【自己紹介⑮】back numberと小峠さんと現代思想、そしてどこよりも早い履修ワンポイント講座
こんにちは。ツェルモニさんの過去問解説(?)の合間に自己紹介させていただきます。社会学部1年の はな です。あと1か月もすれば2年生になります。時の流れに思いをはせながら、今こうして若干の深夜テンションでキーボードを叩いております。
さて、自己紹介といいつつ、もう3月。来る新歓シーズンへ向けて新入生に向けた内容も盛り込みたい気分なので、今回は ①自己紹介 ②私が興味をもっている地歴関連分野 ③履修組みのコツ という3本立てでいきたいと思います。③履修組みのコツ は、あくまで私がこの1年間実践してきたものの概略です。また、2022年度に大学の履修ルールに何らかの変更が加えられる可能性は無きにしも非ずですので、その点ご了承ください。ただ、どの学部においてもどの時代においても(?)通用するようなポイントを記したつもりです。ご覧になって下さる方がいれば是非。
各章には下の目次から飛べるようになっています。この投稿全体は簡潔にまとめるつもりですが(5分程度で読めます)、読み飽きたら飛ばしちゃってくださいね。物書きの端くれとしてはすべて読んでもらえるに越したことはありませんが、私がこれを読む側だったらここまでの前置き一切読んでません。でも文章書くのって楽しくてついつい沢山書いてしまう。普段授業のレポートで文字数制限と戦っている分、発散したくなるんです……。どうか寛大な心で読んでいただけると嬉しいです。
①自己紹介
自己紹介は特に短く済ませたいと思います(自戒)。
冒頭で述べました通り、私、はな と申します。社会学部1年で、社会調査や労働問題に興味があったりします。千葉県出身で、昨年度は週4で実家から片道2時間かけて大学へ通うという、春休みの今となって考えてみればなかなかハードな生活を送っていました。楽をしたい気持ちが勝って、4月からは東京へ引っ越すことにしました。
アインズでは、いちおう世界史班です(自称)。というのも、私が興味をもっているのは思想史でして、言ってしまえば高校で習う倫理のような感じなのです。特段ニッチな知識をもっているという訳ではありません。高校の授業で初めて本格的に様々な思想家の言説に触れ、訳書ではあるものの彼らの著作に出会いました。各々の理論の枠組み、概念や思考回路に思いを巡らせるって楽しい――そう感じました。ですから、どの時代のどの地域で生まれた思想であっても、等しく学んでみたいという興味があります。でも、接する機会や知識量でいうと圧倒的に西洋近現代思想が多くを占めるんですよね……。大学の図書館に通って、幅広いジャンルの思想家の作品に触れたいです、本当に。
余談ですが、一橋の図書館は、外観のみならず大閲覧室などの内装も「歴史ある、重厚感ある!!」という感じ(語彙力)でとても素敵なので行く機会があれば立ち寄ってくださいね。映えます。
では、自己紹介はこれくらいにします。
②私が興味をもっている地歴分野
この章を設けた理由としては、「地歴同好会の人たちってどんなこと考えているんだろう……」と気になっている(かもしれない)方々にその一例を提供したいという思いがあります。前章で触れた通り私の興味関心は主に思想史にありますから、私の個人的一例ではアインズ全体を表したことには到底なりません。ですが、地歴に興味があるのならこのくらい緩い感じでもアリ、といった雰囲気が伝わればいいなと思います。
突然ですが、皆さん、back number というバンドはご存じでしょうか。メディアへの露出もままあるので、名前を耳にしたことはある、という方も多いのではないでしょうか。『高嶺の花子さん』や『クリスマスソング』が代表曲かと思います。実は私、ここ5年ほど back number にハマっておりまして、夜寝る前に聴いたりなんかしています。とても心に沁みます。YouTubeでフルMVが公開されている曲もかなりあります。中でも『わたがし』と『黄色』がお勧めです^^
ではもう一つ。バイきんぐの小峠英二さんはご存じですか? ……あの名台詞「なんて日だ!」で一世を風靡した芸人さんですよね!(?) 私はその小峠さんのファンでもあるのですが、自分の趣味語りはここでセーブしておきます。何といっても、本章の主題は、〈back number と 小峠さんの共通点を現代思想家の視点を借りて考察する〉というところにあるので。これこそ、私が興味をもっている思想史的話題なのです。
