサ県
Ragusa ラグーザ県
■土壌
エトナは火山性土壌ヴィットリアは赤い粘土、砂、疑灰岩が混ざる
■気候
地中海性気候で暑いが、標高の高いところは冷涼。エトナはほとんどアルプス的気候。
■主要ブドウ品種
[白ブドウ]
- Carricante カッリカンテ
- Catarratto カタラット
- Inzolia インツォリア
- Grillo グリッロ
[黒ブドウ]
- Nerello Mascalese ネレッロ・マスカレーゼ
- Nerello Cappuccio ネレッロ・カップッチョ
- Nero d'Avola ネーロ・ダヴォラ
- Frappato フラッパート
■主要なD.O.P.(D.O.C.G.)ワイン
Cerasuolo di Vittoria チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア
ラグーサの西で造られるシチリア唯一のD.O.C.G.ワイン。力強い味わいのネーロ・ダヴォラ(50〜70%)に、フラワリーなフラッパート(30〜50%)がブレンドされることにより、軽やかさを持つワインとなり、幅広い料理にマッチする。
■主要なD.O.P.(D.O.C.)ワイン
Etna エトナ
標高300〜1,200mの火山性土壌の畑から生まれるエトナは、非常にフレッシュで、ミネラル分に富んでいて、エレガントである。白ワインのベースとなるカッリカンテは非常に酸が強い個性的な品種で、長期熟成させるとリースリングのようなニュアンスが出てくる。赤ワイン・のベースはネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カップッチョだ。ネレッロ・マスカレーゼは厳格なタンニンを持ち色はそれほど濃くない。ネレッロ・カップッチョは色が濃く、直截な果実味を持つ。エトナの赤ワインは非常にみずみずしく、繊細で、長期熟成能力を持つ。シチリア島内外から多くの生産者がエトナに進出してきていて、今最も注目されている産地である。
Faro ファーロ
メッシーナの近くで造られ、エトナと同じくネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カップッチョをベースにした赤ワインだが、エトナより優しい味わいで魅力的なワインである。
Eloro エローロ
島の東南端にあるパキーノは卓越したネーロ・ダヴォラの産地として知られている。ネーロダヴォラはシチリア中で栽培されている最もポピュラーな黒ブドウであるが、シロッコが吹き荒れる乾燥したパキーノ周辺のものは、凝縮した果実、フレッシュな酸、ほのかに塩味を感じさせる、偉大なワインとなる。アルベレッロ仕立ての老木が多く残っていて、ワインは複雑である。
Moscato di Noto モスカート・ディ・ノート
興味深い甘ロワインで時期生産量が減っていたが、近年意欲的な生産者により復活しつつある。
西部
Trapani トラパニ県
Palermo パレルモ県
Agrigento アグリジェント県
Caltanisetta カルタニセッタ県
Enna エンナ県
■土壌
石灰土壌に粘土、砂が混ざる
■気候
地中海性気候で暑いが、山も多く、山に近いところでは冷涼。
■主要ブドウ品種
[白ブドウ]
- Catarratto カタラット
- Grillo グリッロ
- Inzolia インツォリア
- Grecanico グレカニコ
[黒ブドウ]
- Nero d'Avola ネーロ・ダヴォラ
- Perricone ペッリコーネ
■主要なD.O.P.(D.O.C.)ワイン
Marsala マルサーラ
