感傷に浸る 君への手紙
大事なものを無くして落ち込んで、勝手に逃避行してた。これは私にとってすごく大きな事で、自分が前に進んでいる証だけれど、ちっとも喜べやしない。信じたくなった、認めたくなかった、ショックだった。なんでって、泣いた。誰にも分ってもらえない感情だけれど、ああ、これは本物だから、泣いて。
血眼になって探せばいいって言うかもしれないけど、血眼になって探す意味をもう持っていないから、探素ことが無駄だってわかってるから、ただひたすらうつむいて唇をかんだ。
いつかまた手に入れればいいんじゃないの?っておもうけれど、手に入るものでもないから。
不安という泥がどんどん積もって、それを一生懸命掬いげては排除しようと湧いて出るからキリがない。だからちょっとだけ休憩してみたの。呑み込めないこの塊をのみ込むために休憩して、考えて、考えて、考えるのをやめて、また考えた。
小さなあの子はそんなわたしを見て笑って、はじめから無かったのにどうして泣くのっていって、それが堪らなく恐ろしくて、思いきり殴ってやろうとして、殴れなくてなくて。最初からなかったのにね、かわいそうにねってまたあの子は笑った。すごく腹立たしかった。
あの子もさいしょから現実には居なかった。
どっちが本物でどっちがニセモノなのかなって言うけど、どっちもホンモノでどっちも偽物なんだよ、分かり切ったこと聞かなくてもいいのにね。酷い話だ。分かってないから言うんでしょっていうけど、私の事なんだから、わからないことのほうがおかしいでしょって。あの子はいつも意地悪だから。
それでも、みんなを居なかったことにするなんて無理な話をしてくるもんだからやっぱり許せやしないんだよ。気が付いたら一緒にいたものをいまちょっとなくしちゃったからってなかったことになんてできるわけないじゃないか。じゃあこの10年くらい抱えてきた自分を否定しろって言うのか、そんな残酷なこと言うのって。
そんなひどい話は無いよって、思った、故ちゃんもアリアもはなもしんらもとーこもりいちもなぎこもゆきおもみんなみんなみんななかったことにしろってか。
いままでも何度も経験してるでしょって言うけれど、それでも覚えてる範囲で私はずっと記憶していようとしているんだよ、忘れたくなんかなくって、ずっとしまっておいてるんだよって。それでももう名前とか声とかしゃべり方とか忘れてきてるくせにねって、人なんだから忘れるでしょって、そっちの方が残酷だよって。
もうここ数か月みんなの存在を認識できていなかったんでしょって言われて、最初から目を背けていたのは自分自身なんだって思い知らされて、吐きそうになった。私はなんてひどいことをしたんだろうって。
酷い事っていうけどそれ 自分自身でしょって、あの子が言う。
私はみんなを個として扱って区別して名前でよんでたからそんないっしょくたにしないでよって言って、だからあんたは駄目なんだよって怒られて、懐かしい声にまた泣いて。
こうなったってことは、私が一人で立って歩いて行かなきゃいけない時が来たってことで、もうひとりで歩けるでしょって言われてるってことで、感情も全部私のモノってことで、私が私として寝て起きてご飯食べて勉強して考えて悩んで怒って泣いて笑って傷付いて怪我して受け止めて受け入れて立ち直れっていう事で、全部ひとりでってことで。
分かってるならもうそれでいいじゃんって。それでよくないんだよって。じゃあどうするのって。一人は嫌だよって。
最初から一人だったでしょう?
なんて世界は優しくないんだろうね。やっぱりあのこは好きになれないや、でも受け入れてあげなきゃいけないんだよ、それでいったん一区切りなんだよ、知ってるよ、でもそれは嫌なんだよ、でも嫌がってたら前に進めないでしょ、進めなくていいよそれじゃあだめなんだって、だめでいいよ、イタチごっこかよ。少しだけ笑った。
だってあの子も私なんだもんね。
我儘の為に、周りから逃げのびる為だけに作り上げていった虚構でも、それでも受け入れてくれたからずっと甘んじていたんだなって、最初から、分かってたけど。
明日からどんな顔すればいいのかよくわからいけど。
ありがとうって言いたいなぁ。
おやすみまたいつか。