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『今』への告解

いま
こころはどこにあるのでしょうか

その目を閉じれば瞼の裏に
慟哭の刻にはその胸に
触れようとすればその指に

あの日はあった筈でした

そこにいつも在りながら
掴めなくなったその様は
まるきり人のモノのようなのです

俺のこころはいまこの刻に
どこに宿っているのでしょうか

遠くのもはや見えない日々に
何か待ち惚けていまも
此処に帰れずにいるやもしれず

おそらくこの指がたったいま
何も知らないあなたの頬に
あたかも其れであるかのように
斯様に優しく触れたとて
その先にはどうしてか
なにひとつ宿りはしないのです

贖罪を込めた微笑みと
無意味で愉しげな言葉遊びを
惜しみなく無垢なあなたに捧げ
笑うあなたの向こう側に
揺れる蜃気楼を見つめて

優しいですね とあなたがふいに
目の奥を覗き込んだ時
その指が酷く震えたのは
たまらなく自分が嫌になったからでした