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外国語学部は、その名の通り外国語を学習する学部です。外国語学部を志望する動機は様々だと思います。「海外文学を原書で読みたい」、「海外のフォークロアに興味がある」、「特定の地域の政治経済に興味がある」などです。外国語や外国の事情を勉強することによって、母語や母国の文化や考え方とは違ったものを得ることができ、外国語の文献から多くの知的な刺激を受けることができるでしょう。

1.外国語学部とはいかなる学部か

一般的に外国語学部(ないしは言語学習を主とする学部)は、専攻語の高度な運用能力の獲得を目指し、専攻語の仕組みを研究したり、(言語学や英語学、ロシア語学など)専攻語を用いて専攻語の話されている地域の文化・政治・経済を研究したり(地域研究)する学部です。前提となる専攻語の高度な運用能力の習得を目指すために、1,2年の間はそれなりにハードな学習期間になるでしょう。

外国語学部に入学したからといって、自動的に外国語の運用能力が手に入るわけではありません。このことは当然ですが、これがわかっていない学生が一定数いるものと、私は思います。外国語学部を志願している受験生諸君は、大学入学後も継続して外国語を学習できると思えるかどうか、考えるべきです。大学に入学して、遊びを優先したいと考えている受験生には、あまりおすすめできる学部ではありません。

外国語学部の専攻言語ですが、英語、フランス語、ドイツ語などが一般的です。いわゆる「マイナー言語」(チェコ語やポーランド語、ハンガリー語や東南アジア系言語等)を専攻したい人は、受験先は東京外国語大学か大阪大学外国語学部かの二択であると思います。詳しくは大学のホームページを見てください。

2.外国語学部での学習

・1, 2年生

1, 2年生での学習は、かなりハードになると考えられます。これは、日本語と語順や文法が似ていて、日本人が学習しやすいと言われる韓国語やモンゴル語であっても、です。それは、3, 4年生での研究活動を円滑に行うためです。先ほども書きましたが、外国語学部とは専攻語を用いて地域研究や言語学等を研究する学部です。すなわち、専攻語の運用能力がおぼつかないとお話にならない、ということです。

よく「英語が得意だと他の外国語の習得がスムーズに行くのか。」という質問がありますが、人によりけりであると思います。英語にさほど興味がない人でも、専攻語に強い関心があれば、専攻語の学習はスムーズに進むでしょう。しかし、中高6年間の英語学習のプロセスは、他の外国語の学習に役立つかもしれません。

単語、文法事項の暗記や、構文解釈など、辛い作業が待ち受けていますが、ここを乗り越えたら、専攻語の大いなる海に飛び込むことができるのです。

・3, 4年生

3, 4年生になると、1, 2年時に養った語学力を用いて、地域研究や言語研究が可能となってきます。地域研究にしろ言語研究にしろ、専攻語の文献にアクセスできるということで、日本語や英語の文献で得られる情報とは違った「何か」が得られることでしょう。ここであえて具体的に表現せず「何か」としたのは、それを自分で感じてもらいたいからです。私の意見ですが、その「何か」を感じることに、外国語を学習する意義があるのではないかと考えます。また、専攻語が話されている国・地域に留学することもできます。留学に関しては後述します。

3. 外国語学習に必要なもの

「外国語学習に必要なものとは何か」と聞かれると、多くの人たちは、辞書、教師、教科書、文法書etc. などと答えるかと思います。もちろん、それらは外国語学習においては重要です。しかし、外国語学部で学んでいる身からすると、それらだけでは足りないなと感じることが多々あります。

まず第一に必要なものは、意欲です。というのも、我々は学びたくもないものを無理にでも学べと言われても、学べないからです。

おそらく、この記事を見ていらっしゃる皆様の中には「英語が嫌いだ」、「数学が嫌いだ」という思いを持っている方々が少なくないでしょう。特に英語です。英語といえば、子供の頃から「英語は重要だ」としつこいほど言われたかと思います。自分の意思などは関係なく英語を学ばされてきた人々にとって、英語という科目はきつく、あまり良い成績が出せていない教科でしょう。

これと同じで、意思や意欲もなく、興味のない外国語を学ぶということには、言葉では言い表せない苦痛が伴うのです。外国語の学習にはとてつもなく多大な「労力」と「時間」が伴うからです。ここでいう「労力」とは、単語や文法事項の暗記、予習復習についやす体力のようなものだと考えてください。

また、一つの外国語を「ものにする」ためには、一般的に4〜5年かかると言われています。意欲のない人にとっては、学びたくもない言語の学習に最低4年間くくりつけられることになります。これは苦行以外の何者でもありません。