今回ご紹介する思想家は、ポール・ド・マン(Paul de Man、1919年12月6日 - 1983年12月21日)。ベルギー生まれ、アメリカの文学理論家です。彼の文芸批評のスタイルは「脱構築」と称されます。一方が優位で他方が劣位/補完されるもの、という二項対立を否定したあれです。「脱構築」と聞くとフランスの哲学者ジャック・デリダが真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、ド・マンの脱構築批評のエッセンスは、彼の著作『読むことのアレゴリー――ルソー、ニーチェ、リルケ、プルーストにおける比喩的言語』(土田知則 訳、岩波書店、2012年)にて感じることができると思います。以下、彼による言説に基づきながら簡単に考察、というか私自身の考えを述べていきます。素人の書き物ゆえ間違い等ありましたらご容赦願います(数年後にこの記事を見たら、我ながら恥ずかしい黒歴史~とか思うんでしょうきっと……)。
一言でまとめてしまえば、back number と小峠さんの共通項は、「換喩と隠喩」です。まず、換喩と隠喩の違いについてド・マンの定義をご紹介します。
換喩とは、あるものと偶発的に隣接していることによって、そのあるものを示す、という比喩です。例えば、「やかんが沸騰した」というフレーズ。実際に沸騰するのはやかんではなく、その中に入っている水ですよね。この言葉を聞いた人は大抵の場合「やかんに入った水が沸騰する」という意味に解釈するでしょう。この例では、「やかんの中の水」が物理的に隣接する「やかん」に置き換えられているのです。
一方で隠喩は、部分によって全体を表す比喩とされます。ド・マンによれば、部分は全体と有機的に結びついているそうです。例を挙げるなら、我々がある年初めてセミの鳴き声を聞いて「夏が来たな」と感じる場面などでしょうか。この時私たちは、「セミの鳴き声」という夏の情景の一部を知覚することを通じて、「夏」という季節全体の到来を認識していると考えられるでしょう。
次に、back number の楽曲と小峠さんの芸風のどこに隠喩が存在するのか、検討していきます。
back number における隠喩の使用として代表的なのは、『わたがし』冒頭のこちらの歌詞でしょう。
水色にはなびらの浴衣が この世で一番
似合うのはたぶん君だと思う
ここでは、主人公が想い人と夏祭りに行く約束を取り付け、遂に当日になりそれが実現した場面が描かれています。つまり、「夏祭りに君が着てきてくれた浴衣がとても似合っている、最高だ」(想い人の装いについての評価=部分)→「君の全てがとても素晴らしい」(想い人のありとあらゆるところが愛しく感じられる=全体)と示唆しているように感じられます。
では、小峠さんの方はどうでしょうか。注目すべきなのは、ずばり、かの有名な「なんて日だ!」です。相方のバイきんぐ西村さんのボケに対して返す「なんて日だ!」は、その場面で想定される様々なツッコミのセリフの中の一つ(一部分)であり、その一言だけで、口にされなかった他の全てのツッコミパターンをも含意しているといえそうです。
それでは、隠喩ではなく換喩は、バンドback numberと芸人小峠さんに関連して見いだせるのでしょうか。隠喩について挙げた例に立ち戻って、少し考えてみましょう。
back number 『わたがし』の歌詞に関しては、明らかに「水色にはなびらの浴衣」というフレーズが、着用-被着用の関係に基づいて、想い人を指す換喩として機能しているでしょう。想い人が「水色にはなびらの浴衣」を着ている、という意味で、両者は物理的に隣接しています。
小峠さんの「なんて日だ!」においては、時間的隣接性が肝です。ボケが繰り出されたその瞬間とその「なんて日」は時間的に隣接している、あるいは重なっているといえるでしょう。すなわち、「なんて日だ!」=「なんてボケだ!」という意味にとれます。
以上のように、ド・マンの提起した換喩と隠喩の見地から考えると、back numberの楽曲(ここで取り上げたのは『わたがし』のみですが、『ヒロイン』の「雪が綺麗と笑うのは君がいい」でも同様のことが導けると思います)と小峠さんの「なんて日だ!」は、換喩と隠喩に拠って立つと分かります。そして最も重要なのが、これらの楽曲であれツッコミのフレーズであれ、換喩か隠喩のどちらかだけでは味わいや面白さが半減してしまうであろうという点です。どちらか一方が優位ということはなく、互いに補い合っている――これこそ、「脱構築」理論にあてはまっているでしょう。
