ドイツ・滞在許可証取得までの体験談(ミュンヘン大学交換留学)
はじめに
交換留学先への学籍登録(Einschreibung/Immatrikulation)にあたり,2019年9月末にミュンヘン市内のPoccistraßeにある外国人局(Ausländerbehörde)で学生用の滞在許可証(Aufenthaltstitel/Aufenthaltserlaubnis)を取得しました.この記事では,滞在許可証を得るまでの経験談を紹介します.
1.申請に必要な書類
申請に必要な書類関係は,以下の7つです.
①申請書
②パスポート(有効期限に注意)
③健康保険証
④所得証明
⑤申請用写真
⑥入学許可証
⑦発行手数料(50-100ユーロ)
以下,①・③・④を中心に解説します.
2.申請書
申請書はこちらのリンクから入手できます(2020年7月11日現在).
基本的には項目に書いてある質問に従って記入していけば問題はありません.
5.Angaben zur Sicherung des Lebensunterhalts(生活費保障申告)の欄にある収入の出所と,健康保険に関する情報は必ず抜けがないようにしましょう.学生の場合,6−8の家族に関する項目は特段記入しなくとも深掘りされません.
最後のページのDatum und Unterschrift(日付と署名)は必ず自筆で行いましょう.
3.健康保険について
日本の大学から海外の協定校に留学する場合、特定の保険への加入が義務付けられていることがあります.それに加えて,ドイツに留学する場合では,学生は公的保険(Gesetzliche Krankenversicherung)に加入しなければいけません.公的保険のうち,有名どころのDAKやTKなどは月々100ユーロ近くと少し値が張るため,比較的安い私的保険(Private Krankenversicherung)を選ぶ人も多いです.私はCare ConceptのCare College Comfort(月々35€)に加入したのち,中央駅近くのTKのオフィスで前述の義務解除のための書類を作成してもらいました(写真).
私の反省点としては,保険会社選びと保険加入を渡独後も先延ばしにしてしまった結果,加入するのが学籍登録や滞在許可証の申請をする直前になり,かなり焦ってしまいました.日本と違い,申請書のために必要な証明書の発行にかなり時間がかかることがあるので,日本にいる間に学籍登録・滞在許可証取得のために必要な書類とその期限の目安をロードマップにしておくことや,あらかじめ入る保険を吟味しておくことをお勧めします.
なお,厳密に言えばCare Conceptのプランでは大学生用の保険としては不十分なので,滞在許可証や学籍登録を最低限クリアするためだけの策として考えてください.入れるなら,高いですがTKやDAK,Care Studentなどの方が安心でしょう.結局のところ,目先の安さから保険を使う事態に合わないよう心がけ,最後に返金してもらうことと,安心を高い値段を払って買うことの天秤だと思います.
4.所得証明について
2018年より日本のドイツ大使館で発行してもらえる親の所得証明(経費負担誓約書)は使用できなくなりました.現在(2019年9月時点)では,三つ方法があります.
1)ユーロ建てで最低8640ユーロが入った本人名義の銀行口座の残高証明書
2)853ユーロx滞在月数分の預金が入った閉鎖口座(Sperrkonto)の証明書
3)奨学金の証明書(奨学金が外国人局の定める基準をクリアした場合)
なお,申請書類の受付は役所の担当者の気分に左右されることも多く、1)日本の銀行の残高証明書では不可能な場合もあるため、この中では2)閉鎖口座の方が安心です.
現地のローカル銀行で閉鎖口座を開設するためには,予約をとったり,電話番号や住所の登録,何よりも口頭での交渉が面倒ですよね.いくつも銀行をたらい回しにされた上,口座開設に時間が掛かったという声も聞きました.またCOVID-19の感染拡大のため,銀行口座は残しておきたいのに緊急帰国せざるを得なくなるなど,自分で管理できない状況に見舞われることもあります.
そこで,オンラインの閉鎖口座サービスを使用することをお勧めします.CoracleやEX-Patrioなど各自自分に合ったものを選ぶと良いでしょう.詳しくは,外務省のサイトをご覧ください.なお,日本にいる間にDeustche Bankを通じて閉鎖口座を開設することも可能ですが,非常に時間がかかるため,時間に余裕がある場合を除いてあまりお勧めしません.
閉鎖口座の場合、預金を自由に動かすためには毎月分のお金を受け取る振替用の口座(Girokonto)が必要です.振替口座をX-Patrioの提携先のN26に設定すると、口座開設も段違いに簡単で、預金をオンラインバンキングで管理できるため非常に便利です.ただし,滞在許可証取得後に初めて閉鎖口座より振替口座への振り込みが開始されるので,それまでの期間の生活費をどう工面するか課題は残ります.それについては,また別の記事で紹介する予定です.
5.閑話休題:申請用写真について
滞在許可証の発行には証明写真が必要ですが,私は日本で撮ったものが小さいことに予約時間の直前に気づき,急いで撮り直しました.外国人局内のフロアや駅にも証明写真機があるのですが,これは小銭しか受け付けてくれません.
よりによって50€の紙幣と4€ほどしか手持ちがなかった自分は,焦っていたこともあって,取り敢えず小銭を入れたところ,額が足りないことに気づきました.小銭を返却するレバーがないという謎仕様のため機械をほっぽり出し,お金を崩すために急いで駅のベーカリーで紙幣を崩して戻りましたが,入れていたはずの額は機械の表示から消え,見事にお金は帰ってきませんでした(泣).
滞在許可証を発行しに行く時は,写真の大きさと小銭の確認を忘れずに!
6.さいごにー予約はどうする?
インターネット上では,滞在許可証(ビザ)取得に関し様々な記事が散見されます.しかし,私の体験談も含めて情報は更新が非常に早いです.役所手続き関連で日本で事前にすべきことなどは,自ら責任を持って外務省や現地の役所のサイトで調べるなど積極的に情報を入手してください.
さいごに,特に情報が奔走している予約確保について,私の経験談と,現地在住の日本人の方から教えていただいたテクニックを紹介して終わることとします.ミュンヘン市のサイトから予約する際,実は朝のオフィスが開く時間帯に一度その日の分の予約が空くことがあります.なので,数ヶ月先まで予約が埋まっていたとしても諦めず毎朝7時半ごろチェックすると運よく早めに予約が取れることがあります.早朝に並んでダッシュしたとしても,ダッシュする先を間違えると元も子もありません(二番目に並んでいてダッシュする先を間違えた経験者).一番良いのは,数ヶ月前から予約しておくことです.一度予約が取れてしまえば、余程ひどい担当者にあたらない限り小一時間程度で滞在許可証を取得できるます.なお時期によっては,仮滞在許可証を貰ったのち、数週間後に外国人局に取りに行くことになります.
外国人局に良い思い出のある人はおそらくほとんどいません.外国人局を攻略して滞在許可証を得る上で,この記事がこれから留学される方にとって少しでも役立てば幸いです.最後まで読んでくださり,ありがとうございました,