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日本語を話せるのに日本語を使いたがらないタイ人

これは前の会社の同僚の話です。彼女は僕とほぼ同時期の入社で、日本での就業経験もある日本語がそこそこ堪能な、当時20代半ばのタイ人女性。入社した当初は日本語でこれまでの経歴やプライベートの話しも少しした。かわいいし愛想もよくていい感じの子だなーという第一印象だった。

しかしそんな彼女が、3ヶ月くらいしだすと徐々に日本語を話す割合が減っていき、日本人とも英語で話すようになっていった。理由を聞くと、学生時代や日本で働いていた時に比べると、日本語に触れる機会が減り忘れてきたとのこと。また、先輩のタイ人女性(この先輩は日本語がしゃべれない)に「日本語を話すと仕事が増えるから話さない方いいよ」とも言われたとのこと。

この先輩のアドバイスはもっともで、僕の目から見ていても日本語ができるタイ人は、仕事をふられる機会が増え、難しい仕事やすべて日本語で対応しなければならない仕事を多くしているように感じていた。なので、上昇志向のないタイプの人であれば、日本語を話せない・話さない方がむしろ楽じゃないかと考えても不思議ではない。

それともうひとつの理由、これは僕が勝手に考えただけのものだが、相手の母国語=自分の非母国語をしゃべるということは、その分自分の立場が弱くなってしまいそれを嫌ったのではないか?と。例えば、僕がその彼女と日本語で話している時、なんとなく自分の方が優位な気がしてくる。それは彼女の、うまいとはいえ片言の日本語がそう感じさせるのだと思う。そして英語で話している時は、対等な気がしてくる。これは僕と彼女の英語レベルが同じだからだ。
職場において英語がネイティブでない者同士の会話の場合、英語のレベルが高い方が立場が上な気がしてくる。

しゃべるという行為は人間の根源的なモノであるため、それを高いレベルでスムーズに行えないということは、その時点で自然と立場が弱くなる(あるいはそう感じる)のは自然なことだ。

僕は今の職場ではタイ語を使う機会が多いが、上記理由のために葛藤を感じることが今でもある。日本人はタイ人を指導する立場でなければならないため、下手くそなタイ語で話すと舐められるのではないか?と。

想像して欲しいのだが、例えば自分の上司が日本語片言の外国人で、下手な日本語で指示された時、心のどこかでバカにするような、相手を下に見るような気持ちが芽生えないだろうか? 

なので、今は仕事上の簡単な会話や日常会話はタイ語、込み入った難しい話は英語でするようにしている。(といっても難しい話をする機会がほとんどなく、そこが今の悩みでもあるのだが・・・頭ボケそう)



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