【感想】ドラえもん のび太と空の理想郷、尺足りてなくない?
※地上波のみの視聴。
※ソーニャのシーンカット多かったらしいので、評価のズレがあるかもしれません。
ドラえもん のび太と空の理想郷見ました。
書いたらアホみたいに長くなりました。
結論から申し上げると、この映画はそれぞれの要素はかなり良いが、
尺が圧倒的に足りていない、少し詰め込みすぎである
という感想になりました。
わさドラものぶドラも大好きです。わさドラはテレビスペシャルやリメイクをしていない映画は(緑の巨人伝以外は)特にいいと感じているため、今回の映画も期待して視聴しました。
視聴後はある一定の満足感はあって、やはりわさドラはのぶドラをなぞっていない方が本領発揮出来るなと思いつつイマイチ物足りなさを感じてしまいました。
この映画の主な要素は、
この3つに絞れると思います。
まず一つ目の、
のび太の決心と洗脳
これは大きく尺を取り丁寧な描写の積み重ねで非常に満足感の高い要素でした。
のび太が出木杉くんのユートピアの話に感動して、その後テストで悪い点を取る。
ますますユートピアへの憧れが強くなる。
そして空に浮かぶ月の島に、絶対あれはユートピア!と思って探しに行くもののすぐには見つけられず、しずかちゃん達だけではなく一番の友達であるドラえもんにすら疑われてしまう。
しかしそれは確かに存在し、それも自分が抱いた理想通りのユートピアそのものだった!
ここまでで期待、落胆、達成。のび太の理想郷への期待値はもううなぎ登りなわけです。
例えそこで上手くいかなくて一人進捗が悪く置いていかれても、うるさく思っていた親はいないし疑っていたみんなに信じてもらえたという体験はのび太の中に強く残る。
だからいきなり現れた人に、ここはのび太の思い描いていたものとは違う洗脳の島なのだと言われても納得できず、島の日常に戻ってしまう。
ここまでの映画時間の使い方や描写が非常に上手く、みんなの言うことが本当だったのだ、これをどうにかしないと!という決心が、見ている側でも納得のいくものでした。そうだよね頑張ろう!のび太を応援する気持ちもわいてくるというものです笑。
この後に来るしずかちゃん達の洗脳を解くのも、自分が島を見つけてここに残ろうと決めてしまった側として、帰ろう!と言うのも、前述の流れからのび太の力強い主張に説得力ができてよいなと思うわけです。
しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫が各々認めさせられた短所を理由に、言うこと聞けないんだよね~!と目が覚めたときは感動したものです。
のぶドラわさドラに限らずしずかちゃんの染みでるフィジカルが見れたのも嬉しかったです笑。ジャイアンの投げたロボットの避け方鮮やかすぎんか?やっぱりしずかちゃんが本物のパワー枠なんだね!!
しずかちゃんが持っていたビームをスネ夫に投げたのも個人的に嬉しいポイントでした。のび太の射撃設定が反映されるまではずっとスネ夫がビーム担当だったので……。
尺の取り方、丁寧な描写・流れだと思った要素は正にこれです。
しかし、この空の理想郷では他にも見どころといえるものが存在しているため、それを踏まえると結果、ここに尺を割きすぎたのではないか?という感想を後に抱きました。
尺が足りなくてもったいないと思った最大の要素が、ソーニャ。
二つ目の要素です。
ソーニャ自身の設定はドラえもんと立場が似ているにも関わらず歩んできた道が真逆というキャラでした。
不器用で不出来であったソーニャは捨てられ、改造を受けて三賢者(レイ博士)に拾われる親しみのある外見の猫型ロボット。
対してドラえもんは、使われたオイルは不良、途中の組み立ても足りない物があり不良、おかげさまで道具をスムーズに出せない瞬間があり正に不良品ビンゴ満点という感じのあり様。
わさドラではやってませんがドラえもんズのロボット学園も成績がよくなかったはずです。
しかしソーニャと違うのは、ありのままの姿でセワシくんに貰われて行き、量産型子守りロボットとしてのび太にそのままの状態でフル活用されているという点です。
ドラえもんは、ソーニャが改造を受けなければ得られなかったものを、全て理想の形で手に入れたまさに理想のロボットだといえるでしょう。
ソーニャはドラえもん自身に嫉妬や羨ましさを覚えるシーンは特になかったように思えますが、私はソーニャの身の上を聞いた時はうわうわ……となってしまいました。
この対比のおかげで、ドラえもんがのび太に「そのままでいい、そのままがいい」と訴えかけるのも、ドラえもんがそういう扱いを受けてきた結果抱いた純粋な気持ちなのだと思いました。
そしてそれはソーニャを躊躇させるものの、そういう扱いを受けなかったソーニャに伝わりきらずに結果撃たれてしまうのもグッと来るものがあります。
ただ逆にいうと、ソーニャとドラえもんの描写ってこれくらいしかないのです。
