繋がりを求めて生まれた、新しいナイトライフの形:Tea at Shiloh
皆さんは「ナイトライフ」と聞くと、どんな場所やアクティビティをイメージするでしょうか?文化や国によってナイトライフシーンの盛り上がりは様々ですが、レストランやバー、そしてクラブやカラオケといった場所が、日本では代表的な夜の社交場と言えるでしょう。しかし、このような場所に夜に出かけると、大抵お酒を飲みながらの交流になってしまい、お酒が苦手な人にとっては身体に負担がかかったり、同調文化によって周りからのプレッシャーを感じる人も少なくありません。
以前ソーバー・キュリアスという「敢えてお酒を飲まないライフスタイル」が欧米で浸透しているとご紹介しましたが、夜でもお酒を飲まずにハングアウトができる大人の溜まり場が、今ロサンゼルスで話題になっています。
素面で団欒や交流ができるナイトティーハウス:Tea at Shiloh
自称「深夜茶屋」と言う名のコミュニティスペースと謳っているTea at Shilohは、ロサンゼルスのダウンタウンにあるアートディストリクトの路地裏にひっそりとお店を構えています。今年の3月に倉庫を改装してオープンしたこちらのスペースには、まるで友人の家にお邪魔しているようなアットホームな空間が広がっていました。アメリカでは珍しい土足禁止の店内には、来場者がゆったりとくつろげるようにソファを中心とした座席で構成されています。木曜日から日曜日はお茶と音楽とおしゃべりを楽しむ交流の場として、平日の月曜日から水曜日はアートや瞑想といった様々なワークショップが開催されています。
繋がりを大切にした、Tea at Shilohのこだわりと特徴
完全予約制(入場料:$35)
住所非公開(GoogleやYelpにも登録されていない)
メニューがなく、お茶が飲み放題(チケット代に含む)
五感を刺激する空間づくり
夜遅くまで開いているカフェと何が違うの?と思われた方もいるかもしれませんが、Tea at Shilohは完全予約制で毎晩限られた人数しか入ることができません。実際に同僚が前日に予約をしようとした時には、既にチケットは完売していたという人気ぶりです。また、お店の所在地はネット上に公開されておらず、チケットを購入した人にだけ住所が伝達されるという「隠れ家」的な要素も、Tea at ShilohがZ世代を中心としたローカルの間で瞬く間に話題になったポイントかもしれません。このように、カフェのように気軽にフラッと立ち寄れる場所というよりも来場者は事前予約をして予定を確保するため、この場を訪れる日を待ち侘びたりそこで生まれる出逢いがより一層楽しみになるのかもしれません。
Tea at Shilohの共同創業者であるShiloh(シャイロ)さんは、コロナによって隔離生活が続き、公の場で大人数で集まることがタブーになったことがきっかけで、元々構想していた「深夜茶屋」というコンセプトを自宅の寝室を改装して試しました。自粛期間にお茶を通じた交流会を定期的に開催していく中で、対面での会話を平和でリラックスできる環境で行うことで、より深い人との繋がりや癒しが生まれると確信したそうです。
店内はムーディーな間接照明で灯され、心地良いアロマの香りが漂い、そして神秘的なライブミュージックを聴きながら、お茶を片手に弾む会話… Shilohさんの「ナイトライフのあり方に対する私たちの考えを再構築し、内面を見つめるための空間を作り出す」という使命と想いが忠実に再現された、優しくて素敵な空間がそこには広がっていました。
来店者に聞いた、Tea at Shilohを訪ねた理由や感想
来店の動機は何にしろ、共通して言えるのは来店した人達は何かしらの「繋がり」を求めているということです。それは同じようなマインドセットを持ち合わせた人達との出会いかもしれないし、この空間や会話にインスピレーションを受けて自分自身を見つめ直すことかもしれません。筆者個人的には、大人になってからの友達作りは難しく新しい出会いの機会も限られていると感じているため、Tea at Shilohのようなコミュニティはとても貴重でまた足を運んでみたいと思いました。カンファレンスやカクテルパーティーのようなネットワーキングを目的にした攻めた環境ではなく、ここに来ればクールでユニークな人とお酒を飲まずともゆるりと色々な意見交換ができたり、偶然のような必然でワクワクする出会いや繋がりが身近になった気がしました。ソーバー・キュリアスというライフスタイルが日本にも波及する中、Tea at Shilohのような繋がりを重視したコミュニティベースの大人の溜まり場が日本に上陸する日も、近いかもしれません。
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