……と、こうやって考えを述べてまいりましたが、私自身back numberの曲を聴いた後の第一の感想は大概「刺さるわあ」ですし、小峠さんを見たとき第一に思うのは「あっ、小峠さんだ!推し推し推し」、これに尽きます。
何も物凄く高尚な思想をもっている訳ではなくて、日常生活で思考の中にいくらか地歴のエッセンスが入ってくる、くらいのアインズメンバーもいます(たぶん多い)よー、と伝えたかった本章でした。
③履修組みのコツ
それでは最後に、私(一介の大学生)が思うところの履修組みのコツについてお話させていただきたいと思います。
※これを見て下さっている心優しい新入生の皆さんへ。詳しいことは大学からの正式な連絡を参照してください。私が入学したときは、4月頭のクラスオリエンテーション(クラスメイトやクラス顧問との顔合わせ)で「学士課程ガイドブック」なる冊子が配布されました。そこに履修に関することがすべて書いてあります。本記事は、履修組みのイメージを掴む参考になればという気持ちで書いています。
履修を組むときは、以下のような感じで進めています。
1.CAP制を確認
履修登録できる単位数は、合計で各年度44、各学期14までとなっています(この決まりをCAP制といいます)。前年度末の累積GPA(入学してから現時点までの成績の平均)が3.8以上なら、前者が48、後者が16、まで上限が引き上げられるようです。ただ、各学期14単位分の授業を受けるだけでもかなり手いっぱいになる可能性があります。
2.必修の授業を確認
1年生全員を対象に、PACE(オールイングリッシュの授業。週2である。宿題多い。)が必修となっています。これは事前に大学によって履修登録されるので、学生の方からは何もせずとも受講できます。
また、学部によって、他にも事前登録されている必修授業があったり(法・社1年の第2外国語など)、必修でも自分でweb抽選申し込みしなければならない授業があったり(社学の「社会科学概論Ⅰ」=春学期開講、「社会科学概論Ⅱ」=秋学期開講)するので注意が必要です。
3.進学要件(+卒業要件)を確認
進学要件とは、3年へ進級するための必要条件、卒業要件とはその名の通り卒業するための必要条件です。これらの要件も、先述した「学士課程ガイドブック」に載っています。
進学要件を満たすように履修案を立てるのが最優先ですが、余裕があれば卒業要件の充足も見据えておきましょう。
私が社会学部生なので社会学部の話が多くなってしまうのですが、社会学部生には、卒業要件として「スポーツ方法Ⅰ」(春夏、秋冬開講でそれぞれ1単位)あるいは「スポーツ演習」(春夏、秋冬開講でそれぞれ2単位)を通して合計2単位取得することが課されています。これらの授業は中高の体育や保健のような感じの内容です。ハードでないことがほとんどであるものの、実技があります。そしてweb抽選においては、どれも毎回当選倍率の高い授業となっているので、1年生の内から抽選に出すのがスタンダードです。
4.自分にとって譲れない条件を決める
例えば、「1限の授業はとらない」、「金曜は授業を入れない」など。どの授業をとろうか迷ったときに判断を下す目安となるので、お勧めです。
5.空きコマを埋める
必修授業、進学要件(+卒業要件)を検討したうえで、CAP制で許されているコマ数に余裕があるならば、興味のある「全学共通教育科目(「一般教養」のようなもの)」や学部科目を履修案に組み込みます。
以上が大まかな履修組みの流れとなります。
また、もう一つコツとしては、少しでも興味のある授業のシラバスには目を通すと良いです。担当の先生によっては詳しく授業評価方法を記載して下さっており、その先生の雰囲気(評価が厳しそう/優しそう、課題が多そう/少なそう)を予測する手がかりになります。
……といっても、履修案は4月4日から始まるweb抽選申し込みまでに立てればいいので、ここまで読んで「へーそうなのか」と思ったら、しばらくは思う存分遊ぶのが良いでしょう(新入生も2年生以上も)。
そして、3月26・27日の新歓委員会主催のサークル紹介(オンライン)では是非アインズにいらしてくださいね、新入生の皆さん!
おわりに
ここまでつらつらと書いてきてしまいましたが、お付き合いくださりありがとうございました。
ちなみに、ヘッダーの写真は昨年度初めて大学へ行った際に大学通りを撮ったものです。
皆さんにとって素敵な出会いの多い春となりますように……
以上、はな でした。