第二に必要なものは、学習習慣です。外国語を習得するには、毎日欠かさずその外国語に触れていなくてはいけません。外国語習得の近道は予習復習です。予習復習といった学習習慣がない方は、おそらく苦労すると思います。

また、卒業後もその言語をいつでも使えるように、引き続き学ぶ必要があります。。また、言語は日々変化し、専攻語が話されている地域も、刻々と変化しています。大学在学時に学習・研究したことが、今後の仕事や研究で通用するとは限りません。ですから、大学在学中だけでなく、その後も日々刻々と変化していく社会に合わせて、絶えず学習していく姿勢が求められます。

第三に、時間です。予習復習をするといっても、まとまった時間が取れなければ意味がありません。

さる言語学者が、外国語学習にとって必要なものは何か、と聞かれたとき、その言語学者は「お金と時間」と答えました。「お金」は多分皆さんもお分かりになるかと思いますが、問題は「時間」です。それはすなわち、その外国語の学習にどれだけの時間を割けることができるか、という意味です。

話は飛びますが、外国語独習者がつまずくポイントの一つとして、この時間の問題があると、私は考えています。まとまった時間をかけることができず、習得した言語知識を忘れてしまって挫折したと言うことをよく耳にします。もちろん、時間をかけたからといって、外国語が上達するとは限りません。ですが、時間をかけることは言語学習の「基本」です。最低でも1〜2時間の学習時間は確保した方が良いでしょう。

4. 留学について

特定の言語を専門的に学んでみて、実際にその言語が話されている国・地域に留学してみたいと思うことは自然なことです。外国語大学・外国語学部が設置されている大学では、他学部に比べて留学がしやすかったり、あるいは必修になっていたりします。

個人的なお勧めは、交換留学です。大学にもよりますが、この制度では、留学先に学費を収める必要がありません。また、上智大学では、交換留学をすることで大学の単位を習得することができ、4年で卒業することができます。金銭的な余裕や時間的な余裕がない方にはお勧めです。詳しくは、志望する大学の留学に関する情報をみてください。

私の意見ですが、機会があるならば、留学は経験しておくべきでしょう。日本社会という「閉じた世界」から、ある程度「自由」になることができるのではないかと思います。しかし、注意すべきことがあります。それは「留学に行くことで、その言語の運用能力が高まる」という命題は成立しない、ということです。実際に、留学をしなくても熟達した言語運用能力を獲得することは大いに可能です。また、明確な目標や意味を持たないまま留学に行くと、単なる現地での生活の体験だけに終わり、結局自分は何のために留学したのかという答えのない問いだけが残ることになるでしょう。また、留学に行くために、1、2年生の内はかなりの時間を専攻語の学習に当てなければならないのは言うまでもないことです。現地に行って「楽して」語学を習得するという愚かな幻想は、捨ててください。

5. 進路について

・就職
就職については、一般企業であれば他の文系の学部とあまり変わらないかと思います。外国語学部卒、ということになるので、外国に赴任するかもしれません。就職先としては、製造業や商社、航空会社等が人気です。

公務員としては、「外務省専門職員」や「防衛省専門職員」を目指す方がおられます。ここでの「専門職員」とは、一言で言えば「特定の言語のスペシャリスト」です。専攻語をしっかり勉強しており、国際法や憲法、経済学をしっかり勉強すれば、外交官を目指せるかもしれません。

・大学院への進学
大学院への進学(博士課程前期)ですが、就職に比べ非常に少ないです。ですが、専攻語の研究をさらに続けたい、まだまだ勉強し足りないと思ったとしたら、是非大学院への進学をお勧めします。私も大学院進学を検討しています。

修士号を取得していれば、就職で困ることはまずないかと思われます。進学先としては、東京大学、東京外国語大学、大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学などの大学院があげられます。

6. 外国語学部で学んでみて

私が外国語学部に入学してみて感じたことですが、一般選抜でも特別選抜でも、学歴だけを求めて入学してきた人の成績は極めて悪いと思いました。ですが、それなりに意欲があり、専攻語が話せれている地域に興味などがあれば、学力は伸びるのではないかと思います。

私の所属する学科は通称「地獄」と呼ばれていますが、私はそんなに「地獄」であるとは思いません。特定の国や言語に大いに興味・関心があるならば、外国語大学・外国語学部での4年間は、非常に充実したものになるでしょう。

読んでいただき、ありがとうごあいました。

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