のび太達はユートピアにて、洗脳の光を受けながら勉強をしました。のび太の理想が少しずつ崩壊し、理想を抱きながらも疑いの芽が芽生えるのび太の様子が描かれていました。
しかしのび太と別行動をするドラえもんとソーニャは、二人でいるときは特に仲を深めたり身の上を話したりする事はありません。
ドラえもんはこの時、島の秘密や違和感に触れるシーンが主に描かれています。ここはソーニャとドラえもんの信頼を作っていくシーンではないのです。
そしてソーニャが身の上話をしたり、ドラえもんが説得を試みるシーンではのび太がおり、どちらかというとドラえもんとのび太の友情がより確かめられるシーンとなっているのです。だからこそ、洗脳を解くシーンがより納得のいくものになっています。
しかしソーニャとの和解としてはいまいちかな、と感じました。ソーニャがドラえもんの主張に引っ掛かりを覚えるのは分かるのですが、ソーニャが最後自己犠牲を行う際にドラえもんだけ残して友達だ!と確かめ合うシーンではどうしても
「そんなに仲良かったっけ……」
と私は思ってしまいました。
ぶっちゃけ初見のときはソーニャと仲を深めるのはのび太なんだろうなという先入観もあったのでなお違和感があったものです笑。
ソーニャとドラえもんの別行動シーンでも仲良くなる描写が特に存在しなかったし、ソーニャ案内してよ!といの一番に語りかけるのがのび太だったのも先入観を助長させてたように思います笑。
今思えばソーニャに語りかけるのはドラえもんのみなのですが……。
最後あのようにドラえもんとソーニャをクローズアップするのであれば、二人きりのシーンでもう少しソーニャとの仲を深めておいてほしかったと思ってしまうわけです。ソーニャを説得するシーンはのび太とドラえもんの友情の印象が強すぎるので、そこくらいしかないじゃん……!
改造されて生まれ変わったソーニャの仕事ぶりの描写としては満点でしたが。
ソーニャが自己犠牲により壊れたとき、そしてメモリが無事で復活の兆しが見えたとき皆でわんわん泣いたり空を見上げたりするシーンも、この子達であればそうするだろうなとは思いつつもそんなに仲よかったっけ??と首を傾げてしまうわけです。
子供たちはソーニャをただのロボットとは思っていないので目の前であんな助けられ方をすれば当然そうなると思いますよ?というか私も見てたとき泣いてましたし笑。
でも今回、このキャラならそうするだろう、このキャラならそう思うだろうという場面でも、
仲を確かめ合うシーンが映画内でしっかりと描写されているため、相対的にソーニャと仲を深める描写が足りない、圧倒的に!
という感想になってしまいました。
のび太達の友情が勝ち取る物語の弊害をソーニャとレイ博士はかなり受けていると。
最後の3つ目の要素は、レイ博士です。
結論からいうとソーニャと同じなのですが、もう尺が全然足りてません。
レイ博士に関する話は中盤からずっと仄めかされいました。その博士の話はドラえもんとのび太しか聞いていないと思うのですが、聞いていないはずのしずかちゃんでさえ最終的には「あの博士も可哀想な人なのかも」と表現するわけですね。
このように博士の描写がまあまあ出ているのに、
肝心のレイ博士と対峙するシーンはめちゃくちゃ少なく、
独白はあるものの詰められた本人であるのび太はレイ博士に何か返すことは特にないという。
いやでもここから物理的に打ち負かすか、レイ博士に認めさせられなくてものび太の主張来るよね?と思ったら
なんやこれ一体。もう博士の意志を継いだ三賢者ロボの暴走とかでよくね?
関係ないけど怒鳴る大人を怖がる子供たちの描写はとてもよかったです笑。
悪を打ち砕くというのは見栄えもいいし、見ごたえもあります。スッキリします。だけどそこに拘らないお話しは多く存在するし、出てきてもオマケで描写が少なくても気にならない作品もあります。
でも今回の映画ではレイ博士の存在を忘れてしまわない頻度で博士の情報が出てきたり最後キャラも気にしたりしている以上、ここまで引っ張ってこの存在感のなさはもう尺の犠牲者といっても良いのではないでしょうか?
今回の映画、のび太が月の島を見つけて皆で探しに行くことになりますが、飛行船を用意してさあ皆を誘うんだな!と思ったらもう集まってるんですよね(!?)。
なんて声掛けたの!?スネ夫の家で勉強会って話だけどいつもなら口裏合わせとかするじゃん!
途中野比家のシーンが映るしそこ流さないんだ……と思ったのも尺がカツカツだったのではないか?と思った原因のひとつです。
まとめ
ドラえもんとのび太の友情、のび太の期待と葛藤としてはトップクラスに良い映画。
映画のゲスト達の表現としては、尺がカツカツでとてもとても惜しい映画。
だと思いました。
他にもソーニャさん撃つとき予備動作なさすぎ笑とか、ソーニャさん撃つの早すぎ笑とか感想があるのですが、一旦ここで終わりにします。
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