花束みたいな恋をした
2021年公開
監督:土井裕泰
<あらすじ>
所謂「変わった」感性を持つ大学生の麦と絹。同じ終電を逃し、時間を潰すために立ち寄ったバーで引かれ会うものを感じる。2件目の居酒屋で話をし、意気投合。自然と2人の趣味も重なり、一緒に出掛けるようになっていった。
3回目のデートで進展がなければ友達だと言う話もある。「好き」とは何か麦の中には定義があり、恋をしていることを自覚していた。絹も同じように恋を自覚していたが進展の無い関係に焦りを感じていた。
告白のタイミングも似た者同士のせいか、重なりあう。理想的な交際のスタートを切り、2人の生活が始まる。
☑️受け取ったテーマ
・恋愛と結婚
・成長するとは何か
・価値観を形成する環境
☑️こんな人におすすめ
・価値観の合う恋人と交際している人
・仕事と恋愛の両立に悩み共感を得たい人
・結婚と恋愛の違いを考えている人
・胸の苦しくなるようなラブストーリーがみたい人
☑️作品の特徴
若干現実離れしたストーリーの導入ではあるものの、時代とともに変わっていく恋愛観、時代背景を感じることの出来る作品です。今の20代には痛いほど響く背景であると思います。
導入こそ理想的な話ですが、特定の人にとっては共感の嵐になるストーリー展開です。時とともに移り行く恋人2人の心情の変化が手に取るように分かるカメラワーク、声の抑揚。映画館で見るからこそ感情移入が出来る作品であるように感じました。
☑️感想
リアルな恋愛事情を描いていて、経験はないのに共感をしてしまうようなストーリーでした。価値観の合う人と出会ったときの興奮、そんな大切な人に嫌われたくないがために趣味を合わせる努力、一緒にいたいもっと話したいという純粋な欲求。全てが胸を締め付けるようでした。
臭い台詞や安っぽい台詞がなく、少し周囲とずれた感覚を持つ2人独特の言い回しや愛情表現に心を揺すられつつも、本質的な恋愛を楽しむ感覚は多くの人の「あるある」でもあるなー、と。
結婚観や職業観についても言及があり、複雑に絡み合う生活と仕事と恋愛の悩みは、昔から形成されてきた経済システムや結婚=幸せといった固定観念に依るものだと明確に表現されていました。
価値観を崩し新たに形成していくことは非常に難しい。しかし、生活の多くの時間を費やす仕事場という環境では価値観が上書きされていく。好きなことを追って独りとして生きる人と、生活のために働き懸命に生きる人ではそこにズレが生じる。コミュニケーション抜きにはそのズレは補正することが出来ないのです。
それが本作のメッセージではないと思いますが、少なからず、今の自分が何を感じ何を信じ生きているのか、言葉にしないことには、相手にはもちろん、自分ですら見失ってしまうと言うことが、麦と絹の関係からいたいほど読み取られました。
どこに惹かれ合うのか、なぜ一緒にいたいと思うのか。2人で過ごすなかで相手がどのような変化を遂げているのか。自分のためにも、言語化していく必要があるのでしょう。、
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