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人間転送機
この記事は、三浦俊彦著「思考実験リアルゲーム」の人間転送機に関する所感です。
人間転送機とは
ここでいう人間転送機は、スター・トレックの転送装置のように人間がAからBに瞬間移動する装置です。
ただし、ドラえもんのどこでもドアとは違い、A側の人間は消滅し、B側に新しい人間が生成されます。ここでは以下の前提を仮定します。
前提
生成は必ず成功する
生成される人間は原子レベルで同一
問い
人間転送機が存在したら使いたいと思いますか?
私の回答
必要なら使ってもよい。
所感
以前は「使いたくない」と考えていましたが、現在は「使ってもよい」と考えています。
「使いたくない」理由は、A側の人間にとっては消滅して意識がなくなるからでした。B側に同じ意識が生成されるとはいえ、別の意識と感じてました。
しかし、現在では「意識が途切れるかどうかに意味がない」と考えています。
この考えの元になったのは、時間と空間は同じように考えられるという次の命題でした。
「ここ」と「そこ」があるように、「いま」も「かこ」も「みらい」もある
この命題は証明できないと思いますが、確信しています。
そしてこれを信じるなら、今感じている意識が唯一無二ではないことになります。
意識は電子(あるいは電磁波)で生じているので、時間に沿って動く電子と同じく意識も時間とともにあります。しかし、どの時間であっても「ある」ので、意識もどこにでもありうるのだと思います。意識が動画の再生のようなものだとすれば、複製されたかどうかに関係なく再生されれば同じという感覚です。
書籍にたとえるなら、1ページ目から読んでもいいし、10ページ目から読んでもいいという感じです。A側が10ページまででB側が11ページからとしましょう。どのページでも「ある」ので区別してもしょうがないという感覚です。
量子論について
私は量子論を勉強したわけではありませんが、この考えを信じるなら、アインシュタインのいったように「神はサイコロを振らない」ことになります。たとえ量子だとしても未来は「ある」のですから確率で決まるわけではないです。
このことは、別の記事にしました。
最後に
未来は決まっているとしても、今の意識が知ることはできないので、決まってないのと同じことです。知らない以上、場合によっては確率で決まっていると考えてもいいでしょう(場合によってはある程度予測できるでしょう)。
時間的、空間的に「ある」がどのくらい広がっているのかは想像つきません(無限に広がるのは想像できません)。
時間的、空間的に常に連続だろうと思っています。その仮定に立つと「空間的に瞬間移動はできない」「時間的に瞬間移動はできない」と思っています。
なお、人間転送機は複写機ですので、瞬間移動ではありません。ちなみに、コールドスリープで未来に行くのは瞬間移動ではなく連続的な移動です。
参考
ドクター・マッコイ
「転送装置は人体を一度分解する。いいか、分解するんだぞ!
どれくらいの小ささが知らんが目に見えない程の細かい粒子にされて、また再構成されるわけだが、そいつはつまり転送先に再現された人間のコピーなんだよ。転送前の人間とそりゃそっくりさ。だがな、完全に同じかと言われれば、私は違うと答えるね。そんなものに好き好んでかかる連中の気がしれん。私は転送が大嫌いだ!」
ただいま転送中
火星付近の小惑星掘削船の船員になることになった二人は
火星への電子式人間転送機のあるスンダ地方へと向かった