島の西端で造られる偉大な酒精強化ワイン。イギリス人ジョン・ウッドハウスが1773年にアルコール補強をしてこのワインを生み出してから、マルサーラの人気は世界的に広まり、イギリスのネルソン提督やガリバルディにも愛された。特に大英帝国ではポート、シェリー、マデイラと並んで高く評価されていた。色でOro オーロ(黄金色)、Ambra アンブラ(琉拍色)、Rubio ルビーノ(ルビー色)と分かれ、甘さでSecco セッコ(40g/ℓ以下)、Semisecco セミセッコ(40〜100g/ℓ)、Dolce ドルチェ(100g/ℓ以上)と分類される。これ以外に製造法や熟成期間により、Fine フィーネ、Superiore スペリオーレ、Superiore Riserva スペリオーレ・リゼルヴァ、Vergine ヴェルジネ/Soleras ソレラス、Vergine Riserva ヴェルジネ・リゼルバ/Soleras Riserva ソレラス・リゼルバ、Vergine Stravecchio ヴェルジネ・ストラヴェッキオ/Soleras Stravecchio ソレラス・ストラヴェッキオと分類されている。一時期は品質の低いものが大量生産され、イメージを落として、ほとんど料理用ワインに成り下がってしまったが、最良のマルサーラは繊細かつ複雑な偉大な瞑想ワインである。近年徐々に品質を回復しつつあることは喜ばしい。
Alcamo アルカモ
パレルモ県で造られ白ワイン、ロゼワイン、赤ワインを含むが、圧倒的に有名なのはカタラットをベースに造られる白ワインである。フレッシュで、かすかな苦みと塩っぽさを感じさせる爽やかなワインで、非常にシンプルだが、喜ばしく、海岸沿いのレストランで提供している素朴な魚料理に抜群にマッチする。
Moscato di Pantelleria モスカート・ディ・パンテッレリア/Passito di Pantelleria パッシート・ディ・パンテッレリア/Pantelleria パンテッレリア
シチリア島よりはるか南の地中海に浮かぶ小さなパンテッレリア島は、火山土壌の真っ黒な島で、その美しさは「地中海の黒い真珠」と讃えられている。著名人の別荘がある高級ヴァカンス地でもある。
地元でジビッボと呼ばれるモスカート・ダレッサンドリアで造られる甘ロワインは、干したナッメヤシ、イチジクなどの濃厚な香りに、かすかに柑橘類が混ざる、複雑な甘ロワインだ。まさに偉大な瞑想ワインである。
Malvasia delle Lipari マルヴァジア・デッレ・リパリ
シチリアの北東にあるエオリエ諸島のリパリ島、サリーナ島でマルヴァジアを使って素晴らしい甘ロワインが造られる。アプリコット、柑橘類、ハーブのアロマが混ざる複雑なワインで、パンテッレリア島のような力強い濃厚さはないが、より抒情的な優美さがある。
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[シチリア州の主要D.O.P.] Alcamo D.O.C.アルカモD.O.C. Cerasuolo di Vittoria D.O.C.G.チェラスオーローディヴィットリアD.O.C.G. Vittoria D.O.C.ヴィットリアD.O.C. Etna D.O.C.エトナD.O.C. Faro D.O.C.ファーロD.O.C. Malvasia delle Lipari D.O.C.マルヴァジアデッレリバリD.O.C.Marsala D.O.C.マルサーラD.O.C. Moscato di Pantelleria、Passito di Pantelleria、Pantellerira D.0.C.モスカートディパンテッレリア、バッシートディパンテッレリア、パンテッレリアD.O.C.
