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飛行機を指さす、トンボが止まる。

彼女が友達の誕生日プレゼントを買いたいから新宿に行こうと誘ってくれた。
彼女はついこの間まで従姉妹と5日間の韓国旅行に行っていたので会うのは次の土曜日になった。

新宿駅で12時に集合。いつも思うが新宿駅は複雑すぎる。だから決まって東口で一旦外に出るようにしていたから、集合場所は東口の交番の前に設定しておいた。
東口を出たと連絡を受け、交番の前にいるよと返信し探すとキョロキョロと周りを見渡す彼女を見つけた。

まずは一旦ご飯を食べようとお店を探した。その日はとても暑かったからガッツリ食べる気にもなれず、直射日光から避難するようにカフェに入った。注文を終え、飲み物と食べ物をお盆に乗せて階段を登り二階へ。階段が急だったから足元に気をつけてねとお互い声を掛け合った。

少し早い時間だったため2階は空席が多く、「まだ混んでないからいいよね」と4人席に座った。
会えなかった時間を埋めるように、会えなかった期間に撮影したiPhoneのカメラフォルダの写真を見せ合う。僕は韓国に行ったことがないから、彼女の見せる韓国旅行の写真は全てが新鮮だった。

ふと彼女が隣の席に置いている荷物の紙袋が気になり、それについて質問をすると、僕に韓国旅行のお土産を買ってきてくれたのだという。

めっちゃ嬉しい。

お菓子、ステッカー、キーホルダー。お菓子は後日家で食べた。ステッカーは最近買ったiPhone16のスケルトンケースに挟んでいる。キーホルダーは仕事用のバックの一番開け閉めをするポケットのファスナーにつけた。

ありったけの感謝を伝え、それを聞き喜んでくれた彼女。

カフェを出て、当初の目的である誕生日プレゼントを買いにデパートへ向かった。普段買い物でデパートに行くことがないからそこに行く機会を与えてくれたことがまた嬉しかった。地下から順に上階へ。一通り店を見てプレゼントを探す中、結局選んだのは地下のお店で匂いの染みたテスターの紙を配られた「Black」という名前の香水だった。

プレゼントを無事買い終え、近くにあるadidasショップ、BEAMS、IKEAに行った。お店を回る中唯一お金を使ったのはBEAMSの入り口にあった500円のガチャガチャだけだったが、たとえばadidasではレトロなデザインと色合いのジャージがいいねと話したり、たとえばBEAMSでは内装として置かれていた旧車や卓球台、高そうな非売品の置物がいいねと話したり、IKEAでは大き過ぎて持ち帰りに困るがサメのぬいぐるみがいいねと話したりして、多分今後彼女とは何をしても楽しめると思えた。

日が沈もうとしている。日没がいつの間には早くなった。風が心地よい。もう秋がすぐそこまできている。行ったことがなくて気になっていたから、近くの新宿御苑に行こうと誘った。

新宿御苑の入り口に着き、Suicaで入れることに2人は驚く。大都会のど真ん中に広がる自然に圧倒されながら、地図の中心近くにあるスターバックスまで歩を進め、飲み物を調達して日に当たらない場所を見極め芝生に座った。

時折飛行機が上空を横切る。それを2人で仰向きになって指差し、軌跡となった飛行機雲を目で追う。

時折トンボが頭上を横切る。仰向けの2人は上空を差すように指を伸ばし、トンボが止まらないかと待つ。


夕暮れの日が落ちる直前、オレンジの雄大積雲を見て

「天国やんけ」

と僕が呟くと彼女は笑った。


※この話はノンフィクションです

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