幸せになりましょうキャンペーン
外では銃声が鳴り響き人々の笑い声が聞こえる
祝日は幸せでいなければいけない
なんだかそう言われている気がした
土日なんて最悪だ
ましてや三連休ともなればそれは地獄だ
どこもかしこも人で溢れていて
いつもよりも全体が明るい
家族や恋人、日頃の鬱憤を晴らす為に
この青空は存在する
そこに入れない人々は隅に隠れて
この「幸せになりましょうキャンペーン」が
終わるのを黙って待つしか無いのだ
理由なんてない
頑張ったから良いのだ
いつもより少し明るくて
いつもより少しうるさくて
多少人の目を気にしなくても
私達は“頑張った”のだから
ベッドの上で天井を見上げ
ありもしない染みを数えてみたりする
時計の針はいつも規則正しく
静寂はいつも無機質
この世界に安心出来る場所は無い
家はどんな塗装、照明であれ暗く
外は危険地帯
けたたましいヘリコプターの音と銃声が響く
家の中、すなわち“惰性の地獄”で耐えるのだ
この「幸せになりましょうキャンペーン」が
終わり、皆んなが何もなかった顔で
普通に戻るのを
他人なんて気にもせず「楽しかったね」の
瓦礫で溢れた街を胸を張り歩いてやろう。
良いじゃないか、そのキャンペーンに漏れた
者たちに祝日はやってこない
外では銃声と笑い声
全ての空気がいつもより上がる
選ばれなかった者たちよ耐えるのだ
この吐き気を催す薄気味悪いキャンペーンが
終わるまで