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シチリアのブドウ品種
カタッラット
シチリア州全域で栽培される白ブドウ。その起源とされるトラーパニを中心とする西シチリアが主な栽培地区で、裁培面積も大きい。
カッリカンテ
現在はシチリア州カターニア近郊のみで栽培される白ブドウで、シチリア起源といわれる。1950年代まではブレンド用ブドウとしてシチリア全土で栽培され、生産量も多かった。
ネレッロ・マスカレーゼ
シチリア州エトナ近郊とカターニア、北東部のメッシーナ、カラブリア州で栽培される黒ブドウで、発祥地もエトナ山麓といわれる。特にエトナは注目の産地で、州外からも多くの生産者が進出している。
ネーロダヴォラ
シチリア州全域で栽培される黒ブドウで公式名はカラブレーゼ、島の東南端シラクーサ県のノートやパキーノあたりが起源といわれる。昔は主にブレンド用に使用されたが、現在は特にパキーノ周辺で、凝擬縮した果実味を持った偉大なワインが生まれている。
ジビッポ
シチリア州南西部とパンテッレリア島で栽培されるエジプト起源の白ブドウ。干したブドウという意味を持つアラブ語が語源で、1000年以上前にアラブ人が食用のためにパンテッレリア島に持ち込んだとされる。*参考文献「土着品種で知るイタリアワイン」(中川原まゆみ著/ガイアブックス)
Cùscusu クスクス
クスクスはシチリアを占領した民族のうちのひとつ、アラブ人の常食である。特に西側のトラーバニに定着しているが、面白いのはこの地に適応して変化しているというにと。通常、アラブのクスクスは鶏肉や羊肉を使うが、トラーパニのクスクスは土地の食材である魚介を使っているのだ。現在では代表的な郷土料理として、豪華な魚介類を飾るようになったが、元来は庶民の料理なので、海岸に近いところで獲れる貝や小魚を使った地味な料理であった。蒸すという調理方法は他の地では見られず、ここだけのものである。専用の陶器の蒸し器まある。
作り方
鍋に油、イタリアパセリとニンニクのみじん切り、玉ねぎの薄切り、月桂樹の葉を入れ、ホールトマトとともに魚介を煮込む。飾り用のものは別にとっておき、残りの魚を汁と混ぜ、ナツメグ、クローヴ、コショウで風味をつける。汁を蒸したクスクスの上に振りかけ、しばらく寝かせて味がしみ込んでから、別にとっておいた魚介を飾ってサービスする。
Falsomagroファルソマーグロ
シチリアは地中海交易の中心地で、富が蓄積した場所でもある。それを土台とした貴族文化も繁栄を極め、力量のあるお抱え料理人たちがそろっていた。牡牛は農耕に、牝牛は子供を産んでチーズを作るための牛乳を出すので、牛が食用になるのは少なかった時代、食用になる牛肉は年老いて働きを終えた牛のものだけであった。その硬い肉が、調理技術を持つ料理人の手にかかって、変身した料理である。ちなみに彼らの名称であるモンスーは、フランス語のムッシュから出ていて、貴族料理の基本がフランス料理に影響されているのがわかる。
作り方
成牛の腿肉を肉叩きで伸ばし、挽肉、ミンチにした生ハム、粉チーズ、水で戻したパン、ニンニクを混ぜたものを広げ、中心にゆで卵を入れて巻き込んでからタコ糸でしばって形を整える。大きな鍋にタマネギのみじん切りを低温で妙め、その中に肉を入れて表面に焼き色をつけてから、ワインを注ぎ、次にホールトマトと適量の水を入れて煮込む。
Cassata カッサータ
昔は子だくさんであった。そのため貴族の家では、娘を修道院に入れることが多く、修道院では教育を受けた修道女たちが一つの文化を形成していた。シチリアの代表的な菓子フルッタマルトラーナも、修道女たちがマジパンで果物の形をした菓子を作り、冬に飾って、資客をもてなしたのが始まりだという。カッサータはカーチョ(リコッタ)を語源とした菓子。プーリアやアブルッツォにも同名のものがあるが、シチリアが一番有名である。特徴は羊乳リコッタの使用と、特産品である果物の砂糖漬をふんだんに使って豪華に飾りつけたことである。
作り方
グラニュー糖とリコッタをクリーム状になるまで混ぜ、チョコレートと細かく切った果物の砂糖漬け、ビスタチオを加える。スポンジを型に敷き詰め、オレンジ水で風味をつける。リコッタを中に詰め、表面をフォンダンで表面を固めてから、果物の砂糖漬けで飾り付ける。果物の砂糖漬けは、オレンジやチェードロなどのシチリアらしいものを選ぶ。
参考資料 日本ソムリエ協会教本2023、隔月刊誌Sommelier
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